牡丹に蝶のブログ

政治・経営・宗教的な話に興味があります。過去から現在までの出来事とかを綴ってみたいなと思います。

何が言いたいのか分からない記事です…

2015-08-23 22:13:05 | 政治



首相に「バカか、お前は」連合主催集会でシールズメンバー 安保法案反対の具体論語らず


産経新聞8月23日16時40分配信


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150823-00000531-san-pol


 安全保障関連法案反対のデモ活動を行う学生団体「S E AL D s (シールズ)」の中核メンバーである奥田愛基氏が23日、連合が主催した国会前の反安保関連法案集会に参加し、安倍晋三首相について「バカか、 お前は」などと訴一ス、退陣を迫った。奥田氏は安保関連法案のどの部分が反対かは一切語らなかった一方、週刊誌や民主党議員らの発言を元にしたとみられる情報で「首相は早く病院に行って辞めた方がいい」 「どうでもいいなら総理をやめろ」などと批判した。


 「こんな暑い日の中、真っ昼間からこんなことはしたくない」と切り出した奥田氏は、 「残念ながら、 このようなあり得ない政権がいるから、こうやってあり得ないことをやらなきゃいけないわけですよ。 『ふざけんな!」って話ですよ」と訴えた。連合が招いた奥田氏は、 シールズを批判し、その後週刊誌の金銭トラブル疑惑報道で自民党を離党した武藤貴也衆院議員についても言及。「戦争に行きたくないのは利己的だという議員がいましたけど、 そんなこと言っていない」と反論し、 「お前らが言っていることが極端で利己的な意見だ。ふざけんなよと思っていたら、案の定、 ちょっと利己的な発想があったのか、自民党を去られた」と述べた。


 約6分間のあいさつで、奥田氏から安保関連法案そのものに触れた発言はなかった。関連した話題としては立憲主義にわずかに言及しただけで奥田氏は「中学生の公民の教科書に立憲l主義と書いてある。憲法とは権力者を縛るものだと書いてある」と指摘した。その上で「権力者が憲法違反のことをしたらどうなるか。政治家をお辞めになるしかない。それかクーデターだ。そのようなことが起こっている」と述べ、「安倍首相がクーデターを起こしている」との趣旨で訴えた。だが、安保関連法案のどの部分が憲法違反なのかについては最後まで一切語らなかった。


 さらに奥田氏は「一言でいうと、バカなんじゃないかなと思いながら見ている」と首相を批判。 「国会の傍聴には行かない。首相が『どうでもいい」なんてやじを飛ばしたが、 ああいうことを見ると、靴でも投げそうになるのでインターネットを通して見るようにする」と述べた。奥田氏が指摘したのは、 21日の参院平和安全法制特別委員会で民主党の蓮舫代表代行が質問している最中の首相のやじとみられる。蓮舫氏は「『そんなことどうでもいいじゃん」とはどういうことか」と首相を攻撃したが、実際は「まあいいじゃないか」とのやじを飛ばした首相は「どうでもいいと言ったわけではない」と否定していた。

 しかし、奥田氏は蓮舫氏の主張に沿って「とうでもいい」発言を事実とした上で、 「どうでもいいなら首相をやめろ。バカか、 お前は」とアピール。さらに「『バカか」とかひどいことを言っても、 あんまり伝わらない。もうちょっと優しく言えば、僕は首相の体調が非常に心配なので、早く病院に行かれてお辞めになられた方がいい」と語った。首相の事務所が抗議文を送付した週刊文春の「吐血」報道を元にしたようだ。奥田氏は最後に「本当に通したらまずいぞっていう空気をドンドン作っていきましょう」と連合組合員に呼び掛け、 ラップ調で「どうでもいいなら総理をやめろ」 「憲法を守れ」 「戦争反対」 「安倍は辞めろ」と連呼してあいさつを締めくくった。集会には民主党の岡田克也代表も参加したが、奥田氏のあいさつの前に会場を後にしていた。



私見…


7月26日の日刊ゲンダイで
このような話しが取り上げられて
いました。


SEALDsへの侮蔑を引用ツイート自民幹部職員が大炎上
          2015.07.26



http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162103/1


田村重信氏のツイッター(左) とS E ALDsの反安保デモ集会(C) 日刊ケンダイ


 
 これぞ、劣化した今の自民党を象徴するような話ではないか。 「政務調査会調査役」という党の要職にある田村重信氏(62)が、安保法案に反対する大学生グループ「S E A L D s」についてく民吉 過激派 在日チンピラの連合軍〉 と発信。その後、 ツイッターは炎上、 削除する騒動となった。

 発端は「坂眞」 (ばんまこと)なる“自称作家”が、 〈S E AL Dsは全労連=共産党系の労組の街宣車を使っている〉 〈つまり、参加している若者のかなりの部分が共産党の青年組織であることが証明された〉 〈在日や在日系チンピラが数多く参加していることは周知の事実〉などと書いたこと。田村氏はこれを引用ツイートし、 「ごもっとも」と賛同の意を表明したわけだ。また、 田村氏は評論家の上念司氏が書いたく憲法学者はいい加減、デモはプロ市民〉 という文言も引用ツイートしている。左翼運動家というレッテルを貼ることで、安保法案に反対する若者を揶揄し、貶める意図がプンプン感じられるのだ。


 ■取材申し込みに自民党はブチ切れ

 「S E AL Ds」の中心メンバー・明治学院大4年生の奥田愛基さん(23)が言う。

 「田村さんの引用ツイッターは自民党のレベルの低さを改めて証明したと思います。いい大人が学生に向かって侮蔑的な差別発言を吐くなんてどうかしてます。全労連さんから車を借りたのは事実ですが、 それはたまたま車が空いていたから。大体 、政治を職業にしている"プロ”にプロ市民なんて言われたくありませんよ。それに「レッテル貼りとか、デマゴギーみたいなことは控えるべき」と安倍首相が言っているのに、 自民党こそトンデモないレッテルを貼り、デマを流しています。きちんと謝罪して欲しいですね」


 さて、大学生に喝破された自民党は何と言うか。


 「田村は出張中。発言はあくまで(田村)個人のもの。党の見解ではありません」 (広報部)とゴニョゴニョ。用村氏の引用ツイートと炎トに至る経緯を詳しく聞こうと、再度取材を申し込むと、担当者が「ご理解下さい!」と大声で怒鳴り、電話がガチャリと切れた。

 自分たちにとって都合のいい話は冗舌なくせに、 ちょっと立場が悪くなると大声を上げてブチ切れる。安倍首相も自民党職員も一緒だ。



この田村重信議員のTwitter上での
発言は酷いものですね。
削除するくらいなら
言わなければ良かったこと…
事務所の対応も酷いですね。
取材拒否だけではなく
逆ギレなんですから…。


今日の産経新聞での 
奥田さんの内容の記事…


今日の奥田さんは 何時もの
奥田さんとは少し違いますよね…
何があったのでしょうか?

表現の自由である以上…
バカと表現しても
何の問題もないことです


其れ以前に記事中にある
安保関連法案の
どの部分が反対なのか
一切語らなかった。

のどの部分とは?
何が言いたいのかが分かりません


逆に 
安保関連法案に賛成している人たちのデモでは 何故 賛成なのか?
個人的には理解し難いものがあります


安保関連法案に賛成している
自民党の議員達でさえ 
納得いく説明が出来ないという
現状をどう思いますか?

自分たちにとって都合の良い法案しか
国会には提出しない自民・公明党です

自分たちにとって
都合の良い法案だから賛成をする
其れが…
自民・公明党の手口なのです!


そんな自民・公明党を
貴方は まだ 信用出来ますか?

No abeの世論が高まっている以上…
個人的には 安倍総理には
政界を引退して頂きたいとさえ思う
今日この頃であります…



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決して 無償だとは言えません!

2015-08-22 23:41:31 | 政治


チケット確認にマイナンバー 自民提案五輪で活用、屋対策も


産経新聞8月22日7時55分配信


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150822-00000077-san-bus_all



 自民党が、 2020(平成32)年に開催される東京五輪のチケットを販売するときの本人確認に、 国民一人一人に個人番号を割り当てる税と社会保障の共通番号(マイナンバ一)制度の個人番号力ードを活用する案を提案していることが21日、分かった。個人番号カードに関しては、 チケットを不正に転売する 「ダフ屋行為」を抑止する効果が期待され、 自民党は、東京五輪を「クリーンな大会」として国内外に発信したいとしている。


 マイナンバー制度は、 10月から住民票がある自治体から郵送で12桁の番号の通知が始まり、来年1月からI Cチップが搭載されたカードが無償で配布される。当初は確定申告などの納税関係のほか、 自治体によってはコンビニエンスストアの端末で戸籍謄本や抄本などの取得ができる。


 自民党は、 コンビニの端末でさまざまなイベントのチケットを発券できることから、東京五輪までにカードを使った本人確認を行うシステムを構築し、 ダフ屋行為の防止や会場のセキュリティー対策にもつなげる考えだ。


 外国人客には各国大使館が発行する非居住者用の個人番号カードで対応することを提案。チケットを持っている人が会場に行けなくなった場合も想定、 カードで本人確認をした上でチケットを流通させるシステムの構築も図るとしている。


 党関係者は「個人番号カードを活用することで安全性の高い東京五輪を実現したい」とマイナンバーの有効活用を訴える。



私見…



来年1月からICチップが搭載された
カードが無償で配布される

と申しますが…



このマイナンバー制度に伴い
個人 個人に つけられる
ナンバーのカードを作るのに
一体 幾らの費用がかかっていると
言えるでしょうか?


一人につき 幾らでカードが作られ
配布されるのでしょう?


一人一人に輸送される輸送費は
幾らかかるのでしょう?


作るのに幾らかかり
一人一人の手元に
配布するのにかかる
運賃代は幾らですか?
てことです


貰う方はただでも
カードを作り輸送するのにかかる
費用は 決して ただだとは
言えません!


単なる税金の無駄遣いにしか
過ぎません!


マイナンバー制度のカードを
作る費用があるのならば
何故 被災地や被災者に
割り当てようとはしないの
でしょうか?


マイナンバー制度より
復興が先ではないでしょうか?


やはり…
今の自民党はレベルが低くなった
と言わざる終えません!


マイナンバー制度を廃止にし
被災地や被災者に復興支援を
すべきではないでしょうか?

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何故 早期成立を急ぐのでしょうか?

2015-08-19 19:54:40 | 政治




「戦争を抑止するためで『戦争法案』ではない」平和安全法制の早期成立を求める国民フォーラムの声明


産経新聞8月19日16時48分配信


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150819-00000540-san-pol


 ジャーナリストの櫻井よしこ氏ら保守系の有識者らが13日、「平和安全法制の早期成立を求める国民フォーラム」を設宝し、「安全保障関連法案は戦争を抑止するためであり、 『戦争法案」ではない一。刻も早く平和安全法制を確立することを強く要望する」との声明を発表した。声明の全文と国民フォーラム設立呼びかけ人は次の通り。


 【国会に対し、わが国の安全保障を見据えた審議と、平和安全法制の早期成立を要望する】


 現在、 国会で行われている平和安全法案の審議は、集団的自衛権の限定的容認をめぐる政府見解の合憲性や過去の政府解釈との整合性など、憲法解釈論争に焦点がおかれている。だが、最も重要なのはわが国周辺の安全保障環境の変化に着目し、現実的な審議をすることである。


 集団的自衛権の行使は、 国連憲章51条によってすべての加盟国に認められた国際法上の権利である。 日本にも当然、認められている。ただ、わが国には自衛力を超える「戦力の不保持」を定めた憲法9条2項がある。従って、行使に一定の限界を設け、 「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求する」 (9条1項)という国民の願いに合致する内容でなければならない。


 政府が新3要件で示した「わが国の存立が脅かされ、 国民の生命、 自由および幸福追求の権利が根底からくつがえされる明白な危険のある場合」に限り、集団的自衛権の行使を容認するとの見解は、 この意味で明らかに憲法のー容範囲内である。また日本が主権国家として「固有の自衛権」を有し、 「必要な自衛の措置」を取り得ることを認めた砂川事件最高裁判決の法理に照らしても、 まったく問題はない。

 今、わが国周辺の安全保障環境は激変しつつある。オバマ米政権は内向き志向を強め、軍事費を大幅に削減する一方で、一昨年9月には「米国はもはや世界の警察ではない」と宣言した。 これに呼応するように、 中国は国際法を無視した「力による現状変更」に拍車をかけ、南シナ海では、近隣諸国からの強い抗議をよそに7つの岩礁を埋め立て、 3000メートル級の滑走路も建設した。東シナ海でも、 日本との中間線上付近に16墓のガス田用のプラットホームが確認され、軍事転用される危険もある。 これらの海域はわが国にとって重要な海上輸送路であり、 中国による軍事支配は、航行の自由を脅かし、 国民生活を根底からくつがえすことになりかねない。また、北方四島を不法占拠しているロシアはクリミア半島を併合し、武力による露骨な領土拡張政策を推し進めている。北朝鮮は核開発を進め、 日本海に向けて弾道ミサイルを何度も発射している。


 このような現状を見れば、平和安全法制の整備こそ急がれる。 日米安全保障条約を緊密にし、抑止力を高めることが大事である。

 平和安全法案は戦争を抑止するためであり、「戦争法案」ではない。にもかかわらず、 「徴兵制に行き着く」などとあり得ない危機をあおるのは、無責任であり、非現実的である。


 国会において真にわが国の安全保障を見据えた審議を行い、一刻も早く平和安全法制を確立することを強く要望する。

平成27年8月13日


平和安全法制の早期成立を求める国民フォーラム


■設立呼びかけ人(敬称略、五十音順)


呉善花(拓殖大教授)▽大原康男(國學院大名誉教授)▽小川栄太郎(文芸評論家)▽葛西敬之(J R東海名耋会長)▽櫻井よしこ (ジャーナリスト)▽桜林美佐(ジャーナリスト) ▽佐々淳行(初代内閣安全保障室長)▽田久保忠衛(杏林大名耋教授)▽中西輝政(京大名耋教授)▽西修(駒沢大名耋教授)▽西岡力(東京基督教大教授)▽西元徹也(元統合幕僚会議議長)▽長谷川三千子(埼玉大名耋教授)▽細川珠生(政治ジャーナリスト)▽百地章(日大教授)▽森本敏(拓殖大特任教授、元防衛相) ▽渡部昇一(上智大名耋教授)▽渡辺利夫(拓殖大総長)



私見…


平和安全法制の早期成立を求める
国民フォーラムのメンバー事態

何故 早期成立を
急いでいるのでしょうか?


平和安全法案は戦争を 
抑止するためであり、
「戦争法案」ではない。

と言いますが
果たして そうでしょうか?


戦争を抑止ではなく…

【戦争を制止するため】の
間違いなのでは?

【抑止】と【制止】では
意味が違うのでは
ないでしょうか?(笑)



都合の良い時だけ
国連憲章 第51条を持ち出すのですね


国連憲章上ではそうであっても
戦争の放棄に関する条約では
通用は致しませんよね


世界何カ国が 
戦争の放棄に関する条約の
批准国になっていますか?


当のアメリカだって
戦争の放棄に関する条約の
批准国なんですよ



「わが国の存立が脅かされ、 国民の生命、 自由および幸福追求の権利が根底からくつがえされる明白な危険のある場合」に限り、集団的自衛権の行使を容認するとの見解

と言いますが…


「わが国の存立が脅かされ、 国民の生命、 自由および幸福追求の権利が根底からくつがえされる明白な危険のある場合」の事態は 自国内での
領域内で緊急事態が発生した時の
話しになるのではないでしょうか?


自国での領域内に限り
どう対応するのかが
議論されてはいないように
見受けられますが…。

あくまでも 
自国の領域内での議論で
審議をすべきではないでしょうか?


其れこそ…
戦争の制止になるのでは
ないでしょうか?


アメリカも戦争の放棄に関する条約の
批准国だということを
忘れないで下さい!


個人的には 櫻井よしこ氏は
本当に素晴らしい方だと思います


其れだけに…
政府の広告塔にされているような
そんな気がしてなりません…


良心・思想の自由である以上

櫻井よしこ氏が 
democracy的な方向に
目覚めることを
願ってやみません…。







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面白い記事 其のニ

2015-08-18 22:38:37 | 政治


この頃の枢密顧問は
一体…
誰だったのでしょうか?


リテラからです…



戦後70年特別企画 安倍首相の祖父"A級戦犯"岸信介の正体(後)


安倍首相の「安保法制」妄執の背景に、敬愛する祖父・岸信介がA級戦犯を逃れるため米国と交わした裏取引きが!


http://lite-ra.com/i/2015/08/post-1400.html


 【前編はこちらから】 安倍晋三首相が愛してやまない祖父、岸信介は1945(昭和20) 年9月15日にA級戦犯容疑で逮捕される。当時は誰もが岸は有罪とみていた。それはそうだろう。

 満州官僚時代に軍部と結託してアヘン取引に手を染め、 アヘンを求めて中国領土を侵す軍をバックアップし続けた。取引で得た巨額の利益を戦費に回し、一部を政治資金として活用して軍国主義者の象徴といえる東条英機を首相にまで昇りつめさせた。さらには東条の片腕として商工大臣、軍需次官を務め、国家総動員体制、大東亜共栄圏の自給自足体制の確立を遂行するなど、戦時日本の寵児として辣腕を振るった。岸が戦争遂行の中枢にいたことは疑いようがない。そんな岸を戦勝国が犯罪者リストから外すわけがないのである。

 にもかかわらず、岸は満州時代の盟友・東条英機の絞首刑が執行された翌日の1948(昭和23) 年12月24日に不起訴処分で釈放された。東条の絞首刑と岸の生還、 明暗を分けたというには余りにも落差の大き過ぎる結末だった。

 あるいは岸の満州時代の上司であり、東条内閣では内閣書記官長として共に支えてきた星野直樹は終身禁固刑に処せられた。満州では岸は星野よりはるかに手を汚し、 閣僚として戦争遂行にかかわった度合いも、岸のほうが大きかったはずである。当然、研究者やジャーナリストにとってもこの処遇の違いは興味の対象となる。岸はなぜ、戦犯を逃れたのか。

 ひとつは、岸がもともと用意周到でなかなか尻尾がつかめない存在であることがあげられるだろ一つ。有名な「濾過器発言」にその片鱗が垣間見られる。岸は1939(昭和14) 年10月に満州を離任する際、数人の後輩たちを前にこう語っている。

 「政治資金は濾過器を通ったきれいなものを受け取らなければいけない。問題が起こったときは、その濾過器が事件となるのであって、受け取った政治家はきれいな水を飲んでいるのだから、かかわりあいにならない。政治資金で汚職問題を起こすのは濾過が不十分だからです」

 要は、証拠を残すなということであり、嫌疑に対して敏感になれということでもある (実際、岸は東条内閣時代に書いた書類をすべて焼却してしまっている) 。

 だが、 それだけでは訴追はまぬがれない。岸はアメリカに対して具体的な剛工作"を行っていた。そのひとつは再びアヘン絡みの話だ。東海大学名誉教授、太田尚樹氏の著書「満州襄史 甘粕正彦と岸信介が背負ったもの」 (講談社文庫) に元ハルピン特務機関員の田中光一のこんなが載っている。

「麻薬はどこの国でも最大の関心事でした。もちろん、アメリカだってそうです。戦後、GHQが克明に調査して関係者に尋問したのに、 まったくと言っていいほど処罰の対象に指定しなかったのは、不思議だと思いませんか。あれは明らかに、提供の代償となったからです。甘粕はもうこの世にいませんでしたが、里見、岸なんかが無罪放免になったのは、 そのためなんです。エッ、東 条にはどうかって? 彼は直接戦争責任に結びつく訴因が多過ぎて、GHQは阿片の件で取り調べるだけの時間がなかったのです。アメリカは裁判を急いでいましたからね」

 証言に出てくる「里見」とは、里見甫のことだ。 「アヘン王」と呼ばれた陸軍の特務機関員で、上海を拠点にアヘン取引を仲介していた。岸とアヘンの関わりを調べる中で繰り返し出てくる名前でもある。千葉県市川市にある里見の墓の墓碑銘を揮毫したのが岸だったことは前回、紹介した。その里見も戦後、A級戦犯容疑者として逮捕されている。そして、 田中の証言通り、不起訴者リストの中に「里見甫」の名前は載っていた。

 つまり、岸や里見はアメリカにアヘン情報を提供する見返りに戦犯訴追を免れたというわけだ。

 もうひとつ、岸には戦争責任逃れのための「東条英機襄切り」工作というのも指摘されている。満州の関東憲兵隊司令官だった東条英機が中央に戻り、 陸軍次官、 陸軍大臣、首相へと上り詰める原動力になったのが、岸がアヘン取引で得た豊富な資金だったことは前回書いた。岸は東条内閣を商工大臣、軍需次官として支え、戦争を主導した。 ところが戦争末期にこの仲が決裂する。それどころか、岸Vs東条の対立がもとで内閣が崩壊してしまったのだ。

 毎日新聞に掲載された「岸信介回顧録」 (1977年5月11日付) によれば、岸はくサイパン陥落のあと「この戦争の状態をみると、 もう東条内閣の力ではどうしようもない。だからこの際総理が辞められて、新しい挙国一致内閣をつくるべきだ」ということでがんばった〉という。

 そして、東条内閣は瓦解。下野した岸は郷里に帰り、 防長尊攘同志会をつくって、引き続き「打倒東条」の政治活動を続けた。

 この一連の行動について毎日新聞記者だった岩見隆夫氏が非常に興味深い証言を採取している。証言の主は満州時代の岸の部下だった武藤富男だ。武藤は東条内閣が崩壊した直後の昭和19年7月、岸とともに満州を牛耳った「ニキ三スケ」(東条英機、星野直樹、岸信介、鮎川義介、松岡洋右の語尾をとってこう言った)の一人、星野直樹(前出、A級戦犯)を訪ねた。

<その折、星野は武藤にこんなつぶやきをもらしている。「岸は先物を買った」「どういう意味ですか」「東条内閣を岸がつぶしたということだ」
しかし、 どうして先物買いになるかについて星野は語ろうとしなかった。「戦後、再び星野さんに会ったとき、 もう一度「先物を買ったというのは、岸さんが敗戦を予期していたということなのですか、 それとも戦犯を免れるためという事まで考えて岸さんは東条内閣をつぶしたとあなたは見通したのですか」と問い質してみたのですが、相変わらず、星野さんは黙したまま答えてくれませんでした」と武藤はいった〉 (岩見隆夫『昭和の妖怪岸信介」中公文庫)

 この「先物買い」というのはまさに、敗戦を見込んで、わざと東条と反目したということだろ一つ。前出の太田尚樹も同じ見方をしている。

<打倒東条は国難の打開、 つまり国家のためという大義名分が成り立つ一方で、戦犯を逃れることはできないまでも、連合軍から大きなポイントを稼く"ことができると読んでいた〉<満州以来の二人の関係は、刎頚の友といった関わりではなく、結局は、互いに利用し合っていただけだった〉<つまり東条は岸の頭脳と集金力を利用し、岸は陸軍を利用しながら権力の座を目指したが、 その陸軍の頂点に、権力の権化と化した東条がいた。だがアメリカ軍の攻勢の前に、東条の力など見る影もなくなってきている。 こんな男と便々とつるんだまま一、緒に地獄に落ちるのはご免である〉(前掲「満州襄史」)

 この変わり身の早さこそ岸の真骨頂といえるが、 さらに、岸には獄中で、 もっと重大なアメリ力との政治的取引を行っていたのではないか、 との見方がある。その取引が、岸を訴追から救い、そして戦後、 内閣総理大臣に押し上げた最大の理由ではないか、とー 。

 それが何かを語る前に、戦後アメリカの対日政策には2つの流れがあったことを指摘しておく必要がある。ひとつは民政局(GS) に代表されるニューディーラーを中心としたリベラル勢力で、 日本国憲法の素案づくりにも携わった。民主化を徹底する立場からl日指導者への処分も容赦がなかった。もうひとつは治安を担当する参謀本部第2部(G2)を中心とした勢力で、対ソ連、対中国戦略を第一に考える立場から、 日本を再び武装化して"反共の砦"に育て上げようと考えていた。GHQ内部ではこのふたつの勢力が対立していた。

 占領当初はGSの力が強かったが、米ソ冷戦が本格化するにつれて「反共」のG2が「対日懲罰」のGSを凌駕するようになる。 こうした流れの中で、G2は巣鴨拘置所に拘留されていた岸との接触をはじめた。再び、前回紹介した原彬久氏の「岸信介一権勢の政治家一」 (岩波新書) を引く。


 G2は実際、 1947(昭和22) 年4月24日付で最高司令官のマッカーサー宛に岸の釈放を求める異例の「勧告」まで出している。獄中で岸はアメリカとどんな取引をしたのだろう。自らの命のためならかつての盟友を売る男である。いったい何と引き換えに、無罪放免を勝ち取ったのか。

 これについては「週刊朝日」 (朝日新聞出版)2013年5月24日号が渾身のリポートを掲載している。 〈「星条旗」の下の宰相たち〉というシリーズのく第3回「ストロングマン」〉。筆者は同誌の佐藤章記者だ。まず、岸はアメリカにとってどういう存在だったのか。同記事を引く。

<戦後の米国のアジア政策は、米国の国益を守ってくれそうな、 その国における「ストロングマン」を探し出すことから始まる。韓国における李承晩、台湾における蒋介石がその典型だ。 日本においては吉田茂であり、鳩山一郎、緒方竹虎と続いて、 1950年代半ばに岸の番が巡ってきた〉

 では、岸に与えられたミッションは何だったのか。

〈(日本国憲法) 第9条があるために日本は自衛目的以外の軍隊が持てず、米国との相互的な防衛能力を保有できなかった。つまり、米国が攻撃を受けても日本は援軍を出すことができない。さらに言えば、米国の軍事戦略に乗っかる軍隊を持つことができない。

 この相互防衛の考え方が、集団的自衛権の解釈として、 1951年の旧日米安保条約締結以来、 日米間の問題となった〉

 まさにいまの安倍政権が強引に進める新安保法制につながる話だ。 この問題解決こそ、岸がアメリカから言われた最大のミッションで、 そのために最初に着手したのがく「建設的勢力」の結集〉つまり保守合同だ。では、 カネはどうしたのか。

 前出の佐藤記者は米アリゾナ州ツーソンに飛んだ。アリゾナ大学歴史学研究室のマイケル・シャラー教授に会うためだ。シャラー教授は米国務省の歴史外交文書諮問委員会委員を務め、非公開資料にも目を通すことができる。以下、佐藤記者によるインタビューだ。
<-一岸元首相に対してCIAから資金提供があったという話をどう思いますか?「そういう証拠はあると思う。賄賂的な意味合いよりは、派閥の運動資金や政治キャンペーン資金というような形で提供されたと理解している」
-一資金はどのような形で渡されたのでしょうか?
「当時、CIAから経済団体や企業を通じて岸のほうに資金が流れたという記述を米国側の書類で私は目にしたことがある」〉 (前同「週刊朝日」より)

 これについては、CIAから自民党への秘密献金をスクープしたニューヨークタイムズのティム・ワイナー記者も、 その著書「CIA秘録」 (日本版は文藝春秋)でこう断言している。


 岸は、 日本におけるアメリカの国益を実現するため、 アメリカによって選ばれ、 アメリカの資金でつくられた首相だったということだ。A級戦犯容疑者の身からわずか9年、公職追放解除からたった5年足らずで政界トップに上り詰めた秘密がここにある。

 その岸が首相在任中にアメリカに言われてやった最大の仕事は、言うまでもなく日米安保条約の改定だ。一般に、 旧安保条約では日本がアメリカに基地を提供する一方でアメリカの日本防衛義務が明記されていないとの批判があったが、新条約ではそれを盛り込ませることができたと評価されている。だが、 アメリカの狙いはそこではなかった。佐藤記者はこう書いている。

 <新条約は5条で米国の日本防衛義務を盛り込んだが、続く6条で、米国のアジア戦略のために在日米軍を利用できる「極東条項」が組み込まれた。米国の本音を明確にした条項だ〉

 しかもこの「極東条項」の「極東」の範囲が明確でなく、 アメリカは日本の基地を好き勝手に使えるようになった。事実、新安保条約締結から50年以上経つが、米軍が日本防衛のために出動したことは唯の一度もない。反対に、米軍がアメリカの戦争のために日本の基地を自由に使うことは日常化している。安保条約改定が誰の指示よるものだったかがわかるだろう。

 佐藤記者はこうした事実をさらに裏付けるため米ワシントン郊外にある米国国立公文書館別館を訪ねる。そこでCIAが作成した「岸信介」のファイルの閲覧を請求し、驚くべき事実と遭遇する。なんと、CIAのファイルにはたった5枚の資料しか入っていなかったのだ。

 他のA級戦犯容疑者についてはたとえ不起訴でも膨大な資料が残されている。例えば、緒方竹虎は1000枚近く、正力松太郎は500枚ほど。 しかし、岸はたったの5枚しかない。 これは明らかに異常だ。実は、岸に関するCIA資料はほとんどがまだ秘密指定を解除されていないのだという。つまり、岸とアメリカの関係はいまだに表に出せない内容が含まれているとアメリカが判断しているということなのだ。それは、 アメリカの対日占領政策がまだ継続中だということでもある。

 しかし、 こうした歴史を振り返ると、 いま現在の安倍政権がやろうとしていることの謎が解けてくる。

 Q:安倍首相はなぜ、集団的自衛権行使にあそこまでこだわるのか?
A:おじいちゃんが不起訴の見返りにアメリカと約束したことだから。

 Q:安倍首相はなぜ、 日本国憲法を「みっともない」と毛嫌いするのか?
 A:おじいちゃんを助けてくれたG2と敵対する人たちがつくった憲法だから。

 Q:安倍首相はなぜ、改憲しようとしているのか?
 A:それも、 おじいちゃんが不起訴の見返りにアメリカと約束したことだから。
 Q:安倍首相はなぜ、沖縄の「屈辱の日」をお祝いしようとするのか?
 A:おじいちゃんの公職追放がやっと解除された記念の日だから。

 Q:安倍首相はなぜ、 「侵略」や「おわび」や「反省」をためらうのか?
 A:あの戦争はおじいちゃんも深く関わった自存自衛の聖戦だから


 そう。新安保法制も改憲も、すべては、 おじいちゃん、岸信介とつながっているのだ。

 そういえば、安倍首相はそのアメリカ観も、岸信介に強い影響を受けている。安倍首相の中には「良いアメリカ」と「悪いアメリカ」、2つのアメリカがある。 「良いアメリカ」は、 おじいちゃんを救ってくれた。戦前の日本の旧指導者にも寛容だったアメリカ一方、 「悪いアメリカ」は日本に憲法9条や主権在民、人権尊重などを押し付け、戦前の日本の旧指導者を悪"と決めつけたアメリ力。

 だから、安倍首相は「『悪いアメリカ」が押し付けた戦後レジームからの脱却」を主張しながら、「『良いアメリカ」の戦争に自衛隊を捧げる」安保法制を強行することに矛盾を感じない。

 いずれにしても、 たった一人の政治家のグロテスクな"おじいちゃんコンプレックス"によって、日本は今、 国のかたちを大きく変え、 アメリカの戦争に引きずり込まれようとしているのだ。我々はそのことの異常性と恐ろしさを本気で認識すべきだろう。
(野尻民夫)

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面白い記事…。

2015-08-18 22:36:36 | 政治





大日本帝国憲法 
第四章 国務大臣及枢密顧問

第五十五条
国務各大臣ハ天皇を輔弼シ
其ノ責ニ任ス

②凡テ法律勅令其ノ他国務ニ関ル詔勅ハ国務大臣ノ副署ヲ要ス


第五十六条
枢密顧問ハ枢密院管制ノ定ムル所ニ依リ天皇ノ諮詢ニ應ヘ重要ノ国務ヲ審議ス


昭和15年以降 
大政翼賛会になってからの
枢密顧問は誰だったのでしょうか?


以下 リテラからです…




戦後70年特別企画 安倍首相の祖父・A級戦犯岸信介の正体(前)


安倍首相が心酔するおじいちゃん・岸信介の戦争犯罪!アヘン取引でブラックマネーを集め戦争を遂行


http://lite-ra.com/i/2015/08/post-1396-entry.html



 後世の歴史家たちはこの2015年という年をどう評価するだろう。 「戦後70年」という節目の年に、先の大戦でA級戦犯の容疑がかけられた人物の孫が内閣総理大臣を務め、 その孫は再び日本を戦争のできる国"にしようとしていることを、だ。


  そう、今さら説明するまでもないが、安倍首相の母方の祖父は、 昭和の妖怪と呼ばれた岸信介元首相だ。安倍首相は日ごろからこの祖父について、敬愛の思いを隠さずif%おじいちゃんコンプレックス"ともいえるほどの心酔ぶりを示している。


 安倍首相が集団的自衛権行使と改憲に向かってひた走っているのも、激しい反対の中、 日米安保条約改定を断行したおじいちゃんを見習い、 そしておじいちゃんのやり残した仕事をなしとげようとしていることが最大の動機になっているのは間違いない。だが、 そのおじいちゃんは、戦後、 内閣総理大臣をつとめただけの人物ではない。戦時中、東条英機首相(当時)率いる内閣の閣僚として戦争遂行の一翼を担い、一時は「A級戦犯」容疑者として拘留されていた戦争犯罪者でもある。


 いったい岸信介とはどんな人物だったのか。戦時中、何をしたのか。終戦から70年、もう一度、おさらいしてみよう。


 岸信介は日清戦争が終わった翌1896年、 山口県に生まれた。元首相の佐藤栄作は実弟だ。兄弟の父は岸家の人だが長州藩士に連なる佐藤家の娘と結婚したため、佐藤家の分家の形で佐藤姓を名乗った。中学生のときに岸が父の実家である岸家に養子入りして、 「岸信介」が誕生する。


 地元の高等小学校を卒業した後、名門岡山中学から山口中学に転校し、 いずれも首席を続けた。東京帝国大学入学後も、後に民法学の大家となる我妻栄と首席を分け合う秀才ぶりだったという。卒業後の岸は商工省の革新官僚として統制経済(経済・産業を国家の統制下に置こうとする社会主義的政策)の旗手となるが、 それは国粋主義を唱える大学の恩師、上杉慎吉と大アジア主義(日本を盟主とするアジア諸民族連帯の思想)の大川周明、 国家社会主義の北一輝の強い影響だったと言われている。

 若手官僚として頭角を現した岸を一気に飛躍させたのが1936(昭和11)年に満州官僚へ転出したことだった。満州国という実験国家を自らの「作品」と呼び、実質的な最高首脳の一人としてソ連の計画経済を模した統制経済(産業開発5カ年計画)を強力に推進することになる。同時にそれは、岸が戦争に手を染めるきっかけにもなっていった。

 わずか3年の在任だったが岸は満州で3つの"財産"を手に入れている。統制経済による国家経営のノウハウ、東条英機(当時、 関東憲兵隊司令官)を筆頭とする関東軍人脈、 そして湯水のごとく使える金脈だ。岸に関する評伝、研究書は数多あるが、 いずれも明確に指摘しているのが、後に東条英機を宰相にまで持ち上げたのは岸の資金力があったからだ、 という事実だ

 <のちに東京に帰った東条が陸軍次官、 陸相、総理へと中央の階段を昇り詰めていくにつれ、今度は岸が集金力にものをいわせて、東条に莫大な政治献金をした〉 (太田尚樹「満州襄史』講談社文庫)

 岸と東条は満州時代に公私に絆を深めていく。毎日新聞記者の岩見隆夫氏が書いた「昭和の妖怪岸信介」 (中公文庫) には、満州事情通の小坂正則の次のような証言が紹介されている。

「岸さんは日本に帰ってきてから、ずいぶんと東条さんのために政治資金をつくってやった。翼賛選挙でも莫大な選挙資金を必要とするのに、首相である東条さんはああいう男だからカネがない。そこで岸さんが鮎川に頼んだ。鮎川は日産の株を満州投資証券へ譲渡する時、七千万円、確かな数字ではないが、 そのく"らいを浮かせて鮎川の財団である義済会にプールしてあった。 このうち三千万円ほど抜いて岸さんに渡し、岸さんはこれを東条に回してやったりした」

 南満州鉄道(満鉄) に対抗する満州重工業開発(満業)を設立させた。一方、 当時の満鉄総裁は岸の母方の叔父に当たる松岡洋右(後の外相)で、 このふたりが表向きのスポンサーだったと言われているが、実はそれだけでは説明がつかない。

 岸に長時間インタビューをした岸研究の第一人者、東京国際大学名誉教授の原彬久氏は「岸信介一権勢の政治家一」 (岩波新書)でこう書いている。

<巨額のカネを動かして人脈と権力を培養し、人脈と権力を動かしてカネを集めるという手法はまぎれもなく岸のものだったのである。 (中略)当時、岸の部下であり、戦後明治学院院長となる武藤富雄は、次のように回想している。「私は岸さんから毎月二○○円(現在の約二○万円)の小遣いをもらっていたことを覚えています。
 当時の満州といえどもカネの使い方は予算で決まっていましたから、領収証のとれない使途不明のカネを自由に捻出することは、 たとえ総務庁次長でもそう簡単ではありません。私は毎月二○○円ものカネをポンと渡してくれる岸さんをみて、 「これはなかなか豪気な人物だな」と思うと同時に、 「何かの名目をつけて、 ある程度のカネを自由に使う方法を知っているんだな」と感じました」
 岸は同僚官吏はもとより、民間人、 それもいわゆる満州浪人、無頼漢に至るまで彼のそばに来るものには惜しげもなくカネを与えていたといわれる〉

 資金の源は何だったのか。多くの研究者やジャーナリストが指摘するのがアヘン取引による利益である。当時の満州国は表向きはアヘン吸飲を禁じていたが、満州専売局を通して登録者に販売できるシステムを採っていた。事実上、野放しだ。にもかかわらず一方で売買が禁止されているため、価格は吊り上げ放題で、 巨額の利益が上がる仕組みになっていた。

 満州を抑える関東軍はこの収入に目をつけ満州国の西隣りに接する中国熱河省へ侵略の兵を進めた(熱河作戦)。熱河にはアヘンの原料となるケシ畑が広がっていたからだ。 「満州の背後を固める」というのは口実で、 アヘンを求めての進軍だたというのである。消費地も満州国内だけでなく北京、上海、広東、厦門へと拡大していった。

 こうして得た莫大なアヘンマネーを岸ら首脳陣は、 国家経営や戦争遂行、謀略工作に回す一方、一部を私的に着服していったという。

 近衛文磨の女婿で細川家の当主に当たる細川護貞氏(細川護煕元首相の父)が戦時中、襄の政治肓報を日記の形で残していて、岸関連の書物にたびたび引用されている。1944(昭和19) 年9月4日付の記述はきわめて示唆的だ。岸に関する部分を抜粋する。

<岸は在任中、数千万円、少し誇大に云えば億を以って数える金を受け取りたる由、然もその参謀は皆鮎川(義介) にて、星野(直樹)も是に参画しあり。結局此の二人の利益配分がうまく行かぬことが、 (東条)内閣瓦解の一つの原因であった〉 (「細川日記」中央公論新社)

 星野直樹は大蔵省から満州に派遣された官僚で岸の上司に当たる人物だ。当時の数千万円といえば、 いまの数百億円に匹敵する。 これだけでも驚くが、 同年10月16日付の箇所にはこんなことも書かれている。

<朝、 K君を訪問、談たまたま東条に及びたるに、彼は昨年中華航空にて現金を輸送せるを憲兵隊に挙げられたるも、直ちに重役以下釈放となりたることあり。是はその金が東条のものなりしを以ってなりとのことにて、以前より里見某なるアヘン密売者が、東条にしばしば金品を送りたるを知り居るも、 おそらく是ならんと〉 (同)

 要は、 アヘン利権を巡って岸や東条を始めとする満州人脈が複雑に絡み合い、 時には利益分配で揉め事も起きていたということである。そして、岸はそこから少なく見積もっても数千万円少し誇大にいえば"億単位のカネを手にしたというわけだ。

 ところで10月16日付の「細川日記」に出てくる「里見某」は、里見甫という元新聞記者で、 中国に渡って里見機関という特務機関を率いていた。実態は、 陸軍の依頼でアヘン取引を扱うブローカ一だ。中国では「アヘン王」の異名で知られていた。


1948(昭和23) 年2月の極東軍事裁判(東京裁判)の法廷でA級戦犯被告となった星野直樹の国際検事団による罪状朗読の中に「一九三八年(昭和十三年)から一九四五年(同二十年) まで、北支派遣軍の特務部の下で、 中国においてアヘン作戦を実行した証人サトミは一、九四○(同十五年)まで彼によって販売されたアヘンは、ペルシャ製のものであったが、 その後彼は満州産アヘンを販売したと証言した」とのくだりがあるほか、里見とアヘンに関する証言は数限りない。

 その里見の墓が千葉県市川市の総寧寺という寺にあるが、墓碑銘を揮毫したのは誰あろう岸信介その人だった。 「アヘン王」里見と岸の浅からぬ関係を示す証拠のひとつだ。

 満州国のアヘン政策は日本軍の戦争遂行資金に深く関わっていた。それどころか、 陸軍が中国大陸を深く侵し続けた理由のひとつにアヘン利権拡大の側面があったことは見逃せない。

 こうしたシステムを動かしていたのが、岸ら満州官僚であり、 ここから吸い上げられたカネが対米主戦派の東条英機を首相に就任させる原動力になっていたという構図である。それだけではない。 「満州は日本の生命線」とは岸の叔父、松岡洋右が初めて唱えたスローガンだが、実際にこの言葉を用いて日本を戦争へと導いたのが岸だった。

 満州着任後、岸は産業開発5カ年計画の実行を進め、 日産の誘致にも成功し、襄ではアヘン政策を拡大させたが、 それでもまだ満州国の経営資金は足りなかった。そこで岸が打ち出したのが、 日本が戦時体制にあることを最大限に利用することだった。岸は日中戦争が始まるや「戦略・兵站基地満州」を前面に押し出すことによって、 5カ年計画への資本導入を日本政府に強力に働きかけたという。岸にとっては持論の国家統制経済遂行のまたとないチャンスだった。前出の原彬久氏は前掲害でこう書いている。


<日中戦争、 いや日中戦争ばかりでなくそれに続く太平洋戦争への道は、 国家主義者岸信介にとってはそれほど不都合な時代状況ではなかった。それどころか、岸にとって日本の戦時体制は、 ある意味では自らの野心と才能を時代に投影し検証していく格好の機会となっていくのである〉

 だが、岸が信奉した統制経済は満州国が掲げた「五族共和」を実現したとは言い難い。東京裁判の証言台に立った元満州国皇帝、溥儀はこう証言している。


<溥儀証人専売されていた最も主なものはアヘンでした。その他、例えば綿花とか糧食というような種々雑多なものが専売されておりました。統制経済が行われてから一切の物資は日本人によって接収されて、鉱業あるいは工業などは全部日本人によって統制され、 中国人は経営することができなくなりました。

 検事綿布統制法は実際的に、強制的に実施されたものですか。

 溥儀証人これらの統制法は全部実施されて、 その結果中国人は冬になっても綿や綿布を手に入れることができなくなったために、寒さで多くの人が凍死し、 あるいは病気になるような状態でした(後略) 〉

 岸が在満時代に入手したアヘン金脈と人脈をフルに使って東条内閣をつくり上げたことは前述した。帰国後、岸はその東条内閣で商工大臣として、 あるいは軍需次官として東条とともに対米戦争を指導していくことになる。岸が内地で辣腕を振るったのも統制経済の実行だったことは言うまでもない。再び、原氏の前掲書より引用する。

<岸が、 まず最初に考えたことは、 「日本の置かれている'l肓勢から、 国防産業を中核として国防国家を考えなければいけない」ということであった。つまり、 「国防国家」実現のためには「国民生活がある程度不自由になってもやむを得ない」ということである〉

 こうして日本はドロ沼の日中戦争から太平洋戦争へと転げ落ちていくことになる。そして岸は、その戦争遂行のため、 国家のすべての人的・物的資源を国家が統制運用できる国家総動員体制、 国家統制による軍需生産増進、大東亜共栄圏の自給自足体制確立など戦時経済体制推進の先頭に立って旗振り役を務めていた。当然、戦争責任を問われても不思議はない。

 ところが岸は、満州時代の盟友東条英機、松岡洋右、星野直樹、鮎川義介らとともにA級戦犯容疑で逮捕されるが、不起訴処分によって釈放される。なぜ、岸は戦犯被告から逃れることができたのか。それは、今、安倍首相が安保法制を強行しようとしていることと、根っこのところでつながっている。速回は、 この昭和史の謎に迫ろう。(野尻民夫)

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