何十年振りだろう、三軒茶屋の昭和女子大学人見記念講堂へ行ったのは。
スタニスラフ・ブーニンの「再会」コンサート。9年半振りのコンサートだと言う。なるほど9年前に帰国して以来ブーニンの名前を聞かないはずだ。どこかで怪我をしていたとか病気をしていたとか、いろいろな噂は耳にしたような記憶はあったが。
前半は朝岡聡がブーニンと「浜辺の歌」の合奏&インタビュー。後半はブーニンによるシューマン「色とりどりの小品 作品99」の演奏。
後半、演奏のために舞台に現れるブーニン。引き摺る足が痛々しい。靴も左足は特別なものを履いているようだ。前半、緞帳を下げ、椅子に座った状態で現れた理由がわかった。しかし、残念ながら、演奏も痛々しいものだった。
人見記念講堂は、座席が新しいものに入れ替えられていた。ホロビッツの2回目の来日(最後の来日)もここだったはず。あの壁にホロビッツが「帰る〜!!」と蝉のように張り付いたこととおじさま方の興奮を今でも昨日のことのように思い出す。
音響におそらく問題があるわけではないのだろうが、ブーニンがリヒテルばりのスピードで弾いて、弾ききれずに音が濁っている、そんなように聞こえた。また何曲目だったか最後を外して弾き直したようにも見受けられた、。。あの衝撃的な猫のワルツと同じことを55歳がやるとこうなってしまうのかと、我が身を振り返るのであった。
なぜ今日ここにきたのだろう?
1985年にFM放送で感じた「何か」がそこに在って欲しかったからだろうか(去年のコンクールはYouTube配信だったが、当時はFM放送だった)。シューマンの中に聞こえる葬送行進曲のリズムとヴェルディの「レクイエム」のようなメロディが頭の中をぐるぐると巡った。
そして「浜辺の歌」をググったら、意味深に思えなくもない。
しかーし、やらねばならぬことは果てしなくあるので、これ以上考えることはやめる。
そうそう、一時期演奏会では、1000円、2000円もするプログラムが売られていたけれど、最近は無料のこうしたプログラムが主流なのかしら?共にB5(くらい?)の見開き3ページ構成。