パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ 「今こそ変えよう!再審法 カウントダウン袴田判決」日比谷集会

2024年09月23日 | 平和憲法

 ☆ 生きる元気と希望をもらう

報告=小泉雅英

 昨日(9/19)は、久しぶりの日比谷野音で、素晴らしい集会に参加した。仕事の後、駅に向かう途中で、小雨がパラついたので、今日の野音は雨かと思ったが、会場に着く頃には、ほぼ上がっていた。
 聞くところによると、袴田巌さんのお姉さん、ひで子さんは、晴れ女だそうで、この集会にも、静岡から駆けつけていた。

 そう言えば、かつての「6・15」集会は、雨が多かった。毎年のように、樺美智子さんの母親、光子さんのお話を、雨の中でお聴きした。
 その他の集会でも、終わると、その後はデモと決まっていた。公園の外では、機動隊が待ち構えていた。そんな「政治の季節」が過ぎて、野音に行ったのは、ライブコンサートだった。

 相倉久人の司会で、ミッドサマー・ジャズフェスティバルが、何度も開かれていた。
 加藤登紀子の「ほろ酔いコンサート」もあった。
 矢野顕子のライブの時は、音響設備が途中でおかしくなり、しばらく中断したが、何とかやり切り、あの独特の調子で、不思議な感覚の歌を聴かせてくれた。
 マリーンが来た時は、台風にぶつかったようで、強い風の中、沖縄ではいつもこんな感じだよと言って、風を吹き飛ばす力強い声で歌ってくれた。
 夏の晴天のコンサートでは、いつの間にか陽が沈み、空の色が変化していくのが、とてもいい感じで、好きだった。
 今日の集会も、沢山の虫の声も聞こえ、自然に包まれたような感覚で、素晴らしい時間だった。

 「今こそ変えよう!再審法~カウントダウン袴田判決」と題した集会は、野音を埋め尽くす参加者の後方に向けて、安田菜津紀さん(総合司会)の「聞こえますか」の声で始まった。

 第1部は、冒頭に主催者を代表して、渕上玲子さん(日弁連会長)から、この集会の意義について、気持ちのこもった熱い挨拶があった。
 その後、「袴田事件」についてまとめたショートムービーの上映と金聖雄監督の挨拶、袴田ひで子さんの挨拶、と続いた。

 その後、本日の基調とも言うべき、鴨志田祐美さん(日弁連再審法改正実現本部)の「再審法改正は、いま」と題した講演があり、この運動への取り組みの経緯と現状について、熱く熱く語られた。
 この中で、国会議員などへの働きを強め、再審法改正を早期実現する超党派の議員連盟に、今や議員の約半数、49%が加入している状況も報告された。
 袴田巌さんの完全無罪判決は、来週、9月26日、静岡地裁で行われる予定だが、これで終わりではなく、再審法の改正を実現するために、皆で力を尽くそう、と訴えた。

 この後、リレーメッセージに多くの人が登壇し、それぞれの思いを語った。
 柴山昌彦さん(再審法改正実現議員連盟)、大川原正明さん(大川原加工機事件冤罪被害者)、金平茂紀さん(ジャーナリスト)の他に、袴田事件など冤罪事件に関心を持ち、それぞれの方法で運動する若者たちも多数登壇し、発言した。これには感動した。

 金平さんの話は、自らも含め、遠い所に想いを寄せ、心配するが、身近な所を疎かにする一般的な性向を指摘し、長く身を置いたメディアの世界について、自己批判的に述べた。
 そうした無関心が、再審制度を70年間も放置して来たこと、冤罪で苦しむ人を切り捨てて来たことなどを、メディアに携わる者は反省すべきことを訴えた。
 この反省は、メディア関係者だけではなく、私を含め、多くの一般大衆も共にすべきだろう。今日、こうした大集会で、再審制度の見直しが議論されるようになったのも、冤罪事件に苦しみ、殆ど孤立無援の中で、泣き寝入りせず、長く闘って来られた人々がいるからだと、あらためて思った。

 大崎事件の原口アヤ子さんは、1979年の冤罪事件で、再審開始決定を三度も反古にされながら、96歳の今なお「私は無実」と訴え、第4次請求特別抗告審を闘っている
 袴田巌さんは、1966年の冤罪事件で、死刑囚として34年間もの拘禁を強いられ、精神を病みながら、姉のひで子さんの粘り強い支援の中で、第1次、第2次と再審請求を続け、再審開始決定が出たのは、事件から47年後の2014年だった
 それも検察の異議申立てで引き延ばされ、ようやく昨年、再審開始が確定したのだった。こうした状況に関心を向け、問題を共にして来た人は、ごく僅かだった。そのことが、欠陥だらけの再審制度を、70年間も放置して来たことにつながっているのだ。

 第2部は、「再審を語り、再審法改正を訴えよう」と題し、先ずはネットで人気の「せやろがいおじさん」のオリジナル動画が上映された。
 これには、現在の再審制度の欠陥が、誰にも分かるように解説されている。彼の動画をこんな大きな画面で見るのは初めてだったが、大した表現者だと改めて認識した。

 さて、その後は、TVの報道番組でキャスターを長く務めた古舘伊知郎さんの司会で、村木厚子さん、村上一博さん、津田大介さん、周防正行さんが登壇し、それぞれ鋭い切り口で、再審制度の問題点を語った。
 特に村木さんは、郵便不正事件の冤罪被害者として、法的正義を実現するために、公平なレフリーであるべき裁判官が、担当者により「当たり外れ」があることの恐怖感を語った。
 遅れて登壇した稲田朋美さん(衆議院議員)は、自身が弁護士として、この問題には、政治的に右も左もなく、再審法の改正の必要性を語った。この方が、人気朝ドラ『虎に翼』を毎日観ている、と言った時は、会場でも笑いが起こったが、こういう発言が出たのも、ライブならではだろう。それにしても、古舘伊知郎の自由闊達な司会ぶりには、驚いた。

 この後は、「心に響け~えん罪犠牲者に捧げるミニ・ライブ」と称して、獄友イノセンスバンド、かもん弓バンドなどが登場。素晴らしい歌で盛り上がった。
 何と第1部で講演した日弁連の鴨志田祐美さんが、かもん弓バンドのメンバーとして登場し、ボーカルとピアノ演奏を担当していたのにはびっくり。
 李政美さんの美しい声でリードされ、お馴染みのWe shall overcomeを、参加者も声を合わせて合唱した。

 最後に、袴田巌さんの無罪判決と再審法改正の実現を求めるアピールを唱和し、2時間余りの大集会を終えた。
 デモはなかったが、なぜか生きる元気と希望を得たように感じながら、夜の公園を突っ切り、帰途についた。(2024/09/20)

*Facebookには写真多数と動画あり ↓
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『レイバーネット日本』(2024-09-21)
http://www.labornetjp.org/news/2024/0919hibiya


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