マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『隠された日記 母たち娘たち』

2010年10月02日 | 映画
カトリーヌ・ドヌーブと言えば、『シェルブールの雨傘』(1964)である。

去年、デジタルリマスター版が公開され、戦争に巻き込まれていく恋人たちの悲恋の哀しさに満ち溢れていて、ある種の反戦映画でもある。ミシェル・ルグランの名曲に包まれたガソリンスタンドのラストシーンは、映画史上に残ると言っていいほど哀しさと美しさに満ち、感動の涙を誘う。

この時のカトリーヌ・ドヌーブの美しさったらない!!!!!

まるで「スクリーンを駆け巡る女神」のようであった。

カトリーヌ・ドヌーブはフランス人の持つ美意識やプライドを曲げないので、日本のメディアからは「気難しい女優」と思われている。しかし、これだけの大女優になれば、メディアに媚びることなどしなくても、カトリーヌ・ドヌーブという偶像一本でやっていける天才女優なのである。

カトリーヌ・ドヌーブはカトリーヌ・ドヌーブでいいのだ。

今回の『隠された日記 母たち娘たち』では、妊娠し、産むべきか産まざるべきかを迷い、フランスの片田舎に帰省した娘の母親役を演じている。

この田舎の風景が実にいい。波光きらめく海辺の亡き祖父の家。家の前に広がるまるでプライベートビーチのような優しい海のきらめき、さざ波が、この作品に柔らかなクリーミーなバニラエッセンスの香りを放っている。

祖父の家で見つけた祖母の1冊の日記。

娘がこの日記を読み始めてから、祖母の生き様を通して、ギクシャクしていた母と娘の関係が少しずつ変化し始める。日記のリフレインで、傍らに亡き祖母の亡霊が現れる演出が見事である。

結末はさすがフランス映画の持つシュールさ。アメリカ映画にはない斬新な結末にびっくりさせられる。

祖母・マリ=ジョゼ・クローズ。 母親・カトリーヌ・ドヌーブ。娘・マリナ・ハンズ。

共に世代は違うが、根底には「女の自立」を巡る祖母と母と娘の確執であることは間違いなしである。

こういった作品に出会うと、ストーリーは決して明るいものではないが、元気になれる自分が不思議である。

10月23日から公開

【監督】ジュリー・ロペス=クルヴァル
【出演】カトリーヌ・ドヌーブ
    マリナ・ハンズ
    マリ=ジョゼ・クローズ
    ミシェル・デュショーソワ




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