Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

「赤と黒」の時代なら・・・ジョシュア・ベル@ウィグモアホール、ロンドン

2010-11-19 19:30:00 | コンサート

Joshua Bell(Vn)、Steven Isserlis(Vc)のコンサート、今夜はDenes VarjonのPfで。プログラムは下記の通り。

Fauré; Cello Sonata No. 2 in G minor Op. 117

Saint-Saëns; Violin Sonata No.1 in D minor Op. 75

Fauré; Elegie Op. 24

Ravel; Piano Trio in A minor

ジョシュア・ベルによるサンサーンスVnソナタの素晴らしいことよ。煌びやかでセクシーな音-思わず脊髄がゾクゾクとする。技術的にも最高のものを持っている-ジョシュは今、年齢的にも、技術が衰える前で、かつ音楽を深く理解する落ち着きを備え始めた、そんなところに位置するのではないか。

Allegro moltoは超絶技巧の見せ場。感嘆のため息と引き続いて起こるブラボー。実はこのピアノもすごかったと思う。こういう早いパッセージを「軽やか」に弾ききったDenes Varjonもすごい。

思わず「赤と黒」ジュリアン・ソレルの時代ならば、この演奏会、失神する女性が続出なのでは?などと思った。それほど圧倒的なのである。今年3月のムーティとのベートーベンVn協奏曲も素晴らしかったけれど、ジョシュはこういうフランス物を弾いても素晴らしい。

ふと昨日口げんかしたミュージシャンの友人を思い出し、休憩時間にtextを送る。音楽はジャンルを超えて、常に素晴らしいものに触れていなければ。

最後のラヴェルのピアノトリオ。ラヴェルらしい始まり-まるで空気を含んで飛沫の上がった水が、噴水が見えるようだ。きらきら、きらきら。

ジョシュはまるでロックのギタリストのように自由自在に体を反らせながらヴァイオリンを弾く。どんなに体が反ってもヴァイオリンの安定性は変わらない。この人は生まれながらにヴァイオリンを持っていたのだろう。ごく稀に、持って生まれたものを最大限に開花させることの出来る、こういう幸せな人間が存在するらしい。


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