熊本の某建築審査機関に畑中さんがいる。
彼は明解でテキパキしている。
いろいろと詳しくはあるがくだらない指摘はしない。
だから大型物件の審査は彼を指名することにしている。
幸いにして畑中さんの名前は滅多に間違わない。
ただ、一度だけ間違ったことがある。
うかつにも「中畑さん」と呼んだことがある。
畑中と中畑、たしかに紛らわしい。
一度の間違いなら仕方あるまい。
それ以降、畑中さんと話すときは、打消しの意味で中畑監督を思い
浮かべることにしている。
頭の中で、こいつじゃない、こいつじゃない、と唱えることにしている。
大工の内海さんとの付き合いは浅い。
ふた月に一回くらい打ち合わせで一緒になる程度だ。
会えば「内海」という漢字は瞬時に浮かんでくる。
しかし、読み方が出てこない。
「う・・・」で、いつも止まってしまう。
そういうときは、内海好江師匠を思い浮かべることにしている。
そうすれば たちどころに内海師匠の顔が浮かび上がってくる。
しかし、浮かび上がってくるのは顔だけだ。
内海師匠を見上げたまま「う・・・」っと固まってしまう。
某建築審査機関に上原さんがいる。
いまは北九州支店にいってしまったがそれでもたまに会う。
昨日も会った。
いい人なんだがこの上原の名前がでてこない。
近い線はわかる。
真っ先に「北原」の名前がでてくる。
そのせいで実際、「北原さん」と言ってしまったことがある。
二度と繰り返してならない過ちだ。
そこで、条件反射的に巨人にいた上原投手を思い浮かべるようにしている。
幸い今年は大リーグでも活躍していて旬の人だ。
脳裏に瞬時に上原投手の顔が投影される。
しかし、出てくるのは顔だけだ。
名前がでてこない。
北原ではないことだけはわかるのだが・・・
もう5年以上付き合いのある現場監督の田川さん。
それなのに、なかなか「田川」の名前がでてこない。
本人を前にしてもそうだ。
今日もそうだった。
そんなときは歌手の太川陽介を思い浮かべるようにしている。
太川陽介の映像に彼の歌を添えてやるともっとハッキリする。
「Deeーp ♪」
いや、これは渋谷哲平だった。
△ 疲労