東京都教育委員会 教育長 浜 佳葉子 殿
2023年3月27日
四者卒業式・入学式対策本部 対策本部長 川村佐和
◆ 「10・23通達」の撤回と懲戒処分・再処分の取消しを求め、新たな処分等を行わない再度の要請
2003年10月23日、東京都教育委員会が都立学校長に対して発した「入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について(通達)」(「10・23通達」)以後、「職務命令違反」を理由とする懲戒処分者は、これまでに延べ484名にものぼっています。
都教委は、20年にもわたって、職務命令と懲戒処分を続けてきました。さらに、判決が確定し減給以上の処分が取り消された原告に対して、謝罪するどころか、再度懲戒処分するという暴挙に出ています。
このような都教委の頑迷な姿勢を改めるべく、去る1月24日に当本部は8項目にわたる要請書を提出しました。しかし、今回都教委の行った2月17日付けの「回答」は、従来の文言を機械的に反復しているのみで、回答になっていません。
私たちの要請を一顧だにせず、冷たくはねのけています。それだけでなく、一切の説明を拒否しています。説明責任を全く果たしていません。
また、国連自由権規約委員会が2022年11月に、東京都教育委員会の「10・23通達」と自由権規約との適合性に問題ありと勧告しているのにもかかわらず、「政府から連絡がない」ことをロ実に一切無視を決め込んでいます。
また、ILOユネスコ合同委員会が再勧告したにもかかわらず、内容については全く答えず平然としています。
もし私たちの要請が都民のほんの「一部」であると考えているとしたら大きな間違いです。どのような要請であれ、その当事者は「一部」のものです。「一部」のものの要請を無視し、説明責任を放棄すれば、それは都民全体を無視し、説明責任を放棄していることになります。
そして、このことが現在東京都の教育行政が陥っている深刻な矛盾の根本原因なのです。
私たちは、教育行政の本来の道を逸脱し、かたくなな姿勢をとり続けている都教委に対して、「10・23通達」の撒回とそれに基づく懲戒処分・再処分の取消しを求め、新たな処分を行わないことを再度強く要請し、以下、「回答」に対する再質問と再度の要請を行います。
《再質問》
1.回答1に関して。
「10・23通達」が旧教育基本法10条1項に言う「不当な支配」に該当しないということが、学校行事の内容を行政があれこれ干渉し、命令するのは学校の教育課程編成権の侵害であり、まさしく「不当な支配」そのものではないか。都教委の見解を示されたい。
2.回答2に関して、
これまでに484名に不利益処分を伴う懲戒処分を発したことは、教職員の「日の丸・君が代」に対する自由な考え方に恫喝を加えるものであり、どうしてこれが「思想及び良心の自由を侵すものではない」と言えるのか。裁判所の判決をたてに言い逃れするのではなく、正面から答えてもらいたい。
また、「職務命令違反があった場合には、個々の事案の状況に応じて厳正に対処します」とあるが、これまで適切に行われたと判断しているのか。司法判断において都教委の行った処分(減給以上)が次々に取り消されているのは判断が適切でなかったからではないのか。同様の質問は前回も行ったが、まったく回答になっていない。再度質問する。
3,回答3に関して。
「当該各事案に係る判決の内容に応じて、必要な対応を行っています。」と言うが、「必要な対応」とはどういうものか。これまでに行った「必要な対応」を具体的に示されたい。
司法判断で否定されたのであれば、適切に対処していなかったことになる。そのことに対して当該の本人に説明し謝罪するのが筋である。それでもなお「謝罪する考えはない」と開き直るのはどういう理由からか。
処分回数に応じて、処分内容を重罰化するこれまでの“累積加重”のシステムは司法判断によって否定されたが、このことを認めないのはどういう理由からか。控訴審にかかった裁判費用を都民に対してどう説明するのか。
また、「再処分」を行うことは、当該本人の重大な権利侵害である。「再処分」を行うことによって、二重に精神的苦痛を与えるのは重大な人権侵害ではないのか。同様の質問は前回も行ったが、まったく回答になっていない。再度繰り返す。
4.回答5に関して。
「政府から連絡を受けていません」という回答をしているが、国連自由権規約委員会での勧告を「政府から連絡」がないから知らないというのでは、行政としてはまったく不当な対応である。また、この勧告の内容を個々の教育委員には知らせたのか。
5.回答6に関して。
この回答は、全く不当である。ILO/ユネスコ合同専門家委員会の勧告が都教委に対してなされたことは明白ある。「見解を述べる立場」にはない、と言うが、それでは都民や関係者に対して余りにも無責任である。このような態度そのものが勧告によって厳しく批判されている。これをどのように受け止めているのか。誠意をもつて回答されたい。
6.回答7に関して。
不当処分を理由にして任用の更新を拒否することは、二重処分とも言うべき重大な権利侵害である。都教委の見解を示されたい。
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