勝利なき戦い(Pork Chop Hill) 1959年 米国MGM ルイス・マイルストン監督 主演グレゴリー・ペック(ジョークレモンス中尉) ジョージ・シバタ (スギ・大橋中尉)
概要:Wikipediaから
1959年のアメリカ映画。朝鮮戦争の最終局面、板門店で休戦協定会議が開かれる中、交渉を優位に進めるために両軍が国境付近の丘を巡って不毛で熾烈な争奪戦を余儀なくされる。
1953年に起こったポークチョップヒルの戦い(英語版)を題材としており、主人公のジョーゼフ・"ジョー"・クレモンス(英語版)中尉は実在の人物である。
あらすじ
休戦協定を少しでも有利に進めるため、クレモンス中尉(グレゴリー・ペック)率いる米陸軍の部隊に対して板門店の近くにある中国人民義勇軍に占拠された丘「ポークチョップヒル」を奪取するように命じられる。休戦を間近に控えた部下の兵士らの士気が上がらない中、丘を巡って両軍の激しい争奪戦が繰り広げられる。
映画自体のアメリカでの評判は今ひとつのよう。 戦闘場面は大量の中国軍など独特。 副官の日系大橋中尉が良い味を出しています。
感想:
トランプ 金正恩会談で朝鮮戦争の終結が話題になる中、休戦協定直前の中間線における両軍の激しい、しかも内容的には虚しい攻防を描いたという点で朝鮮戦争の実相が浮き出されていると言えます。戦闘場面は迫力があるものの、この映画は朝鮮戦争や時代背景をある程度理解していないと解り難い部分があるように思います。
北朝鮮軍がソ連の支援を受けて1950年6月25日に突如(米国がわざと隙を見せたという説も)南北境界線を突破して南進して始まった朝鮮戦争ですが、韓国駐留米軍が国連の決議を経て国連軍としてマッカーサー指揮の下、仁川上陸で形勢逆転、中国の境の鴨緑江まで北朝鮮軍を押し返します。ここでマッカーサーは台湾の蒋介石と計って成立したての共産中国に攻め入りそうになります。危機を感じた毛沢東は廃残国民党軍の多数の残党を後方から「督戦隊」が銃で脅し、「せめて中国のために死ね!」とばかりに装備の整った国連軍の前線に「人海戦術」で送り込みます。倒しても倒しても雲霞の如く押し寄せる中国軍に米軍を中心とする国連軍は38度線まで押し返され、そこで膠着状態のまま1953年7月に停戦協定が国連軍と中国北朝鮮の間で結ばれて今日に至ります。
この映画はこの停戦協定間際での戦いを描いており、米軍の兵隊は全く戦意がなく、早く停戦が適って帰国したいと皆考えています。戦う相手はこの時点では北朝鮮ではなく、中国人民解放軍に変わっていて米中の代理戦争が行われていたのが実体でした。
面白いのは、主役のクレモンス中尉の副官として日本人二世(と思われる)スギ・大橋中尉というのが全編に渡って主人公から信頼され、かなり良い働きをする様が描かれる所です。1959年は60年安保で世の中が揺れていた時代であり、反安保、反米感情も国内で強かった時代です。また59年には二世部隊の英雄ダニエル・イノウエ(ホノルル空港の正式名に引用)が米国初の日系上院議員になり、戦争中の日系人強制収容などの見直しがなされていた事とも関係するかも知れません。さしずめ現代に直すと「集団的自衛権の発動で米軍と自衛隊は信頼しながら協力して戦おう」というプロパガンダになるかも知れません。後半の白兵戦で突撃をする場面で大橋中尉は「先祖達は万歳突撃を得意としたからね。」と冗談めかして言う場面があるのですが、朝鮮戦争のつい数年前に日本軍が行っていた事です。トランプは金正恩と終戦協定を進めていますが、この映画で描かれるように現実には中国と終戦をしないといけないように思われます。
渚にて(On the Beach) 1959年 米国MGM ネヴィル・シュート原作 スタンリー・クレイマー 監督
主演 グレゴリー・ペック(タワーズ中佐 潜水艦Sawfish艦長) エヴァ・ガードナー(モイラ)アンソニー・パーキンス(ホームズ大尉)
あらすじ
米ソの核戦争によって北半球が壊滅し、人間を含む全ての生物が放射線で死滅してしまった所から話が始まります。米国潜水艦Sawfishは核戦争を生き延びて未だ放射線プルームが到達していないオーストラリアの南側にある都市、メルボルンにやってくるのですが、放射線のプルームはやがて同地にも到達する運命にあります。映画は自分達が起こした訳でもない核戦争によって死に至る運命にある人達の苦悩を淡々と描いたものですが、当時は本当にいずれ近いうちに核戦争が起こると世界中が考えていた時代であったのでこの淡々とした描き方に説得力があります。活劇やスペクタクルはありません(ストーリーと関係ない自暴自棄の自動車レースはある)。潜水艦で偵察に行く太陽に照らされたサンフランシスコの無人の街(どうやって撮影したのか)がとても不気味です。メルボルンの市民達は最後放射線障害で苦しむことがないよう、子供達の分も含めて自殺用の薬を政府から配給されます。主人公達もそれを服用してメルボルンの街も無人になる所で映画が終わります。
まだ時間はある・・というのは当時の世界へのメッセージか。
感想
現在においても米露は人類を何回も絶滅できる数の核爆弾を保有し続けています。米露が戦争をすることがあっては絶対にいけません。しかしトランプとプーチンが仲良くすることに対して、世界中は非難囂々です。日本でも比較的リベラル・反戦を唱えるマスコミ勢力でさえもがトランプのロシア外交を批難しています。核戦争を回避するには、首脳同士が信頼関係を結び非戦の誓いを立てる他ないのに、トランプの外交を批難するリベラルというのは所詮「似非平和勢力」であったことが明確になりました。恥を知れ!と普段偉そうな事を言っていたマスコミを思い切り軽蔑したいです。二度と自分達を平和愛好家などと自慢するな!と言いたい。
当時はありませんでしたが、現在コロラドやテキサスの都市地下には広大な核シェルターがあり、一部の金融支配層は核戦争が起きても生き残れるように準備が整っているようです。モスクワにも市民全員が入れる核シェルターがあると報道されています。シリアやウクライナでしきりにロシアと戦争を起こさせようとしていた勢力は、何があっても自分達は生き残る前提で仕掛けていたのでしょう。そのような動きを批難・報道しないメディアの「腰抜けぶり」には反吐が出る思いです。
トランプと金正恩トップ会談のその後ですが、私はやはり北朝鮮内部の調整が取れていないために進展が遅いのだろうと考えています。中朝の協同歩調による離反という説もありますが、中国の習近平体制は今北朝鮮に関わって米国に敵対する余裕はないように見えます。貿易戦争では負けつつ有りますし、EUに接近していますが結構足元を見られているようにも思います。結局「中国が損をしない範囲で北朝鮮を処分する」という方針は変えようがないでしょう。
トランプの米国内での政治体制ですが、確かに中間選挙を意識した調整に苦心している事は否めないでしょう。ロシア疑惑もしつこく報道されていますが、金融Deep state側の犯罪もどこかで暴露追求(メディアが報じないので出し方に工夫が必要)して逆襲を計っていると思われます。ただネタニヤフとの蜜月、イランとの対立をどこまで行うのか、プーチンとは先日の直接会談で(2時間近く通訳のみで会談したという)ある程度打ち合わせを済ませていると思われますが、現状では政権の不安定要因であることは確かです。