マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『スリー・ビルボード』

2018年02月09日 | 映画

『スリー・ビルボード』

実にいいタイトルだ。このタイトルがこの作品の核になっていることは間違いない。直訳すれば「3つの野外広告」とでもいいのだろうか?

私は、女がたくましく生きる作品が大好きだ。古くはシャーリーズ・セロンが主演した『スタンド・アップ』。そして、この『スリー・ビルボード』も然りである。

娘をレイプされた上、焼かれて殺された母親の復讐劇からこの物語はスタートする。警察が捜査に熱心でないことから、自らの手で犯人を探し出そうとして、片田舎の道路にポツンと立った、3つの巨大な看板に、犯人と警察に果たし状を訴えるかのようなキャッチコピーを書く。

復讐に獲りつかれた母親役がフランシス・マクドーマンド。この女優以外に誰が、この主人公を演じることができようか!!

そして、これが、単なる母親の復讐劇で終わっていないのが、この作品の奥の深さなのである。

捜査をあきらめていた警察の長官役のウディ・ハレルソン、人種差別主義の危険な警官役のサム・ロックウエル。

お互いに憎しみあっていたこの三つ巴の関係が、ウディ・ハレルソンの自殺から一気に流れが変わっていく。

この切り替えが実に見事なのである。

ラストに向けての展開に『スリー・ビルボード』の意味が鮮明に浮かびあがる。

3つの看板。しかし、これは「3人の人生の大きな看板」であったことに気づき、ハッとするのである。

こんな名作はめったに見れない。

見ないと損だと思う作品が減っている。

その中で、稀有な作品の一つになっていた。

上映中

【監督】マーティン・マクドナー

【出演】フランシス・マクドーマンド  ウディ・ハレルソン  サム・ロックウエル