本書 観行篇 第一章に 就眠前 十分間の神想観を勧めてありますが、
覚醒中は 吾々の 「 念(ねん) 」 が外界の事件の移り代(かわ)りに気をとられて
刻々変化 致しますので、 「 念 」 を常に一定傾向にとどめておくことは
比較的難しいのでありますが、
睡眠前に 神想観をして、 「 念 」 を正しい傾向に向けておいてから眠りますと、
念の習慣性によりまして、 「 正しい念 」 を習慣的に持続して、
類は類を招(よ)ぶ 「 念の牽引力 」 によりまして、睡眠時間中 持続的に正しい念、
栄えの念を招(よ)び寄せ、その念の展開として、平和な事件、幸福な事件、
繁栄の事件などを引寄(ひきよ)せる事になるのであります。
神想観中の思念には 色々のやり方がありますが、本篇 第二章に述べてあるのは、
その基本的な形式でありまして、この形式で一、二ヵ月習熟して頂きましたら、
呼吸の方法は 習慣的に正しく静かになって来ますから、その時には もう呼吸にとらわれず、
「 実相 」 の完全円満な相(すがた)を念ずるということにして頂くのであります。
その一方法としては 本篇の「 扉(とびら)の頁(ぺーじ)」にある 「 実相を観(かん)
ずる歌 」 の如(ごと)く念じて頂くのであります。
あの歌の文句の通り、又は 自己の素養(そよう)に従って、自己に最もピッタリする言葉で
それと同(どう)意味の念をば 繰返し繰返し念じているうちに、
自己拡大の感(かん)が起(おこ)り、 「 実相(じっそう)即(そく)我(われ) 」
「 宇宙(うちゅう)即(そく)我(われ)」の境地に入(い)り、
小我(しょうが)なく、他我(たが)なく、一切包容の大我(たいが)に
帰入(きにゅう)した感じを味わうに至(いた)るのであります。
神想観は 「 術(じゅつ) 」 ではなく、 「 徹底(てってい)祈り 」 でありますから、
信念が通(つう)ずれば、形式 又は 用語に捉(とら)われる必要はなくして
十分効果があるのであります。
新編 『 生命の實相 』 ( 第14 巻 観行篇 「 神想観実修本義 」 上 99頁~101頁 )
谷 口 雅 春 先 生