2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃(アル・アクサ洪水)以来、イスラエルはガザに対してハマス殲滅の目的でほぼ無差別と言える攻撃を1年続けてきました。現在4万人を超える主に女性や子供の民間人死傷者が出ているにも関わらず、ハマスのイスラエルに対する反撃は収まっていません。2024年9月、新たにイスラエルは北に国境を接するレバノン・ヒズボラへの攻撃を強めていて、戦闘が収まる気配がありません。この戦闘は2006年のハマス、ヒズボラへの2正面戦争に類似してきており、2006年の時は約2か月の戦闘で100名以上のイスラエル兵の死亡、レバノン側は激しい空爆で市民を含む900名が死亡し、3000名が負傷、1/3が子供であり、国際的に大きな批難を受けることになりました。
現在のイスラエル2正面戦争は2006年の再現になりつつある。
I. 用意周到なヒズボラへの攻撃
2024年9月27日イスラエルはレバノンの首都ベイルートに激しい空爆を行い、住宅地地下のヒズボラ拠点を攻撃しました。同日国連総会に出席しているネタニヤフ首相は各国の激しい抗議、批判にも関わらず停戦に応ずる姿勢は見せず、世界中から顰蹙を買う結果になりました。レバノンでは9月17日と18日にポケベルや通信機、太陽光発電施設まで多くの電子機器が所かまわず一斉に爆発し、数千名の負傷者が出ました。米国メディアは米情報筋の話として、これらはイスラエル諜報機関のモサドが15年の歳月をかけて準備した秘密工作であると報道、NYTはこれら通信機器のヒズボラへの配布は2023年夏から始まったと報じました。
イスラエルを明確に批判するスピーカーには大きな拍手も起こる。
何故イスラエルが9月17日に攻撃対象を軍に規定せず、民間人や子供まで犠牲になるポケベルなどによる方法で一斉テロ攻撃を行ったかは、諸説ありましたが、現在のレバノンへの大規模な計画的攻撃からは「ヒズボラの準備態勢を崩すための先制攻撃」であったと言えるでしょう。そしてネタニヤフの国連における執拗な戦争継続宣言も合わせて考えると、イスラエルはレバノン、イランを挑発し続けて本格的戦闘に持ち込ませ、米軍を中東戦争に巻き込む事を目的としている様です。米軍は陸軍を中東戦争に参加させる計画はありません。それはウクライナへも同様で、NATO参戦につながるロシア国内への長距離ミサイル使用は英国は許可しそうになりましたが、米国は明確に否定しました(珍しくバイデンが英国からやってきたスターマーに激怒し、ゼレンスキーも適当にあしらわれて帰された)。装備、兵員の状況からも無理です。それは米軍内部のみならず、国防総省も明確に示しています。現在通常軍備では、イスラエルはヒズボラにもイランにも劣ります。しかしイスラエルには核を使用する奥の手があります。米国としては中東で核戦争が起こる事は看過できないため、イスラエル軍に加勢せざるを得なくなるとネタニヤフとAIPACは踏んでいるのでしょう。
II. 911ではイスラエルが米軍の中東派兵を成功させた
レバノンにおける用意周到な大規模テロ攻撃は、911以来という評価がありますが、米国では911自体をイスラエルのモサドによる用意周到なテロ攻撃であり、結果的に米国をイラク、アフガニスタンに派兵させ、イスラエルの宿敵を排除させることに成功したという分析もあります。2024年9月12日に発表されたワイアット・ピーターソン氏による13000語に及ぶ論考は、当日アフガニスタンの軍病院で透析を受けていたオサマビンラディンと20名足らずの飛行操縦を1から習ったばかりのサウジアラビアの若者があのような緻密に計画されたテロを実行する事が不可能であったこと。911という犯罪を隠蔽するために、準備(ツインタワーの所有や警備会社の所属)、政府対応(政権内に多くのユダヤとネオコン)、事後調査、メディア、法手続きなど細部にわたって全てイスラエルとユダヤ財閥、ネオコン関係者が関与したことを実名付で証明しています。1987年以来WTCの警備契約はテルアビブに本社のあるアトウェル・セキュリティー社が担っており、テロ攻撃の2か月前2001年7月にWTCの所有がNY港湾局から富豪のシオニスト、ラリー・シルバースタインに移っており、彼が1400万ドルしか支払い終えていないうちにテロ攻撃で45億5千万ドルの保険金を受け取り、瓦礫も早々に中国に移送してから処分し、大金を得た事。激突した航空機の空港警備がICTSというイスラエル企業であったこと。飛行機が激突していないWTC7ビルがツインタワー崩壊の数分後には「ここも崩壊するから退避する。」という決定が下されたくだりなど興味深く説明されています。
911後、事件とイラクは全く関係なかったのに「テロとの戦い」という名の下、既定路線の如く派兵命令が下された事は種々の映画などでも紹介された通りであり、大量破壊兵器の存在もでっち上げであったことが事実として証明されています。イスラエルを敵視せず、中東の既存組織を破壊したISの存在や、ネオコン主導でその後展開されたリビアやエジプト、シリアの民主革命(米国・ネオコン寄りの政権を作る)など911以降の展開はイスラエルを利するものであったことは確かです。
III. ウクライナ、中東の今後の展開は?
ウクライナが開発したと言われる新型長距離ミサイルドローンも戦況全体を変える力はなさそうだ。
ウクライナでは、クルスク侵攻は失敗であったものの、ウクライナ製の新兵器(ミサイルドローン)を使ったロシア弾薬集積所への長距離攻撃は一定の成功を見せていますが、戦況を変えるほどの効果はないようです。一方でドンバスの都市がロシア軍に次々と陥落しており、半数以上が平均年齢40歳を超える新兵からなるウクライナ軍の消耗は一層激しくなっています。
米国大統領選はCNNでさえ接戦と評していて、10月に再度CNN主催で討論会を開いて雌雄を決しようとしています。日本は米国から嫌われているから無理かと思った石破氏が自民党総裁に選抜され、ロスチャイルド(麻生)が推す高市(その前は河野だったがあまりの不人気に転換した)は決選投票で13票しか伸びず、いかに麻生が嫌われているかが明確になりました。米国(岸田を切り、菅に小泉を推させた)推しの小泉は中身の無さはカマラ・ハリス並みで、竹中平蔵が米国(ダボス会議)の指示通りに後ろで操るには都合が良かったのでしょうが、落ち目の世界経済フォーラムがヤンググローバルリーダーとして推薦(指示通りに動くコマ)していた河野、小泉、高市にならず本当に良かったです。乱世の2025年を乗り切るには肝の座った石破氏が総理で良かったと心から思います。
トランプが大統領になればウクライナからは直ぐに手を引けると思われますが、米国は政官財メディアの全てにイスラエルとモサドが入り込んでいるから中東紛争はかなり厄介な状況になるでしょう。レバノン、イランはイスラエルの大規模戦争化の狙いを見越して、激しい挑発にも乗らない自制心を見せていますが、イスラエルの挑発は激しくなる一方です。選挙のある11月までが挑発の勝負と見ているでしょうが、イランの新大統領は米国へ非戦闘的態度を示しており、何とか狂ったようなイスラエルの挑発を乗り切れば、世界を敵に回して経済がほぼゼロに転落したイスラエルは自滅の道をたどると思われます。