最近、ちょくちょく図書館を利用する。
たしかに文庫本の冊数は決して多くはないけれど図書館のメリットは、無料ゆえに気軽に新規開拓できるところ。
今まで読んだことのない作家の作品がたまたまヒットするとなんか得した気分になる。
そんな中の1冊が『TENGU』(柴田哲孝・祥伝社文庫)。。。
1974年秋、群馬県の寒村を襲った連続殺人事件。
犯人はいったい何者なのか。
事件は謎のまま26年が過ぎ、記者である主人公が再び真実を暴くために立ち上がる。
当時はまだなかったDNA鑑定で意外な事実が・・・
そして背後に米軍の陰が・・・
これはたんなる推理小説ではない。
70年代の世界情勢が絡む、フィクションでありながら‘ひょっとしたら本当なのかも’と思わせてしまうノンフィクション的なリアルな内容に圧倒される。
錯綜する過去と現在。
残酷で切なくて衝撃的な結末に涙する。
圧倒的評価を得て大藪春彦賞に輝いた傑作。