マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『J・エドガー』

2012年01月15日 | 映画

思えば、レオナルド・ディカプリオとは長い付き合いになる。14歳の時の、「ボーイズ・ライフ」、知的障害の少年を演じた「ギルバート・グレイブ」で出会い、その繊細でいて、実にパワフルな演技力に圧倒され、19年たった今でもあの時代のレオの新鮮な演技が頭に焼き付いて離れない。

「タイタニック」「キャッチ・ミー・イフ・ユウ・キャン」、ハワード・ヒューズを演じきった「アビエイター」、「ブラッド・ダイヤモンド」に、最新作で一番強烈な印象を与えてくれた「シャッターアイランド」。

こう綴っていくと、レオナルド・ディカプリオが出演した作品は強烈に心に残る作品が多いということだろうか。

で、今回の「J・エドガー」では、な、な、なんと、あのクリント・イーストウッド監督との初タッグを組んでくれた。

クリント・イーストウッド監督もまた、天才的な閃きで、その時代時代にあった問題作を、映画史上に残すほどの傑作に変える偉大な監督である。2年前の「グラントリノ」は、「本当にこの映画を見れて、生きていて良かった!」と思うほどの感動作だった。

このペアリングならば、絶対に失敗はない!

しかし、競走馬が走ってみなければわからないように、映画も見てみなければわからない。

競馬を見るスタンスと映画を見るスタンスは実によく似ているのだ!

そうです!「J・エドガー」は、期待した通り「グラントリノ」と匹敵するほどの大傑作だった。

j・エドガーというより、J・エドガー・フーバーと正式名を入れたほうが分かりやすい。フーバー長官は「FBI」のシステムを作りあげたFBI初代長官で、50年にわたり、8人の大統領に仕え、その存在の偉大さを知らしめた人物である

そのフーバーの生涯をディカプリオが演じている。ただ演じているのではなく、スクリーンの中でフーバーの魂がディカプリオにのり移りったかのような強烈なインパクトを持って。

フーバー長官と言えば、映画「翼よ、あれが巴里の灯だ」の主人公である実在の飛行家リンドバーグの愛児誘拐事件を解明し、「パブリックエネミー」こと稀代の大悪党ジョン・デリンジャーを射殺したことでも有名だった。

しかしである。このフーバー長官の活躍は実は捏造されたものであったということが、徐々に解明されていく。

そして、歴史上の人物の洋服を一枚一枚剥ぎ取るように、その私生活の恥部までも入り込んで、ゆっくりとゆっくりと露呈させいくこの怖さ。

ジュディ・デンチ演じる母親とフーバーの歪んだ愛情関係までを掘り下げていく。

フーバーの野心に満ちた青年期から晩年までを、スクリーンの中で実現し、生き抜いたディカプリオに、今度こそオスカーを!と心の底から願っている。

 2月28日から公開

【監督】クリント・イーストウッド

【出演】レオナルド・ディカプリオ  ナオミ・ワッツ  ジュディ・デンチ  アーミー・ハマー