しばらくウクライナ情勢の分析から遠ざかっていた間にウクライナ情勢は新たな局面に入ったと思われます。日本のメディアはウクライナについては虚報しか報じないので期待しようもありませんが、海外のサイトなどの情報を考察すると、ロシアはNATOが戦争に直接介入しない事を確認し、本格的にウクライナ戦争をまとめる方向に転じた事が推察されます。
I. NATO首脳会談の結果
2023年7月11日、リトアニアのヴィリニュスでNATO首脳会議が開かれましたが、春季攻勢で大損害を来し、劣勢のウクライナ軍にとって、NATO首脳会議でNATOがロシアとの戦争に加わる決定をすることがグローバリスト陣営にとって喫緊の課題でした。グローバリスト側はNATOを戦争に参加させるために(1)6月6日カホフカダムを破壊(ウクライナが管理するドニプロ川上流のダムを放水し続けていた)し、ロシアが破壊したと主張。(2)ロシアが管理するザポリジャ原発をロシアが屋根に爆発物を仕掛けて破壊して放射能汚染をしようとしていると執拗に主張してきました。下図に示す様に、ザポリジャ原発の原子炉を確実に破壊するには、屋根ではなく、内部の原子炉を直接破壊する必要があります。ウクライナ軍はTOCHKA-U短距離ミサイルに核汚染物を詰めてザポリジャ原発に向けて発射する計画まであった由ですが、ロシアは最精鋭部隊をザポリジャ原発周囲に配置し、徹底的にウクライナ軍の動きを制したために何事もなく過ぎました。
ロシアが(ウクライナがやるよの意)原発の屋根を爆破すると予告するゼレンスキー大統領 IAEAのグロッシ氏は記者会見で「ロシアにその兆候はないが、原発は攻撃すべきでない」と表明
この様な構造の原子炉の屋根に爆発物を仕掛けても意味ない 外から短距離ミサイルで放射能汚染物をぶちまける計画だったという
米国務省序列3位のヴィクトリア・ヌーランドは「7月11日が第三次大戦開始の日である」と5月に開催されたフォーラムで述べ(現在ビデオは削除されている由)、首脳会談までにNATOが参戦せざるを得ない状況を作り出す方策を練っていました。彼女はオバマ時代にウクライナのマイダン革命を実施した黒幕であり、この「人相の悪い極悪女性」が米国民のためでなく、グローバリストの先兵として米国務省で並々ならぬ権力を行使している事実、ウクライナの多くの若者達のみならず、第三次大戦に至った際に犠牲になるであろう多くの人達の生殺与奪の実権を持ち続ける事を神が許している事に私は吐き気を覚えます。しかし神は「この女の第三次大戦を起こさせるたくらみ」は失敗に終わらせてくれた様です。
5月のウクライナ安全保障会議で7月NATO首脳会議(ヴィリニュス)における新展開を予告するヌーランド女子
ヴィリニュスでは表に出ない様々な議論や約束がなされた事は間違いありませんが、明確に言える事は(1)NATOは参戦しない。(2)ウクライナは戦争が終わらない限りNATO加盟は認めない。という結論です。ウクライナがロシアに勝つ事は100%ない、が西側の共通認識ですから「ウクライナのNATO加盟は敗戦処理後」だという認識を示したことになります。
II. 既に終わっていると言い出した首脳達
痴呆が進むバイデン大統領には、側近達も「ウクライナは負ける」という真実を伝えられない様で、記者会見で「ウクライナは既に負けています。」とうっかり言ってしまわない様に「ロシアは既に負けています。」と伝えています。国家安全保障担当大統領補佐官のジェイク・サリバン氏は「米国の軍人がウクライナ戦線に直接参加することはない(no boots on the ground)」と明言し、ウクライナ戦争とは今後距離を置く方針を暗に認めました。ウクライナのゼレンスキー大統領はヴィリニュス首脳会談の結論を「馬鹿げている(absurd)」表現しましたが、会談後に話題になった写真からも明確に伝えられた結論が推察されます。
教えられたまま「プーチンは既に負けてます。」と記者会見で言ってしまうボケ大統領 米国は「援助するけど参戦はしません」と言い切るジェイク・サリバン補佐官
たまたまの図かも知れませんが、誰からも相手にされないゼレ氏 「馬鹿げた結論だ」と言い残して去る。
III. ロシアの攻勢とポーランドの東進
プリゴジン=ワグネルの反乱らしきものは、西側を欺いてロシア軍を再配置する撹乱作戦であったことはほぼ明確になりました。ワグネルの高級将校達はロシア政府と会談調整した後、ロシア軍に編入され、一部はベラルーシに留まり弱体であったベラルーシ軍の補強に使われる様です。というのもポーランドが正規軍をベラルーシ国境に終結させており、NATO参戦が決定されればそのままベラルーシに進撃する構えを見せていたからです。ポーランドは以前報じた様に外国軍傭兵の形でウクライナに万単位の兵を送っており、数千の戦死を数えています。ポーランドの反ロシア思想はソ連時代に多くの領土を奪われて以来続いており、今回のウクライナ戦争を機会に再び20世紀初頭まで領土であったベラルーシを含むウクライナ領のリヴィウ周辺までの奪還を画策していると考えられます。「他国の戦争にヒトを送る」とはそう言う事を意味します。
ポーランド軍がベラルーシ国境に軍を集結させているというロイターの記事(2023年7月21日)
一方、ロシアは10万の空挺部隊を含む精鋭正規軍、900両の戦車をウクライナ東北部のハリコフ方面に終結させており、同部からキエフに向かって新たな攻勢を始めました。ウクライナが大々的に宣伝して南部で大損害を出した春期攻勢の戦力を超える内容で、1979年にアフガニスタンをソ連が侵略した際と同等の戦力です。
100m進むのに4-5名が犠牲になると苦戦を伝えるキエフポスト(2023年7月22日) 欧米供与の戦車群の残骸(既に供与レオパルトなど半数は破壊か?と言われる)
「精鋭ロシア軍が集結して攻勢に出た」とウクライナ情報部が伝えるロイター記事(2023年7月17日)
IV. 今後の展開予想
米軍情報部では既に「戦後処理をどうするか」が検討され始めている様です。ウクライナが形だけでも国家として残るか、残るとしても莫大な戦争費用と戦後処理費用を欧米の巨大資本に搾取され続ける運命にあるでしょうが。ロシアはオデッサを含むドンバス領域を中立地帯を含む親ロシア領域として確保することを望むでしょう。これらの地域には中国資本も大量に投入されることが予想されます。多分日本は復興資金としてまた大金を巻き上げられます。
8月にはBRICS諸国が金を担保にした貿易決済用の新通貨を制定すると言われており、サウジアラビアなど中東諸国も賛成していると言われます。結果的には石油を担保とした米ドル通貨体制(ペトロダラーシステム)が終焉を迎える可能性が高くなってくるでしょう。