時間を止めれる人がいる。
彼は度々時間を止めては自分だけの時間を過ごす。
その間、時間は彼だけに流れる。
彼と彼に関するもの以外には時間の作用はない。
彼が時間を止めると、一点で、すべての事象が静止してしまう。
その隔絶した時間の中で、彼は人より少し多めに仕事をこなす。
人より少し多めに趣味をたしなむ。
人より少し多めに休養をとる。
人より少し多めに思案にふける。
そして、なにものにも左右されない、自分だけの時間に酔いしれる。
だが、代償はある。
時間の作用は常に一律である。
余分に浪費した分の時間のツケは回ってくる。
彼は30歳にして、老いさらばえた古老の姿をしている。