マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『龍三と七人の子分たち』

2015年03月02日 | 映画

こんな面白い話を心から待っていた。

そして、こんな奇想天外なヤクザ映画は、北野武監督以外に誰も撮れなかったと、強く確信したのだ。

「金無し、先無し、怖いモノ無し」の老いた元ヤクザの組長と組員たち。

元組長役を演じる藤竜也は、マジメなサラリーマンの長男の家にやっかいになり、嫁に疎まれている。組員の一人の「早撃ちのマック」を演じる品川徹は、介護病院に入院中。若頭演じる近藤正臣は、家族と離散して、古い団地で民生員の協力で、生活保護を受けて生活している。

老いた七人の子分たちのキャラの愉快さは、まだまだあるのだが、この人物設定だけで、もういてもたってもいられないほど見たくなり、誰もが相好を崩すだろう。

とりわけ北野監督が、現代の社会は「ヤクザ」よりも「怖い集団」や個人が存在するという時代の病巣に警鐘を鳴らしている点にも納得がいく。

映画全体は、まるでビートたけしの漫才のような展開で、セリフ一つ一つが、まるで漫才ネタ。

そのアイロニーとユーモアが、これまた的を射ていて痛快なのである。

「老いとヤクザ」を、現代の日本が抱えている「高齢化問題」と「犯罪」に、かくもうまく繋げた北野武監督の感性にただただ敬服するのみである。

 4月25日から公開

【監督】北野武

【出演】藤竜也  近藤正臣  中尾彬 品川徹  樋浦勉 伊藤幸純 吉澤健、小野寺昭

 ビートたけし