rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

「反シオニズム=反ユダヤ」の呪い

2024-04-28 14:49:50 | 社会

2023年12月6日、米国下院は、「反シオニズムは反ユダヤと同じである」という決議894号を可決してしまったことは以前のブログで紹介しました。出鱈目な上に非常に危険な決議であると書きましたが、シオニズムという政治的思潮を民族差別と同義にするという事がどれだけ危険かをこの決議を進めた人達は考えなかったのでしょう。

「反ユダヤ」(antisemitism)は欧米においては法的罰則を伴うある種「倫理規範」としてコンセンサスを得ている既成概念です。23年10月6日のハマスによる「アル・アクサ洪水作戦」に対してイスラエルが「鉄の剣」作戦で対応し、AIが決めた通りに「無差別無配慮」にパレスチナ住民を虐殺している事は前に紹介した通りですが、この無法ぶりに怒り、イスラエルを批難する声が世界中で上がりました。特にイスラエルを「経済と武器」で支援する米国内でのイスラエル批判は、選挙を控えたバイデン政権では困った状況で、何とか「合法的にイスラエル批判を封じ込めたい」という考えがこの決議に表れたのでしょう。それが「法で規制された反ユダヤと反シオニズムを同一と見なす」という出鱈目な決議でした。

民主党左派からは早期から反イスラエルを訴える声が上がっていた

 

ガザ侵攻によるパレスチナ人虐殺は許されないと考えるまともなユダヤ人も沢山います。また「ユダヤ人=シオニスト」決議というのは、「ユダヤ人を見たらシオニスト(虐殺主義者)と見なせ」と強制する決議ですが、「反ユダヤと言われようが虐殺はいけないです。」という決然とした主張には効力がないのです。特に雇用主として労働者を支配できる社会人を黙らせることはできても、自由な意見を持ち、利害関係がない学生たちには無効でした。

2023年4月28日の段階で15を超える全米の大学構内でイスラエルによる虐殺(反ユダヤではない)に抗議する学生が敷地の一部を占拠する事態が発生して、警察隊がこれを排除するために駆り出されています。それは60年代の反ベトナム戦争時の学生運動を彷彿とさせる物です。抗議活動をする学生から犠牲者が出たことで、反戦の声が社会全体に広がり、米国の敗戦に終わるベトナム撤退につながった歴史的事実があります。

大学占拠には警察が動員されて教員まで逮捕される始末

大学占拠はパリの大学にも飛び火

取り締まる警察は催涙弾やテーザー銃と呼ばれるスタンガン(右図)まで使用している。平和的占拠にここまですると必ず権力側が負けるのが歴史の必定

 

民主共和両党をロビイングという「金で支配」する巨大資本、その巨大資本を実質所有するユダヤ人達は、「金で思想を支配できる」と考えています。実際近代米国政治は金によるロビイングで思うまま動かしてきた経緯があります。東西冷戦は「民主主義と資本主義」を標榜する西側が「共産主義と社会主義経済」を標榜する東側に勝利しましたが、資本主義と民主主義は同義ではなく、実は強制を伴う統一的政治こそ資本主義と相性が良い事は中国の発展を見ても明らかであり、巨大資本を支配する「グローバリズム陣営」は中国の様な強制統一政府こそ望ましいと考えています。そのために金でメディアと政治を支配して来たのですが、さすがに「思想」や「想い」「感情」まで「金という共通幻想」で支配することは無理があるのです。「幻想である金」よりも大事なものがあると人間は考えるからこそ「資本論」を軸とした共産主義思想が敗れたという現実を、共産党崩れのネオコングローバリスト達は思い知る必要があります。

占拠が行われている大学では「ユダヤ人学生」も「ユダヤ人だから身の安全が保障できない」とされて、入校を拒否され、オンライン授業を余儀なくされているそうです。ユダヤ人にもいろいろな考えが許されるべきなのに、「ユダヤ人」=「シオニスト」決議のために一緒くたに扱われるのは人権侵害の様に思います。反シオニズム=反ユダヤの呪いと言えましょう。そしてこの呪いは将来的にイスラエル国家の存続にかかわる問題となるでしょう。世界中の人類に「ユダヤ人=虐殺許容民族」というレッテルを決議までして浸透させた傷は深いと言えます。

 

金という共通幻想のために命までは捨てない

 

ロイド・オースティン米国防長官は24年4月26日、これまでで最大となる60億ドルのウクライナ期軍事支援パッケージを発表し、米国はウクライナ軍のため、米国の防衛産業が生産する新しい装備品を購入できるようになると発表しました。「これは、私たちがこれまでに約束した最大のセキュリティ支援パッケージです。これには、ウクライナのパトリオットとNASAMS防空システムのための重要な迎撃機、より多くの対ドローンシステムと支援機器、大量の砲弾、空対地弾薬、保守と維持支援が含まれる」とオースティン国防長官は金曜日の記者会見で述べ、この発表は、バイデン大統領が水曜日に大幅に遅れた950億ドルの追加支援パッケージに署名したことを受けて行われました。しかしこれは、米軍の備蓄から軍装備品を直接引き抜くドローダウン・パッケージとは異なり、装備品を調達するために産業界と契約している「ウクライナ安全保障支援イニシアチブ(USAI)」に該当するため、実際の配備にはかなり時間がかかると見られています。ただこれらのシステムは既に時代遅れであり、ロシアの対電子戦装備の進化によりかなり金をかけて改造しない限り使い物にならないと言われます。要は米国の軍産が調達で儲かるだけの結果なのです。

予算は通したが軍産が儲かるだけでウクライナが勝つ見込みはないと政権は分かっている

追加予算成立に喜ぶウクライナ支持議員「秩序を保て(the house will be in order)」議場で他国の旗を振る議員をたしなめる議長。

予算の使い方を知る彼らは戦場に行くウクライナの若者ではなく、政治資金を配り、これから儲かる軍産にアピールしているのだろう。

 

「お金をあげるからウクライナに行ってロシア軍と戦ってください。」自殺願望の人以外で、こう言われてウクライナに出向く人がどれくらいいるだろうか。戦争に行くと言っても「パソコンのゲームの様に敵と勇敢に戦う機会など実際はほとんどない」のが現実。3週間の訓練で前線に送られるウクライナの新兵達は、最前線に運ばれる途中でロシア軍の砲爆撃を受けて8割以上が死亡か不具者になって終わります。既に万を超えるウクライナ兵達が前線でロシア軍に投降しています。4月13日ウクライナのスラビャンスクにフランスの外人部隊が傭兵として送られたが、ロシア軍の攻撃でほぼ全滅したと言われています。4月21日ロシアはNATO軍から派遣された傭兵が終結しているドニプロペトロウシクのホテルを攻撃し、多くの死傷者が出ました。真偽不明ながらフランスはオデッサに戦闘団単位の外人部隊を送ったと言われていますが、圧倒的に砲爆撃力がロシアに有利な現状では、ロシア軍と戦う前に「死ぬか不具者になって終わり」の確率が80%以上でしょう。太平洋戦争で南方の島に送られる輸送船ごと潜水艦に撃沈されて死んだ多くの日本軍将兵たちと同じで、実際の戦争では統計上でも戦死の6-7割は砲爆撃で戦う前に死亡であり、戦場でただ殺されるのは後2割、勇敢に戦って惜しくも戦死するのは1割にも満たないのが現実です。

フランスはマクロンの宣言通りに軍を傭兵として投入しているようだが、ロシアの攻撃で炎上するドニプロペトロウシクのホテル

 

「お金をあげるからウクライナに行ってロシア軍と戦ってください。」の無意味さが理解できないのは単に軍事音痴なだけですが、今本当に必要なのは追加軍事支援ではなく「停戦に向けての交渉」であることが理解できると思います。

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ゴルゴ13案件になったネタニヤフ暗殺

2024-04-15 09:57:46 | 政治

さいとうたかお氏の長編コミック「ゴルゴ13」は精巧な長距離射撃のみでなく、不可能と思われる条件で暗殺を遂行することでも評価を受けています。政治的な理由から、例えば「時間を指定して事故にみせかける」とか、「自然死に見せかける」といった暗殺を高額な報酬で政府組織から依頼されることもあります。

国際情勢理解の必読書「ゴルゴ13」

 

I.  紛争拡大に向かう中東情勢

 

2024年4月1日のシリア、ダマスカスにおけるイスラエルによる違法なイラン領事館爆撃で、イラン高官や軍人らが死亡した事件を受けて、4月14日イラン革命防衛隊はイスラエルに向けてイラン国内から100機以上の無人航空機爆弾、中距離ミサイル、極超音速ミサイルなど計350発以上を発射し、攻撃しました。攻撃目標は領事館爆撃の発射基地となった被占領パレスチナ南部のラモン空軍基地、ネバティム空軍基地、テルアビブの空軍司令部、ゴラン高原北部のイスラエル諜報基地と言われており、低速の無人航空機の到着に合わせて、より高速の巡航ミサイルや大気圏外から攻撃する弾道ミサイルを同時に目標に到着するよう発射したとされます。

イスラエルは西側が持つ最新のテクノロジーで対抗したが、左図の様に多数のミサイルは「地上に到達した」

 

この攻撃に対して、イスラエル側は現在西側が持つ最高のミサイル防衛システムで対抗しました。つまり、デビッド・スリング、アロー3、パトリオット、アイアン・ドームの重層防御で構成されたイスラエル自身だけでなく、現在地中海沿岸からSM-3ミサイルを発射している米国のアーレイ・バーク級駆逐艦も参画したと言われます。結果的にはかなりのドローンやミサイルを撃墜したと言われますが、100%ではなく、特に弾道ミサイルの撃墜はほぼ不可能だったようです(大気圏外で破壊しただろうと言われているビデオは単にミサイルの多段ロケットの切り離しが見えているだけで、撃墜したミサイルとされている画像も中段のロケットの破片に過ぎません)。つまりハマスなどが発射する低速のロケット弾はアイアンドームなどで撃墜可能でもイランの持つミサイル群には歯が立たないという結果でした。ウクライナにおいてもロシアの発射するミサイルに対して現在はほぼノーガードの状態で重要インフラが次々に破壊されていますが、準備万端のイスラエルにおいても本気で攻撃してくる相手には現在の西側ミサイル防衛システムは歯が立たないという結果が出た事は、米欧にとって非常にショックだったと思われ、今後軍事関連分野で多くの議論が巻き起こると思います。

ペペ・エスコバル氏の今回のイラン反撃についてのまとめ(引用)

これは非常に計算されたショーでした。イスラエルは、アメリカの諜報機関からの情報で、戦闘機や要員を避難させるのに十分な時間を得ていました。その後防衛戦略を調整する多数のアメリカ軍レーダーが当然の如くイスラエル防衛に参画しました。

185機のシャヘド-136無人偵察機の群れの大部分を、艦載防空から戦闘機まで、あらゆるものを使って粉砕したのは、アメリカの火力だった。残りはヨルダン上空で、小さな王様の軍隊によって撃墜され、その後、何十機ものイスラエルのジェット機によってこれら先発隊のドローンは撃された。

イスラエルの防衛は、自爆ドローンと弾道ミサイルのコンボによって事実上飽和状態にあった。弾道ミサイルの面では、イスラエルの防空網の密集した迷路を突破したものもあり、イスラエルは公式にイランの弾道弾9発が目標に達したと認めたが、興味深いことに、その全てが極めて重要な軍事目標に命中していた。

今回の反撃をショーとして眺めると、破格の予算がかかったショーだと言えます。イスラエルにとっては、アメリカ、イギリス、イスラエルのジェット機の価格は考慮しなくても、多層的な迎撃ミサイルシステムだけで、少なくとも13億5000万ドルを消費させたと、イスラエル当局者は暴露しました。イランの軍事筋は、無人機とミサイルの一斉射撃の費用を、イスラエル側支出の2.5%にあたるわずか3500万ドルと計算している。

(引用終了)

地中海に展開する米アーレイ・バーク級の最新型ミサイル駆逐艦 6か月経っても虐殺以外目標を一つも達していないイスラエルは「完敗」という声も内部で出ている。

これ以上の紛争拡大を米国は望んでいない

 

II.  米国防省のさる高官からゴルゴ13への依頼

 

高官「さすがに時間通りですね。」

ゴルゴ「私は一時間以上前から来ている。そのまま後ろを振り向かずに話してもらおう。」

高官「最近のイスラエルの情勢についてはよくご存じかと思います。我が国としても今後の成り行きに大変憂慮しています。」「つまり我が国としてはこれ以上の拡大は望んでいないのです。」

ゴルゴ「取り除く対象はビビ(ネタニヤフ)ということか?」

高官「その通りです。」

ゴルゴ「お前たちの組織(CIAとか)を使えばさほど難しい事ではないだろう。」

高官「確かに現在紛争拡大の中心になっているのはネタニヤフ首相ですが、・・」

ゴルゴ「奴一人を始末しても、国民の70%が戦争を支持し、アメリカ国内にも紛争拡大を望む勢力があるということか。」

高官「ご存じの様に強力な資金力のあるAIPAC(イスラエルロビー)にバイデン政権の民主党のみならず、共和党も逆らうことができません。しかも国務省を中心とするグローバリズム陣営は米国の国益よりも現在の資本主義支配体制の継続のために第三次大戦への拡大をウクライナ戦争以来目標として、わが米軍を戦地に送ることを画策し続けています。」

ゴルゴ「国防省としては、従えない。」

高官「我々の分析では、現在の米軍の戦力では通常戦力でウクライナ開戦時より130%強力になり、実戦を積んだロシア軍にはかないません。しかも海軍の戦力は紅海のフーシ派が持つ無人システムを無力化できませんでした。そしてイスラエルではイランとミサイル戦になっても基地を守り切れないことが明確になりました。後は核ミサイルを打ち合うしかなく、そんな戦争に国益はありませんが、わが軍の無力を政権側が理解できていない。正しい情報が伝わらないのです。」

ゴルゴ「では俺にどうしろというのだ?」

高官「ネタニヤフを排除していただきたいのですが、政権内部の犯行、つまりリクードの強硬派が内部分裂をした形でこの紛争を終わらせて欲しいのです。ここにネタニヤフの行動予定があります。クネセト(イスラエル国会)を離れて地方部隊に行くときがチャンスかと思われます。困難な任務であることは承知ですが、これはあなたにしか頼めない。どうか、お引き受けいただきたい。」

ゴルゴ「承知した。やってみよう。」

高官「おおっ!お引き受けいただけるか、これで米国は助かる。報酬はただちにいつもの口座に。」

2-3年後には劇画化されているかも?

 

追記:2024年4月19日

米国時間18日イスラエルはイラン中部イスファハンにミサイル攻撃?による報復を行った模様です。バイデン政権には事前通告があったらしいという報道もあり、今後の展開、紛争拡大が危惧されます。米国はイランへの報復をあきらめる代わりにパレスチナ・ラファへの攻撃を容認したのではという疑惑が記者会見でも問題になっていましたが、イスラエルに押し切られた形でしょうか。

イスファハン近郊にはイランの核施設(ナタンツ)があると言われる。

金や原油価格は反応して高騰したが、落ち着きを取り戻したという報道も。

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AIを用いたイスラエルのガザ市民虐殺のメカニズム

2024-04-11 15:16:39 | 社会

半年に及ぶイスラエルのガザ侵攻は、3万5千人以上のパレスチナ人虐殺を生み出しています。イスラエル政府は2023年10月7日以降のガザ侵攻作戦「Operation Iron Sword」はハマス掃討が目的であって、パレスチナ住民の殺戮は目的ではない、市民を守る努力はしている、と発表していますが、その根拠などは明確ではありません。2024年4月3日に+972というサイトユバール・アブラハムというジャーナリストがAIと連動したイスラエルの標的選別、攻撃システムを明らかにし、既にCNNやガーディアンなど海外のメディアで大きく取り上げられました。前回の記事で、ガザではAI兵器が実験場として使われている事は紹介しましたが、作戦遂行のシステムとして既にAIがその中心になり、ヒトはAIの手足になっている事、ヒトが一つ一つ細かく攻撃の判断を下すCOIN(Counterinsurgency対反乱戦)ではなく、大量虐殺につながる通常戦法を何故イスラエルが採っているかの解明にもなっているので以下要約を示します。

イスラエルが作戦立案にAIを用いている事をとりあげたGuardianとCNNの記事

 

I.  AIによる群衆からのテロ工作員の選別( Lavender system)

 

イスラエルは230万人分のガザ住民のSNSや携帯電話履歴などの情報を全て集めて(米国でもDIA、CIAなどが既に行っているという)ラベンダーという人工知能システムを用いて機械学習アルゴリズムによって選別し、ハマスとパレスチナ・イスラム聖戦(PIJ)の工作員37,000名を攻撃対象として割り出したと言います。選別には情報に基づいて各人を1から100のレベル評価を行い、攻撃対象とする閾値を設定して人数を割り出す方法が取られます。コンピューターのエラー率は10%と言われ、与えられた条件でも全くテロと関係がない無実の市民が10%(救急隊員やボランティアなど)殺害されるのですが、機械の限界だから「仕方ない」で済まされます

全住民をコンピューターによって点数化し、工作員リスク評価を行い閾値を変えて攻撃目標数を定める

 

II.  攻撃目標の居場所特定(Where’s Daddy)

 

攻撃対象がどこにいるかは、Where’s Daddy「パパはどこ?」というシステムで特定されます。携帯の位置情報や顔認証などで追跡されますが、攻撃は主に移動中ではなく動かない「自宅」在中が狙われます。この際、家族や子供が犠牲になることは「全く問題ない」とされます。本人が既におらず、家族だけが犠牲になる場合も多数ありますが、これもシステム上問題ないとされます。攻撃対象となる人物の携帯が治療などで複数病院にあれば、病院をハマスが利用しているとして当然攻撃対象となるでしょう。既に本人の携帯ではない(ハマスは頻繁に携帯を変えると言われる)場合も多いでしょう。イスラエルが執拗に病院を攻撃する背景はここにありそうです。

巻き添えで亡くなった全ての人に家族があり、人生があり、未来があった事を絶対に無視してはいけない

 

III.  攻撃作戦作成システム(Habsora=Gospel福音 system)

 

攻撃目標が特定されると、イスラエル軍に爆撃命令が下されますが、具体的な作戦命令書は「福音」と呼ばれるコンピューターシステムで作成されます。一度の爆撃で一人を攻撃するのではなく、地域を特定し、複数の攻撃目標を定める「Broad Hunting」を行う攻撃命令を作成します。下級工作員には精密誘導弾など使用せずダム・ボム(無誘導爆弾)が使用され、一緒に殺される民間人の犠牲(Collateral damage)は15-20人までは許容されます。実際にヒトが命令実行に関与するのは攻撃対象が男性であることを確かめること程度で、それ以上の詳しい分析は人手がないので不可能(メクラ判)という事です。しかし家にいる家族はほとんど女性と子供です。民間人犠牲者の半数以上が女性と子供である理由はここにあります。

攻撃対象が上級工作員の場合は、民間人の犠牲は100-300人まで許容されます。ハマスのガザ中央旅団司令官アイマン・ノファルを暗殺するため、軍は 10月17日、ノファルの不正確な特定に基づいて、アル・ブレイジ難民キャンプへの空爆で約300人の民間人の巻き添え犠牲を承認したとされます。

大物殺害を伝えるイスラエルの報道(日本語訳)   精密爆撃ではなく広範な大量破壊を行います

 

自動AIを用いたガザ市民虐殺のメカニズムをまとめると以下の様になります。

 

IV.  データ階層社会における無用者階級の扱われ方

イスラエル国防相はパレスチナ住民を動物と公に断言

2018年12月のブログでイスラエルの歴史学者(世界経済フォーラム御用達)ユバル・ノア・ハラリ氏の提唱するデータ階層社会、つまりごく一部のエリートがロボットやコンピュータを支配し、遺伝子工学を使って自らを超人類「ホモ・デウス」に高める一方で、残る殆どの人達はAIよりも能力が劣る無用者被支配階級として生きて行く社会概念を紹介しました。空想の産物と思われた概念も既にイスラエルでは現実としてガザのhuman animalとされるパレスチナの人達に当てはめられているのです。私は「ふざけるな!」と思っていますが、異を唱えない人は既にこの概念を受け入れ、自分はエリート側(ユダヤ人以外は無用者階級なのですが)と勘違いしていると言えます。

イスラエルの異常さ、特にシオニズムの悪魔性、感情を持たないAIに人間が命令され、多くの人の運命がAIの自動計算で既に決められてしまっている現実。強力な資金力を持つAIPACというシオニズム極右集団に支配された米国政治、そこにネギを背負って満面の笑みで訪問する我が国の首相。何も感じないなら、あなたは阿呆だ。

米国AIPACのホームページから

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V1(Fiselar Fi103)1/72 airfix, V2(A4) Takom 1/72

2024-04-07 13:28:57 | プラモデル

第二次大戦においてゲームチェンジャーにはならなかったものの、次世代の兵器体系の基準となったナチスドイツの革新兵器の二つを作りました。パルスジェットで自動飛行するV1は後の巡航ミサイルに、成層圏にロフテッド軌道で打ち上げられて迎撃不可能な状態で落下爆発するV2は弾道ミサイルの原型になったことは言うまでもありません。

博物館に展示された発射台上のV1とV2 V2は黒白の実験用の塗装

両者の特徴と違いを表にまとめました。それぞれ基本的な戦術思想の違いが明らかですが、V1は無人航空機爆弾として空軍が、V2はロケット砲弾として陸軍が担当しました。敗戦近いナチスドイツにとってどちらが有益であったかは判定し難い所ですが、コストパフォーマンスはV1が圧倒的で、パルスジェットという容易な作りのエンジンはyou tubeの「でんじろう先生の簡単な実験」で再現できるほどです。

構造はV1の方が単純だがよく考えられていると思う。

Vはvergeltungswaffe(報復兵器)の略で、宣伝相ゲッペルスが対英報復を目的に命名したとされます。同じく負けつつあったロシア戦線に使うつもりはなかった様で、実際にロンドンなどの英国都市部以外は、アントワープなどの欧州都市部には使われましたが、広大なロシア戦線には戦術として命中精度の点で使い物にならない物でした。敵にとってはどちらも厄介な兵器ですが、V1は迎撃可能なだけに高速戦闘機や対空砲火で応戦せねばならず、V2が爆弾量が全重量の10%以下であるのに比してV1は全重量の40%が爆弾という極めて効率の良いペイロードを実現している点、そしてパルスジェットの特徴的な爆音が鳴り響くとどこに落ちてくるか分らないという心理的効果を含めて「報復効果」はV1の方があった様に思われます。V1は撃墜しても地上で爆発するのでたまりません。第二次大戦末期は、連合軍も無差別爆撃をしており、この報復兵器も軍、民間を問わず無差別殺戮兵器でしかありません。戦術的には破綻した兵器と言えます。V1に対して、現在の自爆ドローンの様な無線操縦であれば妨害電波で操縦不能にしたり、逆転させて敵に向かわせる事も可能かもしれませんが、高圧空気とジャイロを用いたプリセット自動操縦であり、小型モーターなどは一切使用していなかったため、銃撃の他、飛行中の翼を叩き落とすなどする他飛行を止める手段がなかったと言われます。

V1飛行姿勢のものしか作れないので他社のスタンドを流用

モデルはV1V2共に部品点数も少なく、作るのは簡単でしたが、意外と塗装が面倒でV1は下面ライトブルーに上面はダークグリーンとグレーグリーンの迷彩、スライドマークは他の模型で余っていた物を、実機を参考にして付けてみました。機首先端のプロペラは自作です。

V2はグレーグリーン、ミドルストーン、FS17875(白)を一応マスキングしてから筆塗りしたのですが、スプレーの方が良かっただろうと思います。墨入れはペン型のガンダムマーカーの様な物を使ったのですが、筒状の物には描きにくく、どうも手書き感満載になってしまいました。大きさ比較のためにハーフトラックと並べてみました。

V1の方が小型で報復兵器としてのコスパは良かったようだ。

 

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新兵器実験場としてのガザとウクライナ

2024-04-04 11:24:21 | 社会

いつの時代も戦争は科学技術の進歩とともに兵器や戦術が発達してきました。特に国を挙げての総力戦はあらゆる力を戦争に勝つ事に費やすため、技術の進歩が速くなります。それは2年も継続しているウクライナ戦争においても顕著で、ウクライナ戦争が始まった時と現在では軍の戦い方自体も変化しています。以下にメディアで紹介されているいくつかをまとめます。

 

I.  ISR(情報、監視、偵察)におけるスマホの活用

 

米軍やフランス製のNATO側火砲は、衛星からの情報を基にして照準を定める物が多いため、ウクライナ軍は戦場で独自に開発したアプリを基にドローンと連動したタブレットコンピューターやスマホアプリから照準を誘導できるシステムを開発して使用しています。ロシア側が妨害電波などで衛星からの直接照準を妨害しても簡単なアプリでシステムをアップグレードでいるフィールドモデルを構築していると言います。

ロシア軍のGPS攪乱用電波システム     ウクライナ軍のスマホを活用した目標探知システムは評判が高い

 

II.  自爆ドローン、デコイドローン、ドローンからの攻撃

 

第二次大戦で観測用小型飛行機(連絡機)や気球が果たした役割を現在は数十万円の高性能無人ドローンが果たし、しかも離陸などの場所も不要でエンジンを使わないので隠密行動可能な上に高性能、操縦も容易です。高額な防空ミサイルシステムも、初めにデコイを飛ばして対空兵器を消費させてから実弾を後から発射するなどのトリックをウクライナ、ロシア双方が使用しているので、「対空ミサイルで全てを撃破した」という嘘の発表を頻繁に耳にしますが、全て「インチキ」であり、「沢山ミサイルを打った方が常に勝っている」(ほぼロシアの一人勝ち)が真実です。

ISRに革命をもたらした携帯ドローン

2,022年開戦当初は、ドローンで位置を把握して、高性能のジャベリンなど対戦車兵器を駆使したウクライナ側が多くのロシア戦車を撃破した事は事実で、ロシアがSMOから対称戦に戦術を変えた2023年からは圧倒的にウクライナ側の犠牲が増加しています。ISRが全て明らかな戦争においては、防御を固めて攻撃してくる敵に圧倒的に大量の砲爆撃を加えた方が常に勝つのです。ウクライナ側はマリウポリ、ソレダル、バフムトで防御戦を行いましたが、攻撃してくるロシアに圧倒的な砲爆撃を加える事ができなかったために包囲持久戦に持ち込まれたロシアに最終的には負けました。

非対称戦でも相手が高性能兵器を持っていると勝てない。

逆に2023年夏のウクライナの反撃では、ロシア側の強固な防衛線に突進して部隊が包囲される形で引き込まれた後に圧倒的な砲爆撃で全滅させられるという愚策を繰り返しました。突進して第一防衛線を破った時に「ウクライナ軍反撃に成功してロボティネ解放」などという虚報を何度西側が大騒ぎで報道したか、記憶に新しい所です。南部ドニエプル川の中州や、クリミア半島のロシア占領地にウクライナ軍の部隊が上陸といった勇ましいニュースも良く流されましたが、彼らの平均寿命は3日と言われており、宣伝効果のみのために100%戦死し、ロシアには痛くもかゆくもない無駄死であり、さすがに現在は行われていない様です。日本の軍事専門家で「宣伝のための無駄死特攻作戦」を強く批判した人をメディアで見たことがありません。彼らは本当に専門家なのでしょうか?(現在は散発的な都市部ミサイル攻撃や、ISを名乗る傭兵による劇場無差別テロなどをしているようだが、ロシア人の結束を固める逆効果になっている)

ドニエプル河に拠点を作る作戦については昨年秋以降もう報じられなくなった

 

III.  既存の兵器の改造による高性能化

 

ウクライナ軍による対艦ミサイル「ネプチューン」の改造や、無人攻撃艇、無人潜水艇などは確実に一定の戦果を挙げてロシア軍に対応と艦艇の行動制限を与えています。M777重りゅう弾砲やM142多連装ロケット砲(HIMARS)の活躍は西側メディアでも取り上げられた通りで対称戦でも大きな戦果を挙げました。しかしロシア側の「爆弾を滑空爆弾に変える簡易装置」は、現在超強力な3t爆弾を急ピッチで製造しているロシアがこれを滑空爆弾として使用すれば、西側がこれに対抗するには戦術核しかなくなります(西側は作っていないので)。西側のいかなる高性能兵器も大量の古典的爆弾の猛攻撃に耐えることは100%無理です。NATOは正規兵をウクライナに投入しようとしている様ですが、優秀な軍人だろうが、武装していようが、圧倒的砲爆撃で大量虐殺されるガザの住民と同じ運命に遭うだけです。核を使わなくても確実にNATOに勝利する手段をすでにロシアは手にしている事を、「早く停戦交渉をしろ」と意見表明している西側の軍事専門家は理解していますが、「グローバリストの言いなりである政治家とメディア」は自分が死ぬわけではないので考えを変えません。

確実にゲームチェンジャーとなった安価な滑空爆弾装置

 

IV.  対称戦では少数精鋭は通用しない

 

高性能兵器が古典的爆弾の猛攻に耐えられないことは上述しましたが、欧米はゲリラや小国相手の戦争ばかり行ってきたため、戦車や火砲、航空機も全て高性能化しすぎて機構が複雑になり、修理保全などのメンテナンス体制や体制づくりのための教育など時間と予算が高額になり、兵力増強を短期間に行うことは不可能です。またM777は連日使用でライフルがすり減り精度がすぐ落ちるという欠点が露呈しています。これらを受けて米国は新型高性能長距離砲の発注を取り消したと言われています。つまり弱小国相手の戦争に勝ててもロシアや中国を相手にした総力戦は現在の欧米兵器体系では負けることが今回のウクライナで明確になったのです。

GPSと連動して照準するフランス軍のカエサル自走砲(あまり使い勝手は良くない)

V.  ガザの非対称戦におけるAI兵器の発達

 

ガザでは昨年10月以来非武装のパレスチナ住民や小銃、手りゅう弾程度の武装をしたハマスを相手にフル近代装備のイスラエル軍が一方的な殺戮を続けています。それでも地下や隠れる場所の多い市街戦ではイスラエル軍の犠牲も強いられ、また非武装の市民を殺すことには例え「宗教上の赦し」が出ていると説得しても平和で文化的な生活をしてきた予備役兵たちには心理的抵抗があるはずです。そこでAIを活用したロボット兵器が積極的に虐殺に使われていると言う報告が出てきています。それは近未来ディストピア社会における市民制圧のモデル展示場の有様だとも言われます。武装ロボット犬や顔認証機能と結合したドローン狙撃銃といった兵器が展示場の如く使用されていると言われます。

無辜の民を殺すにも良心の呵責が少ないこれらの兵器は今後需要が高まる(まだイスラエルを応援しますか?)

 

VI.  戦術変更ですでに変わり始めた世界

 

イスラエルのガザ虐殺に対抗して、イエメンのイスラムフーシ派が、紅海を通過するイスラエル支持派国の船籍民間船に攻撃をかけて、事実上「スエズー紅海航路」を封鎖してしまっているのは周知の通りです。米軍は巡航ミサイルなどでフーシ派の拠点を攻撃しましたが、ドローンなど基地を必要としない攻撃部隊はGPS機能を駆使してどこからでも攻撃可能であり、高価なミサイル攻撃は意味がなく、非対称戦において弱者が勝利する戦術のモデルケースになっています。フーシ派は無人潜水艇も所持していると考えられ、米海軍も近づけない状態です。攻撃前一日のスエズ運河を通る貨物船は56隻、タンカー23隻だったものが、この3月には一日貨物船28隻、タンカー14隻に減少し、通過しているのは攻撃対象にならないロシアやアフリカの船だけになっている由で、特にコンテナ船は喜望峰を回ると10日かかるため、今後海運の不足が確実に表れると考えられます。シオニズムは残虐なだけでなく、シオニストの利益のために世界中の一般民衆が迷惑している事をもっとメディアは報ずるべきでしょう。

2024年4月4日、ミャンマーの反政府勢力(挙国一致政府NUG)は首都ネピドーの政府軍軍事目標を無人機で攻撃したと発表し、政府軍はいくつかのドローンは撃墜した様ですが、被害も報告されています。安価な自爆ドローンは非対称戦の戦術を大きく変化させることは間違いなく、今後は高価な遠距離からの精密極超音速ミサイル攻撃よりも進出気没な安価な自爆ドローンの方が、コストパフォーマンスが明らかに良いと言えるでしょう。「金と権力を持つ方が常に勝つ」という時代は終わるかも知れません。

 

VII.  防衛費倍増の日本は効率的な兵力増強できるか?

 

明治維新において、薩長、幕府ともに兵器が必要となってグラバーなどの欧米の武器商人はクリミア戦争や南北戦争で不要になった大量の武器を日本に売りつけて大儲けをしました。日本は大量の金銀や美術品などの国富を失う結果になります。「ウクライナはロシアに侵略された」「ロシアや中国の軍備増強に対抗するべきだ」と日本は米国からミサイルや新型兵器を大量に購入する契約を結ばされた様です。

戦争は急激な兵器と戦法の進化を促します。従来の戦術思想から古く高価な兵器を言い値で買わされる愚を日本は再び演ずることはないのでしょうか。憲法を改正し、高く買わされた兵器で欧米の鉄砲玉として中露と戦争させられて日本人が大量に死ぬという「欧米から見て笑いが止まらない」悲劇(喜劇)を絶対に避ける「覚悟と賢さ」を今の日本人(特に若者)は持っているのか心配です。

幕末に火縄銃よりは高性能だったが、欧米で不要になった余り物を日本は大量に買わされた。多くは前装式のエンフィールド銃やライフルのないゲベール銃で、後装式のスナイドル銃(エンフィールドの改良型)や連発ができるスペンサー銃(北軍が多用した)は少なかった。日本は欧米からまた高額で「いらんもの」買わされないだろうか。

 

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警察が取り扱った遺体がなぜ増えたか?医師からの視点

2024-04-03 14:35:05 | 社会

共同通信は2月26日に、2023年に警察が取り扱った遺体数の集計を警察庁のまとめとして報道しました。図によると、扱った遺体数は2022年から2万人以上増加しており、23年は22年よりも2,561体多い198,664体だったということです。

 

I.  超過死亡と共に増加する異常死体数

 

2022年からの爆増は、日本の総死亡数の爆増、超過死亡の増加と比例していることが分かります。つまり、増加した死亡者の約10%は異常死体として扱われた人達であるということです。この警察が扱う死亡の内訳は23年の場合、犯罪による死亡が明らかな遺体が354体、犯罪による死亡の疑いがある変死体が1万9415体、病死などの可能性がある「その他」の遺体が17万8895体だった。司法解剖を実施したのは1万99体、と報道されていて、事件性のない「その他」が圧倒的に多いのです。医師として救急患者を扱っていると、交通事故、刃物による自傷、縊頚、薬物中毒による死亡など明らかに警察を呼んで検死が必要な場合もありますが、24時間以内に医療機関を受診していないが、何等かの病気で亡くなったと思われる場合や高齢者の入浴中の溺死と思われるものなど、事件性はないものの死亡診断書ではなく検案書の記載が必要で警察への届け出を要する場合も多く経験します。これが「その他」に相当します。

異常死体の増加と年間死者数の増加は比例していることが明らか。(右は厚労省の人口動態速報からのまとめ)

 

II.  心肺停止状態で搬送される患者が増加している

 

私は病院で亡くなる患者さんの死亡診断を「医療の質」の面から検証する委員を10年行ってきましたが、数年前までは一月に20~30件ほどであった死亡診断が、この2-3年は週10件を超える事が多く「多死の時代」を実感してきました。年齢的には80台以降の高齢者がやはり多いのですが、病院で長く入院した後に亡くなる人よりも心肺停止で救急搬送されて死亡診断され、死亡時CT(Autopsy Imaging)や血液検査で死因を特定する例が増加しています。また入院して数日から2週間以内になくなる進行癌(初診時からの「いきなり進行癌」と言っている)も増加していて、これは60代以降に多い印象があります。若い人に多いはずの急性骨髄性白血病が高齢者に見られる事(リンパ腫は以前から比較的高齢者に多い)も特徴で、血液系のガン増加が危惧されます。

厚労省の「がん死亡統計」から増加したがんと減少したがんの表(死亡数なので罹患数は別と思われます)

 

長年亡くなった方の検査値やCT画像を見ていると、死因を特定する検査の見かたも心得て来ます。種々の状況から亡くなる直前のその人の生活がどうであったかなども分かります。引き籠りでnegrect状態であった中年男性や精神疾患で社会から長期断絶していた女性など通常の生活では見られないような亡くなり方をすることもあり、社会のありようを考えさせることもあります。いつか個人情報に配慮した上で本にまとめようかとも思っています。

 

III.  やはり免疫状態の異常が起こっている印象

 

異常死体の中で増加しているのは、検査や画像に「死に至る異常」が見つからない、或いは異常はあるが「普通これでは死なない」程度の肺炎などで亡くなっている例が増加していること。そして1-2週前までは普通に生活していたのに、数日で状態が悪くなり、検査すると治療しようのない進行癌が見つかる「いきなり進行癌」患者が増加している事です。これらは小児で感染症が異常に流行していることと相まって社会全体が「免疫状態の異常が起こっている」という印象です。この1-2年で社会全体に免疫状態の異常を来す原因は一つしかありませんが、これはいままで散々説明してきたのでここでは言及しません。

 

IV.  サプリは年数人の関連死疑いで大騒ぎ?

 

小林製薬の紅麹(こうじ)原料を含む機能性表示食品による健康被害を巡って、厚生労働省は3月29日、腎疾患の原因と推定される成分が「プベルル酸」の可能性があると同社が報告したと発表しました。プベルル酸は抗菌作用がある物質だそうですが、腎毒性の機序については明らかにされていません。問題は腎機能が廃絶しても「透析」すれば死亡することはないのに、腎毒性のために死者が出ている事です。死因特定をしてきた立場からは、「肝腎症候群」といって腎機能、肝機能がともに悪くなると死に至る事がありますし、敗血症などで多臓器不全に至ると腎機能を補っても死亡する事が多いです。明らかな腎毒性物質であれば、接種した人全てに腎機能障害が出ているはずですが、一部の人に出ているとすれば、その物質に対するアレルギー反応による腎炎や肺臓炎などで自己免疫的な機序で重い臓器障害が出た可能性があります。腎障害の所見が間質性腎炎であったという報告もあり、アレルギーの関連が示唆されます。しかし数人の関連死でこれだけワイドショーなどで毎日大騒ぎすると、2000人以上の関連死が推定されている「アレ」を問題にせざるを得なくなる、「赤いニシン」で注意を逸らす目的なのに「藪蛇を叩く」ことになりませんかね。超過死亡や異常死の増加は「サプリが原因でない」ことだけは明らかなのですが。

問題の大きさを考えると叩きすぎ、騒ぎすぎの感がある。藪に隠れた本命は別にあるでしょ?

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