算額(その1152)
九九 春日部市小渕 観音院 明治30年(1897)
一〇三 春日部市 東福寺 明治40年(1907)
埼玉県立図書館:埼玉県史料集 第二集『埼玉の算額』,昭和44年,誠美堂印刷所,埼玉県与野市.
キーワード:正五角形,正方形,五角法
面積が 262155154.5032769612 坪の正五角形の土地の一辺の長さはいかほどか。
以下の図は GeoGebra で,一辺を与えた正多角形をかき,その面積を求めたものである。算額の「答」を得るために,「問」の数値を変えている。
注:10間四方=1坪
正五角形の一辺の長さを a,一辺の両端と正五角形の中心を結ぶ二等辺三角形の高さを h とする。
h = a/2/tand(Sym(72)/2) で,正五角形の面積は,5 * a*h/2 = 5 * (a * (a/2)/tand(72/2))/2 である。
include("julia-source.txt")
using SymPy
@syms S::positive, a::positive
S = 5 * a*h/2
S |> println
5*a^2/(4*sqrt(5 - 2*sqrt(5)))
a^2 にかかる係数 5/(4*sqrt(5 - 2*sqrt(5))) = 1.7204774005889671 を「五角法」と呼ぶ。
5/(4*sqrt(5 - 2*sqrt(5)))
1.7204774005889671
慣例的に,五角法の近似値として 1.72 が使われていた。その場合,正五角形の面積は S = 1.72*a^2 となる。a について解けば a = sqrt(S/1.72) である。
与えられた条件は,正五角形の面積が 262155154.5032769612 なので,正五角形の一辺の長さは sqrt(262155154.5032769612/1.72) = 12345.6789 = 123456.789 間である。
この「きれいな結果」を出すために,あのとんでもない長い数字列の面積が与えられたのだ。
sqrt(262155154.5032769612/1.72) |> println
sqrt(big"262155154.5032769612"/big"1.72") |> println
12345.6789
12345.67890000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000004
しかし,近似値でない五角法を使えば,「きれいな数値は出てこない」
sqrt(262155154.5032769612/1.7204774005889671) |> println
sqrt(big"262155154.5032769612"/big"1.7204774005889671") |> println
12343.96593263111
12343.96593263111017155386297511751038450862787310648018338764402293502103615974
最初の図に示したが,正確な五角法を使うときには,「正五角形の面積は 262227917.89 坪」といえばよい。そうすれば答えは 123456.789 間になる。
sqrt(big"262227917.89"/big"1.7204774005889671")
12345.67890000004107475558293899828913755690970317874535819580788216955810780953