ロシアとウクライナは大規模な捕虜交換を実施した(30日、解放されたウクライナの兵士)=AP
ロシアによるウクライナへの侵略が長期化するなか、両国は30日、合わせて300人規模の捕虜を交換した。兵員不足に直面する両国の利害が一致したとみられる。
ロシア国防省の同日の発表によると、両国の交渉の結果としてウクライナ側から捕虜150人が引き渡された。ロシア側も同数のウクライナ人の捕虜を解放したと説明した。
ウクライナのゼレンスキー大統領も30日に通信アプリで、ロシアの捕虜となっていた189人のウクライナ人が解放されたと発表した。
解放された捕虜には東部ドネツク州などの前線で戦っていた兵士や将校らが含まれていた。2人の民間人もいた。
ゼレンスキー氏は今後も捕虜解放に向けた取り組みを続けていくと強調した。今回の捕虜交換の交渉はアラブ首長国連邦(UAE)が仲介したとしており、ゼレンスキー氏は謝意を示した。
2022年2月にロシアがウクライナに侵略を始めて以降、両国は数十回の規模にわたって捕虜交換を実施してきた。戦闘の長期化で両国ともに人員不足は深刻で、捕虜交換が相次いでいる背景にあるとみられる。
ロシア軍は24年12月から軍兵士の総数を最大150万人に増員した。不足する兵士の損失を補うため、志願兵である契約軍人を採用して継戦能力を確保しようとしてきた。
ロシアはドネツク州で攻勢をかけ、制圧地域を拡大している。ロシア国防省は30日、同州で1つの集落を制圧したと発表した。
メドベージェフ安全保障会議副議長は24日、国防省は24年に約44万人の志願兵と契約を結んだと述べた。23年も30万人以上と契約したが、今年はその数を大幅に増やしたもようだ。
プーチン大統領は16日に出席した国防省の会合で「平均して1日あたり1000人以上が契約している」と採用が進んでいると強調していた。
2022年2月、ロシアがウクライナに侵略しました。戦況や世界各国の動きなど、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
日経記事2024.12.31より引用