米国がロシア領土内への攻撃をウクライナに許可した事に応じて、ロシアはキューバに長距離ミサイル配備を促すという行動に出ています。ロシア領内に直接届く距離であるウクライナ国内に長距離ミサイルを欧米が配備することは、キューバにミサイル配備することと同じである以上、米国は文句を言えない立場にあります。またウクライナが勝手にミサイルを発射して良い、とするなら、キューバが米国に勝手にミサイルを発射することもロシアに責任はないと言い張れます。
I. 背景にあるキューバの経済危機
キューバは経済危機の状況にあり、昨年来民衆が各地でデモや暴動を起こしており、ペソがドルに対して大幅に下落していて、裏には米国の陰もあると疑われています(上記記事)。
キューバのミゲル・ディアス・カネル大統領は、2024年5月、クレムリン外の赤の広場で行われた毎年恒例の軍事パレードでプーチン大統領と会談、2022年の会談以来、両国はより緊密になっていました。
II. 1962年キューバ危機(WIONニュースのまとめ)
キューバ危機は、米国と当時のソ連との間の大きな対立であり、世界を核戦争の瀬戸際にまで追い込んだ。 危機は1962年に勃発し、1か月以上続いた。トルコへの米国のミサイル配備に対し、ソ連がキューバに弾道ミサイルを送って対抗したのがきっかけだった。1960年、ソ連の元首相ニキータ・フルシチョフは、米国がキューバへの中距離および中距離弾道ミサイルの設置を阻止しないと仮定して、ソ連の武器でキューバを防衛することを約束した。
この事件は、世界が壊滅的な核攻撃を恐れるレベルにまでエスカレートした。そして、キューバから発射された場合、そのようなミサイルは数分以内に米国東部の大部分を襲う可能性があると報じられている。
当時のジョン・F・ケネディ米大統領が介入するまで、主張と反論は続いた。大統領は選挙で忙しかったが、これらの施設の存在を知ると、安全保障顧問に相談した。米国が空爆を開始すべきだという提案さえ受けた。
しかし、彼はソ連のミサイルのさらなる輸送を阻止するため、キューバに海軍による「検疫」または封鎖を課すことを決定した。彼は、ソ連の船舶が「攻撃用兵器および関連物資」をキューバに輸送しようとした場合、米軍がそれらを押収すると警告した。
危機は最終的に回避され、ソ連の船舶は進路を変えて隔離区域から撤退し、その年の後半にフルシチョフはケネディに対し、キューバにすでに配備されているミサイルはソ連に返還され、ミサイル基地での作業は中止されると伝えた。
一部の報道では、ケネディ大統領がトルコから核兵器搭載ミサイルを撤退させると秘密裏に約束し、米国がキューバに侵攻することは決してないと確約していたとさえ報じられている。
(引用終了)
III. ロシア海軍艦艇4隻、キューバ寄港 米を牽制か
CNN 報道から引用 2024.06.13 Thu posted at 07:06 JST
寄港した艦艇は計4隻。多くの見物人が見守る中、艦隊を率いるフリゲート艦「アドミラル・ゴルシコフ」に続き、核ミサイルを搭載できる原潜「カザン」、救助船、補給艦が入港した。ゴルシコフはロシア海軍の最新艦の一つ。
ロシア海軍の艦艇がキューバに立ち寄るのは初めてではないが、4隻もの同時寄港は過去最大規模。米当局者によると、カザンには核兵器は搭載されていないと米国はみている。
キューバは米フロリダ州から144キロほどしか離れておらず、今回の寄港は米国を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。数週間前に米国は、供与した武器でウクライナがロシア領を攻撃することを認めた。
艦隊のキューバ寄港は5日間にわたる。ロシアの外交筋がCNNに明らかにしたところによると、13日から3日間にわたって毎日4時間、ゴルシコフはキューバ市民の見学を受け入れる。
軍事アナリストらは、ゴルシコフは長距離任務や対潜水艦戦を遂行でき、地対地や地対空のミサイルの搭載が可能とみている。
キューバ寄港に先立ち、ロシア国防省は11日、ゴルシコフなどが大西洋で軍事演習を行ったと発表した。ロシア国営タス通信の報道によると、ゴルシコフとカザンがコンピューターシミュレーションを用いて約600キロ離れた「敵艦」を高精度ミサイルで攻撃する訓練を行った。
米軍は偵察機や艦艇を派遣して一連の軍事演習と艦隊の航行を監視しているという。
公表されたフロリダ近海で演習をするロシア艦艇の動き
IV. バイデン痴呆大統領退任まで米側のエスカレートを遅延させる目的か
11月の選挙ではバイデン再選はまず不可能で、トランプが復帰すればウクライナ戦争は終わりにできるとプーチン大統領は読んでいるでしょう。グローバリズム側としてはそれまでに戦争を拡大させてNATOを参戦させる、あわよくば限定核戦争になれば選挙は中止になるとして、現在必死に戦争拡大を画策しています。米国国民が「他人事」ではなく「自分の事」として核戦争の脅威を感じ、1960年代、フルシチョフと直接話せるケネディであったからこそ避けられた核戦争は痴呆大統領では対応不可能であると実感させる上でも今回の処置は有効かもしれません。
ロシアとしてはサンクトペテルブルク国際経済フォーラムで明らかにされた様に、第三次大戦よりもBRICS諸国の拡大と経済活性化を狙っており、ペペ・エスコバル氏によれば以下の3つのメッセージが世界に発せられたと言います。要約すると、
今回のフォーラムには139カ国以上を代表する21,000人以上の人々が集まり、まさにグローバル・マジョリティの縮図として、多極的で多中心的な世界に向け議論が行われ、わずか3日間で780億ドル相当の取引が成立しました。そして世界へのメッセージとして
メッセージその1:
プーチン大統領は、フォーラムの全体会議でロシア経済について非常に詳細な1時間の演説を行った。
重要なポイントは、西側諸国が共同でロシアに対して全面的な経済戦争を開始したため、ロシアは経済に力点を移し、購買力平価(PPP)で世界第4位の経済大国としての地位を確立した。
ロシアは不当な制裁を回避するだけでなく、世界貿易を志向し、BRICSの拡大に結びつけた。
メッセージ2:
プーチン大統領は、BRICS諸国が西側諸国による圧力や制裁から独立して、独自の決済インフラの構築に取り組んでいると述べました。それは「ユニット」と呼ばれ、金(40%)とBRICS+通貨(60%)を基盤とする、政治的でない取引形式の国境を越えた支払い形式である。
新しい決済システムは、10月にカザンで開催されるBRICSサミットで議論される可能性が高く、現在のBRICS10か国と近い将来拡大されるBRICS+で採用される可能性が十分にある。
メッセージ3:
プーチン大統領を含め、誰もがBRICSが大幅に拡大することを強調した。サンクトペテルブルクでのBRICS関連のセッションの質は、世界の多数派が今、ユニークな歴史的転換点に直面していることを示した。サンクトペテルブルクでは、BRICSだけでなく上海協力機構(SCO)やユーラシア経済連合(EAEU)にも59カ国以上が加盟する予定であることが確認された。
日本のメディアでこれらを明確に報道しているものを見た事がありません。日本が取り残されてゆく感じがします。