ウォルフ指揮、ギル・シャハムのVn、フィルハーモニア・オーケストラでWaltonのVn協奏曲を聴いた。
技術的に非常に高度な曲。左手だけでなく、弓さばきが非常に重要。
今回も前から2列目の演奏者の正面という好位置で鑑賞。音を聴く、というより、演奏を見る位置であるが、この曲には正解か。
前回のウィグモア・ホールでの演奏時と同様、大きな目をかっと見開いて客席の一人ひとりの顔を見つめながらの演奏。楽しそうに微笑んだり、リズムを口ずさんだり。
指揮者やコンマスの方に寄っていって、「協奏」する。指揮者に寄っていったのは、楽譜を見に行っているような気配が無きにしも非ず、だが。
指が、まるで女性の指のように美しく、しなやかで、この難しい協奏曲を、まさに「するするっ」と弾いてゆく。
ギルとジョシュアが現役の2大お気に入りなのだが、ジョシュが歌を歌うのが上手い一方、ギルはきちんとした演奏-頭の回転が非常に良くて、頭でコントロールしている印象を受ける。
後半のホルスト「惑星」を含めて、楽章ごとに拍手をしてしまうファミリーコンサート系の聴衆にはちょっと受けにくかったかもしれない。でも、本当に、感嘆するしかない技術だった。音もなかなか美しい。ちょっと近すぎて会場全体が鳴っている!という印象を受けたのは1箇所のみだったけれど、遠くで聴いていたら違って聴こえたことだろう。
やっぱり、「ポリニャック伯爵夫人」はやめて「ポンバドゥール夫人」に銘を改めて良いのでは?