東レは開発中の抗がん剤について研究成果を発表した
東レは8日、開発中の抗がん剤の研究成果について発表した。
東京慈恵会医科大学、帝京大学とそれぞれ共同で実施した動物実験で、腫瘍の増殖を抑えつつ、心機能の低下といった副作用を既存の抗がん剤よりも抑えられることを確かめた。今後、製薬会社などと組み実用化を目指す。
開発中の抗がん剤「TXB-001」は、乳がんの治療などに使われるアンスラサイクリン系抗がん剤に東レが技術的な強みを持つポリマーが結合している。抗がん剤が患部に集中的に集まり、作用することで治療効果を高める一方、副作用の軽減が期待できる。
非臨床研究として東京慈恵会医科大、帝京大とそれぞれ共同で予後が悪い乳がん細胞を移植したマウスなどで実験した。その結果、薬を投与しない場合と比べて腫瘍の増殖は約5分の1に抑えられ、心機能の低下は認められなかったとしている。
今後、製薬関連企業などと組み臨床試験(治験)などを進める。自社での生産、販売ではなくライセンス供与する方針だ。提携先は2年以内に見つけたいとしている。
今回の成果は5日から米国サンディエゴで開かれている米国癌学会で発表した。
日経記事2024.04.09より引用