マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『人生の特等席』

2012年10月19日 | 映画

クリント・イーストウッドという名前が出ると、速攻、見たくなる。

この衝動はなんなのか?あの『グラン・トリノ』の感動が未だに覚めやらないからかしら。

81歳という高齢にも関わらず、作る映画、出る映画がパーフェクト。視聴者に決して損をさせない稀有な監督であり俳優である。

『人生の特等席』。いいタイトルだ。このタイトルで見たい気持ちは倍増してくる。何か、深い感動的なドラマがありそうだ。

そして、願わくば、『グラン・トリノ』を超える感動を与えてくれたら…。そんな大きな期待で試写を見た。

今回、クリント・イーストウッドは、あくまでも俳優として主演している。監督はクリント・イーストウッドが生涯ただひとりの弟子と認めたロバート・ロレンツ。『グラン・トリノ』や『インビクタス』の製作者でもある。

老いたメジャーリーグのスカウトマンをクリント・イーストウッドが演じ、長く疎遠だった娘との確執が、野球を通じて徐々に修復されていく物語だ。

私は、アメリカのメジャーリーグには疎いが、ニューヨークに行った時、メッツのホームであるシェイスタジアムで試合を見たことがある。

大勢のでっかい体のアメリカ人メッツファンに囲まれて、体の小さな私はつぶれそうになったけど、アメリカ人の野球熱は、かくも凄いもんだと、圧倒されていた。

将来性のある選手を発掘して、メジャーリーグの目玉にする、即戦力にすること。つまり、アメリカの野球の縁の下の力持ちがスカウトマンであったことを『人生の特等席』で教わった。

スカウトマンの力がチームの未来を決めているといってもいいかもしれない。

うーん、こう綴っていくと、私は映画そのものよりも、アメリカの野球のシステムに感動しているような気がする。

なんでかなと、考えた。

つまり、映画としては、キャッチーな魅力があるのだが、ストーリーがシンプル過ぎて、強烈なパンチは食らわなかった。

欲を言えば、登場人物の中に屈折したsomethingが欲しかった。

『グラン・トリノ』と比較してはいけない、あの感動をもう一度ではいけないと、つくづく思った。

『グラン・トリノ』とは別腹で見なければいけない。

とはいえ、最近見た洋画邦画があまりにも酷かったので、その中ではもちろん、もちろん、ピカイチの作品であることは変わりない。

11月23日(金)から公開

【監督】ロバート・ロレンツ

【出演】クリント・イーストウッド  エイミー・アダムス  ジャスティン・ティンバーレイク