トランプ陣営が副大統領候補を選定している際のJ・D・バンス上院議員㊧の調査文書が流出した可能性がある=ロイター
【ワシントン=飛田臨太郎】
米大統領選に立候補しているトランプ前大統領の陣営は10日、外国の勢力から内部通信の一部がハッキングされたと明らかにした。
イランが関与した可能性を示唆した。11月の選挙まで3カ月を切り、サイバー攻撃を通じた選挙介入への懸念が強まっている。
トランプ陣営は「大統領選を妨害し、民主的なプロセスを混乱におとしめるものだ」と非難した。米メディアが報じた。
米政治サイトのポリティコは「ロバート」と名乗る人物から、トランプ陣営から流出したものとみられる文書が届けられたと明らかにした。7月22日から接触があり、共和党の副大統領候補であるJ・D・バンス上院議員を調べた書類が含まれていた。
トランプ陣営が副大統領候補を選定している時期の2月23日付の書類などが含まれていた。271ページに及び、かつてバンス氏がトランプ氏を批判したことなどがつづられている。
副大統領候補の一人だったマルコ・ルビオ上院議員に関する文書も送られてきたという。
ポリティコがロバートと名乗る男性に入手した経緯を尋ねると「興味本位で聞かない方がいい。私を危険にさらすことになる」と回答があった。
米マイクロソフトが9日に公表した報告書によると、イラン政府とつながりのあるハッカーが6月に米大統領選の陣営幹部のアカウントに不正にアクセスした。トランプ陣営はこの報告書に触れ、イランはトランプ氏の当選を望んでいないとの見方を示した。
米CNNテレビは7月、イラン政府がトランプ氏を暗殺するという計画の情報を入手した米当局が警備体制を強化したと報じた。
トランプ前政権は2020年にイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害し、イランと緊張が高まった。
イラン以外の勢力も米国の選挙に介入している疑いがある。
16年の米大統領選では民主党陣営のメールなどの機密情報がハッキングによって流出した。それらをもとにした偽情報がSNSで拡散した。米情報機関は当時のメールの流出はロシアのサイバー攻撃が背景にあるとみている。
米情報機関トップのヘインズ国家情報長官は5月、ロシアや中国、イラン、これらの国の息のかかった非国家勢力による選挙介入の動きが強まっていると危機感を示した。
特にロシアが最も活発で、選挙介入の狙いは「米国の民主主義の信頼を損ない、米国内の分裂を助長し、(ロシアが侵略を続ける)ウクライナへの西側諸国の支援能力を低下させることにある」と説明した。
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2016年の選挙の時は、ヒラリー候補が国務長官時代に私用のパソコンで業務用のメールを送っていたことが問題になりながら、当時のメールが不明になっていたことが取り上げられました。
このときトランプ候補は「ロシアよ、ヒラリーのメールをハッキングしてくれ」と大っぴらに発言したのです。
その後、ロシアは民主党全国委員会のサーバーに侵入して多数のメールをハッキングしました。他国に対し、自国の選挙に介入するように求めたのです。
ドナルド・トランプ前アメリカ大統領に関する最新ニュースを紹介します。11月の米大統領選挙で共和党の候補者として、バイデン大統領と再び対決します。「もしトラ」の世界はどうなるのか、など解説します。
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日経記事2024.08.11より引用