rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

祝バッタチャリア氏NIH長官指名

2024-11-28 08:37:47 | 医療


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/reuters/world/reuters-20241127061

トランプ次期大統領は「都市閉鎖やワクチン義務化などの誤ったコロナ政策」を早くから批判していたスタンフォード大学の医療経済学者ジェイ・バッタチャリア教授を次期NIH長官に指名しました。保健長官に指名されたRFKジュニア氏と同様誤った医療・公衆衛生政策を科学に基づく正しい方向に軌道修正する上で強力な人選が行われたと言えるでしょう。

rakitarouが2020年10月13日のブログでロックダウンやPCRによる感染診断は誤り(FDAもこの時点で明確に表明していた)であるという欧米5,000名以上のまっとうな医師・科学者が署名したGreat Ballington宣言について紹介しましたが、狂った日本のメディアは完全にスルーでした。バッタチャリア医師はこのバリントン宣言の提唱者の一人です。

AP通信の記事引用

トランプ大統領、COVID集団免疫を支持したジェイ・バッタチャリア氏を国立衛生研究所の所長に指名

ドナルド・トランプ次期大統領は、パンデミック対策のロックダウンやワクチン接種義務化に批判的な医療経済学者ジェイ・バッタチャリア博士を、米国を代表する医療研究機関である国立衛生研究所の所長に選んだ。

トランプ大統領は火曜日夜の声明で、スタンフォード大学医学部の56歳の医師で教授のバッタチャリヤ氏が、保健福祉省長官に指名したロバート・F・ケネディ・ジュニア氏と協力し、「国の医学研究を指揮し、健康を改善し、人命を救う重要な発見をする」と述べた。「ジェイとRFKジュニアは協力して、慢性疾患や疾病の危機を含むアメリカ最大の健康問題の根本的な原因と解決策を調査し、NIHを医学研究のゴールドスタンダードに回復させるだろう」と彼は書いた。

バッタチャリア氏をこのポストに選ぶという決定は、COVIDパンデミックが政治と公衆衛生に及ぼす継続的な影響を改めて思い起こさせるものだ。バッタチャリヤ氏は、ロックダウンが取り返しのつかない損害を引き起こしていると主張する2020年10月の公開書簡「グレート・バリントン宣言」の3人の執筆者のうちの1人だった。

この文書は、新型コロナウイルスワクチンが利用可能になる前、トランプ政権時代に作成されたもので、感染リスクの低い人々は感染を通じて新型コロナウイルスに対する免疫を構築しながら通常通りの生活を送るべきであるという考えである「集団免疫」を推進している。文書では、保護はむしろリスクの高い人々に重点を置くべきだとしている

「ロックダウンは公衆衛生上の最大の過ちだったと思う」とバッタチャリヤ氏は2021年3月、フロリダ州のロン・デサンティス知事が主催したパネルディスカッションで語った。

(引用終了)

医学や自然科学の正しい答えは一つしかない

文系の社会科学における倫理や政治においては、正しい答えは複数存在しえるのですが、理系の医学・自然科学は正しい答えは一つしかありません。毒性が低く、感染力が強い新型コロナ感染症への対応は「集団免疫の獲得」の一択であることは発生後半年から1年で末端の医師である私を含め、世界中の多くのまっとうな医師、科学者は見抜いていました。専門家ほど早く気付くものであって、今では世界中の一般市民の人々も納得している科学的真実です。

「底に穴の開いた船は沈むという科学的真実」を「真実を告げられては都合が悪い権力者」は認めようとしないでしょう。科学者でも自分の地位保全のために忖度で科学的真実を曲げる曲学阿世の輩は「穴は小さいから大丈夫」の様な見解を出します。権力者は「科学者の先生が言っているから科学的に認められた」と言い、「穴が開いているのは危険だ」と真実を伝える者を「フェイクニュース」「陰謀論者」として葬ろうとするでしょう。しかし科学的真実は変える事はできません。いよいよ浸水して船が沈みそうになって「誤魔化しきれない」状況になると真実を認める他ないのです。

新型コロナに対する異常な対応、リスクのみで利益のない遺伝子ワクチンの推奨、誤魔化しきれない真実を突きつけられて「曲学阿世の輩と権力者」が右往左往し始めているのが現在の状況です。

世界で未だにワクチンを勧める日本の異常さについて、2025年1月号の「紙の爆弾」12月初旬発売にrakitarouが記事を載せましたので是非お読みください。

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ロシアによる新型中距離ミサイル発射の意味

2024-11-24 22:02:56 | 社会

2024年11月21日、米英がロシア領内への長距離兵器使用を許可し、実際にウクライナがATACMSをブリャンスク地域のロシア67GRU補給処に、ストームシャドウをロシア領内に侵攻しているクルスクのロシア軍指令所に打ち込んだ報復として、新型の中距離弾道ミサイルIRBM「オレシュニク」(ヘーゼル)をドニプロにあるユジマシュ・ミサイル工場に打ち込みました。ミサイル攻撃に対して、新型ミサイルを敵のミサイル工場に打ち込む事は種々のメッセージが込められていると思いますが、これについて2024年11月22日のMoon of Alabamaサイトが最もよくまとめられていたので参考までに転載します。

(引用開始)

これまで、ロシアの新しいミサイルの詳細は知られていませんでした。今回のロシアによる新型ミサイルによる攻撃は、ヨーロッパでロシアに対する覇権を獲得しようとするアメリカの十年にわたる努力に対する明らかな反撃です。

ミサイルは、達成できる射程によって分類できます。

  1. 短距離弾道ミサイル(SRBM)は、約1,000キロメートルの射程内の標的に使用します。通常、戦術的なシナリオで使われ、地域的脅威に迅速に対応できます。
  2. 中距離弾道ミサイル(MRBM)は、運用範囲を約3,500キロメートルに拡張します。これらのシステムは、大陸間システムに頼ることなく、より遠くの目標への攻撃を可能にし、国家の抑止能力を強化します。
  3. 大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、5,500キロメートルを超える能力を持つ最長射程のカテゴリーで戦略的な抑止力として機能し、大陸を越えて核を含む弾頭を運び、拡大抑止を含む世界の安全保障力学に影響を与えます。

米国、ロシア、中国は、3種類の兵器をすべて開発している。1980年代後半、ソビエトの指導者ミハイル・ゴルバシェフの主導で、アメリカとソビエト連邦は中距離核戦力全廃条約(INF条約)に署名した。

INF条約は、両国の核弾道ミサイル、通常地上発射弾道ミサイル、巡航ミサイル、ミサイル発射装置の射程が500-1,000 km (短距離中距離)および1,000-5,500 km(中距離)のすべてを禁止した。この条約は、空中発射または海上発射ミサイルには適用されなかった。1991年5月までに、両国は2,692発のミサイルを廃棄し、その後10年間にわたる現地検証検査を行った。

一定射程のミサイルの配備が禁止されている一方で、ミサイルの開発は続けられました。2008年頃、ロシア連邦はRS-24(ヤーズ)大陸間ミサイルの基本設計を使用して、より柔軟で軽いシステムを開発した。その結果、RS-26ミサイルの取り扱いが容易になりました。これは大陸間ミサイルとして分類されるのに必要な射程を達成することができたし、実際に達成したが、その輸送能力は実際には効果を発揮するには小さすぎた。

2018年初頭、ロシア連邦はRS-26のさらなる開発をすべて停止することを決定し、より有望な極超音速滑空機アヴァンガードに資金を投資した。

しかしロシアがRS-24の開発を延期する決定をした数ヶ月後、米国はINF条約から離脱した。アメリカは、ロシアにおける特定の巡航ミサイル開発が条約に違反していると主張したが、撤退の本当の理由は別のところにあった。それは南シナ海を含む太平洋における中国の軍備増強に対抗する必要性であり、中国が条約に署名していなかったため、米国は離脱したのだ。バラク・オバマ大統領の任期にまでさかのぼるアメリカ当局者は、このことを指摘している。

米国のINFからの離脱は、ミサイル防衛が限定的であった弾道弾迎撃ミサイル条約からの米国の2002年の離脱と一致していた。その後まもなく、アメリカは東ヨーロッパに「対ミサイル施設」を建設すると発表した。これらの施設は、ロシアに向けて攻撃的な巡航ミサイルを発射するために転用できるものだった。

2024年7月、NATOは、米国が2026年からドイツに核搭載可能な中距離ミサイルを配備すると発表した。これは、INF条約が発効する前にヨーロッパが経験していた危険な状況を再現することになる。アメリカ本土の関与なしに、ヨーロッパ内での核戦争が再び可能になるだろう。ロシアはついに脅威に対応する必要に迫られた。NATOの発表から数週間後、ウラジーミル・プーチンは、これらの計画に対して反応した。そしてロシアは独自に対抗処置を講ずると発表した。

昨日のドネプロペトロフスクのユジマシュミサイル工場への攻撃(ビデオ)は、ロシアの新たな能力の最初のデモンストレーションだった。オレシュニク(ヘーゼル)と名付けられた新しいミサイルは、RS-26の派生型で、射程が短く、弾頭は6個(以前の4個ではなく)の複数独立標的再突入体(MIRV)です。各再突入体は6つの子弾を搭載できる。弾頭は極超音速で目標に突入し、その運動エネルギー、高爆発性または核のせん断力によって目標を破壊します。ミサイルは固体燃料を使用し、道路移動が可能です。カモフラージュされた位置から緊急に発射できます。

ロシアから発射されたミサイルは、20分以内にヨーロッパのどの目標にも到達でき、大気圏に再突入すると、ミサイルの弾頭は毎秒3〜4キロメートルの極超音速に達し、それらを止められる防空システムは世界にありません。

このような巨大な能力の驚くべき成功裏の実証は、ヨーロッパの戦略家にとって大きな警鐘です。欧米至上主義のネオコンの話に騙され、ロシアの能力を過小評価して、ヨーロッパ人は、ウクライナにおけるロシアへの代理戦争で勝利でき、利益誘導できると見込んでいた。しかし結果はヨーロッパは、壊滅的な力で、わずか数分の通知で、あらゆる政治・産業中枢に到達できるロシアの新兵器に対して無防備となった。

幸いなことに、まだ進路を変える時間があります。

ロシア大統領は、新機能を発表する一方で、その配備を制限する提案(ビデオ)も行った。

つまり米国が誤りを認めて世界の米軍基地に中距離ミサイルを配備しないと決定するならロシアは考えを改めるだろう。もしアメリカとヨーロッパの追従者たちが、ロシアに対して更なる攻撃を犯せば、ウクライナ以外の標的を狙う可能性のある、より厳しいオレシュニクの「テスト」が追求されるだろう。ロシアは独自の安全保障に対する脅威に基づいて、ロシアの軍事施設に対して、自国の兵器の使用を許可している国の軍事施設を攻撃する権利があると考えており、攻撃的な行動がエスカレートした場合には、断固として、鏡のような態度で対応する、と宣言している。

 

(以上)

元CIA分析官のラリー・ジョンソン氏によると米軍はロシアとの核戦争に備えていると軍人が勝手に発表した。

ロシアの新型ヘーゼル(オレシュニク)ミサイルは、ロンドンに16-17分、ベルリンに11-12分、パリに15-16分で到着可能になった。

駐英ロシア大使は、テレビのインタビューで、記者団に語った:この[ロシアに対するストームシャドーミサイルの]発射は、NATOとイギリスのスタッフなしでは起こり得ないから、イギリスは今、ウクライナ紛争に直接関与している、と述べた。

アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの大使館の職員がウクライナを去った。ほとんどがポーランドにいますが、一部は既に帰国しているという。中国の外交官やベルギー、オランダ、スカンジナビア諸国の代表もウクライナを離れた。

世界は核戦争に一層近づいている、と警告しています。

日本のメディアで具体的に核戦争の危機について伝えているものが皆無なので緊急で記してみました。

 

追記 2024年11月27日

新型ミサイル「オレシュニク」は従来型と比較できない破壊力かもしれない

ロシアが自国領土への攻撃への報復として新型ミサイルを使用した状況は徐々に詳細が明らかになってきています。初めに上図の様に6発のミサイルが別々に各6発の小弾に分かれて着弾する様子がビデオに流れたのを見た方が多いと思いますが、ウクライナがロシアの弾薬庫などを破壊した時の画像と比べて着弾後の爆発が見られない事が異様に感じました。着弾後の建物が次の図ですが、地上の建物の破壊は余り派手ではない事が解ります。

このヘーゼルと言う名の新型ミサイルは極超音速で着弾し、地下深くまで達してそこにある物を焼き尽くすという西側のバンカーバスターの強力版の様な作用を持っている事が次第に明らかになってきました。つまり核爆弾や燃料気化爆弾の様な派手なキノコ雲を着弾とともに出すことはないのですが、その破壊力は非常に大きい可能性があるという事です。一部の軍事専門家からは東西の軍事力バランスを変えるゲームチェンジャーになるかも知れないと言う推測も出ています。まだ詳細は不明ですが、スターマー英首相やマクロン仏大統領は自国の軍人をウクライナに派遣する相談を始めたという報道もあり、国民が望まない世界大戦をグローバリストの手先として勝手に始める算段をトランプが実権を握る前にしてしまう「正に狂気の沙汰」と言えます。メディアは世界戦争を始めようとする阿呆たちを厳しく批判する良識を持ってほしいものです。

 

追記 2:2024年11月29日

ドニプロに着弾したオレシュニク新型ミサイルは、プーチンが「実験は成功した。」というコメントを発表したことからも弾頭に本格的な装薬がなかった可能性が示唆されています。しかしサルマトやイスカンデルといった極超音速多弾頭ミサイルは分離後に推進装置を持たない事に対して、今回のヘーゼルはそれぞれが推進と位置調整機能を持ち、極めて正確かつ極超音速の度合いを速めながら着弾したことが確認されています。つまりこれに「戦術核や燃料気化爆弾の弾頭がついていたらどうなるかわかるな!」という脅威を西側に与えるには十分であったと。勿論西側にはそのようなミサイルはありません。

またNHKがオウム返しに報じたルモンドの記事は「ガセ」と判明!

ある記者が軍の高官に兵の派兵について尋ねた際に、「可能性は否定しない」と言っただけで、しかも戦後平和維持軍的な意味合いだったというオチらしい。さすがに英仏首脳が国内の調整もせずそんな相談など軽々にするはずがない。トランプ着任前に戦争拡大を煽る勢力(メディア)がいるのは解るが、いい加減にしてほしい。しかも戦争拡大反対の声があがらない日本の世論も情けない!

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「歴史の終わり」はトランプ現象を受け入れない

2024-11-21 16:12:38 | 社会

前回のブログでは、サミュエル・ハンチントン教授の著作、「文明の衝突」以降を考察し、2000年に刊行された「文明の衝突と21世紀の日本」からの論説を記しました。ハンチントン教授は2008年に81歳で亡くなっていますが、一方の「歴史の終わり」を著したフランシス・フクヤマ氏は1952年生まれで現在でも国際政治学者として著作や活動を続けています。共産主義思想は、「世界は最終的に共産主義社会に行き着く」と説いたが、結果的に自由で民主主義的な世界が「歴史の最終形」であるとしたフクヤマの「歴史の終わり」は、ハンチントン氏の「その後も文明圏の衝突による歴史の変革が続く」とした「文明の衝突」とは対立する学説として紹介されます。現在も活動を続けるフクヤマ氏が現在の世界情勢をどのように分析しているかは興味深い所なので氏の比較的最近の著作である「歴史の終わりの後で」(2022年刊中央公論新社)を読みました。

 

I.  グローバリズム学問的論客としての生存

この本は21世紀に入ってからの氏の著作や講演内容を対談の形でテーマ毎に読みやすくまとめたもので、氏の考え方を知るには非常にわかりやすい内容になっています。歴史は終わらず、文明の衝突が続くことは現在の状態から証明されてしまいましたが、その点はフクヤマ氏も認めています。しかし政治体制としては自由民主主義が最終形であろうという点ではフクヤマ氏も論を曲げていません。

経済は資本主義でありながら共産党が独裁する中国や王制のアラブ諸国などは民主主義と言い難いのですが、時間を経て民主主義的な形態に移行するだろうことは予想されます。社会主義が「政治と経済」の在り方を規定する思想であった一方で宗教(文明)であるイスラム教は「宗教(生活)と政治」の在り方を規定する思想であることが現在を複雑にしています。

またハンチントンが「一極(米国)・多極世界」は米国の覇権衰退と共に徐々に「多極世界」に移行するだろう、と予想した事が経済を中心に実現しつつある事については、フクヤマ氏は非常に困惑と否定という反応を示しています。GAFAMなどのメガグローバル企業が国家の枠を超えて人類全体と対峙して尊大で傲慢な存在になり、結果的に貧富の差が開き二極化している現実は「新自由主義の問題点」と捉えているのですが、政治的立場としては「グローバリズムが支配する米国民主党全推し」で、2020年バイデン政権誕生とその政策は大賛成、という事が解りました。

自由・民主主義の自由の部分は自由なグローバル資本主義の一極態勢を是とするもので、多極側に立つトランプや他の欧州政治家などは形が民主主義でも「ポピュリスト(劣る者)」という評価でした。それは民衆が支持しても、支持する民衆が間違っているというグローバリズム・エリート特有の傲慢な自己肯定で押し切っていて「いかに人類の幸福に結びつくか」といった論理は見られません。

文明が衝突している状態も民族の「アイデンティティ」に帰属する政治として好ましくないものと規定しています。この辺になると、米国は古いアイデンティティを否定して建国した精神がありながら、現在が白人だ黒人だというアイデンティティ重視の政治になっているアンチテーゼを提言しているに近く、アメリカの中だけでやってくれ、という気持ちにさせます。ハンチントン氏はそれぞれの文明は衝突しがちであるので、強く干渉することなく相互の尊重する態度を持つことが大きな戦争(フォルトライン戦争)を防ぐ方策になることを提言したのであって、文明への帰属を否定した訳ではありません。

フクヤマ氏も愚かではないので、その辺を全て理解した上で「グローバリズム資本主義に学問的権威を与える論客」として存在すれば重用されるという生き方をしているのでしょう。トランプやハンガリーのビクトル・オルバンについて論ずる内容は「理屈でなく単なる好き嫌い」であり、「アレ?」というほど善悪二元論でしか評論しない幼稚な内容で驚かされます。

 

II.  トランプ体制までにどこまで戦乱を拗らせるか?

 

フクヤマが嫌うトランプは3年続いてウクライナの敗北が決まった戦争を直ぐにも終わらせると宣言してきました。次期トランプ政権の閣僚の多くもウクライナへの無秩序な援助に否定的であり、来年の1月20日の就任以降は「直ぐ停戦」かは別として、今までの様には行かなくなります。バイデン政権を支配するグローバリズム陣営としては直ぐに戦争が終わらない様に戦局を可能な限り拗らせる(拡大させる)作戦に出ました。バイデン本人が外遊している隙に米国は今まで拒否してきたATACMSのロシア領内への使用を許可し、国際的に禁じられている対人地雷も供与すると発表しました。この発表は重大な方針転換であるにも関わらず大統領令による公式な発表ではなく、グローバル陣営専属メディアのNYタイムスの報道という形で行われた所がいかにもクズです。

グローバリストのパペットに成り下がっている死んだ眼をしている英国スターマーも早速ストームシャドウのロシア領内使用を許可しました。これらミサイルの標的設定には、米英の機密情報である衛星情報が必要であり、設定自体ウクライナ兵はできないので米英の現役軍人(に相当する者)がウクライナ現地で行っています。従ってプーチン大統領がかねてから指摘する様に、「米英軍人が米英製作のミサイルでロシア領内を攻撃することは<新たな宣戦布告>であり、ウクライナ戦争ではない」という論は正しいものです。「兵器をどう使うかはウクライナの決定による」というのがNATOの言い分ですが、客観的事実からは弱い。キューバにロシアが供与したミサイルで米国が攻撃されたら米国はロシアを許さないはずです。

この1週間、ガザの停戦について協議が進められていたのですが、また米国は停戦決議案を拒否しました。一体これらの重大な決断は「民主主義に基づいて米国民の総意として決められた」と言えるのでしょうか。フクヤマ氏の見解を聞きたいものです。

参考までに国家情報長官にトゥルシー・ギャバード氏が指名された事についてのStrategic culture foundationの2024年11月15日の評論の一部と前トランプ政権における国防省アドバイザーであったダグラス・マクレガー氏のAmerican conservativeの2024年11月19日付イスラエルのイラン攻撃を米国が拒否するリスクがあるかについての論説の一部を載せます。

 

III.  トゥルシー・ギャバード氏は、トランプ大統領に永続的な和平合意を実現するために必要な助言を与えることができる。

Strategic Culture Foundation
Editorial
November 15, 2024

トゥルシー・ギャバード氏が米国諜報機関の最高責任者に指名されたことで、米国とNATOの体制に衝撃が走った。西側諸国の報道機関は、常にディープステート政策立案者の忠実なエコーチェンバーだ。

この反応は、何か重大なことが起こったことを示す良い兆候だ。ギャバード氏が国家情報長官(DNI)に任命される可能性は、トランプ氏が閣僚を編成する上でこれまでで最も重大な決定となる可能性がある。

ギャバード氏の指名は、世界平和という重要な問題に関して最も建設的である可能性があるからだ。

タイム誌は、ギャバード氏の選出に対する米国諜報機関の反応を「我々は動揺している」とし、ロイター通信は西側諸国の「スパイ界は困惑している」と報じた。一方、体制側の代弁者アトランティック紙は、ギャバード氏を「米国の安全保障に対する脅威」と非難した。これは、国家安全保障のトップに就任する人物に課すには驚くべき非難だ。

CNNのニュースキャスター、ジム・シュート氏は、同僚のリチャード・クエスト氏に懸念を伝え、ギャバード氏の見解は米国の既存の外交政策のすべてと「矛盾している」と述べ取り乱した。「なんてひどいんだ! 何年もの間、私たちが作り出してきた嘘と、高額な給料をもらってきた嘘について、今さら何を言えばいいんだ?」と言っているようだった。

結局のところ、米国の企業メディア、特に民主党、体制、ディープステートの諜報機関と関係のあるチャンネルや新聞にとって、トゥルシー・ギャバードは「ロシアの手先」として中傷されている。

ギャバードが国家情報長官に就任すれば、ディープステートにとって非常に大きな挑戦となるだろう。

トランプ大統領の他の閣僚人事と同様に、指名は上院委員会の承認を得る必要がある。そのため、彼女のポストが承認されるまでにはしばらく時間がかかる。多くのことが変わったり、軌道から外れたりする可能性がある。

トランプ大統領の今週の閣僚人事は、就任後の1月に始まる次期大統領の将来の外交政策を見極めようとする観測者たちの注目を集めている。トランプ大統領が今週、国防長官にピート・ヘグセス、国務長官にマルコ・ルビオという強硬派の人物を早々に指名したことは、ロシア、中国、イランなどに対する好戦主義や敵意からの脱却を望む米国外交政策批判者の一部に失望を招いた。

次にトランプ大統領が選んだのはトゥルシー・ギャバードである。この元下院議員は、中東とウクライナにおける米国の軍国主義に対する率直で周りに左右されない批判で、米国および国際社会で広く尊敬を集めている。しかし、米国の政治体制とメディアは、シリアと中東におけるワシントンの政権転覆戦争を批判する彼女の見解を理由に、彼女を「裏切り者」や「ロシアの手先」と中傷している。2017年、ギャバードはシリアを訪れ、バッシャール・アル・アサド大統領と会談した。彼女は、ダマスカスの政権転覆のためにテロリスト民兵を支援するというワシントンの秘密政策に反対を唱えた。彼女は真実を語ったため、アサドの「弁護者」として中傷された。

最近では、ギャバード氏が米国とNATOによるキエフ政権への武器供与とロシアに対する代理戦争に反対したため、再び「ロシア弁護者」という中傷が彼女に投げつけられた。彼女は、「NATOの威圧的な拡大に対するロシアの安全保障上の懸念が考慮されていれば、ウクライナ紛争は避けられたはずだ」と述べた。その正気と客観性は、なんと爽快なことだろう。

ウクライナ紛争に関する彼女の見解は、確かに米国の体制側とメディアの「ロシアの侵略」に関するプロパガンダと矛盾している。彼女の見解は、隅々まで報道されている「ニュース」プロパガンダが虚偽であることを明白に暴き、NATOの嘘が世界を核戦争に引きずり込んでいるという国民への警告となっている。トゥルシー・ギャバード氏が第2次トランプ政権で果たす役割は、上院の審査を通過すれば、いくら強調してもし過ぎることはない。

(以下略)

ウクライナの国民の民意は即時停戦にある。それでも戦争を続けさせたいですか?

 

IV.  世紀の嵐の中に立つトランプ

The U.S. is sleepwalking into disaster in the Middle East.

ダグラス・マグレガー

2024年11月19日午前12時5分

多くの国の首都では、ドナルド・トランプ大統領のワシントン復帰により、イスラエルがイラン攻撃にさらに自信を持つようになるのではないかと懸念されている。エルサレムのシオン友の会博物館の創設者マイク・エバンズ氏によると、「トランプ大統領がネタニヤフ首相以上に尊敬する世界の指導者はいない」という。 

この福音派指導者はまた、トランプ大統領が就任前にイスラエルの攻撃を支持するだろうと打ち明けたイランの石油生産施設の破壊はイランの経済を壊滅させ、トランプ大統領が就任する前にイランがイスラエルとの戦争を終わらせるだろうという想定からだ。この考えは、イスラエルがイランの核開発施設を攻撃するという決定も排除するものではない。 

トランプ氏が何をするか、しないかは不明だ。テヘランとエルサレムの対立における幻想的な静けさがいつ終わるのかも不明だ。 

一つだけ確かなことは、もしアメリカがイスラエルのイランに対する戦争に加われば、その結果は地政学的な対決となり、私たちが知っている世界を劇的に変えかねないということだ。これは21世紀の嵐であり、今のところ、アメリカという国家はまさにその嵐の中を航海している。

イランとの戦争になった場合の米国にとって望ましい状態とは?それは最も答える事が難しい問題です。

1991年と 2003 年のイラク、1999 年のセルビア、2011 年のリビアとは異なり、イランは孤立していません。イランには同盟国と支援者がいます。1991 年に最終状態を定義できなかったため、アメリカの作戦戦略軍事計画者は戦争の結果に備えていませんでした。その結果得られた平和は、米国の長期的な利益にとって満足のいくものではありませんでした。

ロシア外務省は最近、「ロシアとイランの戦略的安全保障パートナーシップに関する交渉が進行中であり、特に軍事協力に重点が置かれている」と発表しました。中国の習近平国家主席はイランに対し、イランの国家主権と安全保障の防衛に対する中国の支援を確約しています。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MBS)でさえ、イランを攻撃しないよう助言しているほどです。

サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)も戦略的な金融政策を講じている。サウジアラビアの米国債保有高は大きく変動しており、2023年6月時点で約1081億ドルに落ち込んでおり、2020年初頭から41%以上減少している。イランとの紛争が勃発した場合、サウジアラビアとアラブ首長国連邦は富をアラビア半島に送還し、米国債の「投げ売り」を開始する可能性があり、米国と西側諸国で大恐慌規模の金融危機を引き起こすだろう。 

それほど目立たないが、同様に重要なのが、イスラエルとの関係を断つというトルコの決定である。レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はまた、トルコとシリアの安全を脅かす米国とイスラエルが支援するクルド人勢力を壊滅させるため、トルコ軍がシリア北部で作戦を開始する用意があることを示唆しました。トルコ軍がレバノンやエジプトの防衛に投入される可能性は十分にあります。

イスラエルが開始した地域戦争に米国が参加することを拒否した場合、アメリカ国民にとっての戦略的デメリットはあるだろうか? 

2023年10月7日以来、イスラエルの政治的、軍事的目標はイスラエル国土の防衛をはるかに超えています。ネタニヤフ首相は、アメリカの財政援助と軍事支援があれば、イスラエル軍はガザとヨルダン川西岸から数百万人のパレスチナ系アラブ人を排除し、南レバノンからヒズボラを排除できると確信しているようです。しかし、イスラエルの勝利を確実にするためには、シリア、イラク、イエメンにいるイランとその代理勢力も破壊しなければならないとネタニヤフ首相は主張しています。

ネタニヤフ首相の目標は、アメリカ経済の健全性と国際システムの安定にとって何を意味するのか?イスラエルは多数の敵国を攻撃せずに生き残ることができるのか? 

1956年、ドワイト・アイゼンハワー大統領は、ハンガリーの反共産主義革命をめぐってソ連と戦争するリスクを冒すことを拒否した。同年、アイゼンハワーはスエズ運河を占拠するための英仏イスラエルの介入を支持することを拒否した。1968年、リンドン・ジョンソン大統領は、チェコスロバキアの支配を再び強めるソ連の軍事介入を阻止するためにアメリカの軍事力を使用することを拒否した。これらの決定はいずれもアメリカの国益を損なうものではなかった。何でもイスラエルの決定に従うことが米国の国益ではない以上、無謀な戦争への加担は控えるべきではないだろうか。

(最後の部分はrakitarou意訳)

ー 以上 ー

追記:

V.  欧米が作る歴史の終わり(ヴィクトル・オルバーン)

フクヤマがポピュリストとして嫌うハンガリーのオルバーン首相が2024年11月21日のユーラシア・フォーラムで西欧が世界に押し付けてきた欧米モデルは終わりつつあると現在の世界情勢を象徴して講演しました。ハンガリーは人種的にもアジア系と自任している背景もありそうです。以下が要旨です。

要旨

西側世界は東方からの挑戦を受けている。次の時代はユーラシアの世紀になるだろう。 西洋の文明支配の500年が終わりを迎えた

アジア諸国はより強くなり、「経済的および政治的権力の独立した中心として台頭し、存在し、持続する」能力があることを証明した。彼らは現在、人口統計学的にも技術的にも欧米の同業者よりも優位に立っている。その結果、世界経済の中心は東側に移り、経済は西側の経済の4倍の速さで成長している。「西洋の産業の付加価値は世界の40%を占め、東側の産業の付加価値は50%を占めている。これが新しい現実です。

アジアは世界人口の70%を占め、世界経済に占める割合は70%となり、EUは変化する現実の中で「最大の敗者」として浮上している。西側諸国は、移民、ジェンダー・イデオロギー、民族紛争、ロシア・ウクライナ危機などの課題に直面し、自国の環境で「窒息」している

西洋の指導者たちが、自分たちが慣れ親しんだ優越感、つまり、自分達が最も賢く、最も美しく、最も発展し、最も裕福であるという感覚を放棄するのは難しい。欧米のエリートたちは「古い栄光の現状」を守るために自らを整えており、それが結局は経済的、政治的な閉塞につながるだろう。

ー以上ー

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祝ロバート・F・ケネディJr氏厚生長官選出、バンドワゴニングの危機

2024-11-16 12:56:19 | 社会

トランプ次期大統領はケネディ元大統領の甥であるロバート・F・ケネディJr氏を次期厚生長官に任命する意向を示しました。メディアは「ワクチン懐疑派」などとワクチンは「全く問題ないとする陣営」と「リスクがあると懸念を示す陣営」の二派にわかれる様に報じていますが、全ての医療にはメリットとデメリットがあるのは超常識中の常識、基本中の基本です。全員が懐疑派でなければ安全な医療など受けられません。何故中学生でも理解できる常識を報道しないのか不思議です。

トランプ氏は2020年にWHOに対して、Covid-19への強制的対応は誤りであるとして2021年に米国はWHOから脱退すると宣言していましたが、バイデン政権になって立ち消えになりました。今回改めて各国の主権を無視したパンデミック条約などに対して反対を表明しています。

全ての医療にはリスクがある。疑いを持たずもろ手を挙げて賛成など無知性のド阿呆しかやらない愚行である。ワクチンの小児などへの強制を強く反対するケネディ氏

 

同様に司法長官に指名されたマット・ゲイツ氏はトランプ氏のロシア疑惑がでっち上げであることを解明したため、ありもしない「性的人身売買」の疑惑をFBIにでっち上げられたのですが、いくら調べても証拠が出なかったから起訴されなかった人物。「司法の政治利用を許さない」ための米国の司法改革に震えあがっているのが現在の民主党中心の司法界であることが解ります。

疑いが晴れても人格攻撃を続けるメディアに人権を語る資格などない、恥ずかしくないのだろうか?

 

I.  ワクチンのリスクが常識となった時にメディアはどう報じる?

 

欧米の主要メディアはまだグローバル支配体制に従っていて「ワクチン安全」「WHO正しい」の現実離れした報道から脱していません。日本のメディアは「米国主要メディアに従っていれば批判されない」と信じている「バンドワゴン派(寄らば大樹の陰)」というヘタレですから仕方がないとは思いますが、一たびパラダイムシフトが起こった時にどのように変容するのかが楽しみです。あれほど「コロナ怖い、怖い」「日本人は全員週に一度はPCRを」などと馬鹿げた報道をしていたメディアは何処に行ったのでしょう?そのうち「十分な安全確認をせずにワクチンを推進した政府の責任は?」などとシレっと報道し出す可能性があります。

 

II.  「文明の衝突と21世紀の日本」に学ぶ

前回紹介した「文明の衝突」を著したハーバード大学のサミュエル・ハンチントン教授がその続編として2000年に刊行した本で、集英社新書では2024年6月に第37刷の重版を繰り返しています。1993年にフクヤマの「歴史の終わり」理論を乗り越えて、「21世紀の世界は、民主主義と資本主義で一つの世界が生まれるのではなく、数多くの文明間の相違による分断された世界になる」と提言して世界に衝撃を与えました。1990年台においてもコソボ紛争などの文明の衝突が起きつつありましたが、その後の世界は911に始まる「テロとの戦争」「米国のイラク・アフガン侵攻」「カラー革命の強要と内紛の激化」グローバリズム対国家資本主義の対立、ブローバリズム対BRICS(グローバルサウス)の対立へと氏が予想した通りの展開になってきていると言えます。

 

III.  一極・多極体制から多極体制へゆるやかに移行する

 

ハンチントン氏は2000年の時点で世界は「強大な米国を中心」とする一極と、中国、ロシア、インド、アラブ諸国、アフリカ諸国といった文明(宗教)の異なる地域による一極・多極体制に分かれていると喝破しています。しかし覇権国の米国にとっては、世界が多極であるとは認めておらず、世界はあたかも「一極」である様に振舞っているため、どこの国を想定するか不明な米国指導者が口にする「国際社会」へのアプローチに各国指導者は不満であり、各国にとって米国は軍事的脅威ではないものの「領土保全」「自治」「繁栄」「行動の自由」を脅かす外的脅威と捉えていると米国の立場を紹介しています。

この一極・多極体制は、米国の覇権が徐々に衰えることで緩やかに「多極体制」に移行してゆくだろう、と氏は予想しており、まさにトランプ大統領の登場と彼が「米国を多極体制の一極に据える」というMAGA思想への米国民の絶大な支持はハンチントン氏の予想が実現していることを表しています。

文明の衝突(2000)のその後をrakitarouがまとめた展開と現状

 

IV.  フォルトライン戦争とコミューン戦争

 

1990年の時点で、ハンチントン氏は世界が8つの文明圏に分かれている事を示しました。つまり「西欧」「ラテンアメリカ」「アフリカ」「イスラム」「中国」「ヒンドゥー」「東方正教会」「日本」であり、5世紀頃から中国王朝とは別れた文化を築いてきた日本は独立した文明として扱われています。冷戦時代、世界は「自由主義圏」、「共産主義圏」、「非同盟国」の3分類であったものが、以降は8つに分かれて共存してゆくと規定したのです。その中で、同じ文明圏内で起こる争い、戦争は「コミューン戦争」と言い、個別的な利害関係によって生ずるものであり、異なる文明間の大規模な戦争に発展することはない、と説明されます。例えばルワンダ紛争やイラン・イラク戦争などで、他国が大きく介入することはありませんでした。一方で異なる文明の境目をフォルトラインと言いますが、フォルトラインを挟んで紛争・戦争が起こるとより大きな文明圏同士の戦争に発展し、長期に渡り、解決困難な状態を呈するだろうと予測しました。

フォルトライン戦争・ウクライナで検索したAIの答え

 

NATO諸国を巻き込んだコソボ紛争、そして現在のウクライナ戦争は正にフォルトライン戦争であり、ハンチントン氏の予測の正しさを証明しています。ウクライナは被害者、プーチンは悪といった小学生の様な理屈でしか説明しない(それを信じている方も阿呆ですが)メディアの無知性を痛感します。

 

V.  バランシングとバンドワゴニング

 

ある国が大きな勢力を作り出してくると、その周囲の国はいくつかの国同士協調して強い国とのバランスを図る「バランシング」か、強い国への依存と従属による「バンドワゴニング」により安定を図るかの選択を迫られます。多くの場合、その両方をどっちつかずでその場その場で選択しながら様子を見てゆく場合が多いと説明されます。大国であってもトルコやサウジアラビアがアラブ側や西欧側にどっちつかずでバランシングを取っていたり、東南アジアの国々が日本を巻き込んで協調しながら中国と対峙しつつも貿易などでは中国と友好を保とうとすることに表れます。

日本は独立した文明であり、他の文明圏のために自国を犠牲にして介入しようという動機を持ちません。維新から大東亜戦争にかけては、西欧列強のアジア諸国への侵略・植民地化に危機感を持って、日本も西欧列強の一端に加わろうとしてアジアへの侵略(結果的に領土的植民地主義から経済的植民地主義へのスイッチとなった)をしましたが、失敗した秀吉の朝鮮侵攻以外では稀有の出来事であったと言えます。日本の国内においては、常に時の権力者に従属すれば安心という「バンドワゴニング」が行動の原動力になってきました。「寄らば大樹の陰」であり、そこには確固とした思想などありません。そして大樹の陰に寄らない「はぐれ者」を厳しく批判します。ポリコレとされる規範への対応、コロナに対する対応、ワクチンへの考え方、全て「バンドワゴニング」であり、理論的支柱などなくメディア含めて「大樹に寄らないはぐれ者」を批判しているだけです。そしてトランプ政権が復活することにより、日本のメディアは今までの「バンドワゴニング」の危機が生じてガタガタ震えながら右往左往しているのが現状なのです。

 

VI.  日本への提言

米軍司令部を首都内に移転する本当の目的は何か?

2000年の時点で、ハンチントン教授は日本と台頭する中国との関係について、日本の取るべき選択(バランシングかバンドワゴニングか)について述べています。この時点では現在の様な米国の衰退と多極化への道が不明であったこともあって、中国圏への条件を示した上での従属か日米同盟強化による新たなバランシングという選択肢をあげています。しかし一極主義の米国がとるべき将来の在り方として、「異文明間の大規模な戦争(フォルトライン戦争)を避けるには、中核国家は他の文明内の衝突に介入するのを慎むべきだ」と明確に述べています。American Conservativeの論説で紹介した様に、米国は日本を中国、ロシアに対する「二重封じ込めの道具」として日米同盟を締結し、基地を置いているに過ぎません。自衛官時代「アメリカが自国の利益にならなければ日本のために血を流す事などない」は少なくとも指揮官クラスの自衛官の常識として認識していました(公には勿論言いませんよ)。しかし現在の動きは米軍による日本支配の強化に動いている様に見えます。強い米軍の再建は頼もしい面もありますが、グローバリズム支配体制からは脱却した米国との「対等な協調関係」による日米同盟は意義がありますが、現在のウクライナの様な「異文明と戦争するための鉄砲玉」としての扱いならば断固拒否するべきです。石破首相の力量が問われます。

噛みつき合ったでなかったようで何より。戦略的互恵はバランシングと言えそう。

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歴史は終焉せず文明は衝突し続ける

2024-11-11 09:11:52 | 社会

I.  歴史は終焉したのか?

「歴史の終わり」は、フランシス・フクヤマが1988年に発表した論文をもとに1992年に書籍化された有名な文明論で、社会主義の終焉とその後の資本主義グローバリズムの基になった論説と言えます。つまり国際社会において民主主義自由経済が最終的に勝利し、それからは社会制度の発展が終結し、社会の平和と自由と安定を無期限に維持するという仮説です(Wikipedia)民主主義と市場経済が共産主義に勝利したことで、これ以上のイデオロギー論争は起こらないとしたことは部分的には正しいことでしたが、その後世界から戦争が亡くならなかった事実は、彼の本意とは別にその解釈に誤りがあった事は明らかだろうと思います。

 

II.  衝突しつづける文明

「文明の衝突」はフクヤマの師ともいえる政治学者のサミュエル・ハンチントンが1996年に著した論文で、冷戦が終わった現代世界においては、文明化と文明化との衝突が対立の主要な軸であると述べた。特に文明と文明が接する断層線(フォルト・ライン)での紛争が激化しやすいと指摘しました(Wikipedia)。世界政治において文化やアイデンティティが重大な影響を果たすようになれば、文明の境界線にしたがって世界政治の枠組みは再構築されることになる。かつてのアメリカとソヴィエトによって形成されたイデオロギーの勢力圏に代って、それぞれの文明の勢力圏が新たな断層線、フォルト・ラインを生み出し、そこで冷戦中にはなかった紛争が頻発するようになっている。1990年代以降に世界的なアイデンティティの危機が出現しており、人々は血縁、宗教、民族、言語、価値観、社会制度などが極めて重要なものと見なすようになり、文化の共通性によって協調や対立が促される、とするもので、この理論の方が現在の状況をかなり反映しているように見えます。

各民族の文明のすみ分けを示した図。日本も独自の文明圏として示されている。

 

III.  多様性の受容という胡乱な理屈

 

歴史は終焉しているのであり、世界はグローバリズムにより統一されると宗教的信念で妄信している者、あるいはその方が「利権的に都合が良い」者にとっては、各民族がアイデンティティとして多用な文化を保持し続けてグローバリズム陣営(主に西側の資本家集団)が「正義」と規定する価値観を受け入れない諸国民は「多様性を受容しない」誤った考えの持ち主と攻撃されます。一方で文化の多様性こそが諸国民のアイデンティティの基であり、グローバリズムが規定する価値観のみを正義とする方が多様性を否定しているという考え方も正しいのです。これは統一した価値観を受け入れず、諸国民独自の生き方を護ろうとする勢力を分断を煽ると責め立て、極右と表現する風潮にも現れています。この対立は、一極主義と多極主義の対立の図式と相似形であり、現在の趨勢としては経済においても多極主義(BRICSやグローバルサウスの台頭)が一極主義に勝っていると結論付けられます。

 

IV.  トランプの勝利、ウクライナ敗北、ガザ虐殺

 

トランプ次期大統領が主張する米国第一主義とは、以前から説明するように米国を「グローバリズムの中心」ではなく「多極主義の一極にする」という意味です。だから米国で資本を握るグローバリストが民主党とメディアを金で支配した上で、全力でトランプ復活を阻止していたのです。ウクライナが西欧グローバリズムとロシアを中心としたBRICS多極主義の代理戦争であることは明らかですが、ウクライナの敗北は100%明らかな状況になりました。

イスラエルによるガザの虐殺は「文明の衝突」の反映でありながら、力の原動力がグローバリズムの勝ち組である米国ユダヤ層であることが問題を複雑にしています。「歴史の終焉」信奉者としては「ユダヤ・グローバリスト達が今後落ちぶれることはない」と信じていながら、文明の衝突で虐殺が起こっていることに困惑を隠せない状態なのです。ユダヤ・グローバリストもグローバリズムの終焉とともに落ちぶれる(場合によりイスラエル国家は消滅しえる)のであり、不可避である文明の衝突は諸国民の知恵と協調で調整する工夫が必要なのだという結論に同意すれば、虐殺を止める事も可能になるのです。

 

V.  1980年代までマル経一本だった日本の大学経済学部

 

私が大学生であった1980年代は、日本の経済学部は「マルクス主義経済学」を教える場所、という今から考えるとあり得ない後進国ぶりでした。学園祭などに行くと長髪の経済学部の院生や助教達が肩で風を切りながら「いかに社会主義経済が素晴らしいか」を力説していたものでした。防衛医大では一ツ橋出身の近代経済学を是とする教授(経済学会では反主流)に経済学の講義を受けていたので「マル経は若い人には魅力的だが限界がある」と言う説明に納得していました。その後のソ連の崩壊は、日本の経済学部が世界の時流からは周回遅れであったことが実証されました。

現在の日本のメディアでトランプ現象やウクライナ紛争を「グローバリズム」対「多極主義」の視点から解説したものは皆無です。日本のメディアと有識者とされる連中、メディアしか見ない日本の人達が「世界の流れから周回遅れである」状態に気づくのはいつなのでしょうか?

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祝第47代米国大統領にトランプ氏

2024-11-06 15:54:04 | 政治

この記事は2024年11月6日の夕方挙げようかと思ったのですが、まだ何か仕掛けがあるかもと容易に信じられなかったので一度保留にしたものです。

米国大統領選の結果が日本を含む多くの次の世界情勢に影響を与える事は明らかでしたが、2024年11月6日15:50時点でFoxnewsは、大統領選挙における代議員数270以上をトランプ氏が獲得し、次期大統領にトランプ氏が選出されることが確実と報じました。非常に喜ばしい事だと思います。

選挙の結果を受けて敗北宣言をするハリス候補

〇 ウクライナ戦争で無駄に死んでゆくウクライナとロシアの若者が救われます。

〇 ユダヤを支持すること≠ネタニヤフ支持ではないので、真にイスラエルが将来に渡って中東でアラブ社会と共存できる方策を検討するようになる。(少なくとも虐殺とイランとの戦争は止める)

〇 米国社会に巣食うグローバリズムに基づく金満資本主義と既得権益者集団(ディープステイト)の横暴を抑制する。

の方向に向かう事を切望します。現在と違う米国の方針を伝えすぎることで1月の就任式までにトランプ氏が暗殺されないことを祈ります。

ゆくゆくは、海外駐留している米軍を全て撤収することで、日本の米軍基地も撤収してもらい、日本が自衛隊による国防を充実させて真の独立を勝ち得るきっかけになればと思います。それまで適任である石破氏に頑張って欲しいです。

参考までに、American Conservative11月6日の記事を載せます在米外交評論家の伊藤寛氏へのインタビューです。

日米同盟は普通の同盟ではありません。本当の、本物の、誠実な同盟など一度もありませんでした。敗戦国日本をアメリカの属国として支配し、利用するための「二重封じ込め同盟」です。アメリカは日本を普通の、安全な独立国にする意図は全くありません。1940年代後半から50年代前半にかけて、ジョン・フォスター・ダレスのようなアメリカ人は、この二重封じ込め政策を公然と語りました。「ドイツを抑え、ロシアを追い出す」が彼らのドイツ政策であり、「日本を抑え、ロシア(または中国)を追い出す」が彼らの日本政策でした。アメリカは「封じ込められた日本」を「ソ連封じ込め」政策に利用したかったのです。だから二重封じ込め同盟と呼ばれたのです。アメリカ政府には日本を本当の主権国家にする意図はありませんでした。 (ただし、アイゼンハワー大統領は例外だった。彼は独善的で横柄なアメリカの覇権主義を好まなかった。しかし、彼は傲慢で横暴な軍産複合体の中ではむしろ孤立した人物であり、そのことに警告を発していた。)

冷戦終結後も、米国政府はこの二重封じ込め政策を堅持した。グーグルで「1992年国防計画指針」と検索すると、冷戦後の米国の覇権主義大戦略に関する数十万件のヒットが見つかる。この機密文書(1992年3月に米国メディアにリークされた)には、ソ連崩壊後に日本とドイツが真の独立を取り戻すのを米国が阻止すると明記されていた。それ以来、覇権に執着する米国政府は世界中で逆効果の軍事介入を繰り返し、何百万もの無実の民間人を不必要に死なせてきた。そのため、今日では世界の大多数の国が米国の外交政策を嫌い、不信感を抱いている。

現在、日本を取り囲む中国、北朝鮮、ロシアの三国は、核戦争能力を急速に強化している。しかし、日本に対する利己的な二重封じ込め政策を維持したい米国政府は、東アジアの核戦争危機の際には米国の拡大核抑止力(いわゆる核の傘)が機能しないことを知りながら、日本自身の核抑止力を阻止することに固執している。米国政府は、日本のような従属的で従属的な属国を守るために、ロシア、北朝鮮、中国の三核大国と核戦争を起こすつもりはまったくない。

この不道徳で不公平な対日政策は、終わらせなければなりません。罪のない女性や子供に対してすでに2度の核戦争犯罪(核による大量虐殺)を犯した米国が、日本をロシア、中国、北朝鮮の核の脅威に対して故意に脆弱な状態に保つことが容認できると考えているのは、不公平で邪悪なことです。日本国民を故意に脆弱な状態に保つことで、米国政府は利己的で偽善的で意地悪な覇権主義の供給者としての真の姿を露呈しました。

日本にとって幸運なことに、ドナルド・トランプ氏はこの不道徳な二重封じ込め政策には賛同していない。トランプ氏は、日本は独立国となり、必要であれば独自の核抑止力を持つべきだと繰り返し述べている。(大統領として、トランプ氏は故安倍晋三首相に対し、日本を主権独立国にするよう何度も促した。)偽善的な米国外交政策エスタブリッシュメントとは異なり、トランプ氏は米国の一極覇権主義を維持することに関心がない。大口をたたき、いつも自慢ばかりしているが、実際は好戦的でも帝国主義的でもない。(以下略)

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