Renaissancejapan

哲学と宗教、財閥、国際政治、金融、科学技術、心霊現象など幅広いジャンルについて投稿しています

USスチール、日鉄による買収不成立なら「米国は敗北」

2024-12-29 06:49:12 | 資源メジャー、環境エネルギー、資源・素材、


USスチールは「日鉄による買収は中国の脅威に対抗する唯一の手段だ」と強調した

 

【ニューヨーク=川上梓】

米鉄鋼大手USスチールは28日までに、日本製鉄による買収が不成立となれば、米国の鉄鋼業は拡大する中国の脅威に対抗できず「米国は敗北する」との声明を出した。

米国に投資と雇用をもたらす買収の正当性を改めて訴えた。バイデン米大統領は2025年1月7日までに買収を承認するかどうかを判断する見通し。

 

声明は27日付。USスチールは「日鉄による買収は中国の脅威に対抗し、米国の鉄鋼業が競争力を強化できる唯一の手段だ」と強調した。

日鉄が提案する投資や雇用創出の計画を引用し、従業員に雇用の安定と利益をもたらすと改めて訴えた。

 

買収を巡ってはUSスチールのデビッド・ブリット最高経営責任者(CEO)も22日に米紙に寄稿し、買収の失敗は中国の支配力を強めるだけだと訴えていた。

日鉄による買収は全米鉄鋼労働組合(USW)が一貫して反対している。USW執行部と関係が深い米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスの影響力もあるとされる。

 

USスチールはUSWが買収を妨害していると批判。「買収が不成立となれば、喜ぶのは(USWの)デービッド・マッコール会長とクリーブランド・クリフス、そして北京(中国)だけだ。

米国は敗北する」と強い口調で買収の意義を訴えた。

 

日鉄による買収を巡っては安全保障上の審査を担う対米外投資委員会(CFIUS)が最終決定をバイデン氏に委ねた。

米司法省による競争法上の審査も継続中だ。日鉄は26日、24年12月までとしていた買収完了時期を25年3月までに変更した。

 

 

 
 
 
 
日鉄のUSスチール買収

2023年12月18日、日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールを買収すると発表しました。買収額は約2兆円で実現すれば日米企業の大型再編となりますが、米国で政治問題となり、先行きが注目されています。最新ニュースと解説をまとめました。

 

 

 

日経記事2024.12.29より引用

 

 


日鉄のUSスチール買収、地元市長やCEOから成立望む声

2024-12-24 19:49:06 | 資源メジャー、環境エネルギー、資源・素材、


日鉄のUSスチール買収について地元などから買収成立を望む声が上がっている

 

日本製鉄によるUSスチール買収計画の可否の最終判断がバイデン米大統領に一任されることが決まり、買収成立を訴える声が上がっている。

23日(日本時間24日)にはUSスチールが製鉄所を構えるペンシルベニア州内の市長ら20人が連名で強い支持を表明。22日には同社の最高経営責任者(CEO)も「中国はこの取引の失敗を望んでいる」と買収成立の必要性を訴えた。

 

「日鉄は未来を実現する必要な命綱を提供している。政治やたった一人の組合長の不合理な行動のためにこの機会を無駄にはできない」。

ペンシルベニア州のブラドックやクレアトン、ウェストミフリン、インディアナ州のゲーリーなど20の自治体の市長らが署名入りでバイデン氏に送った書簡にはこう書かれていた。

 

「たった一人の組合長」とは買収計画に反対する全米鉄鋼労働組合(USW)のデービッド・マッコール会長を指す。

マッコール氏は民主党の支持基盤のUSWのトップを務め、直近の大統領選では民主党を支持した。マッコール氏の主張はバイデン氏の買収計画に反対する根拠になっているとみられる。

 

 

書簡によると、USスチール拠点の立地地域では、工場の存続を目指す日鉄の方針は住民から圧倒的に支持されているという。

このため市長らは先週、マッコール氏を日鉄との協議の場に戻したものの、マッコール氏は新たな協約についての交渉に応じようとすらしなかった。

 

同氏は、協議のために市長らと同じ部屋にいる間にUSWへ指示して「協議には進展がなかった」と題したプレスリリースを出すなどした。

マッコール氏の行動に市長らは「労働者を代表することを断った人物の助言を受けるのはあなたの評判へのリスクになりうる」などとバイデン氏に訴えた。

 

USスチールのデビッド・ブリットCEOは22日に、米ニューヨーク・タイムズに寄稿した。「この取引が実現すれば従業員の雇用はより安定し、顧客はよいサービスを受けられる。

世界の鉄鋼生産における中国の支配力は弱まる」と意義を強調した。

 

ブリット氏は「USスチールのような象徴的な企業の売却は深い感情をかき立てることは理解できる」としつつ、現在のUSスチールは世界24位の鉄鋼メーカーで「もはや業界のリーダーではない」と記した。

さらに「日鉄なしでは高炉などの従来施設に投資する資金はない。買収計画がなくなれば非組合員による南部の電炉に集中する戦略に戻る」と強調した。

 

買収への訴えは12月中旬から本格化した。日鉄のアドバイザーを務めるマイク・ポンペオ元国務長官も13日に米ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿し「地元の鉄鋼施設に27億ドル(約4200億円)を投資する日鉄の提案は、中国の貿易戦略に対抗してUSスチールの競争力を高めることを可能にする」と主張した。

足元では日鉄の森高弘副会長兼副社長も米国に滞在しUSスチールの従業員との対話やロビイングを続けている。12日にはUSスチールの製鉄所のあるゲーリー市の市長と記者会見して買収による地域への波及効果を説明した。

 

また同日、買収に賛同するUSスチールの従業員約300人がペンシルベニア州のクレアトン工場で集会を開いた。

 

 
 
 

2023年12月18日、日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールを買収すると発表しました。買収額は約2兆円で実現すれば日米企業の大型再編となりますが、米国で政治問題となり、先行きが注目されています。最新ニュースと解説をまとめました。

 

 

 

日経記事2024.12.24より引用

 

 

 


日本製鉄、試験炉で高炉水素還元 世界初CO2削減40%超

2024-12-20 17:30:13 | 資源メジャー、環境エネルギー、資源・素材、


高炉水素還元の技術開発を進める試験炉(千葉県君津市)

 

日本製鉄は20日、脱炭素戦略の一環として開発中の高炉水素還元の製鉄手法で、二酸化炭素(CO2)を40%以上削減する技術を試験炉で確立したと発表した。

40%を超える削減は世界で初めてといい、開発目標としていた2025年末から1年前倒しで達成した。今後は50%以上の削減と実機高炉での活用を目指す。

 

東日本製鉄所君津地区(千葉県君津市)で24年11~12月に実施した試験で43%の削減を確認した。加熱した水素を使ったり、高炉内の熱のバランスを調整したりして比率を向上させた。

従来の世界最高の数値は日鉄が23年に確認した33%だった。高炉による製鉄では、鉄鉱石に含まれる酸素を石炭を使った化学反応で取り除く。

 

だがこの方法だと石炭からCO2が大量に発生するため、水素での代替に取り組んでいる。水素を使うと熱を奪う反応が起きるため、酸素を取り除きにくいという課題があった。

日鉄は26年4月に君津地区の第2高炉で実機規模の実証試験を始める予定。第2高炉に水素を吹き込むための工事を今後進めていく。

 


エネルギー変革、今が絶好の機会 田中IEA元事務局長 直言

2024-12-14 10:48:55 | 資源メジャー、環境エネルギー、資源・素材、




日本のエネルギー自給率はたった15%だ。電力の安定供給はかねて国家の生命線だが、同時に脱炭素との両立が世界的な課題になった。

経済成長も求められている。安全保障、産業競争力に目配りしつつ地球温暖化対策を着実に進める方策について、国際エネルギー機関(IEA)の元事務局長、田中伸男氏に聞いた。

 

 

原子力の新ビジョン示せ

日本の貿易は昨年、化石燃料の赤字額が26兆円になった。自動車や機械の輸出で稼いだ黒字のほとんどが帳消しになる勘定だ。
 
 

――燃料輸入による国富の流出をどう食い止めるか。

 

「国富の流出は輸入している限り続く。といってエネルギーがないと経済も生活も成り立たない。

第1次石油危機以来、日本がしてきた重要なことの一つに省エネがある。

 

もう一つは石油やガスや石炭に代えて国内でつくれる再生可能エネルギーだ。太陽光、風力、地熱をいかに安く大量に使えるようにするかという政策が重要だ」

「大きいのが原子力だ。新たに原子力発電所を建てるのはコストがかかるが、既存の原子炉でつくるエネルギーは安い。米国では事故後に閉鎖されたスリーマイル島原発を再稼働し、マイクロソフトに電力を供給しようとしている」

 

 

「日本も原発再稼働へ政府が努力しているが、うまくいっていない。持続可能な原子力の活用策を打ち出さないといけない

。地震で万が一事故が起きても影響がそこまで大きく及ばない小型炉や、核のごみを減らしていく方法などを考え、原子力の新しいビジョンを打ち出さないと、国民は再稼働しても結構だとは言わないかもしれない」

 

「新しいエネルギーの技術や使い方を日本から海外に売れれば、逆に国富を増やすことになる。大きな絵で日本のエネルギー政策を変えていくことが必要だ」

 


日本には非常に大きなチャンスがある」と語る

 

――自然災害が多く原発事故も経験した日本で原発への慎重論は強い。

「原子力と発言すると票が減ってしまうので(政治家が)言いたくない気持ちはよく分かる。

しかし言わないと、政府が目指す2050年までのネットゼロ(温暖化ガスの実質排出ゼロ)はできない。大きな変革をしないと脱炭素は無理だ。知恵もイノベーションも技術も持つ日本は非常に大きなチャンスがある」

 

「核のごみの放射能レベル低減にかかる時間を高速炉で300年に短縮できるという議論がある。

核のごみの処理もできると政府がきちんと説明することで、国民は納得できるのではないか」

 

 

――欧州など海外ではエネルギー政策が政治主導で大胆に変わる。


「日本は9つの電力会社が安定した電源を供給し、戦後の経済成長に成功した。

大型の発電所から供給するモデルは、地域分散型の風力や太陽光などを大量に使うとなるとうまくいかない。そのゆがみが起こっている」

 

「欧州ではドイツが最大の切り替えを実行した。原子力をやめ、風力や太陽光を増やすために分散型システムにした。

足りない電源はフランスの原子力や北欧の水力から調達した」

 

 

「メルケル独首相(当時)になぜ原子力を使わないのか尋ねると『私は科学者で原子力の重要性をよく知っている。

しかしそれを使うには票が必要だ』と答えていた。メルケル氏は国民がどう言っているかに敏感に反応しながら政策を変えた。もっとも、ロシアの天然ガスに依存したことで今の危機(ウクライナ侵略による供給不安)を招いた反省は必要だろう」

 

「エネルギー安全保障は重要だ。政治家がよく理解してやらなければいけない。

変化、競争を起こしながら安定供給する、風力、太陽光、原子力もうまく使っていくシステムが日本に求められている。今が絶好のチャンスという気がしている」

 

 

ガソリン補助金を水素に

政府は次期エネルギー基本計画を年度内に決める。電源構成の目標や脱炭素のシナリオは産業界にも大きく影響する。
 

――脱炭素電源は産業競争力を左右する。足りないと日本企業の足かせになる。

 

「日本の産業がよりグリーンにならないと、製品が海外に売れなくなる。

アップルは全製品を2030年までにカーボンニュートラルにするとし、供給企業にも呼び掛けている。独メルセデス・ベンツグループも、39年までに供給網全体でカーボンニュートラルにすると表明した」

 

「日本企業もそうしないと世界のマーケットに入っていけない。国内にグリーンな電源がないと海外に生産を移すことになりかねない。

日本で風力、太陽光、原子力で安い電力をつくっていかないと産業が逃げていく」

「二酸化炭素(CO2)を回収して地下に埋める『CCS』ができる場所、クリーンな電気がある場所に産業は移っていく。

 

電力消費の多い半導体製造や、脱炭素へ高炉から電炉に転換する鉄鋼業が典型だ。過去に日本の電力コスト上昇でアルミニウム製錬業はすべて海外に出た。同じことが起こる可能性は十分ある」

 

 

――次期エネルギー基本計画で考えるべき変数は多い。電力需要が人工知能(AI)の普及で増える一方、再生エネのコストは高止まりしている。

 

「2050年のネットゼロは大前提だ。そのために何が必要か、逆算して政策を考えるべきだ。再生エネを分散型で増やすと同時に、原子力活用のビジョンを示す。

政府が議論中のカーボンプライシングでは、将来のCO2の値段を示す必要がある。さもないと本格的な投資が起こらない」

 

「半世紀前に日本が液化天然ガス(LNG)を輸入したとき、高くてできるはずがないといわれた。できたのは(コストから料金水準をはじく)総括原価方式だったからだ。

今の自由化された市場ではなかなかできない。水素供給の新プロジェクトについて(既存燃料との)価格差を支援するとしているが、一つ二つだけやっても意味が乏しい。増やすには財源が全く足りない」

 

「財源の議論は政治が担わなければならない。ひとつの財源は、電気やガソリンにかけている補助金をやめることだ。

CO2の値段を上げていくときに、値下げする補助金は全くナンセンスだ。その数兆円を水素の補助金に回すとはっきりさせないと、水素経済はなかなか立ち上がらない」

 


日米韓の原子力協力を訴える

 

――トランプ次期米大統領は化石燃料の増産を打ち出し、脱炭素が減速する懸念が強い。日本は巧みな協調が必要だ。

 

「トランプ政権は国連気候変動枠組み条約から再離脱するだろう。化石燃料を復活させるとも主張している。

日本は天然ガスを脱炭素の移行期の燃料としてうまく使い、投資する必要がある。天然ガスの利用をトランプ氏と一緒にやるのは面白い。共和党の地盤でもあるアラスカ州の天然ガスの開発や輸入で協力していくのは十分あり得る」

 

「米国と一緒にできる大きな柱の一つは原子力だ。トランプ氏はもともと原子力好き。日本は韓国と組んで米国と原子力で協力してはどうか。

日本とエネルギー構造のよく似た韓国は小型炉に特化すると決め、売り出そうとしている。福島の核のごみの処理などで日米韓が協力するのは十分ありうるオプションだ。小型炉のビジョンを日米韓でつくるのは地政学的にも面白い」

 

 

たなか・のぶお 1950年生まれ。東大経卒、73年通商産業省(現経済産業省)入省。通商機構部長などを経て2007〜11年に国際エネルギー機関(IEA)事務局長。笹川平和財団理事長などを務め、現在タナカグローバル最高経営責任者(CEO)。
 
 

脱炭素を脱皮のバネに(インタビュアーから)

化石燃料高は日本のアキレス腱(けん)を再認識させた。輸入に巨額を費やし、国際情勢に揺さぶられるもろさを抱えたままだ。

再生可能エネルギーへの移行は弱点を克服する手掛かりになる。これに逆行するガソリン補助金を「ナンセンス」と断じた田中氏の指摘は重要だ。ゆがんだ資源配分を続ける余裕はないはずだ。

 

脱炭素は今や個々の企業にとって差し迫った要請になった。電化がもたらす変化にも取り残されてはならない。

欧州やアジアの一部では越境売電が活発になり、石油やガスに恵まれない国であっても発電と送電網の力で優位に立つ時代が来た。

 

環境変化を逆手にとって劣勢をはね返す道を探りたい。半世紀前、石油危機に苦しんだ日本は省エネを磨き原発を活用して、資源が乏しくても繁栄するモデルをつくってみせた。難題だらけの今も脱皮の好機だ。

(編集委員 久門武史)

写真 宮口穣 映像 小倉広志

 

 
 
 
 
<picture class="picture_p166dhyf"><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5642963019112024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=638&h=426&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=3e8def7a36446d43db8be818f160f62a 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5642963019112024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1276&h=852&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=49a008ddf0f34ef0e4b8d92eba630eda 2x" media="(min-width: 1232px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5642963019112024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=638&h=426&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=3e8def7a36446d43db8be818f160f62a 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5642963019112024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1276&h=852&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=49a008ddf0f34ef0e4b8d92eba630eda 2x" media="(min-width: 992px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5642963019112024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=400&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=dd6f45b33acf37174e3a832cc8984b98 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5642963019112024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=801&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=2f7240f711d21f0320847b55f32490ca 2x" media="(min-width: 752px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5642963019112024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=400&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=dd6f45b33acf37174e3a832cc8984b98 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5642963019112024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=801&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=2f7240f711d21f0320847b55f32490ca 2x" media="(min-width: 316px)" /><source srcset="https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5642963019112024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=600&h=400&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=dd6f45b33acf37174e3a832cc8984b98 1x, https://article-image-ix.nikkei.com/https%3A%2F%2Fimgix-proxy.n8s.jp%2FDSXZQO5642963019112024000000-1.jpg?ixlib=js-3.8.0&w=1200&h=801&auto=format%2Ccompress&fit=crop&bg=FFFFFF&s=2f7240f711d21f0320847b55f32490ca 2x" media="(min-width: 0px)" /></picture>

石炭灰の廃棄物に大量のレアアース、米科学者が発見 クリーンエネルギーの宝庫?

2024-12-11 22:22:29 | 資源メジャー、環境エネルギー、資源・素材、

2014年、米国史上最大規模の石炭灰流出で川面に現れた石炭灰の渦=バージニア州/Gerry Broome/AP
2014年、米国史上最大規模の石炭灰流出で川面に現れた石炭灰の渦=バージニア州

 

(CNN) 

石炭を燃焼させた後に残る大量の石炭灰は池や埋め立て地に廃棄されており、水路に流出したり、土壌を汚染させたりする恐れがある。

その一方で、こうした有害廃棄物は、クリーンエネルギーの推進に必要な希土類元素(レアアース)の宝庫となる可能性も秘めている。

 

テキサス大学が主導した最近の研究によると、科学者らは米国各地の発電所から発生した石炭灰を分析し、最大1100万トンのレアアースを含有していることを発見した。

これは米国国内の埋蔵量の8倍近い量で、金額にして約84億ドル(約1兆2600億円)に上る。

 

今回の発見は、新たな採掘の必要なしに米国内でレアアースを調達する大きなポテンシャルを秘めている――。

論文を執筆したテキサス大学ジャクソン地球科学大学院の研究教授、ブリジェット・スキャンロン氏はそう語る。

 

「まさに『ゴミを宝に』というスローガンの実例だ」「我々が試みているのは基本的に、サイクルを完結させて廃棄物を利用し、廃棄物の中にある資源を回収することだ」

こうしたいわゆるレアアースは、スカンジウムやネオジム、イットリウムといった地球のコアに存在する金属元素の集合体を指す。

 

レアアースは電気自動車(EV)や太陽光パネル、風力タービンを含むクリーンテクノロジーにおいて重要な役割を果たす。

その名前とは裏腹に、レアアースは自然界では珍しくない。ただ、周囲の鉱石から抽出・分離するのは難しく、需要に供給が追いついていない状況だ。

 

イリノイ州スプリングフィールドの火力発電所近くにある石炭灰廃棄用の池/Register/USA Today Network/Imagn Images
イリノイ州スプリングフィールドの火力発電所近くにある石炭灰廃棄用の池/Register

 

世界が地球温暖化を招く化石燃料からの脱却を進める中、今後はさらに多くのレアアースが必要になる見通し。

国際エネルギー機関(IEA)によると、レアアースの需要は2040年までに最大で現在の7倍に跳ね上がるとみられている。

 

ただ、米国の供給量は依然として少なく、国内にある大規模なレアアース鉱山はカリフォルニア州のマウンテンパスのみだ。

米国は現在レアアースの95%以上を輸入しているが、その大部分は中国から来ており、サプライチェーン(供給網)や安全保障上の問題を突きつけている。

 

スキャンロン氏はCNNの取材に、「我々は状況を改善する必要がある」と説明。このため、従来とは異なるレアアースの供給源に目を向ける動きが出ており、「こうした供給源の一つが石炭や石炭副産物だ」と指摘した。

地下の鉱床から直接採掘する場合に比べ、石炭灰はレアアースの濃度が比較的低い。長所は入手のしやすさで、米国では毎年約7000万トンの石炭灰が発生している。

 

 

CNN記事2024.12.07より引用