オムニバス映画には、各章に作る側の何らかの共通した思想や主張が込められている。
しかし、この『人生スイッチ』の6本の物語には、一貫した共通点が全くない。
バラバラなのである。
1話「おかえし」 2話「おもてなし」 3話「エンスト」 4話「ヒーローになるために」
5話「愚息」 6話「HAPPY WEDDING」
が、各章のタイトルである。
最近、ぶっちゃけると、どの試写を見ても、まったく印象に残らない作品ばかりだった。心をぐっと鷲づかみにしてくれる作品は皆無だった。内容すらも忘れている作品もあった。
しかし、今回の『人生スイッチ』を見た時には、ぶっ飛んだのである。
この6話はほんの些細なきっかけで、ある日、不運の連鎖に巻き込まれていくという主人公ばかりを描いていた。それが唯一の共通点と言えば共通点なのだが。
1話から6話まで、全ての内容とシーンが未だに鮮明に頭に浮かぶ。忘れようとしても忘れられない強烈なインパクトがあり過ぎたからだ。
この映画はアルゼンチンから生まれた点にも興味深い。
久しぶりに手垢のついてない斬新な演出と驚くべきブラックユーモア。どの章も甲乙つけがたいが、私はラストの6話の「HAPPY WEDDING」が一番面白かった。
7月25日から公開
【監督】ダミアン・ジフロン
【出演】リカルド・ダリン ダリオ・グランディネッティ エリカ・リバス 他