「そっか!これは埋めるため必要なカーブだったのか!?」
というのが本日の結論。
セッティングに迷っているという生徒さんの楽器は古い国産のメーカー。
日本のビンテージフルートといっても良い笛です。
これを吹いたところ、面白い発見がありました。
製作者が、どのような意図で作ったかはわかりませんが、私の推理では、より日本人、アジア人が演奏しやすいように、と考えの試みではないかと・・
具体的に説明しようとすると、もう今の奏法全てを言及しなくてはならないので省きますが、この歌口のお陰で、長年の疑問も解消できた・・?かもしれません。
何故、フルートの歌口の形は丸いのか。
元は葦の管に穴を開けて笛にしていたのだから、丸いのは当たり前。
ルネッサンスフルートなどは、その形状をそのまま留めている。
しかしながら、様々な試行錯誤、試みが成された結果の現在のフルートの歌口も以前として、楕円、という丸い形。
もちろん、より長方形に近いものもあったり、個体差は様々にあるけれど、丸の仲間の形であることに変わりはない。
長年の疑問というのは、息の当たるエッジの部分は、まあ、これはこれで、そういうものだ、ということで良しとしても、
何故、下顎の当たる側まで曲線なのだろう?
ということ。
塞いでしまう部分なのだから、まっすぐでもいいじゃない?
と、かつて、フト思ったことがある。
見た目の美しさのためかな?
くらいに思っていた。
生徒さんの国産の笛の歌口のカーブは、私のロットよりも、かなり、より円に近く、当てた感触も、当たり前ではあるけれど、全く違う。
そして、面白かったのは、すっと当てると、そのえぐれた曲線の中に柔らかい下唇部分が埋まるように導かれたこと。
よりフルートとの一体感が増し、通電できた感じ。
押し当てるのは下唇の柔軟性を妨げるし、この「埋める」という感覚も、口元の力みが減ったからこその感覚、柔らかいからこそ、埋まる訳なので、誰にでもお勧め、という話ではない。
だからこそ、奏法全般に関わる話になってしまう訳で、ここだけ真似しても、きっと良い結果にはならない、とても危険な気付きであることにも言及しておきたいです。
でも、夫々の楽器の歌口手前部分の活用方法に、やっと気付いた、というのは、本当に大きなメウロコ。
国産のその笛は、おそらく西洋人よりも厚い唇を持つ日本人のために、と考えられたものではないか、と。
そして、初代、五代目ロットは、そこまでカーブはついていない。
でも、決して直線でもない。
今までの吹き方よりも、本当に極僅かではあるのですが、この「埋める」という感覚が、また新しい世界を教えてくれました。