世界フィギュアスケート選手権、男子シングル。
案の定パトリック・チャンがぶっちぎりで優勝を飾りましたね。
相変わらず採点には釈然としないところがありますが、
あの舞台でSP、FS共にほぼノーミスで
大技の4回転も合計で3回きっちり決めたので、優勝は当然の内容でした。
SPから2位に10点差以上の大差をつけていて、
これじゃ他の選手が「お前には優勝させない」と言われているようで
やる気をなくすんじゃないかと危ぶまれましたが、
蓋を開けてみると皆奮起したというか、
開き直った感じで4回転の成功率が結構高かったので、
まあそれはそれで良い面もあったのかなと思うことにします。
これでソチで金メダルを獲るにはSPとFS両方で4回転を入れるのが必須になったし
ということで、以下思い入れのある選手&印象に残った選手についての感想を。
P.チャン
本当に滑りが滑らかでスピードもあって、
あの大舞台で特にSPをノーミスできっちりこなすというのはさすがでした。
でもプログラム・コンポーネンツ(PCS)で10点まで出るような
神がかり的演技かというとそうでもなく、
その完成度に圧倒はされるけど物足りない演技というのが正直な印象です。
特にSPのテイク・ファイブ。
完璧にきっちりと要素をこなしていて、
プログラム全体を通して流れがある、というのも理解できますが、
ただ単に5拍カウントを取っているだけという印象で、物足りない。。。
FSのオペラ座の劇場型プログラムでさえ、
「魅せる」という要素が欠けているような気がする演技。
フィギュアの醍醐味である芸術性とスポーツの融合が中途半端で、
スポーツとしての技術では秀でているけど芸術面がまだまだ物足りなく感じます。
私は特にミュージカル鑑賞が好きなので、
音楽と身体芸術との融合という点で、なかなか胸を打つものがありません。
なのにあのPCSだもんで、どうも見ていて白けてしまうのです。
しかも、他の選手と比べて評価にバラツキがあるので余計に胡散臭い感じ。
たとえばSPでは10点を付けるジャッジもいれば、7.75を付ける人もいて、
一人の選手に対してジャッジの評価に2点以上の差が出るというのは
果たして正当な評価なのか、と。
まあ所詮素人だし、単なる偏見かもしれませんが。
本当は3月11日に熊川さんのバレエを見て芸術性の審美眼を養ってから
世界選手権を見たかったんですけど、かなわず残念
小塚選手
SPのミスが本当に悔やまれます
Pチャンの直後であの大歓声の後なんだから、
影響を受けない方がおかしいので、
あの滑走順でノーミスというのは過酷だったと思いますが。。。
でもFSは全日本チャンプにふさわしい圧巻の演技でした
SP6位からの巻き返しで、直前の高橋のアクシデントという苦しい状況から、
表彰台も危ぶまれましたが、
GPシリーズ仏エリック・ボンパール杯での神演技を見せれば大丈夫
と祈りを込めて見ていましたが、
なんとあの神演技を上回る素晴らしい出来でした
エリック杯での演技は本当に神が下りたという感じでマグレっぽくも感じましたが
(その後あの迫真の演技を見ることがなかったのでなおさら)
今回は持ってる実力を全て発揮できたという
自信に裏打ちされた堂々たる演技で、また一皮むけた感じですね
特にFSでは4回転は1回ながら、
スピンを全部レベル4でそろえてGOEも全てプラスという高評価で、
怪物Pチャンを上回る技術点をたたき出しました。
同じ日本人ということで単なるひいき目というのも大いにあると思いますが、
でもやっぱり小塚の演技の方が「惹きつけられる」魅力と迫力にあふれていたと思います。
それこそ芸術とスポーツが見事に融合した素晴らしい演技だと。
だからこそ余計に、Pチャンと10点差近いPCSを見ると釈然としないものが。。。
技術点が高得点なんだから、
PCSの少なくともSkating SkillsやPerformance/Executionは
それに連動してもうちょっと点数が高くてもいいんかないかと。
やっぱりどこまで行ってもPCSは実績点でしかないのかとため息をつきたくなる気分。
でも今回の演技で実力が証明されたので、
ソチに向けてどんどん評価は上がってくると思うので、
あとは毎回パーフェクトな滑りをして、SPでも4回転を入れるようにしてほしいです
A.ガチンスキー選手
ソチに向けて、いよいよ眠れる獅子が目を覚ましたという感じですね。
若干17歳で初出場にして銅メダル獲得。
実況解説でもさんざん言われていましたが、
プルシェンコを見ているかのような力強いジャンプの数々は今後を期待させます。
まだまだ荒削りですが、ソチに向けてこれから大きく化けそうな選手です。
やっぱり大国ロシアの選手が強くないと面白くないので、
ガチ君の今後の活躍を期待したいと思います
B.ジュベール選手
とにかくSPの失敗が痛かった
ソルトレーク世代が皆4回転の跳び過ぎで(と思うのですが)故障して引退していった中、
4回転を跳び続けながらまだ現役を続行しているのはさすが「4回転サイボーグ」。
今シーズンの今大会SPまでの演技を見て、
もはやこれまでか・・・とも思わされましたが、FSの演技ではやっぱりやってくれました
SP9位から大きく巻き返してFSでは4位に食い込む堂々の演技
演技終盤のガッツポーズの連続には胸が熱くなりました
流血するほど手を怪我していたのに、そんなこと感じさせない演技で、
多分本人も集中しきって怪我に気付いていなかったのではと思うくらい。
一説によると、肉体改造中でさらなる高みを目指しているらしいので、
もう一度4回転をバンバン決めて輝いてほしいです
第九の衣装、鯉のぼりっぽくてやっぱり変だけど
前回見たメルヘンチックな衣装よりは曲にあっていてよかったです(笑)
M.ブレジナ選手
FSは昨シーズンと同じくパリのアメリカ人。
スペインのハビエル君も、Pチャンも昨シーズンから使いまわしということで、
やっぱり同じプログラムを使うのは有利になるんでしょうね。
3人とも4回転を全部成功させていました。
でも、同じ音楽を使っても昨シーズンの真央ちゃんみたいに
衣装や振り付けをガラっと変えてイメージを一新してくれた方が、
ファンにとって見ごたえあるというのも事実。
まあ一長一短ってところでしょうか。
このまま行くかなと思ったけど最後にバテて2回転倒したのはもったいなかった。
SPは日本開催を意識してか、鼓童の音楽を使ったプログラムでした。
でもあの衣装・・・あれは日本じゃないぞー
海外の選手が日本をイメージすると、皆中国よりの衣装になるので、
なぜなんだろうと思っていたら、ひとつ思い当たるフシがありました。
それはドラゴンボール
衣装の形は悟空の道着っぽいし、描かれた龍はきっとシェンロン。
そしてフィニッシュの元気玉ポーズで絶対ドラゴンボールだと確信しました(笑)
あのイメージは鳥山明のせいだったのか(笑)
高橋選手
SPもFSもまた衣装を替えてきましたね。
1シーズン同じ衣装を着続ける小塚とは好対照で、
同じ日本人でも選手の幅が広い(もちろん衣装だけでなく演技も)のは嬉しいことです。
SPは大きなミスはないものの、やっぱりどこか精彩を欠いていて、
シーズン締めくくりに絶頂の演技を見たかったので残念でした。
そして昨日のFS
金メダルは不可能になったものの、
まだ今季パーフェクトな演技を決めていなかったので、
今度こそ4回転も決めて、ノリノリ演技で会場全体を味方につけて
ディフェンディングチャンピオンの意地を見せてやれと思ったのに
1発目の4回転でまさかの失敗、そして演技中断。
怪我でもなさそうだったので、
高橋よ、お前もか
とバンクーバーの殿の悪夢の再来かと思ったら、ビスが外れたとは。。。
その後の演技で大きく崩れなかったのはさすがでしたが、
やっぱりとても残念なアクシデントでした。
でもまあこのおかげでソチまで現役続行なんて声も聞こえてきたので
ファンにとっては嬉しくもあり、悔しくもあり、複雑なところですね。
表現の世界を突き詰めて、一人違う次元で勝負をしている感があるベテラン選手ですが、
是非4回転フリップを武器にソチで戦う雄姿を見たいです。
F.アモディオ選手
FSはMJメドレーのはずなのに、ボーカルが聞こえてきてビックリ
SPでもジュベールと曲が被ってたし、
FSでもベルネルとMJ対決で被ってるので、
ここに来てわざわざ変更したの?それも減点対象のボーカル入り??
折角欧州チャンピオンになったのに異端児路線を目指すの???
4回転なくて表彰台争いに食い込めないからヤケクソ????
と疑問の嵐でしたが、プロトコルを見ると減点もなく。
エキシビションが曲だけ変えて構成は同じということで、
大会運営側がエキシの曲と間違えてかけてしまったのではないか、
という説と、
ヤケクソか開き直りか被災地へ向けてのサプライズプレゼントか、
真意は定かではないが意図的にあの曲を使った、
という説がネット上で流れている模様。
曲のかけ間違いというのはあり得ないとも思いますが、
急遽開催地が変更になってあまり体勢が整っていなかったというのはありそうだし、
バンクーバーでは小塚の「音、音!」アクシデントもあったし、
可能性はなくもないのかな、と。
真相が気になります。
織田選手
おい、殿、お前またソレかよ
今まで何度泣きを見たかわからない、ザヤックルール違反(ジャンプの跳び過ぎ)。
最初の3Aの後の3Tを見て、エ!?とビックリしましたが、
まさかまさかの跳び過ぎ劇場再びですか。。。
日本勢唯一SPから4回転を入れて、
ジャンプの質も素晴らしいのに、どうして同じ過ちで帳消しにしてしまうのか。。。
色んな意味で見ごたえたっぷりだった男子シングル。
今日からはいよいよ女子シングルが始まります。
Pチャンのスコアを見ると、キムヨナがまた歴代最高スコアを更新して
ぶっちぎりで優勝というシナリオが出来上がっているのはほぼ間違いないので、
選手たちには自己ベスト(点数はあまりアテにならないので内容で)の演技を期待したいと思います。
記録に残る演技よりも、記憶に残る、
見る人の胸を打つ演技で今シーズンを締めくくってください
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