震災後、節電のために、ずっと自粛していた社会協議会の映画上映会の解説の仕事が始まった。待ってましたとばかり、映画ファンのお客様がたくさんいらしてくださった。「映画をずっと見たかった、始まってうれしい」と大喜びしてくれた。こういう不安定な時期だからこそ、映画が人々の心を落ち着けてくれるのかもしれない。
今回の解説作品篠田正浩監督の『瀬戸内少年野球団』(1984年)だった。夭折した大女優、夏目雅子が、敗戦直後の淡路島で、教鞭を取る教師をたくましく演じている。彼女は本当に美しい。敗戦の不安な時代を背景に、野球を通して子供たちが元気になっていくと言ったストーリーなのだが、なぜか、東日本大震災の今の日本とダブってくる。きっと、悲劇の時代にはスポーツは救世主になってくれるんだろうな。
新作では、アネット・ベニング、ジュリアン・ムーア主演の風変わりな家族のホームドラマ『キッズ・オールライト』が一番印象に残っている。おかしくて、切なくて…、実にいい話だ。
4月29日から公開