2014年のワールドカップの開催地がブラジルであったことから、ブラジルを舞台にした作品『トラッシュ!この街が輝く日まで』には、かなり前から興味があった。
ワールドカップ、オリンピック開催ということで、リオの貧民街のファベーラ地区を一掃し、安全な街にしている警察のドキュメンタリーを見た。これは、一昨年亡くなってしまった、友人で、作家の戸井十月さんが、プロデュースと取材した番組で、リオで生きる子供たちが、オリンピックに向けて頑張っている姿も映し出され、とても新鮮な感動を覚えた。
そんな下地があったので、この作品を見た時、思いもかけないことが目の前で起こっているのにびっくりしたのだ。
ワールドカップは大盛況に終わり、ブラジルにかなりの経済効果をもたらしたはずである。
にも関わらず、スクリーンに登場する少年たちは、ゴミ集めの収益で暮らしているのだ。
これからオリンピックが開催されようとも、このゴミ集めで暮らす孤児たちはリオから消えることがないだろうと確信した。
ある日、一人の少年がゴミ山から、政治家や警察にとっては非常に貴重なものを拾うところから物語が始まる。
その貴重なものを警察に追われながらも、決して屈することなく、逃げ回る3人の少年たち。
オリンピックがあろうとなかろうと、貧しいものは死ぬまで貧しいのであるという、ブラジル国家への憤りをこの3人の少年たちは、「正義」をもって訴えている。
その逃亡の快挙に胸が熱くなったのだ。
1月9日から公開