少年は胎児。
ルームは羊水に満たされた母親の胎内。
悪辣な父親は母親を凌辱する男根。
天窓の明かりは産道の隙間から漏れてくる外界の光。
そして、ルームからの脱出は危険と生みの苦しみ伴う出産。
という、解釈もできる。
ともあれ、監禁されている事実を知らない少年にとってルームは
かけがえのない安住の場所だった。
事実を知らされても変わりはなかった。
母と二人、願わくばこのままでいたいという想いがあった。
そこに、母親から無謀な脱出プランが少年に言い渡される。
少年はそれを強く拒むのだが。
とまあ、こんな感じ。
ここまでの設定は至ってシンプルである。
一種異様な監禁サスペンスものとして楽しめる内容になっている。
ただ、この映画には第二章がある。
事件解決からのその後が描かれている。
そこからが本題である。
ルームという特殊な環境下でしか感受できない世界観、価値観、
幸福観、そこは本当に不幸せな世界だったのだろうか・・・
ささくれだった現実に、母の苦悩と少年の戸惑いが待ち受けている。
★★★☆~★★★★
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