『最強のふたり』に感動した人なら、今回の『サンバ』では、さらに2倍も3倍も感動するはずである。
年末に来て、私の今年のベストワンの作品が登場してくれた。
フランスの移民問題を、かくも優しく、かくもシリアスに、かくもユーモラスに、かくもさわやかに描ききった作品は他にはないだろう!
『最強のふたり』での黒人男優オマール・シーの演技は『サンバ』によって、さらにデリケートにさらにセンシブルにさらにユーモラスにバージョンアップしていた。
主人公サンバことオマール・シーの恋人役になるシャルロット・ゲンズブール。彼女は強度のうつ病を患っているが、サンバに出会うことで、心の痛みが徐々に緩和されていくこのデリケートな変化。
脇に回った俳優陣の12色のパステルカラーのようなカラフルな演技。
「移民問題」を、優しいオブラートで包みながら、そのオブラートの中身がきちんと見えてくるという見事な演出の余韻は、今も、そしていつまでも続くだろう。
12月26日から公開
【監督】エリック・トラダノ オリヴィエ・ナカシュ
【出演】オマール・シー シャルロット・ゲンズブール タハール・ラヒミ イジア・イジュラン