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米国、次世代地熱発電に脚光 三菱重工など日本勢も商機

2024-10-19 19:19:19 | 環境・エネルギー、資源


米西部ユタ州でファーボ・エナジーが開発する地熱発電所(同社提供)

 

 

【ヒューストン=花房良祐】

米国で次世代の地熱発電技術に注目が集まっている。

温暖化ガスを排出しない安定電源としてバイデン政権も支援する。三菱重工業は地熱発電開発の新興企業に出資しタービンを供給。非鉄金属の大同特殊鋼は地熱発電専用の鋼管部品を開発するなど日本企業も商機を見いだしている。

 

米国は次世代の地熱発電「地熱増産システム(EGS)」の実用化を目指している。地熱発電は従来、地下の熱水・蒸気を掘り出して蒸気タービンで発電していたが、安定的に発電できる適地が少ない。

EGSは従来より2〜3倍深い地層の高温の岩盤を水圧破砕して水を注入。地熱を利用して蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回して発電する。

 

三菱重工は2月、米ヒューストンを拠点とする地熱発電スタートアップのファーボ・エナジーに少額出資した。

ファーボはシェール開発の掘削技術を応用し、従来は開発できなかった地域で地熱発電を実施する。

 

垂直に約3000メートル、地中を水平に約1500メートル掘削する。このため、地下深くに眠る熱の貯留層にたどり着きやすい。

従来の地熱発電は垂直に1000〜1500メートル掘っていた。

 

ティム・ラティマー共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は日本経済新聞に「新技術で米国の地熱発電の開発余地は100倍になる」と話す。

ラティマー氏はじめ同社社員の半分以上はシェール業界の出身だ。

 

従来型の地熱発電は現在、米国で約400万キロワットある。新技術を使えば約3億キロワットの開発が可能になるという。

地熱は太陽光・風力のように発電量が天候に左右されず、ベースロード(基幹電源)のように安定的に発電できる。

 

バイデン政権は米国の家庭6500万軒に供給できる潜在力があるとみる。石油業界も既存の開発技術が応用できるため注目している。

ファーボの想定発電コストは1キロワット時あたり10セントという。米国の太陽光発電と比べると8割高いが、原子力発電所より1割安い。米国政府はEGSの発電コストを35年まで4.5セントに低下させることを目標に掲げる。

 

米西部ユタ州では大型原子炉1機の4割に相当する出力40万キロワットの発電所を開発中。初めての新設案件だ。

まず10万キロワット分を26年に稼働させ、三菱重工グループの発電タービン3基を導入する。残り30万キロワットを28年に稼働させる計画。

 

西部ネバダ州では地元電力を介して米グーグルのデータセンターに電力を供給する。出力11万5000キロワットで、25年にも掘削を開始する。

ラティマー氏は「日本や東南アジアでの展開を三菱重工と協議している。30年代には米国外の発電所を稼働させたい」と海外展開にも意欲を示す。

 

ファーボにはこれまで米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏やシェール開発会社のデボン・エナジーなどが4億ドル(約600億円)を出資した。

素材メーカーも商機を狙う。大同特殊鋼は米シェブロンと地熱発電専用の鋼管部品を開発し、米国に投入する。

 

同社はこれまでシェール用の鋼管部品を供給してきたが、従来より深い地層を掘ると硫化水素の濃度が高く金属が腐食しやすい。新素材の合金を開発し高温下の耐食性と強度を高める。

22年度に研究を本格開始し、24年度までの3年間で研究開発費は計約1億800万円となる見込み。日本財団が一部を支援する。

 

 

25年5月までに試作品を製造し、27年にも日本の国内工場で大量生産する計画。地熱発電に関心を示すシェブロンなど石油会社への販売を目指す。

 

 


Jパワー、米国で火力発電の権益縮小 再エネ開発に軸足

2024-10-19 18:35:17 | 環境・エネルギー、資源


22年に稼働させたジャクソン火力発電所については権益を保有し続ける(米イリノイ州)

 

 

Jパワーが米国で火力発電事業を縮小する。

権益を保有する11の火力発電所のうち、老朽化などで発電効率が低くなった拠点を売却する方針だ。対象は最大で9カ所になる可能性がある。売却で得る資金は海外の再生可能エネルギー発電の開発に充て、電源構成を入れ替える。

 

海外事業を担当する関根良二副社長が日本経済新聞の取材で明らかにした。

Jパワーは米国では11の火力発電所の権益を保有している。2023年度末時点で合計出力は251万キロワットと、同社の海外事業ではタイに次ぐ規模だ。

 

18年に営業運転を始めたウェストモアランド火力発電所(東部ペンシルベニア州)と、22年に稼働させたジャクソン火力発電所(中西部イリノイ州)については発電効率が高いとして権益を保有し続ける。

残る9拠点について売却するかどうかを判断し、24年度中にも一部で売却先を決める。

 

売却候補の9拠点のうち、すでに米中部オクラホマ州のグリーンカントリー発電所については保有する50%の権益のすべてを25年6月末までに地元の電力事業者に売却すると公表している。

取引が成立した場合には26年3月期に売却益を計上する。

 

脱炭素を掲げるバイデン米政権は火力発電に対する規制を強めつつある。

24年4月には火力発電所の温暖化ガス排出量の削減を義務付ける新たな規則を公表した。長期稼働を予定する石炭火力と新設のガス火力の発電所では二酸化炭素(CO2)を分離回収する設備などへの追加投資が必要になる。

 

Jパワーが権益を保有する既存のガス火力発電所は現時点では規制の対象外だが、米政府は今後新たな基準を策定する方針だ。

Jパワーは中長期的に米国事業の収益環境が悪化するとみて規模の縮小を決めた。人工知能(AI)ブームに伴ってデータセンター向けの電力需要が拡大し、発電所の購入に関心を示す企業が増えていることも売却に向けた判断を後押しした。

 

Jパワーの海外事業は現状、発電能力の約9割を火力が占める。脱炭素の流れに対応するため、売却で得た資金は海外の再エネ発電の開発に投じる。

関根副社長は「先進国では再エネ電源の開発後に権益を売却して新規投資に充てる『回転型』に注力する。資産効率を高めながら電源構成を切り替えていく」と述べた。

 

 

 

 

特に注力するのがオーストラリアだ。8月には約370億円を投じて現地で再エネ電源開発を手掛けるジェネックスパワーの全株式を取得した。

同社は同国内で大規模な蓄電池や太陽光発電設備を持ち、州営の電力会社などを顧客に持つ。

 

ジェネックスパワーはすでに15万キロワット分の再エネ電源を稼働させている。陸上風力や太陽光発電などを増設して、20年代後半に新たに130万キロワット分を開発する。

発電所は共同出資で開発する計画で、Jパワー側の投資額は400億円を見込む。地元政府との調整や用地取得などでジェネックスパワーの知見を生かす。

 

東南アジアでは水力発電の電源を新たに開発する。

フィリピンやインドネシア、ベトナムなどが候補地となる。先進国では再エネ電源を開発後に売却するモデルで規模を拡大するが、東南アジアでは電源の保有を続けて収益を確保する。

 

 

 

 

Jパワーは1960年代から南米ペルーで発電所建設のコンサルティング事業を始めるなど、国内電力大手のなかでは早くから海外事業を伸ばしてきた。

24年3月期の同事業の売上高経常利益率は17%と、会社全体(9.4%)をけん引する稼ぎ頭となっている。

 

国内では青森県内に建設中の大間原子力発電所の稼働が30年度に遅れ、投資が先行している。

主力の石炭火力もアンモニアとの混焼など脱炭素に向けた投資負担が重く、国内の成長余地は限られる。今後は再エネ発電の拡大によって海外事業の経常利益を30年度に現在の2倍の600億円規模に伸ばす目標だ。

(泉洸希)

 

 

 


九州電力、海外保有のプルトニウム全量をMOX燃料に

2024-10-19 18:29:59 | 環境・エネルギー、資源

 

九州電力は18日、玄海原子力発電所3号機(佐賀県玄海町)で使うウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の製造を始めると発表した。

同日、三菱重工業と供給契約を結んだ。九電がフランスに持つプルトニウムの全量を加工する。早ければ2027年度から同原発で利用する計画だ。

 

三菱重工は燃料製造を手がける仏オラノに委託し、MOX燃料40体をつくる。今回の製造で九電が海外に保有するプルトニウムはなくなる。

MOX燃料は使用済み核燃料から取り出したウランとプルトニウムを混ぜてつくった燃料。

 

玄海3号機では09年にMOX燃料を使った「プルサーマル発電」を始めた。

フランスで加工した燃料を使ってきたが、九電が同国に持つプルトニウムが不足して燃料を調達できなくなったため、23年11月にプルサーマル発電を止めている。

 

今回使うのは24年4月、九電が英国に保有していたプルトニウムと、東北電力などがフランスに持つプルトニウムを帳簿上交換して確保したもの。

 

 

 
日経記事2024.10.18より引用

 


鴻池運輸、インドの都市ガス事業に参画 輸送や設備管理

2024-10-19 18:18:54 | 環境・エネルギー、資源


インドの圧縮天然ガス(CNG)ステーション

 

鴻池運輸は18日、インドの都市ガス事業に参画すると発表した。

大阪ガス住友商事などが設立した特別目的会社(SPC)を通じて、現地でガス事業を手掛けるシンガポール企業に出資する。出資額は非公表。

 

鴻池運輸はSPCの株式の数%を大ガスから取得する。日本国内と同様に、インドでもガス輸送や都市ガス製造所の設備管理を請け負いたい考えだ。

同社は2008年にインドに駐在員事務所を開設した。人口増加が見込まれる同国での事業展開に力を入れており、鉄道輸送事業を広げているほか、6月には現地で医療器具の洗浄・滅菌サービスを手掛ける企業を買収した。

 

 

日経記事2024.10.18より引用