rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

Albatros W4 seaplane RODEN 1/72

2022-01-23 17:12:20 | プラモデル

第一次大戦中の渋い模型を得意とするウクライナのプラモメーカーRODEN製のアルバトロス W4水上機を作りました。以前AirfixのHanover CL IIIで自作デカールによる陸上機のローゼンジ迷彩塗装をしましたが、いずれ海軍機のローゼンジ迷彩を試みたいと思っていたので今回作りました。しかも初めからキットにローゼンジ塗装用のデカールが付いているというサービスぶりであり、大いに助かりました。

実機の写真、上翼に付けられたラジエーターとエンジンを繋ぐパイプや上面のローゼンジ迷彩の一部が解る      RODEN Albatros W 4 1/72

Albatros W4は1917年に水上機型戦闘機の開発を命ぜられたアルバトロス社が当時新鋭であったAlbatros D Iを基に翼と尾翼を改変し、フロートを付けて完成させたもので、Mercedes D III 直列6気筒160馬力エンジンを搭載して、最高速度160km、滞空時間約3時間、武装は7.92mm機銃1-2丁でした。118機が生産され、北海、バルチック海で哨戒、偵察任務に就いたとされます。水上機は航海士とパイロットを一人で兼ねる単座でなく、Hansa Brandenburg(日本にも輸入された)の様な複座機が重用されるようになり、Albatros W4は比較的安定した性能でありながら戦争後期には練習機として使用される様になりました。

ローゼンジ迷彩のデカールは組み上げる前に貼付けないと後からは貼れない    陸軍機は下面も薄いローゼンジ迷彩が施されたが、海軍機はベージュで塗装された

模型は面に線で接着する様な設計になっていて作りにくいRodenらしく、難度の高いものでしたが、翼やフロートの接着はドリルで接着部に穴あけなど補助をして何とか製作。ローゼンジ模様は組み上げる前に写真に示すように貼っておかないと後からは付けられません。海外の模型評論ではローゼンジの色が正しくないというものがありましたが、飛行機模型製作のバイブル的に頼りになる「世界の軍用機塗装・迷彩史1914-1945」(グリーンアロー出版2000年 野原 茂著) によるとドイツ海軍のローゼンジ迷彩は青系と茶系の2種類あり、青系はグレーブルー、ライトブルー、ミドブルーの三色からなるとされて、カラーの色見本も模型に付属していたデカールの色と大きく違わない様なのでこの模型の塗装で間違いないと考えました。RODENらしくリグの張り方などは図解で示されていて今回は小さい模型なので全て0.3mmの真鍮線を使って張りました。前回作ったハノーバー CLIIIと並べてみました。

リグは0.3mmの真鍮線を使用しました。  ブルー系のローゼンジ迷彩が映えます。

ローゼンジ迷彩も陸軍機とは違う雰囲気があります。

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不詳の内因死か老衰かー多死の時代に思う

2022-01-16 21:53:12 | 医療

病院における「医療の質」を検証するために、私はこの10年病院で死亡診断をされた人の診断書と診療記録をチェックする委員会の責任者をしています。2週間毎に15-20名の死亡診断書(心肺停止状態で搬送されて看取った場合は死体検案書)を複数の医師でチェックして問題がないかを検討し、病院幹部が出席する医療安全会議で報告したり、問題例については年4回開くMorbidity & Mortality Conferenceで関係各科全員が出席する会議で検討します。医療に基づく「予期しない死亡事例」については、法律で定められた「医療事故調査制度」の規定に従って厚労省に報告する場合もあります。

 

病院全体の死亡例を見ていると、医師として個々の事例だけを扱っているだけでは見えてこない変化といったものが解る事もあります。自分が勤務している病院の地域性もあるとは思いますが、この10年で感ずることは、

 

〇 ここ数年で高齢者の「初診時からの進行癌」が増加していること。

〇 病院で入院中に病気で亡くなる人よりも心肺停止で救急搬送されて亡くなる人がこの2-3年で増加したこと(年間200例はいる)。

〇 この半年で不詳の内因死(原因不明の死亡)が増加したこと。

 

が挙げられます。増加したと言っても、月1-2例であったものが5例になった感じで、大規模事故の様に一度に沢山の方が亡くなる訳ではないのでメディアで取り上げられる事もありませんし、個々の事例だけ見ている医師は変化を感ずることもないと思います。しかし私の様に長期に渡って全例チェックをしていると例数が倍になると「増えたな」と実感します。同じような仕事をしている人が集まる会議はないので、厚労省などが死亡統計の形で日本全体の集計を公表する(それでも初診時から進行していたかどうかなどは判らない)まで地域や日本全体の事は判らないとは思います。しかし他院の医師たちと学会などで雑談的に話をすると、同様の傾向を感じている医師は多いようです。

 

予期しない死亡は原因が死後全身CT検査(Autopsy imaging)で解る事も

 

入院中であっても急変して亡くなってしまう場合(ここ数年で医療安全の立場から院内救急システムというのが先進的な病院では確立されて常にICUに入室できるよう態勢が整っています)や、心肺停止で救急搬送されて蘇生できなかった場合には病理解剖を行う替わりに死後全身CT検査(AI)を行います(これは全ての病院で行われている訳ではありません)。私の経験では、20%-30%位はこのAI検査で死亡原因が推定できます。高齢者の入浴中の溺死、誤嚥による窒息、大動脈解離や破裂、腸管壊死(肝門脈内の気腫やイレウス所見)、認知されなかった進行癌、心不全、肺気腫の増悪、脳出血などがこれで解ります。搬送された時の採血で腎不全や脱水、循環不全(CPK高値)、栄養失調、心筋梗塞なども推測できます。入院中や手術後に急変して亡くなってしまった場合にはご家族から医療不信を問われる場合も多いので、AIは解剖を行わない現在重要な検査です。

心肺停止で救急搬送された患者さんで元気に歩いて帰るのは200例に1例程度、心臓が止まった時にすぐそばに人がいて(バイスタンダーと言います)、即座に心臓マッサージなどの蘇生処置を行えた場合の一部だけであることは以前ブログに書いた事があります。後の殆どの場合は救急外来で蘇生(心拍回復)に成功しても15分以上心停止が続けば既に低酸素脳症で脳死に到っており、2-3日人工呼吸器で生きていても結局亡くなります。家族にとっては肉親の急な別れを受け入れる時間が与えられるに過ぎないのが現実です。救急外来で蘇生に成功しない場合は上記の様にAIを行うのですが、急変するまでの経過が解らず、採血やAIでも全く異常が見つからない、警察に必ず連絡して検死も行うのですが、事件性も見当たらない(尿中薬物検査などで何もない)場合、「不詳の内因死」として診断書(検案書)が記載されるのですが、それが最近増えているのです。

高齢者や中年、若年者の引きこもり、精神疾患、良く解らない一人暮らしなど社会的なnegrectによる背景もからんで心肺停止になって救急搬送されてくる場合、勿論家族もいて日常生活の中で倒れて心肺停止という方も沢山おられます。薬物中毒や自殺による溢死、事故、中には切腹、冬場に家の中で凍死などというのもあり、社会の縮図を見ているようで、いずれ「心肺停止救急搬送の社会学」といった本も書けそうに思います。高齢者で認知症もあり次第に食事が摂れなくなって1週間ほどしてぐったりして搬送されて直ぐに亡くなったなどという場合は「老衰」と診断できます。これは天寿を全うしたのですから皆で御祝いをしてあげるべきでしょう。80代90代で搬送されて病院で「老衰による死亡」と診断書が書かれる場合も多いです。しかし50-60代で急変してどこも異常がないというのが困ってしまいます。一度でも不整脈の履歴があればブルガダ型の悪性不整脈で急死もありえるのですが。

 

高齢者の「いきなり進行癌」が増えたのは何故か?

 

80代を過ぎた高齢者は癌になっても進行が遅く、天寿癌として積極的に治療せずにそのまま1-2年苦しくない状態だけ医学的につくってあげて看取ることもあります。それは以前から行われていたことですが、この2−3年ほんの数ヶ月で何も無かった状態から全身に転移を来すような悪性度の高い癌が80代以上の高齢者に見つかる事が増えました。福島第一原発の事故から10年経過した影響?というのは軽々に語るべきではないとは思いますが悪性度の高い高齢者の癌が増加しているのは事実なので仕方がありません。自分の専門である泌尿器科癌でも数ヶ月前のCTで何も無かったのに短期間に驚く程全身に転移を来した癌の高齢者を数人経験しています。考えようによってはそれまで元気で短い病悩期間で治療の施しようがなく亡くなってしまうのは「ぴんぴんころり」の理想の死に方と言えるかもしれません。

 

世界的に超過死亡が増加しつつあるが

2020年3月以降の各国100万人あたりの累積超過死亡数 上から米、英、仏、独、イスラエル、加、日本

2020年春に新型コロナ感染症が蔓延してから欧米の国々は今までと比べて種々の原因で亡くなる人が増加、日本は100万人あたりの超過死亡累積図に示す様に2020年の夏まで超過死亡はマイナスであり、以降1年は横ばいの状態でした。しかし2021年の5月頃から超過死亡が+に転じて累積グラフが右上がりになっているのが解ります。つまりこの半年くらい全国的に(コロナでない)何らかの原因で亡くなる方が増加しているのです。死につながる特別な疾患が増加しているという報道はありませんので、自死や不詳の内因死が増加しているのではないかと類推します。実は認識されない新型コロナ感染症で亡くなっている人がいるのではという無責任な流言がありますが、それはないです。症状があれば亡くなった人もPCR検査は行いますし、AIで特徴的な間質性肺炎の所見も出るはずです。心肺停止で蘇生ができなかった場合に死後変化として新型コロナの様な間質性肺炎像がAIで出る事がありますが、CRPなどの炎症反応や白血球数などの検査で異常が出ていなければ否定できます。

多死の時代に入りつつあると私は感ずるのですが、私が経験する増加死亡の年齢構成は80代以上の比較的元気であった高齢者が多いのが実際です。今まで日本の平均寿命は右肩上がりで伸びてきましたが、そろそろ伸びどまりであり、2025年を境に高齢者数の増加は止まる事が予想されています。生産年齢構成者と高齢者の比率は引き続き高齢者の方が増加(若年者の相対的減少)するのですが、高齢者の絶対数が減少に転ずる時期が少し早まって来たと言う事かもしれません。

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欲望の資本主義2022感想

2022-01-11 17:35:54 | その他

欲望の資本主義2022 成長と分配のジレンマを超えて

初回放送日: 2022年1月1日

やめられない止まらない欲望の資本主義。2017年から恒例新春巻頭言。成長、分配、生産性、循環。議論百出の中どこへ向かう?世界の知性と考える異色教養ドキュメント。

困窮者の救済が議論される一方で金融市場は世界的な緩和で潤い、K字と呼ばれる二極化の中叫ばれる生産性向上…。歪な状況の打開策は?人的資本への投資を進めるスウェーデン、循環型経済を試みるオランダなど取材。共産主義の苦い記憶から資本主義内での改革を語るチェコのセドラチェクと脱成長を主張するマルクス経済学者・斎藤幸平が徹底的に議論。ジム・ロジャーズからバルファキス、ラワースまで、資本主義の本質に切り込む。

(以上NHKホームページから)

 


毎回各界の優れた研究者達を迎えて彷徨える資本主義の今後の行方を探るシリーズで今回のテーマは「成長と分配」という新自由主義的資本主義と相いれない課題にどう向き合うかを中心に話が進みます。それぞれの章のテーマとrakitarouがまとめた内容と感想を備忘録的に記します。

 

第一章 K字の果ての歪な市場

コロナ後の経済回復は景気の良い専門領域と回復しないその他の2極のK字型に分断される。回復しない側に手厚い分配を行う事は成功につながるか。

・ルチル・シャルマ(グローバルストラテジスト) むやみな分配はゾンビ企業を産むのみであり、生産性に即した適切な投資が政府にも求められる。

・マシュー・クレイン(経済ジャーナリスト) グローバリズムは国家間の対立でなく階層間の対立(富者と貧者)である。企業の留保を止めさせ、賃金を挙げよ。

現状では、政府が行うケインズ政策は富者にとっての社会主義であり貧者にとっては単に資本主義の一環にすぎない。

 

第二章 コロナが生んだZ世代投資家

上記の世相を見て、大学生たち(Z世代)が単なる労働者でなくプチ投資家として役割をにないつつある。

 

第三章 最後のディーラーの賭け

・ペリー・メーリング(ボストン大学教授) 現在、危機が起こると中央銀行(FRB)が介入して株価を支えてしまう。投資家はFRBに期待し、リスクを忘れてしまうが、バタフライ効果(どんな小さな揺らぎもいずれ大きな嵐になる)で必ずしっぺ返しが来る。いつ来るかは賭けの様な物。

 

第四章 反復する半世紀前の夢

ZEDE(Zone for Employment and Economic Development雇用経済特区)の活用。

ケイト・ラワース(オックスフォード大学)のドーナッツモデル経済(下図)アムステルダムがモデル都市として試行中。成長を重視せず、江戸時代の日本の様に限られた循環型の経済の中で暮らしてゆくという思想。

ラワース氏のサイトから引用、緑のドーナツの外側は地球環境破壊につながる因子となる

 

第五章 気候危機は資本主義のしわざ?

斎藤幸平(大阪大学) 金満資本主義が環境破壊を招き、生産性に関わらず、労働者は長時間労働から解放されないなら、再度社会主義を志向する動きも当然では?

 

第六章 公共善のパラドックス

トーマス・セドラチェク(チェコ経済学者) 歴史では社会主義諸国の方が環境破壊に無関心であった。望ましい未来は社会主義でなく資本主義の中に見出すべき。

 

第七章 競争x福祉 = 生産性?

アンダース・ボルグ(スェーデン元財務相) 国として同一労働同一賃金(Rehn-Meidner model)を義務付け、個人には高福祉、企業には競争を強いる事で社会全体の生産性向上にスウェーデンは成功した。

 

第八章 コモンズの復活か悲劇か

共有財(コモンズ)を復活させる事が豊かさにつながる。(シュンペーター)

あらゆるものが一部の顔のない個人の所有になってしまうと社会は豊かさを失う。

 

第九章 市場と民主主義の再生

ヤニス・バルファキス(前ギリシャ財務相) デジタル共有財産を設けるべき。ビッグテックを民主化(civilization)すべきだ。所有は顔の見える形に。(ある意味デジタル管理資本主義の事を言っているかも)

 

最終章 成長と分配の狭間で

資本主義(成長)と社会主義(分配)の調整を民主主義がコントロールする必要があるが、その望ましい姿はまだ模索している最中と言える。現在がその方向性を決める分岐点だろう。

 

今回登場したいくつかのモデルと将来の漠然とした姿には以前拙ブログ「新しい資本主義とは何か」で示した内容もおぼろげながら伺えるのではないかと感じました。

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Letov S-328 Slovak Air force Special hobby 1/72

2022-01-10 10:24:42 | プラモデル

チェコスロバキア航空工業は、1930年代に国産の多用途機Letov S-28を開発し、その改良型である128、228はエストニアやフィンランドに輸出されました。強力なブリストル・ペガサスエンジンを搭載したS−328は1933年から生産され、チェコスロバキア空軍、ブルガリア空軍などで大戦中偵察、軽爆撃機として使用されました。派生型を含めて412機が生産され、最高速度328km/時、航続距離1,280km、武装7.92mmSukoda31機銃2-4丁、爆弾最大500kgでした。水上機型は黒海で対ソ連潜水艦哨戒にも使用されました。前回Petlyakov Pe-2で説明した様に、第二次大戦中チェコスロバキアは枢軸側に付いて独立したスロバキアと分割占領されたチェコに別れました。チェコスロバキア空軍のS-328はそのままスロバキア空軍の標識に変えてポーランド侵攻や対ソ連の東部戦線に投入されました。今回作ったのはその際活躍したスロバキア空軍所属の物です。

第二次大戦中枢軸国側で戦ったスロバキア空軍のLetov S-328実機と Special hobby 1/72 Letov S-328

模型はチェコのプラモデルメーカーであるSpecial hobby製で新しい金型なので機体内部の骨格なども作り込まれた精巧なものでした。上面カーキ、下面シルバーの塗装で東部戦線用の黄帯は汚れ塗装をする様にという記載までありました。チェコとスロバキアは度々対立分割を繰り返した歴史がありますが、ユーゴスラビアのボスニア内戦の様な宗教や文化の違いから互いに殺戮し合うといった悲惨な対立は無いと思われます。大きくはスラブ民族に属し、チェコが工業国で合理的な考えの人が多いのに対して、スロバキアは農業国で敬虔なキリスト教信者が多いといった違いがあると言われます。従ってチェコスロバキアで生産された航空機がそのままスロバキア空軍で使用され、チェコのプラモデルメーカーが対立関係にあったスロバキア空軍の仕様の模型を勢力的に生産するといった事が行われているのでしょう。新しい金型で整合は良いといっても複葉機でリグを張るのはそれなりに大変で忍耐が必要です。翼の桁の取り付けには0.5mmのドリルで穴あけの上で固定をした方が、上翼が安定します。同時代の航空機として枢軸国側で戦ったルーマニア空軍のPZL23B Karas軽爆撃機とスペイン内戦でナショナリスト軍に参戦したHeinkel He51を並べてみました。

操縦席などの作り込みも細かい  リグはミシン糸と0.3mmの真鍮線を使用

このタイプはドイツ製の無線機を搭載していた由

飛行機プラモデル界では割と珍しい国と機体の組み合わせ。

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前提が誤りなら途中の論理展開が正しくても結論は誤り

2022-01-09 19:38:25 | 医療

今更ながらの解説ですが、演繹法とは事実とされる前提を組み合わせて、論理的に正しい展開をして正しい結論を導く事で、科学(サイエンス)において正しい結論を得るために用いられます。しかし演繹法の欠点は前提が誤りであれば途中の論理展開が正しくても得られる結論が誤りである事です。

 

ウイーン生まれの英科学哲学者カール・ポパー(Karl Raimund Popper1902-1994)は、「探求の論理(1934)」において科学は帰納的学問ではなく演繹法に基づいた「反証可能性」という理論を提言し、受け入れられてきました。つまり反証の試みで「科学的研究によって得られた結論」が誤りであると証明されなければその結論は「科学的に真実だ」(=パラダイムの構築)とされるものです。大事な事は仮説の検証、反証が自由に行われる事であってこれがないものはサイエンスではなく宗教や政治の「主張」と同じであるという点です。

 

私は既にブログで何度も指摘してきましたが、現在の「新型コロナ感染症はエボラやSARS1型と同じ根絶せねばならない」という誤った前提に基づいて、種々の対策が立てられているのは、例え途中の論理展開が科学的に正しくても結論が誤りであると主張してきました。経済を破壊するロックダウンや大規模人体実験でしかない遺伝子ワクチンの強要など、もうデタラメとしか言いようのない政策がこの2年間行われ続けています。多くのまっとうな医師・科学者達が「これはおかしい!」と声をあげてきましたが、それらの声はメディアでは意図的に取り上げず、本来自由に情報発信できるはずのSNSではBAN(禁止)という処置が取られています。上記の様に、「反証可能性」を否定した段階でそれは「サイエンス科学」ではなく単なる宗教的・政治的主張にすぎないものになるのに、「科学の衣を着たプロパガンダ」としてあたかも科学的事実であるかの如く扱われているのが現状なのです。21世紀の人類は科学が発達して知性が20世紀の人類よりも秀でていると錯覚しがちですが、逆に科学の基本的な考え方さえ理解できない状態へ、知性が退化しているのです。

 

オウム真理教事件を笑えるか

 

1980年代から90年代にかけて、教祖麻原彰晃を中心に「弁護士一家殺害」「松本サリン事件」数千人の負傷者を出した「地下鉄サリン事件」など様々なテロ事件を起こしたカルト宗教集団、オウム真理教というのがありました。特徴は多くの一流大学を出た(入学中)理系・文系の若者が入信し、一般社会から隔絶した特殊な社会、政治体制、小規模ながら化学工業・武器製造までオーガナイズされた別社会を構築していた事です。それは教祖麻原が主張する「ハルマゲドンが来る」を前提に「修行によって宙に浮くなど超越した能力を身につけ悟りに至ることができる」とする教えで、論理展開が精緻で科学的だった事が高学歴の若者に受け入れられる素地になったと考えられます。最終的にはテロを起こして罪のない人々を殺害する、という結論に至るのですが、これは前提となる麻原の主張が誤りであることを見抜けなかった事が失敗の始まりと言えます。新型コロナ感染症への対応で、多くのコロナと何の関係もない人々が傷つき、ワクチンで人類の健康が大きく損なわれた時、論理展開が科学的に正しくとも、誤った結論を導いた前提が誤りであったという事実を見抜けなかった責任を、21世紀の大人達は背負う覚悟が必要です。

 

オミクロン株にワクチンは不要(むしろ有害?)

 

英国保健省が定期的に出しているワクチンレポートの51週目によると、α株、デルタ株に対しては2回のワクチン接種で重症化率、感染率が共に低下したが、オミクロン株に対しては2回のワクチン接種で感染率はむしろ悪化、3回目ブースター接種の効果も10週程度で半減したことが示されています。オミクロン株は気道感染が主体で肺まで到達せず、重症化しにくいというデータしか出てこないので「まだ結論は早い」「安心できない」といった不安をあおりたい意見しか言わない専門家(馬鹿じゃないのか?)ばかりですが、もう結論は出ています。オミクロン株にワクチンは不要です。オミクロン株のスパイク蛋白にある受容体結合部位はマウスのACE受容体に結合し易く、オミクロン株というのはマウス由来(マウスで変異した)ものだろうと言う論文が出ています。昨年9月の医学雑誌Lancetにも中和抗体の量が減っても重症化率予防の効果が残っている(細胞性免疫)から3回目のブースター接種は不要という専門家の論考が載っています。2021年2月26日のブログでも記した様にワクチンは1回でも接種すれば細胞性免疫は付きます。2回目接種以降は疑似感染を起こさせたと同じ事で、感作された細胞が指令を出して全力でウイルスをやっつける中和抗体が作られるだけの事であり、感染は防ぐ効果はあるでしょうが、重症化を防ぐ効果は免疫の機序から、細胞性免疫が主体になると考えます。

ワクチンのコロナ死亡を防ぐ上での有効率と感染を予防するブースター接種の効果持続性(英国保健省のワクチンレポートによる)

2回接種のみでは20週目以降は効果がむしろマイナスになっている(ADEによる逆効果というよりはサンプルの取り方によると説明される)。大事な点はブースター接種しても感染予防効果は2ヶ月程度

 

感染しない事でなく、治る事が免疫の仕事

 

免疫というのは一つのウイルスや病気だけを相手にしていて良い訳がありません。世の中には5万とウイルス、ばい菌、寄生虫などが存在し、毎日数千の癌細胞が普通に生活していても自分の体から生じて、免疫機構がくまなく目を光らせて必要に応じて排除してくれています。エボラ出血熱の様に感染したら最後高率に死につながってしまう感染症は「感染しない事」に予防の主眼をおかねばなりませんが、多くの者が軽症で済む新型コロナ感染症の場合は、感染しても重症化せずに済めば良い、「重症化の予防」に主眼を置けば良いという事は誰でも理解できると思います。多少タンパク質の構造が変わっても一度類似のスパイク蛋白で免疫細胞が感作されていれば、実物のウイルスが感染した際に免疫細胞が1から抗原の認識を行って抗体の鋳型を作るのではなく、素早く抗原に対応する中和抗体を作る作業に移れるから重症化を防げるのであろうと、上記のデルタ株にも中和抗体量が低下した時期においても重症化を防ぐ効果が残っている科学的説明が成り立ちます。一方でオミクロン株に対して感染を防ぐ効果が長続きしない(中和抗体の作用が直ぐに低下してしまう)のは変異種に対する免疫的多様性とワクチンで説明した様に、アミノ酸の成分がかなり異なるオミクロン株には中和抗体の力が従来の株よりも弱いことが推測されるのです。かかっても風邪程度の毒性であるならば、ワクチンなど打たずに普通の感冒と同様「罹って通常の免疫力で治る」で良いと結論づける正当性がここにあります。

 

早くパンデミックが終わり、with Coronaの時代へと言い出した人達

 

パンデミックの宣言は病原体が決めるのではなく、ヒトの都合で決まります。パンデミックの定義自体があいまいで「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」の状況に基づいて総合的に判断されるものだからです。本来パンデミック(世界的流行)と宣言した時点で「封じ込め」という戦略は失敗したことを意味するのであって、「ゼロコロナ」という目標が実現不可能なナンセンス、非論理的なものとなります。病気にかかったヒトに「病気の予防」を説く様なものです。With Coronaとしてどのように共存して被害を最小限に留めて行くかが求められる政策になります。その意味では初めから政策目標が誤りであったと言えます。もっとも「ワクチンパスポートを2022年までに導入」が政策目標であったならば恐怖を煽り、ワクチンを強制してパスポートを制度化したEU諸国は政策目標を達成したと言えるでしょう。だから英国などは堂々とwith Corona政策を採り出しているのかも知れません。日本は周回遅れのままいつまで「ゼロコロナ」を目指して終わりのないワクチン接種や自粛を続ける気なのでしょうか。

EU政府がコロナ前の2018年に発表したワクチンパスポート導入のロードマップ

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