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アメリカを正しく認識する 建国までの歴史概略-29 ボストン茶会事件

2024-04-14 22:12:20 | ヨーロッパ・中東・アメリカ全般、歴史・文化・食文化・芸術・建築

アメリカを正しく認識する 建国までの歴史概略-28 スペイン継承戦争から七年戦争https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/8566007c33209103e9a1510778e4dcbf

からの続き

 

 

1773年、英国本国議会は東インド会社の危機を救済するため、本国での正規の輸入税を払わずに植民地へ茶を輸出することを許可しました。

会社と取引のできない商人たちはこれを独占とみなし、ロードアイランド、フィラデルフィア、ニューヨークでは『暴徒』が街を支配しました。

ボストンでは、イギリス軍に守られたトマス・ハッチンソン知事が会社の茶の陸揚げを強行しようとして民衆と対峙していました。

 

1773年12月16日深夜、サミュエル・アダムズの指揮を受けた一群の人々が、インディアンに変装してボストン港に停泊中の会社の船に乗り込み、お茶を海の中に投げ込みました。 いわゆる『ボストン茶会事件』です。

本国政府はマサチューセッツに対しボストン港閉鎖などの一連の厳しい懲罰措置を発表し、他の植民地はこれに反発してマサチューセッツを支持しました。

1774年のケベック法の制定が、火に油を注ぎました。 西部にフランス人のカトリック植民地を建設し、プロテスタント植民地を牽制、抑圧するものと受け取られました。

 

1774年9月、ジョージア以外の12の植民地の代表がフィラデルフィアに集まり、植民地の武装と英国との通商断絶を決定しました。 これが後に第一回大陸会議と呼ばれるようになります。

1775年4月19日、最初の軍事衝突がボストン郊外のレキシントンとコンコルドで起こりました。 英国軍はこの作戦で若干の敵の銃と弾薬を破壊したものの、ボストンへの帰途,柵や林の中から飛んでくる銃弾に痛めつけられ、農民相手に273人もの死傷者をだしました。

アメリカの農民はただの百姓ではありません。 銃を持ってきてインディアンを駆逐して定住しました。

 

いわば、屯田兵とでも言うべき恐るべき人々でした。 英国軍は死の後独立戦争中、しばしばワシントン指揮下のアメリカ正規軍を圧倒して窮地に追い込みましたが、農民ゲリラに行動を制約され、決定的勝利を収めることが出来ず、商機を逸することになりました。

この軍事衝突の直後の5月10日、フィラデルフィアで第二回大陸会議が開かれ、ジョージ・ワシントンが大陸軍の最高司令官に任命され、本国側も徹底弾圧の決意を固めたので、同年暮れには植民地の独立宣言は不可避となりました。

しかし、植民地側の世論はまだ、イギリス国王の臣民であることは自己否定していませんでした。 特に植民地の要(かなめ)に位置する中部のニューヨークやペンシルヴェニアの指導者たちは慎重でした。

 

結局植民地人はイギリス国王に忠誠を誓いながら、国王の派遣した知事以下の役人っを捕え、国王の軍隊と戦っていたのです。

彼らの論理によれば、自分たちを抑圧しているのは議会の律法であって国王ではありませんでした。

この論法は、彼らが妥協の可能性を追求する限り有効でした。 少なくとも自分で納得することが出来ました。

しかし、状況が許さなくなった時、この論理は捨て去るしかありませんでした。 そのことは同時に、君主制を否定して共和主義者になることでした。

この世論転換のための助産婦役を果たしたのが、トマス・ペインの『コモン・センス』でした。
彼はコルセット製造職人の息子で、いろんな職につきましたが成功せず、1774年末、ロンドンにいたフランクリンの紹介状をもって、職を求めてフィラデルフィアに来た人物でした。


その平民的な文章の平易さと君主制を否定し共和制を勧める論旨の単純明快さもあって、3ケ月に12万部も売れたと言います。 当時、植民地人口は200万をやっと超えた程度でありました。

 

 

 

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