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バイデン米大統領㊨とハリス副大統領は15日、ハリス氏が大統領候補になると固まってから初めて2人で演説に臨んだ
=ロイター
【ラーゴ(米東部メリーランド州)=飛田臨太郎】
米国のハリス副大統領は15日、民主党の大統領候補になってから初めて、バイデン大統領とともに演説に臨んだ。
薬価の引き下げを大手製薬企業に認めさせ、患者負担を年15億ドル(約2200億円)減らすと発表した。大統領選の目玉公約に生活費の負担軽減を据える。
ハリス氏とバイデン氏は東部メリーランド州で演説した。
大手製薬企業ががんの治療薬など10品目の薬価を引き下げることに合意した。ハリス氏は「大手製薬が長年、コストの何倍もの値段を請求し、何百万人もの米国人を苦しめてきた」と成果を強調した。
バイデン氏も「ハリスと私は、処方薬のコストを下げるために戦い続ける」と説明した。
毎年、最大20品目の薬価を引き下げる交渉を継続する。バイデン氏は共和党が大手製薬企業に寄り添っていると訴え、大統領選で「彼らを打ち負かそう」と力説した。
ハリス氏は近く大統領選の経済分野の公約について発表する。大統領候補となってから、生活支援を重点的に有権者に訴えてきた。薬の価格引き下げを第1弾のアピールとする。
米政治サイトのポリティコは15日、ハリス陣営が食料品や住宅、医療などの費用削減に焦点を当てた公約の作成を検討していると報じた。
物価高はバイデン大統領の支持率低迷の大きな要因となった。有権者に身近な分野のモノやサービスの価格引き下げを訴え、不満を抑えようと試みる。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルはハリス氏が16日に4年間で300万戸の住宅建設や税制優遇を公表する予定だと報じた。
ハリス氏は9日の演説で、中間所得層の家賃支払いを抑制するため、不当に価格を引き上げる不動産業者を取り締まると明らかにしている。
ハリス氏は黒人やアジア系の移民にルーツを持ち、カリフォルニア州で検事として家庭内暴力や児童虐待事件に携わった。
バイデン氏も中間層の底上げで米経済を成長させる戦略をとってきたが、ハリス氏はより生活者の視点を重視する色彩が濃い。
現時点でハリス氏の独自色として目立つのは生活支援ぐらいにとどまる。ポリティコは詳細な経済分野の公約作成にはしばらく時間がかかるとの見方があると伝えた。
共和党のトランプ前大統領も15日に記者会見を開き、ハリス氏に対抗するように生活支援を訴えた。
「家計にかかる費用を年5000ドル(約75万円)節約する。必ずやり遂げる」と主張した。1世帯あたりが念頭にあるとみられる。
社会保障給付にかかる税負担を撤廃する案も示した。「インフレで苦しむ高齢者に社会保障にかかる税を払わせるつもりはない」と触れた。
医療費や住宅費も引き下げると加え「連邦政府の土地を住宅建設のために開放する」と唱えた。
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

慶應義塾大学総合政策学部 教授
インフレ率は2%に向かって低下しつつありますが、まだ3%台なので物価が高いと感じる消費者が多いでしょう。
労働市場のデータもさまざまな指標で悪化の方向を指しています。
米国経済はマクロ経済全体としてはまだ景気後退を示しているとはいえませんが、低所得者を中心に生活が困難になっている人が多く格差も拡大しているようです。
このためハリス氏は弱者のための対策を充実させる政策をとるでしょう。
ただ幅広い支持をうけるには中央よりの政策も必要になるかもしれません。
トランプ氏が大統領時代に大幅減税したことで富裕層がかなり増えたとの指摘もあり、規制も緩和してきました。
経営者や富裕層へどうアピールするかも課題です。

みずほリサーチ&テクノロジーズ 調査部 プリンシパル
金曜日のスピーチで発表される"カマラノミクス"に市場が注目している。
米有権者の最大の関心は、住宅不足による家賃の高騰を含む「物価高」。バイデノミクスの継承者、本選まで残された時間は極めて短い、という2つの大きな制約がある中では、トランプ氏の”暴力的な”経済プランと比べて小粒という印象が拭えないものになるかもしれないが、しっかり耳を傾けたい。

2024年に実施されるアメリカ大統領選挙に向け、ハリス副大統領やトランプ氏などの候補者、各政党がどのような動きをしているかについてのニュースを一覧できます。データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。
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日経記事2024.08.16より引用