rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

子離れ(米国)親離れ(日本、欧州、イスラエル)できるか

2025-02-08 15:37:04 | 社会

トランプ政権が開始されて2週間足らずで、各省長官人事もやっと決まりつつある状態でありながら、世界情勢が目まぐるしく展開してそれぞれの意味合いを理解するのも困難な状況です。大きくは、多極化に向かう世界で米国を多極の一極に据えるMAGA(=米国モンロー主義の復活)に進むトランプ大統領陣営と米国覇権維持グローバル(Deep state巨大資本陣営)のせめぎ合いなのですが、圧倒的に権力を持ったトランプが1期目ではできなかった改革を用意周到邪魔される前に手を打って改革を進めている物と思われます。

つまり米国は子離れ(従属国の独立)を指向、従属国は親離れを強いられているものの、それぞれで対応が異なっている状況と言えます。

トランプ大統領と最初に会談をしたのは、イスラエルのネタニヤフ首相でしたが、その反応は「勝手な事はするな」(米国独自の価値観の押し付けはイスラエル権力層=AIPACが許さない)という内容でした。欧州の反応は「我々は独立しましょう」(グリーンランドに防衛軍を送る。ウクライナは独自に対応)の方向ですが、2番目にトランプと会談をした日本は「え?対米独立?今こそ日米同盟強化でしょ?」という多分トランプ的には「それなら米国の要求は全て飲んでもらうよ」という反応でした。以下最近の動きをその観点から纏めます。

英国がウクライナ支援の主導を引き継ぐという2月6日テレグラフ紙の記事

 

〇  CIA(米中央情報局)USAID(米国際開発庁)解体

CIA解体について日本では全く知らないヒトも多いのでは?

米国政府の無駄を省く手始めはCIAとUSAIDの解体でした。CIAは全職員に辞職勧告がなされて早期辞職に応ずればボーナスも支払われるようです。CIA解体は前回のブログで示した様に至る所で反響が出てきている様です。USAIDはCIAのフロント実行組織で、移民や被災民への慈善事業を表看板にした他国政府、メディア、反政府NGOへのCIAの意向に沿ったコントロールを行う組織です。ハイチの地震、ハリケーンへの援助事業は予算の数パーセントしか実際の援助には使用されず、殆どの予算(税金)が中抜き、裏工作、キックバックに使われたと言われます。USAIDは年間6兆円(428億ドル)の予算でコロナウイルス開発を始めとする世界を混乱に陥れる役を慈善団体という名目で邪魔をされずに実行してきました。今後は国務省の一機関として「真に慈善事業に使う分のみ」の予算で運営される予定です。

CIAの手足として動いて来た従属国の(梯子を外された)ポチ達は、現在右往左往し始めている所です。命令を下し、後ろ盾になっていたCIAのボス達が荷物をまとめて母国に帰ってしまったからです。日本、欧州、中東でも国内で大きな動き(力関係の移動)がこれからあるでしょう。

 

〇  ガザを米国が所有し、リヴィエラの様なリゾートに

トランプ氏には珍しく原稿読みで会見 ネタニヤフ首相は満足そうな表情 パレスチナの人達もそこに住むよとコッソリ発言はしている

トランプ大統領と最初に正式に会談した首脳としてネタニヤフ首相と共に会見したトランプ大統領がガザを米国が所有すると言って物議をかもしました。親イスラエル派からは概ね歓迎され、BRICS始め多くの反シオニスト派からは「何だって?」「信じられない!」という予想通りの反応です。

私は頭のおかしなシオニスト「神がパレスチナを数千年前からユダヤに与えた」から何でも許されると言い放つ輩を黙らせるのはトランプが「私が神として君臨しましょう。」くらいの阿呆を宣言する必要があったのだろうと考えています。「妄想には妄想で答える」形式。なぜなら記者会見においてトランプ氏はいつものフリートークを封じて「原稿読み」に徹していました。これは具体的な計画を一切述べず、展望のみ語る作戦であり、実行性の面で「米軍は現状派遣しない」「金はサウジに出させる」「完全停戦が実現してから住民の移住を行う」「エジプトとレバノンが移住を受け入れる」というどれも現状実現不可能な具体性のない展望に徹し、雰囲気だけシオニズムに希望を抱かせる内容にしている所がミソと思われるからです。ネタニヤフ首相としては極右リクードを黙らせる土産を持って帰国できる内容だったでしょう。

会談に際してモサドがヒズボラ攻撃(24年5月19日にヘリが墜落して死亡したイランのライシ大統領もポケベルを持っていた)に使った「金のポケベル」と「普通のポケベル」をトランプに贈ったそうですが、「頭のおかしな集団にはこの答えで」というにふさわしい解答だったように思われます。

 

〇  USスチールは日本が投資する。尖閣は5条の範疇

黄金時代とか持ち上げているけど大丈夫か?

続いて二人目の会談になった石破総理ですが、こちらはネタニヤフ首相と違い、具体的事象について会見で表明、しかしながら「軽くあしらわれたね」という印象。米国は全く損をせず、150兆円の投資を呼び込み、日米安保の口約束で(5条範疇に入る入らないは今まで何度も扇の裏表の様に繰り返された)喜んで帰国するのですからイスラエルに比べて何と楽なことか。対外投資で日本円が買われる事はありません。長期円安確定の約束を日本のメディアはどう報ずるか(売国の度合いが計れる)見ものです。

 

〇  ロシアの政治的要望は受け入れてもウクライナの地下資源は欲しい

ガザ沖の天然ガス埋蔵田(パレスチナの領海にある)  ロシア占領地域に集中する埋蔵レアアース

ガザの所有も本音はパレスチナの海洋天然ガスの奪取をイスラエルが目論んだ事が発端であることはイスラエル情報省の覚書(ハマス襲撃直前に覚書発行)から明らかになっていますが、ウクライナを米国が欲しがるのは特に東部ドンバス地域に埋蔵するレアアースなどの天然資源が目的です。キエフやリヴィウがある西部は主に穀倉地帯であり、それらは既にモンサントやカーギルが利権を握っていてウクライナ国民が所有する農地など残っていません。ロシアは東部ドンバス地域をロシアに併合し、残りのウクライナに親ロシア政権を樹立して中立非武装を宣言させて欧米の利権を追い出しにかかるでしょう。後はディールで農産物やレアアースの開発利権をトランプと協議してウクライナの再建資金に充てる方向で話が進むと思われます。2月9日のニュースではゼレンスキーは慌ててウクライナのレアアース共同採掘とウクライナ支援をリンクしてトランプと協議したいと言い出していますが、「100年遅い!」阿呆です。欧州としては一刻も早くロシアからの安いエネルギー輸入再開を図って、産業復興と物価安定に向かわないと完全にBRICSに経済を奪われる結果になります。

敗北寸前の国がディールできるという発想が余りに阿呆!100年遅い!

 

〇  対米自立をテーマにした「紙の爆弾」

目まぐるしく変わる世界情勢と対米自立をテーマにした「紙の爆弾」2025年3月号が発売中です。rakitarouも「日本だけ続く超過死亡増大」について論考を加えていますので是非お読みください。扉にカラーで掲載された各国の超過死亡統計表を示します。

また来る2025年3月9日(日曜)品川区スクエア荏原(武蔵小山商店街、戸越銀座商店街)にて13:30-15:50「メディア廃棄宣言」を執筆された(反)ジャーナリスト高橋清隆氏を招いて「温暖化とコロナに流されない市民の会」勉強会を行います。参加費1500円でこちらから申し込めます。rakitarouも前座としてワクチンと超過死亡の関連、トランプ後の世界情勢について解説します。交通の便が良い所ですので関心を持っていただける諸兄は是非ご参加下さい。

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「偽情報・誤情報、キャンセルカルチャーと忖度」=現代メディア

2025-01-30 16:12:22 | 社会

中居正広氏の女性問題から派生したフジテレビバッシングは、局の執行部退陣のみならず存続まで危ぶまれる事態になりました。しかし混乱の文春が報じた元情報である「フジテレビ幹部のA氏が食事会をセットしてドタキャンすることで中居氏と女性のみが残る設定をした」が全く偽情報であったことが明らかとなると、10時間に及ぶ「吊し上げ中継会見が必要なモノだったのか?」を含めて出席していたジャーナリスト全員が情報の確認(ファクトチェック)さえせずに責任追及をしていた事が露呈してしまいました。正にフジから広告撤退した空き時間に放映されている「ACジャパン、決めつけ刑事」(嶋田久作氏出演、ハイ人生終了!というキャンセルカルチャー問題も盛り込まれている)の実写版が繰り広げられるという大型バラエティになってしまいました。しかも会見が長引いて中止になったものの記者会見後の番組が「全国女子アナ選手権」的な特番が予定されていたというから完璧です。

ACジャパンの傑作 決めつけ刑事

ヒトも組織も「良い点」「悪い点」があるのは言わば社会の常識に当たるモノですが、一部の悪い点をあげつらう事で対象の存在全てを否定する「キャンセルカルチャー」の流行は社会の幼稚化を表す現象です。上記決めつけ刑事の「ハイ、人生終了!」のセリフに象徴される批判される内容の意義付けや改善の機会などを考慮せずに「全否定」というのは善悪二元論に基づくものであり、携帯という小さい情報提供メディアで結論だけを得る事に慣れた現代人の知性劣化を物語るものでしょう。

 

〇 失敗を社会全体の改善につなげる根本原因分析

Root cause analysisの手法 Fishbone diagram

東京大学名誉教授の石川馨氏は、世界の見本となった日本のQCサークルの生みの親とも言われて、品質管理の向上に多用される根本原因分析(Root cause analysis)を1960年台に築き、それが世界中で建設、航空、医療などの安全管理にも応用されています。To err is human「ヒトは誰でも間違いを犯す」という前提で、個人の責任を問う事はせずに、間違いを犯しても大事に至らないシステムを作るFail safeとかFool proofといった改善が社会の安全に繋がるという思想が大事にされています。ブレーキが自然にかかるとか、逆の接続は端子自体がつながらない仕組みになっているといった事で至る所で応用されています。個人の責任を問わない文化が伸びた一方で「一事を持って全否定につなげるキャンセルカルチャー」が何故全盛になってきたかは主に政治的社会的理由が背景にありそうです。

 

〇  司法の政治利用 娯楽としての公開裁判(炎上)

キャンセルカルチャーは善悪二元論による全否定と安易な娯楽としての公開裁判の意味を持つ

巨大資本でメディアと米国民主党を牛耳るグローバリスト権力層にとって、米国をグローバリズムの中心ではなく、多極化を認め、米国を極の一つとして再構築しようとするトランプ大統領は「政治生命を消したい対象」でしかありませんでした。2020年選挙時の「議事堂襲撃扇動問題」や「機密書類持ち出し」、「ロシア疑惑」、果ては「ポルノ女優口止め料問題」と数々の無理筋提訴でトランプ氏の政治生命を絶つ事をグローバル陣営は試みましたが結局失敗、暗殺も2回試みて失敗し結局トランプ氏は大統領に返り咲きました。CNNのファリード・ザカリアはハリスの敗因の一つが「司法の武器化」に米国市民が拒否反応を示した事だと明確に評しましたが、こういった指摘は日本のメディアで聞いたことがありません。「トランプはレイシスト」「トランプはヒトラーと同じファシスト」「分断を煽る」などという「社会正義に反する」という印象操作による政敵排除を目的としたキャンセルカルチャー発動をメディアは繰り返してきましたが結局失敗に終わっています。

日本のメディアも同様の印象操作を繰り返してきましたが、「社会正義に反する」と規定した「芸能人」や「贅沢な立場にある者」を公開の場で吊るし上げる「公開裁判」は日本のメディアにとって「金のかからないバラエティ」としてワイドショーの時間つぶしにこの10年以上使われてきたネタと言えるでしょう。今回のフジテレビの一件はその「悪しき集大成」と言えるように思います。メディア全体が「安易な自らの在り方」を真剣に反省し、新たな「ジャーナリズムの規範」を作って立ち直れるか否かに既存メディア再生存続の可能性が問われていると私は思います。

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米国の外交は米国が決める(by Trump)

2025-01-18 14:01:24 | 社会

次期米国大統領のトランプ氏就任まであと数日になり、就任式の会場が急に屋内に変更になるなど無事に就任自体が行われるか注目される所です。またLame duck状態のバイデン政権が、ウクライナにロシア本土攻撃を米国製ミサイルやドローンで行う事を許可する(米軍情報機関のバックアップが必須)などトランプ就任後の行政へ様々な妨害工作をしている一方で、パレスチナ停戦合意、カナダやパナマ運河を合衆国の管轄にするとか、グリーンランドを買収するとか既に多くの話題を次期トランプ政権は打ち出しています。それらの実効性は未定ですが、これらの新たな外交政策に共通して見られる根本思想は「米国の外交は米国が決める」という事だと思います。イスラエルへの無条件の支援は主権の放棄だという論考で述べた様に、バイデン政権のイスラエル支援は自国内のみならず国際社会を敵に回し、国益を無視した「イスラエル隷従」でしかないものです。他国を支援・干渉するにしてもそこに米国の国益がなければ意味がありませんし、隷従支援のために国内の反対意見を取り締まる法律まで作るようでは完全な主権放棄と見なされても良いでしょう。これらトランプ外交の実効性については、メディアなどでは様々な意見が出されています。多くは悲観的(どうせうまく行かないという反トランプ的期待もある)なものですが、昨年7月の暗殺を免れて「神がかり」の啓示を感じたトランプ氏が失敗を恐れずにレガシィを残す偉業を画策することは大いに考えられます。また反対勢力側もある意味「一定の諦観」を持ってトランプ政権を迎えるであろうことは、選挙結果を見ても明らかだと思います。そこで種々の懸案事項についての見通しをrakitarou視点からまとめておこうと思います。

イスラエル虐殺に武器を送り続けたブリンケン国務長官は退任記者会見で(虐殺長官)などと揶揄される始末

I.  パレスチナ停戦合意

停戦合意についての3段階の概要  この狭い地域を15か月かかってもイスラエルは非武装住民の虐殺しかできず、ハマスの人数は不変という

2025年1月16日イスラエルは正式にハマスとの停戦に合意したことが伝えられました。第一段階は6週間続き、ハマスはイスラエル人人質33人を解放し、イスラエルは最大1,000人のパレスチナ囚人を解放することになっています。トランプ就任式前日から発行される停戦初日には、イスラエル軍はガザの人口密集地から撤退して7日目にはガザ北部への住民帰還が許可されます。また食料や医薬品を積んだトラックの毎日600台ガザ搬入が許可されます。

第二段階でイスラエルはガザから撤退を完了し、エジプトとの国境間のフィラデルフィア回廊に駐留を続ける一方ラファ国境検問所は明け渡す。第三段階では戦争の恒久的終結への交渉を行うことになっています。

トランプ次期大統領は「この壮大な停戦合意は、11月の歴史的勝利の結果としてのみ実現した。この合意は、我が政権が平和を追求し、すべての米国人と同盟国の安全を確保するための協定を交渉するというメッセージを全世界に送ったものだ」と彼はトゥルース・ソーシャルの投稿で述べた、とされます。

彼は、ウィトコフ特使と彼の次期国家安全保障チームは「ガザが二度とテロリストの避難場所にならないようにするためにイスラエルと同盟国と緊密に協力し続ける」と述べ「我々は、この停戦の勢いを基盤に歴史的なアブラハム合意をさらに拡大し、地域全体で力による平和を推進していきます。これは、アメリカ、そして世界にとって素晴らしい未来の始まりに過ぎません!」と付け加えました。イスラエルとしては、トランプの就任式に花を添える形での停戦は「あり」と考えたということでしょう。

 

ベギン、ラビン、ネタニヤフの系譜

イスラエルの二枚舌外交(というより約束を守らない国民性)は歴史では定番

1979年に、エジプトのサダト大統領とイスラエルのメナヒム・ベギン首相はカーター大統領の仲介でキャンプ・デービッド合意に達しましたが、パレスチナに対する自治容認は実行されませんでした。1993年のオスロ合意ではビル・クリントン大統領の仲介で、イスラエルのイツハク・ラビン首相とPLOのアラファト議長がヨルダン川西岸からのイスラエル撤退やパレスチナ国家の成立が合意されましたが、ラビン首相、アラファト議長は暗殺され闘争は継続されました。

一段落置くには良いタイミングか?

今回も恒久的停戦と2国家並存はないだろうと十分予測可能ですが、15か月戦争を続けて1万人の戦傷病者と891名の戦死(うち38名は自殺)、経済は回復に数年かかるほど下降し、米を除く世界から犯罪国家として扱われている現在、ネタニヤフは使用期限切れとして排除し、一度矛を収める事をユダヤの陰の支配者達が決断することもあり得るでしょう。シリアの半分はイスラエルが占領できそうで、トルコと新たな支配者ジョラニらの軍をいなして地盤を固める事も「大イスラエル建国」の準備段階としては重要と考えそうです。

大イスラエル国の範囲(先は長いがシリア領土獲得は大きかった) シリア反政府軍は味方にあらず、早速攻撃対象とするイスラエル

 

2.ウクライナ停戦

 

ウクライナとの戦争に勝ちつつあるプーチン大統領にとって、今譲歩を伴う停戦交渉をするメリットは全くありません。北朝鮮兵の目くらましに西側メディアが翻弄されているうちに粛々と東部戦線で支配領域を広げてゆけば良いと考えているでしょう。北朝鮮兵のニュースについては、未だにメディアの報道どおりではない様に私は思っています。毎日600-800名の戦死者が出ているウクライナで(政府は年間20万人のリクルートが必要と正式に認めている)2-3人の北朝鮮兵と見られる(言葉が話せない負傷をしている)捕虜の映像が、それほど意味があるものには思えません。多数のNATO諸国国籍の義勇兵(一部正規兵)捕虜が明らかにされる方が西側メディア的には怖れている内容ではと思います。

その意味でトランプが「就任24時間で停戦は無理だ」と言ったのは現実でしょう。早期にトランプが大幅な譲歩をして停戦したとなると沽券にかかわります。武器弾薬の供給の窓口を目立たない様に狭めつつ、ロシアの自然な進撃でドネツク・ルガンスク共和国を占領しきった所で残った領土での米国の権益を認めさせた上で脱NATO、非ナチ化、中立化した新ウクライナの存続をプーチンとディールすることになる様に思います。

砲爆撃力の差で消耗戦におけるロシア、ウクライナの戦傷病数は1:8でロシアが圧倒的に勝利しているのが現実

 

3.NATO、EU、グリーンランド

 

プーチンはウクライナの次はバルト三国、ポーランド、西ヨーロッパ諸国にも攻め込むつもりだ、などと威勢の良いヨタを飛ばしていたEU首脳達はトランプが「グリーンランドをよこせ」と逆侵略の意図を聞かされて驚いたことでしょう。各国首脳達は「もごもご・・」と歯切れの悪い反応を示すのが精一杯でした。選挙で国民から選ばれないEU首脳や官僚は単なるグローバリスト権力層の駒でしかなく、昨年来各国で正式に選挙で選ばれる「極右とレッテルを貼られる国民目線の政治家」達に徐々に排除されてゆくでしょう。

グリーンランドについては、領有するデンマークが「住民の意思で決めてゆけば良い」と言い、住民は「売り物ではない」と言いつつ協力関係は拒まないと言っているので、今後協定を結んで基地などの建設が進むだろうと思います。カナダが米国になることはないでしょうが、隣同士の国は協力して経済を盛り上げるのが最も両国の繁栄につながる事は古今東西問わない真実なのでカナダは妥協しつつも良い関係を続けるでしょう(医療保険制度などはカナダが明らかに良いし、住みやすい)。中日、ウクライナ・ロシアも隣国同士経済協力関係が良い方が両国にとって繁栄と幸福につながるのは米国・カナダと同じ。隣国同士を地球の裏側からけしかけて戦争をさせる(divide & rule)のが薄汚い英米欧の常套手段。油断すると飲み込まれるからけじめは大事ですが、他国の鉄砲玉として隣国同士で戦争させられるのは最悪の選択です。

 

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中東はなぜ民主化しない?フクヤマ、ハンチントンの問う民主化の順番

2024-12-19 15:16:55 | 社会

シリアはアサド政権が崩壊し、米国がテロリストと認定したアルカイダ・アル・ヌスラ戦線系のムハンマド・ジャウラニ氏指揮下のシリア解放機構が占領しています。彼はイスラム原理主義とは距離を置いて国際社会に受け入れられる路線に変更し、全てのシリア人のためのシリア国を作ると言っていますが、彼以外の戦闘員たちにそのつもりはなく、早速アサド政権側についていた国民の虐殺、迫害が至る所で起きています。イスラム原理主義を信奉する彼らは、異教徒が支配する聖都エルサレムを解放すると叫ぶ者も多いようです。

ダマスカスからエルサレム解放を叫ぶ戦士達

 

I.  シリア国の消滅、地域の今後

 

イスラエル軍は12月10日、シリアに備蓄されている戦略兵器の大半を爆撃したと発表、同国全土に480回以上の空爆を実施したと主張しています。イスラエル空軍は約350回の有人機による空爆を遂行。飛行場や対空砲、ミサイル、ドローン(無人機)、戦闘機、戦車、兵器製造施設を標的にダマスカス、ホムス、タルトゥース、ラタキア、パルミラの各地を攻撃しました。さらに追加の空爆を130回、地上作戦中に行い、兵器の保管庫、軍事施設、発射装置、砲撃用の陣地を標的にしたということです。また船舶からは15隻の艦船が配備された海軍の施設2カ所を攻撃。対艦ミサイル数十発を破壊したとし、イスラエル海軍はシリアの艦隊を壊滅したとカッツ国防相が発表していました。イスラエルは、シリアの反政府組織がいずれイスラエルに歯を剥くことが無いよう、シリアの国土を非軍事化する意図があったと言えます。そしてゴラン高原から東北にのびる砂漠地帯を実質イスラエルの領土(非武装地帯)にする目的があったと言えます。

アサドを追放する事を目的とし、シリア内戦でイスラエルはアルカイダを支援していたとするエルサレムポストの記事

2024年12月8日現在のシリア地区を支配する勢力(アル・ジャジーラによる)

一方トルコが支援するシリア国民軍はトルコ国境からダマスカス近郊までを支配し、トルコ領内の500万人とも言われるシリア難民を押し返す方策をとると思われます。シリア北東部を支配するクルド人勢力(SDF)は、米国が支援していましたが、今後イスラエル、米国が敵視するイランと交戦する場合に限って支援を継続する可能性はあるものの、クルド人の独立国建設を支援することはない様に思います。ユーゴスラビアが分割された様に、シリアは、「国は消滅」して「旧シリア地域がいくつかの勢力に分割」されて今後紛争を続けながら残ってゆくというのが現在の見通しと言えます。

各勢力の思惑が錯綜するシリア情勢、日本人的な義理や人情では理解できない。今自国を激しく爆撃しているイスラエルと手を取り合って生きる?本当ですか?

 

II.  原理主義の台頭を調整してきたアラウイ派

西欧的生活を実践してきたアサド大統領

シリアは古代キリスト教が栄えた地域でもあり、現在も多くのキリスト教徒がイスラム教と共存しています。周囲のアラブ諸国が厳格なイスラム主義を採る中、少数派であるアラウイ派は比較的穏健で世俗的な対応を取って来たために、シリアのダマスカスは観光地としても栄えてきました。親子で大統領を務めたアサド家の家族写真を見ても、女性たちがイスラムの規範に捕らわれない自由な服装をしています。それに対立する反政府勢力はイスラム原理主義を信奉する勢力であり、本来西側諸国が「テロリスト」と規定するもので支援などあり得ない勢力です。つまりアフガニスタンのタリバンと同じと言って良いでしょう。

米国のジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏によると、アサド大統領(子)は温厚な人柄で、強圧的な弾圧は好まないのだが、権力を持つ近親者たちの腐敗は著しく、結果的に反体制派への非人道的な弾圧にもつながっていったと大統領自身との会談などから述懐しています。2011年にシリア内戦が激化する前、アサド大統領はより民主化した制度を導入することを反体制派や西側諸国に提案しましたが、アサド政権自体を崩壊させたい西側陣営は受け入れず内戦激化につなげてゆきました。「アラブの春」は民主化が目的などではなく、単に「西側に都合が良い政権を作る」が目的であったことが明らかです。現安全保障担当大統領補佐官のジェイク・サリバン氏はオバマ政権時にヒラリー・クリントンに宛てて「シリアではアルカイダAQは我々の味方だ」とメールを送っています。2001年にアルカイダを匿ったとしてイラクを武力で崩壊させたのは米軍だったはずですが。

イラク、リビア、ソマリア、スーダン、エジプトなどの中東やアフリカの諸国で、フクヤマが「歴史は民主主義で終わる」と規定したにも関わらず西欧的民主主義がなぜ根付かないのかについて、後の著書「政治の起源」でフクヤマおよび師のハンチントンもある条件が整わないと正しく民主主義が根付くことはないと説明しています。

政治が機能するには三つの政治制度、すなわち「国家」、「法の支配」、民主的「政府の説明責任」が整い、これらがある種の均衡を持たなければならないという主張です。またこの三つにも優先順位があり、実効性のある「強力な国家機構」、次いで「法の支配」、民主的説明責任に基づく「抑制の制度」という順で社会が進む必要があると説きます。フクヤマによると、中国や日本には古来強力な国家機構があり、法の支配も比較的行きとどいていたとされます。中国には民主主義制度はありませんが、台湾や日本は憲法に基づく権力者の自己抑制の制度があるから民主主義が根付く土台があると説きます。中南米のコスタリカは人口500万の小国ながら一人当たりGDP1.2万ドルの豊な国であり、その秘密は1949年に施行された憲法が軍を持たず(クーデターがない)、権力者にも抑制を効かせる制度を作っていることにあると説明します。専制制度の下でも「法の支配」に民衆が慣れていないと、外から与えられた民主主義は突然与えられた平等を幸いとする「身内の利権確保」にしか使われず、後進国にありがちな腐敗と利権の社会にしかつながらないと解説します。社会主義から解放されたロシアやウクライナ、東欧の国々が表面的に民主主義的でありながら腐敗と利権が蔓延る社会である理由はその辺にありそうです。まあ現在の米国の様に強者が「法さえ守れば自分の利権追求をいくらやっても良い」と考える社会もいびつな民主主義だと思いますが、それはフクヤマも指摘しています。

 

表面的な善悪でしか報じない小学生並みの日本のメディアでは現在の中東・世界情勢を理解することは全く不可能でしょう。グローバリスト御用達の池上彰氏でも「西欧諸国のご都合主義」に触れなければ現在の状況をわかりやすく説明など不可能と思いますがいかがでしょう?

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紛争拡大を狙う勢力

2024-12-05 14:20:09 | 社会

I.  指揮官のいない米国

 ずっと拒否していたロシア国内への長距離ミサイル使用許可を2024年11月19日バイデン不在中に米国は決定、同21日には英国のストームシャドウを、23日にはフランスがスカルプ(フランス版ストームシャドウ)の使用を容認する決定を行いました。もっともATACMSは60基(既に10基使用)、ストームシャドウは各10基ほどしかウクライナにはなく、戦局を変える力はありません。ゼレンスキーはドイツの長距離ミサイル(射程500km)タウルスの供与を希望し、米国製の陸上発射トマホーク(射程3000km)の供与を切望しています。これらが使用されれば間違いなくロシアはNATOに対して核の使用も辞さない戦争拡大を進めてくるでしょう。これは紛争終結を狙うトランプ就任の2025年1月20日までに紛争拡大を狙う米国ネオコン勢力が画策した結果生じている動きと思われます。

 来年1月までの米国政治は誰が責任を持って取り仕切っているのか、誰も答えられません。イエレン財務長官は10月23日に200億ドル(3兆円)の追加支援をロシアの凍結資産を活用して行うと表明していますが、凍結資産の現金化など誰が具体的に行えるのか不明です(米国が買い上げて現金化するとなると結局税金)。現在大統領失格と民主党から烙印を押されたバイデン大統領がアフリカを訪問して6億ドルの支援を表明(ウクライナに比べてちゃちい)していますが、CNNではその内容説明をCSIS(戦略国際問題研究所)の解説員がしていた所からも、政権に通じたネオコンシンクタンクの一部が政策を決めている様です。当然終わりを迎える政権が行ったことなど誰も責任を取らないでしょう。

 

II.  ウクライナの行方

領土割譲に言及しはじめたゼレンスキー  ロシアが検討しているとされるウクライナ分割案

 ゼレンスキーは最近やっと領土割譲の上での和平交渉の可能性に言及し始めましたが、戦争に負けている側が口にする内容ではありません。プーチンが提案するウクライナの未来図は図の様な3分割で、西から「紛争地域」「親ロシア国」「ロシア領」の3つに分かれます。戦勝国のウクライナ統治の出発点はこれであり、ここからどこまでロシア側から譲歩を引き出せるかです。西の紛争地域はポーランドやルーマニアなどが分割統治する決着になる可能性もあります。ウクライナ国民が平和に暮らすには、親ロシア国で欧米の資本を排除した上で自分達が統治できる態勢を作ることが大事でしょう。

 一時北朝鮮の兵がクルスク戦線に一万人投入などというヨタ記事が西側諜報部経由で盛んに流されましたが、前線のウクライナ兵で朝鮮軍を見た兵士は一人もいないそうです。この北朝鮮フェイクニュースが今回の韓国戒厳令騒ぎにも一枚かんでいることが解ってきました。

 エコノミスト誌などによると、ウクライナは毎月約19,000人の「兵士」を募集していると述べているため、1か月あたり23,000人の死傷者と推定できるが、これには脱走兵も含まれるようです。ウクライナの脱走兵の多さは救いようがないほどですが、今年の脱走兵が10万人(一説には20万人)だとすると、1日あたり274人、つまり1か月あたり約8,300人となる。これを23,000人から引くと14,700人になる。これを30で割ると、1日あたり約500人の死傷者となる。言い換えれば、ウクライナ兵の1日の損失は、死者250人、重傷者250人、脱走兵274人で、1日あたり約770人の「死傷者」、つまり1か月あたり23,000人の損失となる。この中には軽傷の死傷者は含まれていません。一日も早く戦争を終わらせる(無条件降伏でも)事がウクライナの国民を守る唯一の方策であることが解ると思います。

 

III.  突然のシリア内戦の再燃

シリア情勢を解説したmiddle east eyeの記事   レバノンからアレッポへの反政府軍の動きヒズボラも関与か

 2024年11月、ハヤト・タリハール・アル・シャム(HTS)などの反政府勢力がシリア第二の都市アレッポとその空港、軍事基地などを突然占領したというニュースは世界を驚かせました。シリア内戦はロシアがISなどを掃討した結果ある程度沈静化していたと思われたからです。米国が間接的にIS他の反政府勢力を支援していた事は明らかでしたが、ウクライナ戦争やイスラエルへの支援でそれどころではない状況でした。今回イスラエルがヒズボラと停戦に至ったタイミングでシリア内戦の激化に至ったのは偶然ではない様です。この4年間500万人のシリア難民がシリア北部の反政府勢力の支配地域で過ごしていましたが、極度の貧困と生活苦で困窮していたことは知られていません。またトルコにも300万人のシリア難民がいて、シリア北部のクルド人支配地域がトルコと対立しているため、今回の攻撃にはトルコの後押しもあるとされます。イラン、ロシア、シリア政府(アサド政権)は、反政府勢力と対峙していますが、今回の内戦再燃が組織立って行われていない、資金の出所と流れが明確でない事などからアサド政権を倒すほどの広がりは見せないと思われます。

 数週間前、イスラエルのギデオン・サール外相は、トルコとイランを弱体化させるために、クルド人やドゥルーズ派など、この地域の無国籍少数派との正式な同盟 構想してい た、と言われます。この試みはうまく行かないと思います。

 

IV.  グルジア(ジョージア)内紛

 ジョージアのコバヒゼ首相は政府がEUへの加盟交渉を中断(延期)すると表明し、首都トビリシほか複数の都市で親欧米派の市民が抗議行動を起こす事態になっています。米国は12月1日に独裁的傾向(親ロシア傾向の言い換え)が強まるジョージアとの戦略的パートナーシップを停止すると通告したとされ、3000人以上の公務員らがEU加盟手続きの延期に抗議する署名が出ています。親欧米派のサロメ・ズラビシヴィリ大統領は、あと数週間で任期満了により辞任するため、その後継の如何でジョージアの親欧米か親ロシアかの行方が変わります。つまり2014年のウクライナマイダン革命の再現が行われていると考えると分りやすいです。CIAやソロス財団は親欧米グループに反体制騒乱を仕掛ける試みを、金をかけて行っている最中でしょう。今後の展開が注目されます。政府側が民主化勢力(親欧米)のデモに発砲(CIAが金を出して政府側を装った民間軍事会社などにやらせるのがウクライナ方式)などするとCIAネオコン好みの展開になること必至です。

 

V.  韓国のクーデター失敗

 2024年12月3日午後10時に韓国尹大統領は緊急談話で45年ぶりとなる戒厳令を宣布し、突然の発表に世界が騒然となりました。午後11時には韓国軍が国会に突入し、議事堂周辺には軍が出動し、市民と対峙する状況になりました。これは1978年の朴政権が民主化運動に対して発した戒厳令以来でしたが、何故今戒厳令かが疑問とされました。

 まだ推測の域を出ませんが、少数与党の尹政権は、予算や種々の法案が通らず、次の選挙でも勝つ見込みがない状況から切羽詰まった状態であったという背景はありそうです。北朝鮮ウクライナ参戦デマを韓国軍諜報経由で盛んに出して危機感を煽りましたが、韓国民衆は乗ってきませんでした。米ネオコン、CIAとしては、韓国軍もウクライナに派兵させることを念頭に尹政権に揺さぶりをかけていましたが、米国覇権からの独立を主張する「共に民主党」多数派は反対していました。今回の戒厳令は、米国黙認(推奨)の軍主導(国防相は大統領の高校の同窓、金龍顕)クーデターであった公算が強いです。消息筋は「今回の戒厳令は『清岩派』が画策したものとみられ、金国防長官が尹大統領と直接調整している」と言われます。(「清岩派」とは、ソウルの清岩高校の卒業生)これらの情報は前から流出していたらしく、国会民主党側の反応は異常に早く、韓国国民の抗議のための集合も非常に速やかであり、6時間で戒厳令無効決議が議決されて解除される結果になりました。大統領の発表からわずか150分後、国会議員300人のうち191人が戒厳令の即時解除に投票した。軍隊と警察が議会に突入したが、戒厳令反対の投票はすでに行われていました。労働組合はストライキを行うと発表し、人々は大統領の行動に抗議するために街頭に繰り出していました。尹氏の側近たちは総辞職を申し出、譲歩する以外に賢明な道は残されていなかったと言えます。

 バイデン政権のアジア担当副国務長官カート・キャンベル氏は次のように述べました。

「したがって、我々は韓国の最近の動向を深刻な懸念をもって注視しています。我々はこことソウルの両方で、あらゆるレベルで韓国のカウンターパートと連携を図っています。大統領、国家安全保障担当大統領補佐官、国務長官はいずれも状況の進展について報告を受けており、状況の進展について随時報告を受けています。韓国との同盟関係は堅固であり、不安定な時期に韓国の側に立つことを強調したい。また、いかなる政治的紛争も平和的に、法の支配に従って解決されることを強く望み、期待していることも強調したい。」

ほぼ同じ内容を石破首相も国会で答弁していたようです。

クーデターが続く中、韓国の米国大使館は法の支配や民主主義については何も語りませんでした。注目すべきは、駐韓国米国大使フィリップ・ゴールドバーグ氏が、ボリビアとフィリピンの現政権転覆を企てたとして、以前に両国から追放されていたことです。同氏は1月に韓国を離れる予定です。ゴールドバーグとワシントンDCはユン氏の戒厳令計画についてCIAと下部組織のKCIA経由で知らされていたと思われます。

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ロシアによる新型中距離ミサイル発射の意味

2024-11-24 22:02:56 | 社会

2024年11月21日、米英がロシア領内への長距離兵器使用を許可し、実際にウクライナがATACMSをブリャンスク地域のロシア67GRU補給処に、ストームシャドウをロシア領内に侵攻しているクルスクのロシア軍指令所に打ち込んだ報復として、新型の中距離弾道ミサイルIRBM「オレシュニク」(ヘーゼル)をドニプロにあるユジマシュ・ミサイル工場に打ち込みました。ミサイル攻撃に対して、新型ミサイルを敵のミサイル工場に打ち込む事は種々のメッセージが込められていると思いますが、これについて2024年11月22日のMoon of Alabamaサイトが最もよくまとめられていたので参考までに転載します。

(引用開始)

これまで、ロシアの新しいミサイルの詳細は知られていませんでした。今回のロシアによる新型ミサイルによる攻撃は、ヨーロッパでロシアに対する覇権を獲得しようとするアメリカの十年にわたる努力に対する明らかな反撃です。

ミサイルは、達成できる射程によって分類できます。

  1. 短距離弾道ミサイル(SRBM)は、約1,000キロメートルの射程内の標的に使用します。通常、戦術的なシナリオで使われ、地域的脅威に迅速に対応できます。
  2. 中距離弾道ミサイル(MRBM)は、運用範囲を約3,500キロメートルに拡張します。これらのシステムは、大陸間システムに頼ることなく、より遠くの目標への攻撃を可能にし、国家の抑止能力を強化します。
  3. 大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、5,500キロメートルを超える能力を持つ最長射程のカテゴリーで戦略的な抑止力として機能し、大陸を越えて核を含む弾頭を運び、拡大抑止を含む世界の安全保障力学に影響を与えます。

米国、ロシア、中国は、3種類の兵器をすべて開発している。1980年代後半、ソビエトの指導者ミハイル・ゴルバシェフの主導で、アメリカとソビエト連邦は中距離核戦力全廃条約(INF条約)に署名した。

INF条約は、両国の核弾道ミサイル、通常地上発射弾道ミサイル、巡航ミサイル、ミサイル発射装置の射程が500-1,000 km (短距離中距離)および1,000-5,500 km(中距離)のすべてを禁止した。この条約は、空中発射または海上発射ミサイルには適用されなかった。1991年5月までに、両国は2,692発のミサイルを廃棄し、その後10年間にわたる現地検証検査を行った。

一定射程のミサイルの配備が禁止されている一方で、ミサイルの開発は続けられました。2008年頃、ロシア連邦はRS-24(ヤーズ)大陸間ミサイルの基本設計を使用して、より柔軟で軽いシステムを開発した。その結果、RS-26ミサイルの取り扱いが容易になりました。これは大陸間ミサイルとして分類されるのに必要な射程を達成することができたし、実際に達成したが、その輸送能力は実際には効果を発揮するには小さすぎた。

2018年初頭、ロシア連邦はRS-26のさらなる開発をすべて停止することを決定し、より有望な極超音速滑空機アヴァンガードに資金を投資した。

しかしロシアがRS-24の開発を延期する決定をした数ヶ月後、米国はINF条約から離脱した。アメリカは、ロシアにおける特定の巡航ミサイル開発が条約に違反していると主張したが、撤退の本当の理由は別のところにあった。それは南シナ海を含む太平洋における中国の軍備増強に対抗する必要性であり、中国が条約に署名していなかったため、米国は離脱したのだ。バラク・オバマ大統領の任期にまでさかのぼるアメリカ当局者は、このことを指摘している。

米国のINFからの離脱は、ミサイル防衛が限定的であった弾道弾迎撃ミサイル条約からの米国の2002年の離脱と一致していた。その後まもなく、アメリカは東ヨーロッパに「対ミサイル施設」を建設すると発表した。これらの施設は、ロシアに向けて攻撃的な巡航ミサイルを発射するために転用できるものだった。

2024年7月、NATOは、米国が2026年からドイツに核搭載可能な中距離ミサイルを配備すると発表した。これは、INF条約が発効する前にヨーロッパが経験していた危険な状況を再現することになる。アメリカ本土の関与なしに、ヨーロッパ内での核戦争が再び可能になるだろう。ロシアはついに脅威に対応する必要に迫られた。NATOの発表から数週間後、ウラジーミル・プーチンは、これらの計画に対して反応した。そしてロシアは独自に対抗処置を講ずると発表した。

昨日のドネプロペトロフスクのユジマシュミサイル工場への攻撃(ビデオ)は、ロシアの新たな能力の最初のデモンストレーションだった。オレシュニク(ヘーゼル)と名付けられた新しいミサイルは、RS-26の派生型で、射程が短く、弾頭は6個(以前の4個ではなく)の複数独立標的再突入体(MIRV)です。各再突入体は6つの子弾を搭載できる。弾頭は極超音速で目標に突入し、その運動エネルギー、高爆発性または核のせん断力によって目標を破壊します。ミサイルは固体燃料を使用し、道路移動が可能です。カモフラージュされた位置から緊急に発射できます。

ロシアから発射されたミサイルは、20分以内にヨーロッパのどの目標にも到達でき、大気圏に再突入すると、ミサイルの弾頭は毎秒3〜4キロメートルの極超音速に達し、それらを止められる防空システムは世界にありません。

このような巨大な能力の驚くべき成功裏の実証は、ヨーロッパの戦略家にとって大きな警鐘です。欧米至上主義のネオコンの話に騙され、ロシアの能力を過小評価して、ヨーロッパ人は、ウクライナにおけるロシアへの代理戦争で勝利でき、利益誘導できると見込んでいた。しかし結果はヨーロッパは、壊滅的な力で、わずか数分の通知で、あらゆる政治・産業中枢に到達できるロシアの新兵器に対して無防備となった。

幸いなことに、まだ進路を変える時間があります。

ロシア大統領は、新機能を発表する一方で、その配備を制限する提案(ビデオ)も行った。

つまり米国が誤りを認めて世界の米軍基地に中距離ミサイルを配備しないと決定するならロシアは考えを改めるだろう。もしアメリカとヨーロッパの追従者たちが、ロシアに対して更なる攻撃を犯せば、ウクライナ以外の標的を狙う可能性のある、より厳しいオレシュニクの「テスト」が追求されるだろう。ロシアは独自の安全保障に対する脅威に基づいて、ロシアの軍事施設に対して、自国の兵器の使用を許可している国の軍事施設を攻撃する権利があると考えており、攻撃的な行動がエスカレートした場合には、断固として、鏡のような態度で対応する、と宣言している。

 

(以上)

元CIA分析官のラリー・ジョンソン氏によると米軍はロシアとの核戦争に備えていると軍人が勝手に発表した。

ロシアの新型ヘーゼル(オレシュニク)ミサイルは、ロンドンに16-17分、ベルリンに11-12分、パリに15-16分で到着可能になった。

駐英ロシア大使は、テレビのインタビューで、記者団に語った:この[ロシアに対するストームシャドーミサイルの]発射は、NATOとイギリスのスタッフなしでは起こり得ないから、イギリスは今、ウクライナ紛争に直接関与している、と述べた。

アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの大使館の職員がウクライナを去った。ほとんどがポーランドにいますが、一部は既に帰国しているという。中国の外交官やベルギー、オランダ、スカンジナビア諸国の代表もウクライナを離れた。

世界は核戦争に一層近づいている、と警告しています。

日本のメディアで具体的に核戦争の危機について伝えているものが皆無なので緊急で記してみました。

 

追記 2024年11月27日

新型ミサイル「オレシュニク」は従来型と比較できない破壊力かもしれない

ロシアが自国領土への攻撃への報復として新型ミサイルを使用した状況は徐々に詳細が明らかになってきています。初めに上図の様に6発のミサイルが別々に各6発の小弾に分かれて着弾する様子がビデオに流れたのを見た方が多いと思いますが、ウクライナがロシアの弾薬庫などを破壊した時の画像と比べて着弾後の爆発が見られない事が異様に感じました。着弾後の建物が次の図ですが、地上の建物の破壊は余り派手ではない事が解ります。

このヘーゼルと言う名の新型ミサイルは極超音速で着弾し、地下深くまで達してそこにある物を焼き尽くすという西側のバンカーバスターの強力版の様な作用を持っている事が次第に明らかになってきました。つまり核爆弾や燃料気化爆弾の様な派手なキノコ雲を着弾とともに出すことはないのですが、その破壊力は非常に大きい可能性があるという事です。一部の軍事専門家からは東西の軍事力バランスを変えるゲームチェンジャーになるかも知れないと言う推測も出ています。まだ詳細は不明ですが、スターマー英首相やマクロン仏大統領は自国の軍人をウクライナに派遣する相談を始めたという報道もあり、国民が望まない世界大戦をグローバリストの手先として勝手に始める算段をトランプが実権を握る前にしてしまう「正に狂気の沙汰」と言えます。メディアは世界戦争を始めようとする阿呆たちを厳しく批判する良識を持ってほしいものです。

 

追記 2:2024年11月29日

ドニプロに着弾したオレシュニク新型ミサイルは、プーチンが「実験は成功した。」というコメントを発表したことからも弾頭に本格的な装薬がなかった可能性が示唆されています。しかしサルマトやイスカンデルといった極超音速多弾頭ミサイルは分離後に推進装置を持たない事に対して、今回のヘーゼルはそれぞれが推進と位置調整機能を持ち、極めて正確かつ極超音速の度合いを速めながら着弾したことが確認されています。つまりこれに「戦術核や燃料気化爆弾の弾頭がついていたらどうなるかわかるな!」という脅威を西側に与えるには十分であったと。勿論西側にはそのようなミサイルはありません。

またNHKがオウム返しに報じたルモンドの記事は「ガセ」と判明!

ある記者が軍の高官に兵の派兵について尋ねた際に、「可能性は否定しない」と言っただけで、しかも戦後平和維持軍的な意味合いだったというオチらしい。さすがに英仏首脳が国内の調整もせずそんな相談など軽々にするはずがない。トランプ着任前に戦争拡大を煽る勢力(メディア)がいるのは解るが、いい加減にしてほしい。しかも戦争拡大反対の声があがらない日本の世論も情けない!

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「歴史の終わり」はトランプ現象を受け入れない

2024-11-21 16:12:38 | 社会

前回のブログでは、サミュエル・ハンチントン教授の著作、「文明の衝突」以降を考察し、2000年に刊行された「文明の衝突と21世紀の日本」からの論説を記しました。ハンチントン教授は2008年に81歳で亡くなっていますが、一方の「歴史の終わり」を著したフランシス・フクヤマ氏は1952年生まれで現在でも国際政治学者として著作や活動を続けています。共産主義思想は、「世界は最終的に共産主義社会に行き着く」と説いたが、結果的に自由で民主主義的な世界が「歴史の最終形」であるとしたフクヤマの「歴史の終わり」は、ハンチントン氏の「その後も文明圏の衝突による歴史の変革が続く」とした「文明の衝突」とは対立する学説として紹介されます。現在も活動を続けるフクヤマ氏が現在の世界情勢をどのように分析しているかは興味深い所なので氏の比較的最近の著作である「歴史の終わりの後で」(2022年刊中央公論新社)を読みました。

 

I.  グローバリズム学問的論客としての生存

この本は21世紀に入ってからの氏の著作や講演内容を対談の形でテーマ毎に読みやすくまとめたもので、氏の考え方を知るには非常にわかりやすい内容になっています。歴史は終わらず、文明の衝突が続くことは現在の状態から証明されてしまいましたが、その点はフクヤマ氏も認めています。しかし政治体制としては自由民主主義が最終形であろうという点ではフクヤマ氏も論を曲げていません。

経済は資本主義でありながら共産党が独裁する中国や王制のアラブ諸国などは民主主義と言い難いのですが、時間を経て民主主義的な形態に移行するだろうことは予想されます。社会主義が「政治と経済」の在り方を規定する思想であった一方で宗教(文明)であるイスラム教は「宗教(生活)と政治」の在り方を規定する思想であることが現在を複雑にしています。

またハンチントンが「一極(米国)・多極世界」は米国の覇権衰退と共に徐々に「多極世界」に移行するだろう、と予想した事が経済を中心に実現しつつある事については、フクヤマ氏は非常に困惑と否定という反応を示しています。GAFAMなどのメガグローバル企業が国家の枠を超えて人類全体と対峙して尊大で傲慢な存在になり、結果的に貧富の差が開き二極化している現実は「新自由主義の問題点」と捉えているのですが、政治的立場としては「グローバリズムが支配する米国民主党全推し」で、2020年バイデン政権誕生とその政策は大賛成、という事が解りました。

自由・民主主義の自由の部分は自由なグローバル資本主義の一極態勢を是とするもので、多極側に立つトランプや他の欧州政治家などは形が民主主義でも「ポピュリスト(劣る者)」という評価でした。それは民衆が支持しても、支持する民衆が間違っているというグローバリズム・エリート特有の傲慢な自己肯定で押し切っていて「いかに人類の幸福に結びつくか」といった論理は見られません。

文明が衝突している状態も民族の「アイデンティティ」に帰属する政治として好ましくないものと規定しています。この辺になると、米国は古いアイデンティティを否定して建国した精神がありながら、現在が白人だ黒人だというアイデンティティ重視の政治になっているアンチテーゼを提言しているに近く、アメリカの中だけでやってくれ、という気持ちにさせます。ハンチントン氏はそれぞれの文明は衝突しがちであるので、強く干渉することなく相互の尊重する態度を持つことが大きな戦争(フォルトライン戦争)を防ぐ方策になることを提言したのであって、文明への帰属を否定した訳ではありません。

フクヤマ氏も愚かではないので、その辺を全て理解した上で「グローバリズム資本主義に学問的権威を与える論客」として存在すれば重用されるという生き方をしているのでしょう。トランプやハンガリーのビクトル・オルバンについて論ずる内容は「理屈でなく単なる好き嫌い」であり、「アレ?」というほど善悪二元論でしか評論しない幼稚な内容で驚かされます。

 

II.  トランプ体制までにどこまで戦乱を拗らせるか?

 

フクヤマが嫌うトランプは3年続いてウクライナの敗北が決まった戦争を直ぐにも終わらせると宣言してきました。次期トランプ政権の閣僚の多くもウクライナへの無秩序な援助に否定的であり、来年の1月20日の就任以降は「直ぐ停戦」かは別として、今までの様には行かなくなります。バイデン政権を支配するグローバリズム陣営としては直ぐに戦争が終わらない様に戦局を可能な限り拗らせる(拡大させる)作戦に出ました。バイデン本人が外遊している隙に米国は今まで拒否してきたATACMSのロシア領内への使用を許可し、国際的に禁じられている対人地雷も供与すると発表しました。この発表は重大な方針転換であるにも関わらず大統領令による公式な発表ではなく、グローバル陣営専属メディアのNYタイムスの報道という形で行われた所がいかにもクズです。

グローバリストのパペットに成り下がっている死んだ眼をしている英国スターマーも早速ストームシャドウのロシア領内使用を許可しました。これらミサイルの標的設定には、米英の機密情報である衛星情報が必要であり、設定自体ウクライナ兵はできないので米英の現役軍人(に相当する者)がウクライナ現地で行っています。従ってプーチン大統領がかねてから指摘する様に、「米英軍人が米英製作のミサイルでロシア領内を攻撃することは<新たな宣戦布告>であり、ウクライナ戦争ではない」という論は正しいものです。「兵器をどう使うかはウクライナの決定による」というのがNATOの言い分ですが、客観的事実からは弱い。キューバにロシアが供与したミサイルで米国が攻撃されたら米国はロシアを許さないはずです。

この1週間、ガザの停戦について協議が進められていたのですが、また米国は停戦決議案を拒否しました。一体これらの重大な決断は「民主主義に基づいて米国民の総意として決められた」と言えるのでしょうか。フクヤマ氏の見解を聞きたいものです。

参考までに国家情報長官にトゥルシー・ギャバード氏が指名された事についてのStrategic culture foundationの2024年11月15日の評論の一部と前トランプ政権における国防省アドバイザーであったダグラス・マクレガー氏のAmerican conservativeの2024年11月19日付イスラエルのイラン攻撃を米国が拒否するリスクがあるかについての論説の一部を載せます。

 

III.  トゥルシー・ギャバード氏は、トランプ大統領に永続的な和平合意を実現するために必要な助言を与えることができる。

Strategic Culture Foundation
Editorial
November 15, 2024

トゥルシー・ギャバード氏が米国諜報機関の最高責任者に指名されたことで、米国とNATOの体制に衝撃が走った。西側諸国の報道機関は、常にディープステート政策立案者の忠実なエコーチェンバーだ。

この反応は、何か重大なことが起こったことを示す良い兆候だ。ギャバード氏が国家情報長官(DNI)に任命される可能性は、トランプ氏が閣僚を編成する上でこれまでで最も重大な決定となる可能性がある。

ギャバード氏の指名は、世界平和という重要な問題に関して最も建設的である可能性があるからだ。

タイム誌は、ギャバード氏の選出に対する米国諜報機関の反応を「我々は動揺している」とし、ロイター通信は西側諸国の「スパイ界は困惑している」と報じた。一方、体制側の代弁者アトランティック紙は、ギャバード氏を「米国の安全保障に対する脅威」と非難した。これは、国家安全保障のトップに就任する人物に課すには驚くべき非難だ。

CNNのニュースキャスター、ジム・シュート氏は、同僚のリチャード・クエスト氏に懸念を伝え、ギャバード氏の見解は米国の既存の外交政策のすべてと「矛盾している」と述べ取り乱した。「なんてひどいんだ! 何年もの間、私たちが作り出してきた嘘と、高額な給料をもらってきた嘘について、今さら何を言えばいいんだ?」と言っているようだった。

結局のところ、米国の企業メディア、特に民主党、体制、ディープステートの諜報機関と関係のあるチャンネルや新聞にとって、トゥルシー・ギャバードは「ロシアの手先」として中傷されている。

ギャバードが国家情報長官に就任すれば、ディープステートにとって非常に大きな挑戦となるだろう。

トランプ大統領の他の閣僚人事と同様に、指名は上院委員会の承認を得る必要がある。そのため、彼女のポストが承認されるまでにはしばらく時間がかかる。多くのことが変わったり、軌道から外れたりする可能性がある。

トランプ大統領の今週の閣僚人事は、就任後の1月に始まる次期大統領の将来の外交政策を見極めようとする観測者たちの注目を集めている。トランプ大統領が今週、国防長官にピート・ヘグセス、国務長官にマルコ・ルビオという強硬派の人物を早々に指名したことは、ロシア、中国、イランなどに対する好戦主義や敵意からの脱却を望む米国外交政策批判者の一部に失望を招いた。

次にトランプ大統領が選んだのはトゥルシー・ギャバードである。この元下院議員は、中東とウクライナにおける米国の軍国主義に対する率直で周りに左右されない批判で、米国および国際社会で広く尊敬を集めている。しかし、米国の政治体制とメディアは、シリアと中東におけるワシントンの政権転覆戦争を批判する彼女の見解を理由に、彼女を「裏切り者」や「ロシアの手先」と中傷している。2017年、ギャバードはシリアを訪れ、バッシャール・アル・アサド大統領と会談した。彼女は、ダマスカスの政権転覆のためにテロリスト民兵を支援するというワシントンの秘密政策に反対を唱えた。彼女は真実を語ったため、アサドの「弁護者」として中傷された。

最近では、ギャバード氏が米国とNATOによるキエフ政権への武器供与とロシアに対する代理戦争に反対したため、再び「ロシア弁護者」という中傷が彼女に投げつけられた。彼女は、「NATOの威圧的な拡大に対するロシアの安全保障上の懸念が考慮されていれば、ウクライナ紛争は避けられたはずだ」と述べた。その正気と客観性は、なんと爽快なことだろう。

ウクライナ紛争に関する彼女の見解は、確かに米国の体制側とメディアの「ロシアの侵略」に関するプロパガンダと矛盾している。彼女の見解は、隅々まで報道されている「ニュース」プロパガンダが虚偽であることを明白に暴き、NATOの嘘が世界を核戦争に引きずり込んでいるという国民への警告となっている。トゥルシー・ギャバード氏が第2次トランプ政権で果たす役割は、上院の審査を通過すれば、いくら強調してもし過ぎることはない。

(以下略)

ウクライナの国民の民意は即時停戦にある。それでも戦争を続けさせたいですか?

 

IV.  世紀の嵐の中に立つトランプ

The U.S. is sleepwalking into disaster in the Middle East.

ダグラス・マグレガー

2024年11月19日午前12時5分

多くの国の首都では、ドナルド・トランプ大統領のワシントン復帰により、イスラエルがイラン攻撃にさらに自信を持つようになるのではないかと懸念されている。エルサレムのシオン友の会博物館の創設者マイク・エバンズ氏によると、「トランプ大統領がネタニヤフ首相以上に尊敬する世界の指導者はいない」という。 

この福音派指導者はまた、トランプ大統領が就任前にイスラエルの攻撃を支持するだろうと打ち明けたイランの石油生産施設の破壊はイランの経済を壊滅させ、トランプ大統領が就任する前にイランがイスラエルとの戦争を終わらせるだろうという想定からだ。この考えは、イスラエルがイランの核開発施設を攻撃するという決定も排除するものではない。 

トランプ氏が何をするか、しないかは不明だ。テヘランとエルサレムの対立における幻想的な静けさがいつ終わるのかも不明だ。 

一つだけ確かなことは、もしアメリカがイスラエルのイランに対する戦争に加われば、その結果は地政学的な対決となり、私たちが知っている世界を劇的に変えかねないということだ。これは21世紀の嵐であり、今のところ、アメリカという国家はまさにその嵐の中を航海している。

イランとの戦争になった場合の米国にとって望ましい状態とは?それは最も答える事が難しい問題です。

1991年と 2003 年のイラク、1999 年のセルビア、2011 年のリビアとは異なり、イランは孤立していません。イランには同盟国と支援者がいます。1991 年に最終状態を定義できなかったため、アメリカの作戦戦略軍事計画者は戦争の結果に備えていませんでした。その結果得られた平和は、米国の長期的な利益にとって満足のいくものではありませんでした。

ロシア外務省は最近、「ロシアとイランの戦略的安全保障パートナーシップに関する交渉が進行中であり、特に軍事協力に重点が置かれている」と発表しました。中国の習近平国家主席はイランに対し、イランの国家主権と安全保障の防衛に対する中国の支援を確約しています。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MBS)でさえ、イランを攻撃しないよう助言しているほどです。

サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)も戦略的な金融政策を講じている。サウジアラビアの米国債保有高は大きく変動しており、2023年6月時点で約1081億ドルに落ち込んでおり、2020年初頭から41%以上減少している。イランとの紛争が勃発した場合、サウジアラビアとアラブ首長国連邦は富をアラビア半島に送還し、米国債の「投げ売り」を開始する可能性があり、米国と西側諸国で大恐慌規模の金融危機を引き起こすだろう。 

それほど目立たないが、同様に重要なのが、イスラエルとの関係を断つというトルコの決定である。レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はまた、トルコとシリアの安全を脅かす米国とイスラエルが支援するクルド人勢力を壊滅させるため、トルコ軍がシリア北部で作戦を開始する用意があることを示唆しました。トルコ軍がレバノンやエジプトの防衛に投入される可能性は十分にあります。

イスラエルが開始した地域戦争に米国が参加することを拒否した場合、アメリカ国民にとっての戦略的デメリットはあるだろうか? 

2023年10月7日以来、イスラエルの政治的、軍事的目標はイスラエル国土の防衛をはるかに超えています。ネタニヤフ首相は、アメリカの財政援助と軍事支援があれば、イスラエル軍はガザとヨルダン川西岸から数百万人のパレスチナ系アラブ人を排除し、南レバノンからヒズボラを排除できると確信しているようです。しかし、イスラエルの勝利を確実にするためには、シリア、イラク、イエメンにいるイランとその代理勢力も破壊しなければならないとネタニヤフ首相は主張しています。

ネタニヤフ首相の目標は、アメリカ経済の健全性と国際システムの安定にとって何を意味するのか?イスラエルは多数の敵国を攻撃せずに生き残ることができるのか? 

1956年、ドワイト・アイゼンハワー大統領は、ハンガリーの反共産主義革命をめぐってソ連と戦争するリスクを冒すことを拒否した。同年、アイゼンハワーはスエズ運河を占拠するための英仏イスラエルの介入を支持することを拒否した。1968年、リンドン・ジョンソン大統領は、チェコスロバキアの支配を再び強めるソ連の軍事介入を阻止するためにアメリカの軍事力を使用することを拒否した。これらの決定はいずれもアメリカの国益を損なうものではなかった。何でもイスラエルの決定に従うことが米国の国益ではない以上、無謀な戦争への加担は控えるべきではないだろうか。

(最後の部分はrakitarou意訳)

ー 以上 ー

追記:

V.  欧米が作る歴史の終わり(ヴィクトル・オルバーン)

フクヤマがポピュリストとして嫌うハンガリーのオルバーン首相が2024年11月21日のユーラシア・フォーラムで西欧が世界に押し付けてきた欧米モデルは終わりつつあると現在の世界情勢を象徴して講演しました。ハンガリーは人種的にもアジア系と自任している背景もありそうです。以下が要旨です。

要旨

西側世界は東方からの挑戦を受けている。次の時代はユーラシアの世紀になるだろう。 西洋の文明支配の500年が終わりを迎えた

アジア諸国はより強くなり、「経済的および政治的権力の独立した中心として台頭し、存在し、持続する」能力があることを証明した。彼らは現在、人口統計学的にも技術的にも欧米の同業者よりも優位に立っている。その結果、世界経済の中心は東側に移り、経済は西側の経済の4倍の速さで成長している。「西洋の産業の付加価値は世界の40%を占め、東側の産業の付加価値は50%を占めている。これが新しい現実です。

アジアは世界人口の70%を占め、世界経済に占める割合は70%となり、EUは変化する現実の中で「最大の敗者」として浮上している。西側諸国は、移民、ジェンダー・イデオロギー、民族紛争、ロシア・ウクライナ危機などの課題に直面し、自国の環境で「窒息」している

西洋の指導者たちが、自分たちが慣れ親しんだ優越感、つまり、自分達が最も賢く、最も美しく、最も発展し、最も裕福であるという感覚を放棄するのは難しい。欧米のエリートたちは「古い栄光の現状」を守るために自らを整えており、それが結局は経済的、政治的な閉塞につながるだろう。

ー以上ー

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祝ロバート・F・ケネディJr氏厚生長官選出、バンドワゴニングの危機

2024-11-16 12:56:19 | 社会

トランプ次期大統領はケネディ元大統領の甥であるロバート・F・ケネディJr氏を次期厚生長官に任命する意向を示しました。メディアは「ワクチン懐疑派」などとワクチンは「全く問題ないとする陣営」と「リスクがあると懸念を示す陣営」の二派にわかれる様に報じていますが、全ての医療にはメリットとデメリットがあるのは超常識中の常識、基本中の基本です。全員が懐疑派でなければ安全な医療など受けられません。何故中学生でも理解できる常識を報道しないのか不思議です。

トランプ氏は2020年にWHOに対して、Covid-19への強制的対応は誤りであるとして2021年に米国はWHOから脱退すると宣言していましたが、バイデン政権になって立ち消えになりました。今回改めて各国の主権を無視したパンデミック条約などに対して反対を表明しています。

全ての医療にはリスクがある。疑いを持たずもろ手を挙げて賛成など無知性のド阿呆しかやらない愚行である。ワクチンの小児などへの強制を強く反対するケネディ氏

 

同様に司法長官に指名されたマット・ゲイツ氏はトランプ氏のロシア疑惑がでっち上げであることを解明したため、ありもしない「性的人身売買」の疑惑をFBIにでっち上げられたのですが、いくら調べても証拠が出なかったから起訴されなかった人物。「司法の政治利用を許さない」ための米国の司法改革に震えあがっているのが現在の民主党中心の司法界であることが解ります。

疑いが晴れても人格攻撃を続けるメディアに人権を語る資格などない、恥ずかしくないのだろうか?

 

I.  ワクチンのリスクが常識となった時にメディアはどう報じる?

 

欧米の主要メディアはまだグローバル支配体制に従っていて「ワクチン安全」「WHO正しい」の現実離れした報道から脱していません。日本のメディアは「米国主要メディアに従っていれば批判されない」と信じている「バンドワゴン派(寄らば大樹の陰)」というヘタレですから仕方がないとは思いますが、一たびパラダイムシフトが起こった時にどのように変容するのかが楽しみです。あれほど「コロナ怖い、怖い」「日本人は全員週に一度はPCRを」などと馬鹿げた報道をしていたメディアは何処に行ったのでしょう?そのうち「十分な安全確認をせずにワクチンを推進した政府の責任は?」などとシレっと報道し出す可能性があります。

 

II.  「文明の衝突と21世紀の日本」に学ぶ

前回紹介した「文明の衝突」を著したハーバード大学のサミュエル・ハンチントン教授がその続編として2000年に刊行した本で、集英社新書では2024年6月に第37刷の重版を繰り返しています。1993年にフクヤマの「歴史の終わり」理論を乗り越えて、「21世紀の世界は、民主主義と資本主義で一つの世界が生まれるのではなく、数多くの文明間の相違による分断された世界になる」と提言して世界に衝撃を与えました。1990年台においてもコソボ紛争などの文明の衝突が起きつつありましたが、その後の世界は911に始まる「テロとの戦争」「米国のイラク・アフガン侵攻」「カラー革命の強要と内紛の激化」グローバリズム対国家資本主義の対立、ブローバリズム対BRICS(グローバルサウス)の対立へと氏が予想した通りの展開になってきていると言えます。

 

III.  一極・多極体制から多極体制へゆるやかに移行する

 

ハンチントン氏は2000年の時点で世界は「強大な米国を中心」とする一極と、中国、ロシア、インド、アラブ諸国、アフリカ諸国といった文明(宗教)の異なる地域による一極・多極体制に分かれていると喝破しています。しかし覇権国の米国にとっては、世界が多極であるとは認めておらず、世界はあたかも「一極」である様に振舞っているため、どこの国を想定するか不明な米国指導者が口にする「国際社会」へのアプローチに各国指導者は不満であり、各国にとって米国は軍事的脅威ではないものの「領土保全」「自治」「繁栄」「行動の自由」を脅かす外的脅威と捉えていると米国の立場を紹介しています。

この一極・多極体制は、米国の覇権が徐々に衰えることで緩やかに「多極体制」に移行してゆくだろう、と氏は予想しており、まさにトランプ大統領の登場と彼が「米国を多極体制の一極に据える」というMAGA思想への米国民の絶大な支持はハンチントン氏の予想が実現していることを表しています。

文明の衝突(2000)のその後をrakitarouがまとめた展開と現状

 

IV.  フォルトライン戦争とコミューン戦争

 

1990年の時点で、ハンチントン氏は世界が8つの文明圏に分かれている事を示しました。つまり「西欧」「ラテンアメリカ」「アフリカ」「イスラム」「中国」「ヒンドゥー」「東方正教会」「日本」であり、5世紀頃から中国王朝とは別れた文化を築いてきた日本は独立した文明として扱われています。冷戦時代、世界は「自由主義圏」、「共産主義圏」、「非同盟国」の3分類であったものが、以降は8つに分かれて共存してゆくと規定したのです。その中で、同じ文明圏内で起こる争い、戦争は「コミューン戦争」と言い、個別的な利害関係によって生ずるものであり、異なる文明間の大規模な戦争に発展することはない、と説明されます。例えばルワンダ紛争やイラン・イラク戦争などで、他国が大きく介入することはありませんでした。一方で異なる文明の境目をフォルトラインと言いますが、フォルトラインを挟んで紛争・戦争が起こるとより大きな文明圏同士の戦争に発展し、長期に渡り、解決困難な状態を呈するだろうと予測しました。

フォルトライン戦争・ウクライナで検索したAIの答え

 

NATO諸国を巻き込んだコソボ紛争、そして現在のウクライナ戦争は正にフォルトライン戦争であり、ハンチントン氏の予測の正しさを証明しています。ウクライナは被害者、プーチンは悪といった小学生の様な理屈でしか説明しない(それを信じている方も阿呆ですが)メディアの無知性を痛感します。

 

V.  バランシングとバンドワゴニング

 

ある国が大きな勢力を作り出してくると、その周囲の国はいくつかの国同士協調して強い国とのバランスを図る「バランシング」か、強い国への依存と従属による「バンドワゴニング」により安定を図るかの選択を迫られます。多くの場合、その両方をどっちつかずでその場その場で選択しながら様子を見てゆく場合が多いと説明されます。大国であってもトルコやサウジアラビアがアラブ側や西欧側にどっちつかずでバランシングを取っていたり、東南アジアの国々が日本を巻き込んで協調しながら中国と対峙しつつも貿易などでは中国と友好を保とうとすることに表れます。

日本は独立した文明であり、他の文明圏のために自国を犠牲にして介入しようという動機を持ちません。維新から大東亜戦争にかけては、西欧列強のアジア諸国への侵略・植民地化に危機感を持って、日本も西欧列強の一端に加わろうとしてアジアへの侵略(結果的に領土的植民地主義から経済的植民地主義へのスイッチとなった)をしましたが、失敗した秀吉の朝鮮侵攻以外では稀有の出来事であったと言えます。日本の国内においては、常に時の権力者に従属すれば安心という「バンドワゴニング」が行動の原動力になってきました。「寄らば大樹の陰」であり、そこには確固とした思想などありません。そして大樹の陰に寄らない「はぐれ者」を厳しく批判します。ポリコレとされる規範への対応、コロナに対する対応、ワクチンへの考え方、全て「バンドワゴニング」であり、理論的支柱などなくメディア含めて「大樹に寄らないはぐれ者」を批判しているだけです。そしてトランプ政権が復活することにより、日本のメディアは今までの「バンドワゴニング」の危機が生じてガタガタ震えながら右往左往しているのが現状なのです。

 

VI.  日本への提言

米軍司令部を首都内に移転する本当の目的は何か?

2000年の時点で、ハンチントン教授は日本と台頭する中国との関係について、日本の取るべき選択(バランシングかバンドワゴニングか)について述べています。この時点では現在の様な米国の衰退と多極化への道が不明であったこともあって、中国圏への条件を示した上での従属か日米同盟強化による新たなバランシングという選択肢をあげています。しかし一極主義の米国がとるべき将来の在り方として、「異文明間の大規模な戦争(フォルトライン戦争)を避けるには、中核国家は他の文明内の衝突に介入するのを慎むべきだ」と明確に述べています。American Conservativeの論説で紹介した様に、米国は日本を中国、ロシアに対する「二重封じ込めの道具」として日米同盟を締結し、基地を置いているに過ぎません。自衛官時代「アメリカが自国の利益にならなければ日本のために血を流す事などない」は少なくとも指揮官クラスの自衛官の常識として認識していました(公には勿論言いませんよ)。しかし現在の動きは米軍による日本支配の強化に動いている様に見えます。強い米軍の再建は頼もしい面もありますが、グローバリズム支配体制からは脱却した米国との「対等な協調関係」による日米同盟は意義がありますが、現在のウクライナの様な「異文明と戦争するための鉄砲玉」としての扱いならば断固拒否するべきです。石破首相の力量が問われます。

噛みつき合ったでなかったようで何より。戦略的互恵はバランシングと言えそう。

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歴史は終焉せず文明は衝突し続ける

2024-11-11 09:11:52 | 社会

I.  歴史は終焉したのか?

「歴史の終わり」は、フランシス・フクヤマが1988年に発表した論文をもとに1992年に書籍化された有名な文明論で、社会主義の終焉とその後の資本主義グローバリズムの基になった論説と言えます。つまり国際社会において民主主義自由経済が最終的に勝利し、それからは社会制度の発展が終結し、社会の平和と自由と安定を無期限に維持するという仮説です(Wikipedia)民主主義と市場経済が共産主義に勝利したことで、これ以上のイデオロギー論争は起こらないとしたことは部分的には正しいことでしたが、その後世界から戦争が亡くならなかった事実は、彼の本意とは別にその解釈に誤りがあった事は明らかだろうと思います。

 

II.  衝突しつづける文明

「文明の衝突」はフクヤマの師ともいえる政治学者のサミュエル・ハンチントンが1996年に著した論文で、冷戦が終わった現代世界においては、文明化と文明化との衝突が対立の主要な軸であると述べた。特に文明と文明が接する断層線(フォルト・ライン)での紛争が激化しやすいと指摘しました(Wikipedia)。世界政治において文化やアイデンティティが重大な影響を果たすようになれば、文明の境界線にしたがって世界政治の枠組みは再構築されることになる。かつてのアメリカとソヴィエトによって形成されたイデオロギーの勢力圏に代って、それぞれの文明の勢力圏が新たな断層線、フォルト・ラインを生み出し、そこで冷戦中にはなかった紛争が頻発するようになっている。1990年代以降に世界的なアイデンティティの危機が出現しており、人々は血縁、宗教、民族、言語、価値観、社会制度などが極めて重要なものと見なすようになり、文化の共通性によって協調や対立が促される、とするもので、この理論の方が現在の状況をかなり反映しているように見えます。

各民族の文明のすみ分けを示した図。日本も独自の文明圏として示されている。

 

III.  多様性の受容という胡乱な理屈

 

歴史は終焉しているのであり、世界はグローバリズムにより統一されると宗教的信念で妄信している者、あるいはその方が「利権的に都合が良い」者にとっては、各民族がアイデンティティとして多用な文化を保持し続けてグローバリズム陣営(主に西側の資本家集団)が「正義」と規定する価値観を受け入れない諸国民は「多様性を受容しない」誤った考えの持ち主と攻撃されます。一方で文化の多様性こそが諸国民のアイデンティティの基であり、グローバリズムが規定する価値観のみを正義とする方が多様性を否定しているという考え方も正しいのです。これは統一した価値観を受け入れず、諸国民独自の生き方を護ろうとする勢力を分断を煽ると責め立て、極右と表現する風潮にも現れています。この対立は、一極主義と多極主義の対立の図式と相似形であり、現在の趨勢としては経済においても多極主義(BRICSやグローバルサウスの台頭)が一極主義に勝っていると結論付けられます。

 

IV.  トランプの勝利、ウクライナ敗北、ガザ虐殺

 

トランプ次期大統領が主張する米国第一主義とは、以前から説明するように米国を「グローバリズムの中心」ではなく「多極主義の一極にする」という意味です。だから米国で資本を握るグローバリストが民主党とメディアを金で支配した上で、全力でトランプ復活を阻止していたのです。ウクライナが西欧グローバリズムとロシアを中心としたBRICS多極主義の代理戦争であることは明らかですが、ウクライナの敗北は100%明らかな状況になりました。

イスラエルによるガザの虐殺は「文明の衝突」の反映でありながら、力の原動力がグローバリズムの勝ち組である米国ユダヤ層であることが問題を複雑にしています。「歴史の終焉」信奉者としては「ユダヤ・グローバリスト達が今後落ちぶれることはない」と信じていながら、文明の衝突で虐殺が起こっていることに困惑を隠せない状態なのです。ユダヤ・グローバリストもグローバリズムの終焉とともに落ちぶれる(場合によりイスラエル国家は消滅しえる)のであり、不可避である文明の衝突は諸国民の知恵と協調で調整する工夫が必要なのだという結論に同意すれば、虐殺を止める事も可能になるのです。

 

V.  1980年代までマル経一本だった日本の大学経済学部

 

私が大学生であった1980年代は、日本の経済学部は「マルクス主義経済学」を教える場所、という今から考えるとあり得ない後進国ぶりでした。学園祭などに行くと長髪の経済学部の院生や助教達が肩で風を切りながら「いかに社会主義経済が素晴らしいか」を力説していたものでした。防衛医大では一ツ橋出身の近代経済学を是とする教授(経済学会では反主流)に経済学の講義を受けていたので「マル経は若い人には魅力的だが限界がある」と言う説明に納得していました。その後のソ連の崩壊は、日本の経済学部が世界の時流からは周回遅れであったことが実証されました。

現在の日本のメディアでトランプ現象やウクライナ紛争を「グローバリズム」対「多極主義」の視点から解説したものは皆無です。日本のメディアと有識者とされる連中、メディアしか見ない日本の人達が「世界の流れから周回遅れである」状態に気づくのはいつなのでしょうか?

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あからさまなmisinforming narrative (誤った物語を広める)

2024-10-25 15:55:52 | 社会

米国大統領選がある年の10月は選挙前に結果に影響しそうな大事件が起きる事を称してOctober surprise があると言われています。現在米国が関与する世界的な事象としてはイスラエルが周り中の国と戦争を始めていよいよ大国イランとの戦争が始まる気配があることと、ウクライナがロシアに敗戦に至る事が考えられます。

 

I.  米軍機密漏洩事件

日本では報じられていませんが、1週間ほど前にMiddle East Spectator紙にイスラエルが10月中旬にイランの長距離レーダーと防空システムを攻撃する予定であるという米軍の機密情報がリークされました。内容から本物の書類と考えられていて、No FORN(同盟国five eyes含めて漏洩禁止)とされる内容でした。核開発施設や製油施設への攻撃が予想されていましたが、漏洩によって奇襲性がなくなり、計画は頓挫しました。漏洩された目的はこの時期に中東の戦争が拡大することを防ぐ(ことが米国の国益になると考えた愛国者がいた)ためと考えられます。

 

II.  北朝鮮軍ウクライナ参戦

わざとらしいウクライナからのしつこい情報リークとシベリアで撮影されたロシアと北朝鮮の旗

やはり1週間ほど前から不明確なのにしつこく報道されているのが北朝鮮軍がロシア軍に参戦する、三千名とか1万名とかクルスクに向かうとか東部戦線とか、ほぼ推測でしかないヨタ記事がウクライナ情報筋(英国MI6とCIA)の情報として出てきます。韓国情報院(これもCIA)からもダメ押しの様に情報が出されているのでよほど大事件にしたいのだろうという意図を感じます。ダグラス・マクレガー退役大佐によると、北朝鮮とロシアは定期的に共同訓練をしており、発表される衛星写真や北朝鮮の国旗が立てられた写真などは共同訓練時のものである、と言います。ロシアが圧倒的有利に戦線を拡大、前進しており、ロシア軍の予備部隊も十分控えている現在、異国軍である北朝鮮軍をロシア軍に加える必要性は皆無です。シベリア方面のアジア出身者からなる部隊はロシアの軍服を着た北朝鮮軍と人種的に区別が付きません。Putinは記者会見で面白がってあえて否定しませんでしたが、CIAが何故偽情報を故意に広めようとしているのか、今の所不明です。北は詳細不明ながら臨戦態勢に入っていると言われますが、10月24日の在韓米軍のサイトには通常の訓練風景が発表されているのみで、退役大佐ダニエル・デービス氏のyou tubeにても在米韓国駐在武官に新たな動きはないと述べていて、米国Defconに相当する韓国WATCHCONの動きもなさそうです。しかし南北朝鮮に新たな軍事衝突を起こそうとしている画策があるなら迷惑な話です。

在韓米軍のサイトは通常の訓練が報じられている  NHKまでも誰に命令されたか「しつこく報道する意図」は何であろうか?

 

III.  カザン(10/23-24)のBRICS首脳会議の要旨

 

日本では軽くしか報じられませんが、ロシアのカザンで開催されたBRICS首脳会議は、世界が多極化に向かう事を確証させる重要な会議であり、G7首脳会議以上の意義を持つものです。特に13か国のパートナー国を追加、30か国が経済体制に関心があると言われており、BRICS内の実体経済の拡大、グローバル経済体制とは別の貿易プラットフォーム構築についての具体的枠組みが合意された事は非常に重要と考えます。以下に今回の会議の主要な決定事項を記します。

 

〇 BRICS諸国は中東における核不拡散体制と非核地帯の強化を求めた。

〇 すべての当事者によるイラン核合意の再開の必要性を強調した。

〇 開発途上国の世界経済への貢献を増やすことでブレトンウッズ機関の改革を求めた。

〇 BRICSは、加盟国間の複合輸送を確保するために単一の輸送プラットフォームの構築を検討。

〇 中東情勢の激化を懸念し、イスラエルによるイラン大使館への攻撃とレバノンのポケベルの破壊を非難。

〇 新開発銀行のインフラを活用した新たな投資プラットフォームの創設を検討。

〇 シリアの主権と領土保全の保護に対する無条件の尊重を主張した。

〇 将来的に他の農業部門も対象とする穀物取引所を設立するというロシア連邦の取り組みを支持する。

〇 1967年の国境内でのパレスチナ国家の国連での採択を支持した。

〇 新開発銀行を新興市場国向けの多国間開発銀行に転換することに合意。

 

IV.  今更コロナ病名の死亡者が増加していると煽る日本メディア

2024年10月から5種類の新型コロナワクチンを揃えて有料定期接種が始まりましたが、一部高齢者以外は積極的に受けようと言う国民はいません。高齢者からも「子供たちから受けない方が良いと言われた。」という声も良く聞きます。コロナワクチンが感染予防に訳立たないという実経験がこれだけ積みあがればいかにテレビを妄信している情報に疎い老人も「もういいか?」と思うようになるのは当然でしょう。そこで考えられたmisinformationが「コロナ死亡がインフルの15倍だ」というもの。

以前から指摘している様に「コロナ陽性」で隔離された状態で入院死亡した場合は死因が明らかに進行癌などの他の原因でなければ、例えば誤嚥性肺炎で亡くなっても死因は「新型コロナ肺炎」になります。コロナ肺炎で亡くなったとされる高齢者のCTなどで確実にコロナ肺炎の所見があるのは4-5名に一人程度です。他にも老衰に近い施設入所者がコロナ陽性になって死亡するとコロナ死として診断書に記載されます。死亡診断書に何を書くか医師が考える時間はせいぜい5分です。現在はコロナ死亡でも遺体搬送に特別な処置は不要であり、「働き方改革」などで夜間時間外死亡は研修医などが書類記載をすることが多く、役所などでの事務処理に問題がなければ死因は「不明」や「心不全」よりは直近で「コロナ陽性」があれば新型コロナ感染症と記すのは当たり前です。インフルエンザはコロナほど流行しなかったので高齢者も罹っていません。「5類移行後インフルの15倍死亡」の理由はこれですが統計には反映されない事情です。あえて強調するのはワクチンを打たせたいという思惑からでしょう。

 

追記 2024年10月26日

イスラエルがイラン、シリアなどにミサイル攻撃を開始

予想はされていたと思いますが、いよいよイスラエルはイラン本土に軍事攻撃を開始しました。目標の座標などは米国からの情報でしょうから米国にも通知済み(承諾した?)と思われます。大統領選前に開戦の既成事実を作ることがシオニスト・ネオコン側の思惑と考えますが、イラン首脳も出席したBRICS首脳会議終了直後に攻撃を始めたタイミングにもロシアがどう出るかを計る意図があるでしょう。

元CIA分析官のラリー・ジョンソン氏によると、攻撃はイラン領外の航空機から発射された巡航ミサイルによるもので、殆どロシアが供給した防空システムで破壊され、実際の被害は少ないだろうということです。いずれにしても戦火の拡大は世界に望ましくありません。政治能力皆無のハリスが大統領になることだけは避けたい。自民が過半数割れして野合の弱い日本政府などができることも避けたいです。

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イスラエルの重症新型コロナ的対応とイランの飽和攻撃

2024-10-13 13:59:55 | 社会

良く参考にするアンズ・レビューというサイトのロン・アンズ編集長が、2024年の10月7日の論考でイスラエルのハマスによる2023年10月7日のアル・アクサ攻撃は、攻撃された主体が過剰すぎる反応を起こして自滅しそうになっているという点で、重症新型コロナ感染症に類似していると指摘しました。新型コロナ感染症が重症化するメカニズムはウイルスが増殖した肺実質への自己の免疫過剰反応によるサイトカインストームで肺組織が破壊され、呼吸不全に陥ることであることは以前のブログでも度々説明してきました。

コロナ肺炎の重症化とは自己を護ろうとする免疫の過剰反応(サイトカインストーム)が原因

10月7日に約1,200人のイスラエル人がハマスの攻撃で亡くなったとされますが、実際には襲撃したハマスに殺されたイスラエル民間人は少なく、慌てて飛び立ったイスラエル国防軍のアパッチヘリコプターに、「動く物全てを攻撃せよ、一人も生きてガザに返すな」という命令が下されていた結果であることはその後の取材で明確になっています。イスラエル政府が、自国民の犠牲を厭わない(ハンニバル指令)対応をせず、ガザに連行された200人余りの人質の釈放とイスラエルがテロリストとして裁判もせず捕えたままでいるガザ・ヨルダン川西岸地区のアラブ系住民数千人のうち、証拠不十分な者全ての釈放を渋々でも受け入れていれば、イスラエルの国家としての被害はこれほど悲惨なものにはならなかった事は間違いありません。

イスラエルの自滅的行動はアラブ世界の絆を強める結果になっている

アンズ氏が指摘する様に、当時のイスラエルはサウジアラビアとの国交正常化を控えており(逆転した現在、10月2日イラン大統領はサウジ外相と会談し関係改善した)、世界におけるITや先端産業をリードする国でもあり、トランプ氏が大統領になれば一層米国におけるイスラエルの地位が揺るぎないものになっていたはずでした。しかし事件から1年経過した現在、イスラエルは無抵抗のガザの市民4万人を虐殺した言語を絶する戦争犯罪国家であり、戦争の目的であったハマス撃退は達成しておらず、人質も交渉で帰還された人以外ほとんど戻っていません。イスラエルから国外脱出した住民は既に数十万人とも言われ、経済は停滞、既に米国以外で見方になる国はなく、米国内でもネオコン・シオニストの有力者以外は反イスラエルです。おまけに現在レバノンへの侵攻、ヒズボラへの攻撃を開始し、イランとも全面戦争に向かおうとしています。イスラエルはアメリカからの軍事支援でやっと戦争を継続している、病態で言えば重症化した肺炎のために集中治療室でECMOにつながれてやっと呼吸と循環が維持されている状態であるのに、更なる免疫反応で宿主破壊を進めようとしている状態と言えます。

 

イランが今までに行った限定的攻撃の軍事的意味

 

イランはシリアのダマスカスにあるイラン大使館がイスラエルにより攻撃した報復に2024年4月13日、ヒズボラに対する軍事攻撃への報復として同10月1日にミサイル攻撃を行いました。これらの攻撃の軍事的意味合いについて、つまりイランとイスラエルが本格的衝突に至った場合にどうつながるか日本で解説したメディアがないので以下に示したいと思います。

 

イスラエルの重層防空体制

1985年以降イスラエルは米国と共同で狭いイスラエル国土(約2万平方キロ)をハリネズミの様に護る防衛システムの開発に着手し、現在図の様な重層的ミサイル防空システムが完成しています。上図の如く、低層のアイアンドーム(最近はレーザー兵器も使用)、ダビデの投石と言われる中層ミサイル、日本にもあるパトリオット、その高層はアロー2,大気圏外を対象としたアロー3も実用化されています。これらは軍艦の防空システムの様な長距離から近距離へ重層的な防護を統一した指揮系統で可能にしたシステム統合的な内容です。この一見水も漏らさぬ完璧な防護態勢の唯一の弱点は一度に対応できる標的の数が限られている、つまり飽和点がある事です。逆に飽和点が解れば金がかかった割には極めて脆弱なシステムと言えます。

 

イランのミサイル飽和攻撃

イランは4月13日の夕方、イスラエルに対して神風ドローン170機、巡航ミサイル30発以上、弾道ミサイル120発以上の集中攻撃を開始し、攻撃は5時間続きました。イスラエルはそれらの99%は多層防空システムと同盟国の迎撃で撃墜したと発表しましたが、弾道ミサイル10発程度は目標に到達したことが確認されています。イランは安価で速度が遅いドローンと中等度の速度で到達する巡航ミサイル、そして超音速で飛翔する弾道ミサイルを同時期にイスラエルに到達する様に時間差で発射しました。ドローンと巡航ミサイルは低空から数千メートルの高度を飛翔し、弾道ミサイルは一度大気圏ギリギリか外まで上昇してから目標に到達するので、イスラエル側の統合的レーダーシステムがどこまで対応できるか試した内容でもあります。弾道ミサイルが目標に到達したという事は、ここに防空システムの飽和点(弾道ミサイル100発)があるとイランは確信しました。

イランによる10月1日の約180発ミサイル攻撃は、防空システムの飽和点が既に解っていたため、それに対応する形で行われました。前回程度の数の自爆ドローンや巡航ミサイルは迎撃可能と解ったため使用せず、今回は弾道ミサイルのみで行われました。イランは、精度があまり高くなくコストも安い、低レベルの旧式ミサイルを大量に空域に発射して飽和させ、その飽和した「雲」に乗って目標に到達する、誘導能力に優れた、より先進的な極超音速ミサイルを少数発射する方式を採用しました。しかも多弾頭化やロシアのミサイルにも付いているデコイを発射して目標を複数化するなど、飽和に早期に達する方法を使用したと思われ、目標の3-4か所の空軍基地とモサドの司令部などの各目標に30発以上の命中(到達)があったと見られます。イスラエルは1か所を除いて目標とされる基地の衛星写真を撮らせないようにしていますが、目に見える結果は、広いフィールドにランダムに命中した多数のミサイルと、数発の格納庫などへの正確な命中弾が含まれます。180発のうち、多弾頭化やデコイで300発位に目標数が増やされると、飽和数の100発は撃ち落とされてもミサイルとして有効な150発位が目標に達したと考えられ、計算が合います。正確なミサイルとは主兵器 (エマドやファッタ 2 など) によるものと考えられました。これは同様の方法でその気になればイランは主要なイスラエル内の目標を正確に攻撃できるというメッセージに他なりません。

ネバティム空軍基地に多数着弾したミサイル跡(他にも重要目標の格納庫に着弾)

 

瀕死のイスラエルは健康体のイランと全面戦争をするか?

10月9日ネタニヤフはバイデン大統領と電話で会談し、イラン石油精製施設と核施設への攻撃の許可を求めたと言われます。しかしバイデン大統領は拒否したと伝えられています。トランプ前大統領は、イランの核施設攻撃(石油ではなく)には賛成しており、本音では米国が関与しない形でイランの核施設が破壊されれば良いと考えているでしょう。表面的にイスラエルに反対しているカマラ・ハリスが大統領になった場合、イスラエル得意の偽旗作戦(1946年のアラブ人に扮したシオニストによるエルサレムキングデビッドホテル爆破とか1954年アラブ団体によるテロをみせかけたイスラエルによるラボン事件、1967年USSリバティ号へのイスラエルによる攻撃イスラエルの核保有を妨害したケネディ暗殺(疑惑)やイラク侵攻を決定づけた911もモサドの関与が疑われている)で、イランを悪者にした米国内のテロ事件(大統領暗殺とか)を起こして、瞬間湯沸かし器の米国人を直接イランへの戦争に駆り立てる計画を考えているでしょう。陰謀好きでイスラエル人でもある駐日米大使ラーム・エマニュエル氏がハリス氏の補佐役に就くために帰国する位ですから。

私は表面的にイスラエル支援のトランプが大統領になって、イスラエルはイランと戦争させて見殺しにし、歴史の舞台から消えてもらうのが世界のためだろうと思っています。

(補足)

モサドが関与したかもという911の直後、アルカイダの犯人たちの母国サウジアラビアでなく、関係ないイラクへの侵攻が決定された理由について、エクソンモービルのイラク担当責任者からペンタゴンに移籍し、イラクに6年以上駐在したゲイリー・フォーグラー氏の著作「イラク石油戦争の勝者イスラエル」が話題になっています。2003年から2011年の間に、4,489人が戦死し、32,223人が負傷し、2兆ドル以上が米国によりイラクに投下されたにもかかわらず、米国は2024年現在何の利益も得ていない。米国のイラク侵攻はイスラエルの石油確保がその目的であったと解説しています。米国政治がイスラエルによりコントロールされている実態が現在の矛盾に満ちた米国政府の対応から次々に明らかになってきています。

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トランプ氏、大統領退任後もプーチン氏と親密米名物記者が近く新著で暴露

2024-10-09 15:46:25 | 社会

この記事は「米ロの首脳が親密であるのは怪しからん!」がデフォルトの正義であり日本人全てが同意する既成概念として書かれているようだ。

gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/sankei/world/sankei-_world_america_6K64HKJ2IZL2FCUTS4PPXK7NZA

人類を20回以上絶滅させる核兵器を持つ超大国の首脳が対立し、代理戦争を続ける状態である事を寿ぐ阿呆、無知性に世界はいつからなったのであろうか?

ウクライナやガザの惨状は他人事であり、西側の先進国は返済する予定のない国債から戦争している国に金をくれてやる事で、自分達が悲惨な目に遭う事などない!とタカを括っているようだ。

1980年代までは、世界が核戦争に見舞われれば、全ての文明、文化的生活が終わりを告げて、まずは激しい飢饉と水不足を生き残りをかけて生存競争をせねばならず、家族や友人の多くを失った上で、生き残った人間達で戦後復興の様な焼野原からの1からの生活立て直しを始めなければならないと覚悟していた。「米ロ首脳の親密さは怪しからん」と言っている人達にその覚悟があるとはとても思えない。

    祝!ノーベル平和賞受賞(2024年10月12日追記)

欧州の市民達が核戦争の脅威を本気で感じている証でしょう。日本人が身をもって核爆弾の悲惨さを示してきた事が評価されたものと思います。

米ロの首脳は親密である必要があるのです。

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崩壊するクルスク戦線と英国権力層の賭け

2024-09-12 13:14:45 | 社会

9月11日のクルスク戦線は、前回本ブログに示した様に補給を断たれて陣地戦に陥ったウクライナ侵攻軍が包囲殲滅される方向に向かっています。図で示される様に、クルスク西部は既にロシア軍部隊に包囲され、北部へ突出した部隊も補給路を分断され包囲されつつあります。先週クルスク近郊のウクライナ側にあるスミ近郊にあるウクライナ軍の集中補給基地がイスカンデル超音速ミサイルで攻撃され、武器、砲弾の車列が壊滅してクルスクへの補給が断たれた状態でした。

9月12日クルスク侵攻部隊はロシアによる包囲殲滅戦の危機にある。 ウクライナ側の物資補給部隊は9月初旬のロシアによるミサイル攻撃で壊滅状態

その様な中、ブリンケン長官はウクライナを訪問、ゼレンスキー氏が懇願する供与されたミサイルのロシア領内への長距離使用許可を求めました。選挙を前にした米国は既にウクライナ支援は腰が引けていて、NATOの直接参戦につながるミサイルの長距離使用には消極的ですが、EUなどどうでも良い英国権力層は供与したストームシャドウのロシア領内使用を既に許可したと言われ、NATOとして英国は戦争参戦する気満々の様です。欧州全体がウクライナの様な廃墟になっても良いと英国(権力層DS)は考えており、欧州市民達はふざけるな!という想いでしょう。それは今回のドイツ州議会選結果にも表れています。

愚かにも英国DS勢力はミサイルのロシア領内使用許可を既に出してしまった。 ブリンケン長官はレイムダックのバイデン政権として戦争開始の責任を取りたくない(許可すれば100%選挙には負けるだろう)から金で何とか誤魔化したい。

欧州の市民は自国が戦場になるなど絶対否である。「辛い結果」を免れたいのは市民の方だ!  ハリス氏との討論会でもトランプ氏は無駄な死をなくすウクライナ停戦を主張

 

〇 トランプ・ハリス討論会の行方

共和党のグローバル派(悪名高いチェイニーとか)からも支持してもらってるの、と討論会で得意げに話すハリス氏 WSJは中間層の収入はトランプ氏の2019年の方が多かったと指摘

9月10日接戦州のペンシルベニア州フィラデルフィアで民主党を支持するABCニュース主催で行われた討論会は、米国主流メディアは、まともに討論できなかったバイデン氏に比して、トランプ氏への口撃がしっかりできたと高評価です。しかし経済や移民問題について司会者からの質問にも答えず、司会者も敢えてそれ以上答えを要求しないなどハリス氏のempty suit(中身のなさ)ぶりについてはそのままで、トランプ氏の「あなたは権力についていたこの3年半何もやらなかった。今からでも遅くないからホワイトハウスに戻ってあなたが今素晴らしいと自賛している政策をやるべきだ。」という最後の言葉が現在の彼女の実力を表していたと思います。討論会後に歌手のテイラー・スイフトがハリスを支持したと話題でしたが、トランプを支持していたらあらゆるメディアから大批判を受けていたでしょう。ポピュリズムを批判するメディアが人気者の動向を大喜びで報道する様は異様です。

体制派グローバル側を支持すればメディアから褒めてもらえる哀れな芸能人達   比較的中立なC-spanの討論結果の集計(9月12日31万人)

 

〇 体制派としてのグローバリズム

 

社会は常に「反体制」の存在を必要とします。しかし体制派の権力維持が困難になるほど、反体制への締め付けが強くなるのが世の常です。1990年代にソ連東側の社会主義国家が倒れて、経済だけは世界中が資本主義になると、経済が国の垣根を超えてグローバル経済として発達し、資本の元になる会社も世界規模になって世界統一基準(グローバリズム)が2010年以降主流になって「体制」を形作ります。ここで「反体制」となるのは社会主義経済ではなく、同じ資本主義でも多極(multi-nodal or multi-polar)な体制であり、輪転機を回して無限に「資本」を作れる西側先進国(G7)と対立して行きます。輪転機を回し過ぎてグローバル陣営の資本主義が実体経済に対する信用経済の割合が大きくなりすぎて、富の偏在が極端になりすぎ、健全な成長が望めなくなると、実体経済(食料、資源、人材と消費)がG7よりも大きい多極主義陣営(BRICS、グローバルサウス)が経済の主導権を取ろうとしてきます。西側とみられていたサウジアラビアやトルコは既に多極側に傾きつつあります。米国も共和党・トランプ陣営は多極主義の一極を米国に置くという政策ですが、グローバル陣営は民主党を勝たせようと支配するメディアを駆使してあらゆる手でトランプ勝利を阻止しているのが現在の状況です。

体制派であるグローバル陣営は、自由と民主主義を守ると言いながら、表現の自由を元に民主主義的に多極主義に移行することをあらゆる専制主義的制限と束縛で阻止しています。多極主義への移行を「分断」と称して、グローバリズムによる思想統一が素晴らしい事である様な幻想を押し付けますが、日本のメディアはまだ体制派であるグローバリズム一色であり、日本国民が意識改革に目覚めるのがいつになるか未定です。歴史的には、日本人は明治維新による幕藩体制から天皇制への移行、終戦による天皇制から立憲君主制への移行と反体制だったものが一機に体制へと変換する歴史変革に慣れているとも言えます。グローバリズムから多極主義への移行は今までの革命的大転換に比べれば大した変革ではありません。私は多極主義派で現在は反体制ですが、米国がトランプ体制になり、ウクライナ戦争が終結し、イスラエルが消滅して世界が平和になると、日本の意識変革、体制移行もスムーズに行われるでしょう。

しかし断末魔のグローバル陣営による画策が成功して、ウクライナ・NATOが世界戦争になり、中東も米国・イスラエル対イラン・アラブ諸国の世界戦争になると、世界中の多くの一般市民がくだらない戦争の犠牲になり、多くの文化・資産が失われる人類の大損失につながる事になるでしょう。そうならないための論説を私は細々と続けていますが、主流メディアでの議論が普通に行われる日本に早くなって欲しいものです。

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最期の賭けだったかもしれないウクライナのクルスク侵攻

2024-09-07 09:03:55 | 社会

ロシアはウクライナ全土の電気などの重要インフラに容赦ないミサイル攻撃を仕掛け、既にウクライナで電気が使えるのは30%あるかどうかと言われています。これは日常生活のみならず、補給や傷病者の医療にも深刻な影響を与えます。2024年の8月初旬にウクライナ軍はNATO指揮下に東部戦線から使える軍備を引き揚げてクルスク侵攻に踏み切りましたが、これは客観的にはPublicity Stunt(人目を引くPR活動)にしか見えませんでしたがゼレンスキー前大統領にとっては「最期の賭け」だった様です。つまりロシア軍の虚を突いてクルスク原発(核施設)を確保し、ロシアと有利な条件で交渉をする、或いはNATOを本格的に対ロシア戦争に引き込む、事を目的としていたらしいことがウクライナ軍捕虜などの証言で明らかにされています。

 

I.  沈む船から大挙して逃げ出す

 

NATOから供与された(オランダから?)虎の子のF-16戦闘機は、味方のパトリオットに対ドローン攻撃の混戦の最中に撃墜され、オレシュチュク空軍最高司令官は責任を取って罷免されました。NATOのIFF(Identity Friendly Foe)システムが対応しきれていない事が原因とも言われていますが、防空・防衛システムが不十分であり、混乱していることは間違いありません。

虎の子のF-16撃墜はウクライナ友軍か

クルスクに侵攻したウクライナ軍はほぼ壊滅状態で、残る軍を再び敗走しつつある東部戦線に再配置しているのがシルスキ司令官の現状であり、ロシア軍は大型誘導爆弾などで大きくロシア領内に引き入れて退却しきれなくなったウクライナ軍残党を殲滅しています。侵攻したウクライナ軍にとっては、戦車や装甲車などがほぼ破壊されて補給線が伸びた状態で陣地戦を強いられる最悪の状態と言えます。

沈む船から大挙して逃げ出す人達

 

9月初旬、とうとう沈む船から大挙して逃げるネズミの様にウクライナ中枢のメンバーが次々と辞任し始めました。外相のドミトロ・クレバ氏、法相のデニス・マリウスカ氏、戦略産業大臣アレクサンダー・カムイシン氏、ルスラン・ストレレツ環境・資源大臣、オルガ・ステファニシナ副首相、イリナ・ヴェレシュチュク副首相、大統領府副長官のロスティスラフ・シュルマ氏などです。逃げられないウクライナ市民が一番悲惨な目に遭います。日本国民はウクライナに戦争継続を応援することは止めるべきだ。

 

II.  軍事訓練センターミサイル攻撃

現地からは被害の悲惨な状況が報告されている。

9月3日のポルタヴァにある軍事通信教育研究所に対するロシアの極超音速ミサイル攻撃は、長年の中立政策を棄ててNATO入りを果たしたスウェーデンからの教官を含む200名以上(一説ではもっと)が死亡、300-500名が負傷したと言われ、米軍の現役中佐も非公式ながら(同日ポーランドで死亡と発表)犠牲になった様です。この攻撃で明らかな事は極超音速ミサイルによる攻撃は防ぎようがない、空襲警報が鳴ったと同時に避難する時間なくミサイルが着弾するという現実です。西側メディアはロシアのミサイル攻撃による民間人の死傷者数を発表しますが、多くは軍事施設を狙ったミサイルをウクライナ側のミサイルで撃ち落とした結果の破片などによる被弾であるため、死傷者が10名程度で済んでいるのであって、初めから居住施設を狙った場合は数百名の犠牲者が出るのが普通です。

 

III.  その他の戦術の進化

ウクライナ軍の実態は訓練不足による犠牲の増大が深刻と言われます。友軍への誤射で負傷する兵士も多いのが現実でしょう。軍歴を知らない日本人には理解困難でしょうが、戦場で撃つ、撃たないの判断を正しくできるようになるには訓練を含めて数年はかかります。それまでは経験豊富な下士官、兵に従う事が生き残る手段であることは洋の東西を問いません。そのような中でも戦争の長期化によって戦術の進化は進んでいます。

前回ある程度まとめて、2024年7月号の「紙の爆弾」誌にも発表しましたが、それ以降の進化として、(1)高精度ドローンの撃墜に安価な自爆ドローンが多用される、(ISR情報、観察、偵察の取得が開戦初期より困難になりつつある)(2)ドローンや通信の妨害技術が発達し、有線(光ファイバー)ドローンの有用性が認識され、偵察や車両への自爆ドローン攻撃に実用化、といったことが挙げられます。これらは既に中国軍ほか各国の陸軍戦闘教範に取り入れられて訓練で応用されると思います。わが陸上自衛隊の教範や戦術訓練も当然改定されつつあると期待しますが、その変化の速さは驚くばかりです。

ロシアで実戦に使用されている光ファイバー誘導ドローン

 

IV.  ネタニヤフの敵はハマス、ヒズボラ、イラン、ユダヤ教徒、政権内部、イスラエル国民

9月2日人質になっていたイスラエル市民6名が遺体で返還されたことに怒ったイスラエル国民は、真摯に人質解放交渉を行わずガザ虐殺を続けるネタニヤフ政府に対してゼネストを行いました。既にイスラエル経済は壊滅的打撃を受けており、政権内部からもネタニヤフ首相を批判する声が多く見られます。バイデン政権とAIPAC、米国議会はいつまで世界を敵にまわしてネタニヤフを応援し続けるのでしょう。一体何の国益が米国と米国民にあるのでしょうか?

 

V.  日本にも拡大する検閲産業複合体

9月6日発売の「紙の爆弾2024年10月号」に拙の論説が掲載されていますので、ご笑覧下さい。巻頭にカラーの図も載っています。

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相手を見くびれば100%負ける

2024-08-15 15:57:24 | 社会

全ての勝負事、戦いにおいては、「相手を見くびれば100%負ける」(常に全力で戦え)という法則があります。「敵を知り、己を知れば100戦危うからず」も同じ事です。現役の外科医時代においても、「これは楽勝」と考えた手術で手痛いしっぺ返しを食らって途中から全力で回復戦に臨まねばならない事態が多々ありました。敵を見くびれば負けるのです。

第二次大戦において、「享楽主義のアメリカ人など初戦でダメージを与えれば容易に折れる」と見くびってパールハーバーに臨みましたが、結果は眠れる獅子を起こし、最終的に原爆を2発も落とされて、日本を5分割され、80年後の今も日本は米国の隷属国です。

自分に都合が良い解釈ほど非現実的なものはない。

 

I.  テロリスト(抵抗者)を殺せば後は全員服従する?

 

「抵抗者(テロリスト)を殺せば後は全員服従する」のであれば歴史は太古の時代から変わっていないことになりますが現実は異なります。「力でねじ伏せれば従う」は時の支配者が陥る陥穽ですが、短期的には成立しますが、長期的には相手を絶滅させない限り100%いつかはこちらが負けます。だから「テロリストを殺せば後は全員服従する」という論理で行動する者は「阿呆」「無知性」「間抜け」と断定して良い。米国はテロリズムで英国から独立を勝ち取ったにも関わらず、2001年からの「テロとの戦い」で負け、世界中から嫌われます。同じ過ちをシオニスト・イスラエルは現在繰り返しています。そして100%負け、下手をすると数年でイスラエルは地上から消滅する(パレスチナという多民族国家が成立し、その中でユダヤ教を信奉する一部ユダヤ人が他の世界と同様生活する)ことになるでしょう。イスラエル軍部が声明を出した様に、ハマスは思想であり、組織ではないので殲滅は不可能だからです。

 

II.  ロシア本土に進撃すればロシア人は怯む?

8月14日時点でのクルスク侵攻でウクライナ軍が軽車両で一時的に通過した村の範囲(白丸)と、実際確保している地域(緑)

 

ロシア本土に進撃すればプーチン体制が弱るどころか、ロシアの団結が一層高まり、プーチン体制が盤石になる事位理解できないのでしょうか。911で米国人は怯み、アルカイダに降伏しようという機運が高まる、ハマスが攻撃すればイスラエルは怯んで要求を呑む、そのような理論が100%誤りであるのと同様、テロとの戦争や本土進撃は愚策の限りです。では実質publicity stuntでしかない本土進撃でしたが、多大な犠牲と準備を要した攻撃の意図がそれだけであったかは最近明らかになった事象で明確になりました。

ロシアがトレードを持ちかけていると(夢見る)ザハロワ報道官を使ったフェイク動画  ウクライナは思い通りにゆかず、ザポリージャ原発にやけくそドローン攻撃

 

ウクライナ軍は計画ではクルスク原発の奪取を目論み、クルスク原発と欧州最大の発電力を持つロシアが開戦2日後に占領したザポリジャ原発をトレードする事を本気で考えていた様です。それはザハロワ外務省報道官がクルスクからの撤退とザポリジャ原発をトレードしたいというフェイク動画をウクライナ側が製作したことからも明らかでした。思惑に失敗したウクライナは肝心のザポリジャ原発にドローン攻撃を仕掛けて冷却塔に火災を生じさせました(ロシア側がタイヤを燃やして煙を出しているという説明もある)。いずれにしてもロシアは住民に避難命令を出しており、住民避難後は進出したウクライナ軍に躊躇なく誘導爆弾で殲滅攻撃を行うことができるでしょう。寄せ集めと言っても3,000名以上のまともなウクライナ兵を東部戦線から引き揚げて攻撃に使い、ロシア軍の集中砲火で犠牲にしてしまうのですから、ドンバスの東部戦線が崩れる速度が一層早くなることは否めません。しかも今回の攻撃では、ウクライナ軍は軍事施設ではなく、民間人を攻撃対象にしたのでロシアはウクライナ軍を「テロ組織」と断定、今後は停戦交渉を行わないと通告した様です。この愚策でハンガリーのオルバン首相の仲介も無駄になり、ウクライナの損失は計り知れないと思います。愚かな指導者(既に前大統領でしかない)と無責任なアドバイザー兼スポンサー(米英)の現実を我々日本人は良く見ておくべきです(後から米国からかかった分の金を出せ<復興資金として>と言われるでしょうが)。

ウクライナは卑怯な攻撃により既に国家としての交渉権を失ったとするノーボスチの記事

 

III.  イランは攻撃するか?

5000kmのジャミング能力を持つムルマンスクシステム

パレスチナにはハマスを含めて14の抵抗組織がありますが、7月下旬に中国で署名された北京宣言で中国の王毅外相は、パレスチナを一つの国家とし、まずイスラエルとの停戦を実現した後、パレスチナ統一政府によるガザとヨルダン川西岸地域の統治、パレスチナの正式国連加盟の3段階を提示しました。また王毅外相は、イランに対して中国は外交的立場において常に後援すると伝えています。ロシアは5,000Kmの範囲の電波障害を起こす能力がある「ムルマンスク・システム」を既にイランに搬入していて、イスラエル、米国のミサイル防衛システムの無力化に貢献しています。今やBRICSの主要国ロシア、中国、イランが一体化しつつあり、インドやトルコが中立的静観に回ると、元々戦争をしたくない米国(裏でイランに多くの譲歩をしているという情報もある)は最終的にイスラエルを見捨てる選択を強いられる可能性も出てきました。

パレスチナ統一となる北京宣言  イランに攻撃をとどまらせるため、裏で譲歩を強いられた米国

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