Stephen Kovacevich70歳のお誕生日コンサート。前妻のMartha Argerichも出演とあって満席、客席の期待度も高い。
まずは大好きなブラームスのピアノ五重奏曲。StephenとBelcea Quartet。予想に反して何も「思考」は浮かばなかったのだが、第一楽章を聴いている間、雪のベルリン、Gendarmenmarktを歩いていた景色が浮かび、涙が零れた。第三楽章-今年2月のこのWigmore Hallの演奏会でチェロが恐ろしい速さで入り、その後曲が崩壊した事を思い出していたら、同じくらいの速度でチェロがピチカートを弾き始めドキドキした。でも、皆このスピードで最後まで弾き切った。思わず手に汗を握り、こちらまで前のめりになってしまった。
2曲目はリストのピアノソナタ。演奏はKhatia Buniatishvili。トビリシ生まれの23歳。背中の大きく開いた黒のシルクドレスで登場。女性から見ても美しい。一方演奏は体つきからは想像出来ないくらいとてもパワフル。少々雑な感じは否めないが、速いし、エネルギーが感じられる。指の動きは目が追いつかない。
休憩を挟んで、バルトークの2台のピアノとパーカッションのためのソナタ。アルゲリッチ登場で会場からは大拍手。Wigmore Hallの舞台はもともと狭いのだが、ここにコンサートグランド2台、ティンパニ、マリンバ、小太鼓、大太鼓etc-ピアニストと譜めくりは今にも舞台から落ちそう。ピアノも打楽器といえば打楽器-初めて聴く曲、と、リズムを追いかけていたら、お腹が空いてしまった!
いずれも演奏家のレベルが高く、皆まるでアスリートのようであった。最後は会場全員でStephenにHappy Birthday to youを歌ってお開き。