前政権で高関税政策を主導したライトハイザー氏の去就に注目が集まる=ロイター
【ワシントン=高見浩輔】
米政治サイトのポリティコは3日、トランプ前政権で米通商代表部(USTR)の代表を務めたロバート・ライトハイザー氏が次期政権で役職に就かない可能性が高いと報じた。
貿易赤字を解消するために関税を引き上げる強硬な主張で知られ、次期政権での去就が注目されていた。
次期政権の人事情報などを知る5人の関係者の話として報じた。ライトハイザー氏に近い人物の情報として、本人が政権に「入るつもりはまったくない」と明言したことも伝えた。
ライトハイザー氏は前政権で鉄鋼や中国製品への関税引き上げを主導した。次期政権でも財務長官や商務長官など有力ポストを希望していたとされる。ホワイトハウスに新設のポストを作る可能性も取り沙汰されていた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルも同日、トランプ氏の複数の側近の話として、ライトハイザー氏は政権外から通商政策の立案に携わることになるとの見通しを伝えた。
トランプ次期米大統領はライトハイザー氏の側近として前政権で実務を担ったジェミソン・グリア氏を次期USTR代表に指名している。一方でトランプ氏は実業家のハワード・ラトニック氏を商務長官に選んだ際に「USTRの直接責任も負う」と付言した。
商務長官とUSTR代表の間では、第1次政権でも通商政策の主導権を巡るせめぎ合いがあった。ライトハイザー氏が次期政権に影響力をどれほど残すのかは、次期政権内での駆け引きに左右される可能性もある。
トランプ氏の関税政策は2つの目的が混在する。1つは相手国に要求をのませる「脅し」として使う手法。もう1つは中長期的に貿易赤字を解消するために関税を使う考え方だ。
次期財務長官に指名されたスコット・ベッセント氏やラトニック氏は前者の考えを表明している。
ライトハイザー氏は後者を強く主張してきた。米国内の製造業を保護する目的とみられるが、共和党内でも効果や狙いを疑問視する声が根強い。
トランプ氏は現時点では関税を「脅し」として使う姿勢をみせている。
11月25日にメキシコとカナダに対して大統領就任初日の2025年1月20日に25%の関税を課すと表明した際は、国境管理で合成麻薬「フェンタニル」や不法移民の流入を止めれば撤回する意向も示した。