男と女の出会い方が面白かった。
場所が英会話スクールであるからだ。
寺島しのぶ演じる43歳の孤独な独身OL。会社でも、家族にもその個性の強さで嫌われ者になっている。
彼女の唯一の楽しみは、英会話スクールで、源氏名(?)ルーシーにならなければならないこと。本格的に英会話を学ぶには、アメリカ人になりきれっていう、怪しいが、コミカルな教育法である。
ルーシーになったとたん、彼女は今までにない自分を発見して、興奮し、高揚し、だらだらとした日常が一変するのだ。
彼女の中に成り得なかった自分が戻ってくる。いや、元に戻せば、なりたかった自分なのかもしれない。
作家の沢木耕太郎さんのご著書に「世界は使われなかった人生であふれている」という名作があるが、
まさに主人公は「使われなかった人生」を、現実という厚い壁の中で再現し、再生していく。
舞台が日本から、ロサンゼルス、サンディエゴに移るあたりも、ロードムービーとして楽しめ、実に小気味いい。
4月28日から公開
【監督】平栁敦子
【出演】寺島しのぶ 南果歩 忽那汐里 役所広司 ジョシュ・ハートネット