もうオッサン。
いちじく。
夕立の音で気づいた。
採り忘れた。
外はだいぶ暗くなっている。
ゴロゴロと雷が唸っている。
熟れたいちじくは雨に濡れたら一晩もたない。
一度はあきらめる。
雨音が恨めしい。
今年最後のいちじく。
あきらめきれず外にでる。
玄関ポーチから空を仰ぐ。
どす黒い雲が立ち込めている。
雨は小降りになったが雷が狙っている。
いちじく欲しさに雷直撃では洒落にならない。
しばらく躊躇する。
いま採らなければ明日はない。
軒下をかいくぐっていちじくの木にたどり着く。
薄暗がりの中、かろうじて赤いいちじくをつかむ。
ポロリ。
触ると同時に落ちた。
しゃがんで草の中を手探りする。
野イチゴのとげが刺さる。
痛い。
手を引き抜いてもう一度草むらに手を入れる。
またとげが刺さる。
痛い。
暗い。
濡れた草と土が気味悪い。
雷が怖い。
あきらめて軒下に逃げる。
痛い方の手を見る。
指に小さなとげが二本刺さっている。
ああ、これで今年のいちじくは終わった。
10種の箸。
ありがたいようで我が家には不向である。
箸の使いわけはしていない。
箸に個性は求めない。
原則、家族の専用箸も定めない。
10種もあった日には、食事の際同じ色の箸を組合わせるのに往生してしまう。
家グモを作ってみた。
先週現れた家グモとほぼ同じサイズ。
オカンと娘とネコ(リリイ)の反応が楽しみである。
◆
二時間後。
寝起きのオカンが仕事部屋に入ってきた。
「ふとかクモのおる。リリちゃんに食べられるよ」
リリイはその一時間前にクモに気づいていた。
飛びかかろうとしたので仕事場に監禁している。
◆
さらに一時間後。
オカン、クモをまじかに見ながら、
「なんで動かんとやろうね」
私「寒くなったけんやろうね」
◆
今朝。
娘が来た。
ギャーーー
娘「オカン、大きかクモのおる!!」
オカン「よーと見てん」
娘「なんばいいよっと」
オカン「横から見てんて」
娘「頭のおかしくなったとやなかと!」
オカン「そうけんクモば横から見てんて」
娘、クモの側面を見てガッテン。
このクモには厚みがない。