ウィスペルウェイ、チェロリサイタル。2009年6月2日。ウィグモアホール。
Beethoven: Cello Sonata in F Op.5 No.1
Britten: Suite No.1 for solo cello Op.72
Debussy: Cello Sonata
Franck: Sonata in A (arr. for Cello and piano by Jules Delsart)
Pieter Wispelwey: Cello
Paolo Giacometti: Piano
史上最高価格がついたとかいう1760年製ガダニーニの音色を楽しみに出掛けた。
最初はベートーベン。いくつかのブログでウィスペルウェイのベートーベンが高く評価されていたので、楽しみにしていたのだが。。。これが最も高価なガダニーニな音なのか、と耳を疑う。楽器がその力を十分に発揮できていないように感じた。
ところが、次のブリテンでは、楽器が鳴り始めて安心した。弓を弦に水平に当てて、少し強めに引いた時の音の何と深く、美しいことか。ウィスペルウェイ本人と、会場への聴こえ方が違うのかもしれない。彼は比較的斜めに弓を当てて弱音を作るのだが、そうすると音が濁る気がした。
後半はドビュッシーとフランク。フランクは、原曲を今年の3月に同じウィグモアホールでジョシュア・ベルで聴いている。そのことを思い出していた。何が違うのだろう。何故あの時は泣けたのだろう。ヴァイオリンとチェロの違いなのか。最後のAllegretto poco mossoは、非常にシンプルなのだが、張り詰めたようなヴァイオリン独特の高音が、心理的かつ生理的に人の心を締め付けるのだろうか。
帰宅後、早速自分のヴァイオリンで弾いてみた。美しいメロディは確認できるけれど、胸を締めつけられるような感動はない。何故だろう?
あ、きっと、使っている楽器が安いからだ。そうだ、そういうことにしておこう。