宮部みゆきの代表作ともいえる「模倣犯」を読み終えた。
文庫本にして全5巻、ミステリー系はよく読むのだけれどここまで長い作品は初めて。
1巻の半ばあたりから物語の世界へのめり込んでいき、あとは一気にラストまで。
ミステリーというと犯人探しであったり、トリックを暴いたりみたいなのが定番だがこの小説はそこに焦点をもっていってない。
未曾有の連続誘拐殺人事件をとおして、加害者とその身内、被害者とその遺族、ルポライター、警察など事件に関わった人物の心内をそれぞれの立場からこと細かに描写している。
最初は接点のなかった人たちが物語りが進むにつれ徐々にリンクしていく。
これなら長くなるのも当然て感じ。
人間はどこまで邪悪になれるのか。
人間の陰の部分、残酷な部分を深く描いた超大作「模倣犯」。
少し長いですが興味ある方ぜひご一読を。
最後にかわいい孫娘を無残に殺害された男性が犯人に向かって言う言葉。
「人間はな、ただ面白がって、ただ愉快に、ただ世間様からちやほやされて、派手に世渡りできりゃあそれでいいってもんじゃないんだ。てめえの言いたいことだけ言って、やりたい放題やって、それでいいってもんじゃないんだ。それは間違っているんだ。絶対に間違ってるんだ。あんたはたくさんの嘘をついたが結局はその嘘もばれた。嘘は必ずばれる。本当のことってのはな、あんたがどんなに遠くまで捨てにいっても、必ずちゃんと帰り道を見つけて、あんたのところに帰ってくるものなんだよ」。