時、うつろいやすく

日常のたわいもない話…
だったのが、最近は写真一色になりつつある。

墓参り

2015-12-31 01:17:03 | 日常

12月30日。

父を連れて墓参りに行った。

この歳になって初めて経験する墓参りだった。

私からすると血縁の祖父にあたる。

父からすると生みの親の墓参りである。

父は4歳のときに父親を亡くしている。

そのあと養子になって今の姓になっている。

今日、墓参りする父親との繋がりは78年前に途絶えている。

なので墓の管理には父は一切関わっていない。

血がつながっているだけの関係である。

父はこの墓に13年前に一度来ている。

そのとき初めてこの墓を目にしている。

13年ぶりとあって、お寺を探すのに時間を要してしまった。

父はお寺の名前を憶えていないのだ。

地図を見ても探しようがない。

結局、街中を30分以上うろうろ歩き回って見つけだすことができた。

小さなお寺だったが墓は立派に清掃されていた。

まだ新しい献花が添えられていた。

いまは祖父の弟さんの子孫が墓を管理しているのだという。

父は育ての親の姓を継いだ関係でその人たちとの縁を絶っている。

まあ、それは仕方ないとしても、寺の名前くらい憶えていてほしい。

忘れたとはいいつつも、そもそも父はそういうことに関心が薄い。

自分の母親の旧姓も憶えていない。

忘れたのではなく関心がないのだ。

私もそういうタイプの人間ではあるが私より数段ひどい。

自分の産みの親である父、母の生い立ちをほとんど知らない。

悲しいくらいになにもわかっていない。

自分が老いてようやくその大事さに気付いたのだろう。

今頃になって自分の先祖に興味を示すようになった。

父は現在82歳、あまりにも遅すぎる目覚めである。

墓参りもぶじ終わり、歩き疲れて甘い物が食べたくなった。

私は父に、「ぜんざい食べにいくけんね」という。

近頃、反応の鈍い父が即座に答える。

「一平にや!」

なんでぜんざい屋の名前は覚えとるとや!

 

 

 

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