12月30日。
父を連れて墓参りに行った。
この歳になって初めて経験する墓参りだった。
私からすると血縁の祖父にあたる。
父からすると生みの親の墓参りである。
父は4歳のときに父親を亡くしている。
そのあと養子になって今の姓になっている。
今日、墓参りする父親との繋がりは78年前に途絶えている。
なので墓の管理には父は一切関わっていない。
血がつながっているだけの関係である。
父はこの墓に13年前に一度来ている。
そのとき初めてこの墓を目にしている。
13年ぶりとあって、お寺を探すのに時間を要してしまった。
父はお寺の名前を憶えていないのだ。
地図を見ても探しようがない。
結局、街中を30分以上うろうろ歩き回って見つけだすことができた。
小さなお寺だったが墓は立派に清掃されていた。
まだ新しい献花が添えられていた。
いまは祖父の弟さんの子孫が墓を管理しているのだという。
父は育ての親の姓を継いだ関係でその人たちとの縁を絶っている。
まあ、それは仕方ないとしても、寺の名前くらい憶えていてほしい。
忘れたとはいいつつも、そもそも父はそういうことに関心が薄い。
自分の母親の旧姓も憶えていない。
忘れたのではなく関心がないのだ。
私もそういうタイプの人間ではあるが私より数段ひどい。
自分の産みの親である父、母の生い立ちをほとんど知らない。
悲しいくらいになにもわかっていない。
自分が老いてようやくその大事さに気付いたのだろう。
今頃になって自分の先祖に興味を示すようになった。
父は現在82歳、あまりにも遅すぎる目覚めである。
墓参りもぶじ終わり、歩き疲れて甘い物が食べたくなった。
私は父に、「ぜんざい食べにいくけんね」という。
近頃、反応の鈍い父が即座に答える。
「一平にや!」
なんでぜんざい屋の名前は覚えとるとや!
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