◆ ブラック企業の指南書
労働者の人権を根底から破壊
日本経団連(当時日経連)は1995年に「新時代における日本的経営」を発表し、日本型屋用といわれた「年功序列」「終身雇用」を根底から崩し、企業は内部留保を膨らまし、労働者は低賃金労働に追いやられ格差社会がつくられた。
経団連は、現状の格差社会に満足せず、4月16日に「新時代における日本的経営」に匹敵する「労働者の活躍と企業の成長を促す労働法制」の提言を公表した。
安倍内閣が設置した日本経済再生本部の意向に沿ったもので、この通り労働法制が改悪されるならば、資本の懐には新たなる利潤が流入し、労働者の生活と権利は根底から崩壊してしまう。
この提言は、「労働者の能力発揮とキャリア形成、そして企業活力の向上のために労働時間法制等の見直し策」だとして、冒頭から労働者を騙している。表題を見る限り労働者が期待感を寄せる文言だが、ブラック企業の悪徳雇用のバイブルなのだ。
別表の「概要」(本文A4版20ページ)から検証してみよう。
● はじめに
労働者の雇用保護だけではなく、企業の事業活動が政策に不可欠
(ホンネ)雇用保護政策の放棄の正当化と政府に企業サイド労働規制緩和要求
労働規制の強化が続いていると強調している。企業の柔軟性確保などバランス政策を訴えるが、柔軟性確保とは、現状の労働時間規制を緩和させ「いつでも解雇・いつでも雇用」のできる見通しのよい労働規制緩和にしたいとまとめている。政府にも強いリーダーシップで後押しを迫る。
Ⅰ-1国内の雇用機会確保の必要性
(ホンネ)「会社あっての労働者」意識を徹底させ、規制改悪を一気に実現させる
労働分野の規制が事業活動を低下させ、多様な働き方を狭めて、人材採用の余力を弱めていると決めつける。早急な労働規制を緩和させろというが、そこには「労働者がもっと働け、黙って解雇を認めろ」とブラック企業同様な解釈が羅列されている。
Ⅰ-2多様な労働者が活躍できる労働環境づくり
(ホンネ)「いつでも解雇・いつでも雇用」を徹底させる
①労働者の実態に対応していない労働時間管理
労働者が健康で働き続ける環境を無視した、企業本位の労働者の使いやすさに規制緩和しろと注文をつけている。労働者の使いやすさが損なわれることに競争力の低下を招くと決めつけている。
②厳格な雇用保障責任の問題
政府の産業競争力会議で論じられている「失業なき労働移動」は、経団連発であることが明らかになる文章が並んでいる。無期正社員の雇用責任が若年者の募集を抑制していると独断的に決めつけている。「いつでも雇用・いつでも解雇」のできる雇用制度にすべき時期と明言している。
③年功処遇の問題
日本的終身雇用・年功序列は、経済の低成長期にマッチしていない。多様な雇用形態(企業が自らつくったもの)、海外の優秀な人材を確保する視点からも、一律に自動昇給するなどは見直すべきとしている。
【別表】
「労働者の活躍と企業の成長を促す労働法制」(概要①)
はじめに
雇用の維持・創出を図るには、労働者保護の政策だけでなく、企業の事業活動の柔軟性確保や多様な就業機会の創出の観点を重視し、バランスのとれた政策としていくことが不可欠
Ⅰ.雇用を巡る状況の変化
1.国内の雇用機会確保の必要性
・雇用問題解決の鍵は、企業活動の活性化に支えられた経済全体の成長
・企業が将来にわたり国内事業を継続できる環境をより確かなものとするため、労働規制の見直しを一気に実施する必要
2.多様な労働者が活躍できる労働環境づくりの課題
(1)労働者の実態に対応していない労働時間管理
・現行法制下での労働時間管理は、創造性と裁量性を有する労働者の能力を存分に発揮する環境を用意できず、生産性の高い働き方、さらには労働者のワーク・ライフ・バランスの実現を困難なものにしている
(2)厳格な雇用保障責任の問題
・正社員に対する雇用保障責任は厳しく、若年者募集の抑制、事業活動の柔軟性確保の支障になっている
・失業なき労働移動を実現するための政策の推進とあわせ、雇用保障責任ルールのあり方を考える時期にきている
(3)年功処遇の問題
・経済の低成長、事業環境の激変に対応する視点や、多様な労働者間の処遇のバランスを図る視点、海外から優秀人材を確保する視点から、処遇のあり方を検証し、合理的で納得性のある処遇へ見直しが必要
『週刊新社会』(2013/7/30)
労働者の人権を根底から破壊
日本経団連(当時日経連)は1995年に「新時代における日本的経営」を発表し、日本型屋用といわれた「年功序列」「終身雇用」を根底から崩し、企業は内部留保を膨らまし、労働者は低賃金労働に追いやられ格差社会がつくられた。
経団連は、現状の格差社会に満足せず、4月16日に「新時代における日本的経営」に匹敵する「労働者の活躍と企業の成長を促す労働法制」の提言を公表した。
安倍内閣が設置した日本経済再生本部の意向に沿ったもので、この通り労働法制が改悪されるならば、資本の懐には新たなる利潤が流入し、労働者の生活と権利は根底から崩壊してしまう。
この提言は、「労働者の能力発揮とキャリア形成、そして企業活力の向上のために労働時間法制等の見直し策」だとして、冒頭から労働者を騙している。表題を見る限り労働者が期待感を寄せる文言だが、ブラック企業の悪徳雇用のバイブルなのだ。
別表の「概要」(本文A4版20ページ)から検証してみよう。
● はじめに
労働者の雇用保護だけではなく、企業の事業活動が政策に不可欠
(ホンネ)雇用保護政策の放棄の正当化と政府に企業サイド労働規制緩和要求
労働規制の強化が続いていると強調している。企業の柔軟性確保などバランス政策を訴えるが、柔軟性確保とは、現状の労働時間規制を緩和させ「いつでも解雇・いつでも雇用」のできる見通しのよい労働規制緩和にしたいとまとめている。政府にも強いリーダーシップで後押しを迫る。
Ⅰ-1国内の雇用機会確保の必要性
(ホンネ)「会社あっての労働者」意識を徹底させ、規制改悪を一気に実現させる
労働分野の規制が事業活動を低下させ、多様な働き方を狭めて、人材採用の余力を弱めていると決めつける。早急な労働規制を緩和させろというが、そこには「労働者がもっと働け、黙って解雇を認めろ」とブラック企業同様な解釈が羅列されている。
Ⅰ-2多様な労働者が活躍できる労働環境づくり
(ホンネ)「いつでも解雇・いつでも雇用」を徹底させる
①労働者の実態に対応していない労働時間管理
労働者が健康で働き続ける環境を無視した、企業本位の労働者の使いやすさに規制緩和しろと注文をつけている。労働者の使いやすさが損なわれることに競争力の低下を招くと決めつけている。
②厳格な雇用保障責任の問題
政府の産業競争力会議で論じられている「失業なき労働移動」は、経団連発であることが明らかになる文章が並んでいる。無期正社員の雇用責任が若年者の募集を抑制していると独断的に決めつけている。「いつでも雇用・いつでも解雇」のできる雇用制度にすべき時期と明言している。
③年功処遇の問題
日本的終身雇用・年功序列は、経済の低成長期にマッチしていない。多様な雇用形態(企業が自らつくったもの)、海外の優秀な人材を確保する視点からも、一律に自動昇給するなどは見直すべきとしている。
【別表】
「労働者の活躍と企業の成長を促す労働法制」(概要①)
2013年4月16日
日本経済団体達合会
日本経済団体達合会
はじめに
雇用の維持・創出を図るには、労働者保護の政策だけでなく、企業の事業活動の柔軟性確保や多様な就業機会の創出の観点を重視し、バランスのとれた政策としていくことが不可欠
Ⅰ.雇用を巡る状況の変化
1.国内の雇用機会確保の必要性
・雇用問題解決の鍵は、企業活動の活性化に支えられた経済全体の成長
・企業が将来にわたり国内事業を継続できる環境をより確かなものとするため、労働規制の見直しを一気に実施する必要
2.多様な労働者が活躍できる労働環境づくりの課題
(1)労働者の実態に対応していない労働時間管理
・現行法制下での労働時間管理は、創造性と裁量性を有する労働者の能力を存分に発揮する環境を用意できず、生産性の高い働き方、さらには労働者のワーク・ライフ・バランスの実現を困難なものにしている
(2)厳格な雇用保障責任の問題
・正社員に対する雇用保障責任は厳しく、若年者募集の抑制、事業活動の柔軟性確保の支障になっている
・失業なき労働移動を実現するための政策の推進とあわせ、雇用保障責任ルールのあり方を考える時期にきている
(3)年功処遇の問題
・経済の低成長、事業環境の激変に対応する視点や、多様な労働者間の処遇のバランスを図る視点、海外から優秀人材を確保する視点から、処遇のあり方を検証し、合理的で納得性のある処遇へ見直しが必要
『週刊新社会』(2013/7/30)
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