マリリンの映画日記

エッセイスト瀧澤陽子の映画ブログです!新作映画からオールドムービーまで幅広く綴っております。

『ザ・ロード』

2010年06月06日 | 映画


これは、自然災害で滅びた後の地球なのだろうか?
それとも、第三次世界大戦が勃発し、世界中を滅ぼしてしまった核戦争後の地球の姿を描いた物語なのだろうか?

そんな疑問を投げかけたのだが、実はこの背景がなんであろうが、太陽が地球から消え、すべての動植物は地球から失われ、わずかに残った人類が生き抜く物語であることは確かである。

生き残るよりも死を選ぶほうがどんなにか容易いかという希望のない終末の地球で、あえて生きることを決意した父親と息子の生への渇望、人間として生きることの最後の矜持と誇りと尊厳を描いている。

飢えをしのぎ、敵(これが人類であることも皮肉であるが)との闘いに勝利しながら、南、南へと新たな境地を求めて旅する親子の姿。

これと似た往年の作品に『渚にて』や『猿の惑星』という傑作があったが、『ザ・ロード』はこれらの現代版と言っても過言ではないだろう。

『渚にて』『猿の惑星』がある種の絶望で幕を閉じたのならば、『ザ・ロード』には絶望の中に一筋の光が見えてくる。

暗く閉ざされた絶望の世界で、まさに人類再生の壮大な歴史劇を見ているようなたくましい作品でもある。





【監督】ジョン・ヒルコート
【出演】ヴィゴ・モーテンセン
    コディ・スミット=マクフィー
    ロバート・デュヴァル
    ガイ・ピアース
     シャーリーズ・セロン

2010年、6月26日より公開


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