石橋を叩いて渡りきる前に落ちる

底冷えのする中、とある大工場の工事現場にて。

両手をジャンバーのポケットに入れて歩いていたら、私の後ろをついて

きた建設会社の堅物老現場監督から突然注意を受ける。

「ポケットに入れて歩くのは厳禁ですばい」

「なんでですか」

「倒れたら大けがするけんですよ」

そのくらい分からんとか、というドヤ顔でいいやがる。

 

固いこというなーじじい。

 

それから２か月後。

 

その老現場監督が地区の飲み会の帰りに倒れる。

 

ベロンベロンに酔っぱらって自分ちの玄関のガラス戸に頭から突っ込んで

 

首の骨を折る。

 

奇跡的に大事には至らず。

 

と、本人から聞いた。

 

それで死んだら洒落にならんぞ、じじい。