G8、石油高騰に「強い懸念」表明へ(朝日新聞) - goo ニュース
昔、鉄などから金を作る技術を錬金術といって、その研究は自然科学の発達に多いに貢献しました。しかし結局金以外の物質から金を作ることはできなかった。金が貴重であるとされたのは、それが万国共通の貨幣に代わる価値を持っていたからに他ならない。だから金を産出することは国際世界においても大きな意味を持つものであり、金を産出する日本は「黄金の国ジパング」として冒険家たちの目的地になったのだろう。
金が各国が使用する通貨に対する世界共通通貨として認められていた「金本位制」の時代には、実際に通貨が動く経済と信用通貨だけをやり取りする経済があったとしても、いざとなったら「その通貨価値分を金と替えてくれ」と要求することができたから形の上では実在する金以上に無制限に経済が膨らむことはある程度制限されていたといえます。
しかしニクソン大統領の時代にgold standardはやめてこれからは米ドルを国際基軸通貨として、石油の売買には米ドル以外使用できないことにします。ということになってから経済の膨張に歯止めがかからなくなったと言えましょう。
世界の経済が、実際に成長して豊かになっている間は、米ドル本位制も健全に機能して世界中に恩恵を施していたと言えるでしょう。しかしドル本位制を始めたニクソンは福祉重視の政策をとってアメリカ中間層の育成、住みよい豊かな社会を目指していたものの、レーガン大統領の時代になると新自由主義と呼ばれる効率重視の市場経済優先の政策が取られるようになり、特に90年代以降はアメリカで物つくりではなく投資や金融による立国が称揚されるようになってどうも世界経済がおかしくなってきたと思われます。
自然科学の分野では、どうしても鉄から金を作ること、つまり錬金術は発見されなかったのですが、金との兌換性をなくしてしまった結果、いとも簡単に無から有を作り出す「錬金術」が発明されてしまったのです。ドル紙幣は輪転機で印刷するだけです。そして特に投資や金融といった分野でノーベル賞までとった数学の天才たちが経済学的錬金術によって「最小のリスク」で金を増やす術を発明し、輪転機で刷ったドルを世界にばら撒いて一部の資本家に吸収する術を実用化したということでしょう。
しかし実態経済が拡大したわけではないのに、通貨量だけが増えるこの錬金術は「ゼロサム経済」の異名の通りで、儲ける人がいればその分損をする人がいる、というだけの結果となって、アメリカ社会の中間層以下の人たちが持つ財産を吸い上げて莫大な高給を得る人たちの懐に入るようにしただけで、中間層の喪失と格差社会の拡大をもたらした結果になりました。
そしてアメリカ社会の中間層以下の財産を吸い尽くすと今度は他国の比較的豊かな社会に魔の手を伸ばし、「グローバル」という自分たちのみに都合の良い騙し文句で、日本を始めヨーロッパ社会にも襲い掛かっているというのが現在の姿でしょう。ヨーロッパ社会はユーロという共通通貨でドルに抵抗していますが、日本はほぼ無防備な状況です。中国はもともと国を挙げて対抗する気はなく、「富める人が富めばよい」という結果になるのではないかと思います。
まあアメリカという国家は衰退の兆しを迎えていますので、錬金術を駆使する横暴なファンドは「グローバル性」を生かしてアメリカが本格的にだめになる前に勝ち逃げをしようとしているのでしょう。ゴールドマン・サックスなどの横暴なファンドがユダヤ系なのであえて「ユダヤ的」と表現しますが、これら国境にとらわれないユダヤ的国際資本から国民の生活を守るためには、米国、日本、欧州各国などの国家があらためて市民生活における「国家」の重要性を確認するしかないと思います。医療やセ-フティーネットなどの福祉を充実させるにも、国民の多くが貧しい状態では国が貧しくなってしまい、物理的に不可能になります。企業が法人税を払わずケイマン島に本社をおくようでは、配当を受ける資本家は豊かになっても、企業で働く労働者が豊かになるわけがありません。勤労者の豊かな生活を守るのは国家の義務です。
まもなく開幕するサミットは、何を主な議題にするか焦点がぼけてきているといわれていますが、「国民の豊かな生活を守るための国家の再認識」「米国を含むすべての国家の存立を危うくする行過ぎた国際資本をいかに締め出すか」を話し合ったら良いと思いますね。米国は国家を守るためにも、体内に巣食ったユダヤ国際資本を締め出すためにドル本位制をやめるという出血を覚悟するべきではないでしょうか。そんなこと福田さんは絶対言わないでしょうが。