この状況をどういう風に説明すべきか?
ごちゃごちゃ説明すると、この物語が色褪せてきてしまい、見る人に伝わらなくなる心配がある。
一言で言えば、アフリカの紛争地帯でもデンマークの一般家庭でも、共にそこに存在するのは「恐るべき憎悪」であり、「歯車の狂ってしまった人間関係」と「亀裂」なのかもしれない。
アフリカとデンマーク。全く違った世界をかくも巧みに繋ぎ合わせ、その深い傷口を舐めるように少しずつ治癒させ、修正していく演出の上手さ。
見終えた後のこのすがすがしい希望に満ちた清涼感は、いったいなんだろう?
人間としての矜持なのか?
それとも、人は人を許した時に初めて自分も救われるというアンチテーゼなのだろうか?
『おくりびと』『瞳の奥の秘密』に続き、アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『未来を生きる君たちへ』。最近、本家本元のアカデミー賞受賞作品よりも、外国語賞作品の方が、ずっと優れているなと、思ったりした。
8月13日から公開
【監督】スサンネ・ピア
【出演】ミカエル・パーシュブラント、トリーネ・ディアホルム、ウルリッヒ・トムセン、